起業家的な経営者はストーリーテラーである

起業家的な経営者はストーリーテラーである



清水直樹
マイケルE.ガーバー氏と、ジョーンという経営者の問答をご紹介します。ジョーンが直面している問題は、おもちゃである「キャラクターベア」の在庫過多。しかし、ガーバー氏はそれを単なる商品(コモディティ)ではなく、母親と子供に響く感動的なストーリーの手段として再構築するアイデアを提案しています。

以下、ジョアン(joan)とガーバー氏(M)の対話

3つの人格の意味

Joan:おはようございます、マイケル。あなたの本を読んで、私は起業家であると認識しています。なので、マネージャーと職人を担ってくれる人が必要だと感じました。

M:素晴らしい。ただ、一つ言わせてください。これはとても重要なので、今日は時間を取りたいと思います。

本に書かれていることは、あなたに職人が必要、マネージャーが必要、ということではありません。重要なのは、あなたが3つの性格を持っていることを理解するということです。あなたは職人であり、マネージャーであり、起業家なのです。問題は、大半の人は職人として目の前のことをやることに時間を使っているということです。やっていることの意味を考えていないのです。やっていることが仕事だと思っています。

あなたに必要なのは、毎日やっていること、機能にラベルをつけることです。そしてそれをやるとき、これはマーケティング、これはファイナンス、これはオペレーション、これはCEOの仕事、これはCOOの仕事、これはマーケティング副社長の仕事、これはセールスマンの仕事というように、機能別にラベルをつけ、組織図にしていくことです。それをやりはじめるとわかるのが、自分はなにをやっているのか、よくわかっていないということです。多くの場合、組織図の一番下の仕事に大半の時間を使っていることに気がつきます。

わかりますか?では続けましょう。あなたの質問は何ですか?

商品の在庫をどうするか?

Joan: いま最も大きな問題は、在庫として残っている「キャラクターベア(熊のぬいぐるみ)」です。「キャラクターベア」は、レゴランドで売っているものそれほど売れておらず、在庫が残っています。これが今、私にとって精神的にも経済的にも重荷になっているのです。一方の私は、その状況を無視して、新しい商品を出すことを夢見てしまっているのです。質問としては、いまのビジネスをどのようにすれば良いのか?ということです。

他人の店で売らない

MG: あなたの問題が何かを言いましょう。あなたの最も大きな問題は、店を通じて売ろうとしていることです。店を通じてアイデアを売ろうとしています。真実は、それは出来ないということです。あなたのアイデアは、店を通じては伝わりません。なぜなら、アイデアはストーリーだからです。そのストーリーを店を通じて伝えるには、多額のお金が必要であり、メディアを使わなければいけないでしょう。

まったく別の方法を提案したいと思います。あなたのストーリーは、あなた独自の販売システムを作るのです。おもちゃに適した年齢の子供がいる母親を対象にします。母親達が子供に伝えるためのストーリーを、そこで伝えるのです。直接、キャラクターベアがもたらす意味を伝えるのです。キャラクターベアのストーリーが母親によって語られます。小さな子供を持つ母親から母親へ。それによって、単なる熊で無くなるのです。

Joan: わかります。

MG: あなたは在庫を持っているので、すぐに始められますね。

どうやって始めるのか?母親達に電話して、彼女達を家に招きます。そしてストーリーを伝えるのです。おそらく彼女達は子供を連れてくるでしょう。そこで、ぬいぐるみはいくつか売れるでしょう。そして、それを自分でやりたいという人も出てくるでしょう。彼女達が、自分の家で、あなたと同じことをやるのです。徐々にキャラクターベアの伝統が出来上がっていきます。

Joan: わかりました。

物語を通じて売る

MG: 商品ではないのです。プロセスが重要なのです。

しかし問題は、あなたの中にいる、それをやりたくないという人格です。“自分で売るって?セールスウーマンになるの?と思っていますね?

革命はどのようにしてスタートするのか?キャラクターベアは子供のものだけに留まらず、母親の問題でもあるのです。会話、商品、かわいらしいアイデア以上のもの、人格形成(キャラクター)なのです。

母親に、子供に、学校に、世界に何が欠けているのか?私たちが行くところ全てに欠けているのは、人格形成です。

Joan: そのとおりです。

ディズニーが売っているもの

MG: そこで質問は、あなたは本当に革命を起こす決意があるかどうか、です。

Joan: はい、あります。

MG: 決意したなら、問題の答えを教えましょう。

あなたは決して他人のお店で売っていては伝わらないアイデアを、他人のお店を通して伝えようとしているのです。アイデアをストーリーを語って定着させなくてはいけません。“母親の人生に何が欠けているのか?子供達に何が欠けているのか?”と考えてください。

それが人格形成です。人格とは何か?キャラクターベアのストーリーを通じて、人格とは何かを見つけるのです。母親達に、子供にストーリーを伝える方法を教えるのです。キャラクターベアを母と子の会話のきっかけにする方法を教えるのです。彼女達は、どのようにして伝えるのかを知る必要があります。子供に物語を伝える方法を知っている母親は稀です。それによって、大きな対価を強いられています。

小さなオモチャで、それが出来ると想像出来ますか?あなたのビジネスは、単に熊を販売することを超えるものになるでしょう。母親、子供に包括的なサービスを提供するものになるでしょう。熊は、メッセージを伝えるメディアに過ぎないのです。

ディズニーランドは何を売っていますか?ネズミのぬいぐるみではないですね?ネズミはディズニーが構想したメッセージを伝えるメディアに過ぎません。



わかりますか?

Joan: わかります。

コモディティとブランド

MG:あなたはみんなが行うのと同じ間違いをしていた。あなた夢を商品に変えた。商品は、販売されるプロセスの中で、想像力を失う。あなたは商品を他の誰かに売ってもらおうとしていた。他人の店で売ろうとしていた。店の中を見渡せば、その他の商品もある。そして問題が発生する。“この熊は何故こっちの熊より良いのか?”

それを説明するとき、あなたはそこにいない。店にいないのだ。キャラクターベアのストーリーを伝えるビデオは店で流れていない。そのストーリーは熊とは全く関係ないものである。それは人格についてである。子供の人格を育てることについてである。

人格とは何なのか。熊で遊んでいる子供は何もわかっていなくても良い。

あなたのやることは、言い換えれば学校を創ることだ。小さな子供を持つ母親に、どのようにストーリーを伝えるのか、キャラクターベアを使ってどのように、最も欠かせないストーリーを伝えるのか?

単に熊を店で売るよりも、はるかに大きな、機会を描くことが出来るでしょう。

ビジネス機会は無限にある

“母親が教えてくれなかったので、人格の育て方がわからない。”

このような母親に対して、キャラクターベアを使って、子供の人格を育てる方法を教えなくてはならない。

チャンスは巨大である。Joanが住んでいるサンディエゴ、若い母親、子供が住んでいる場所だけでも巨大である。

熊を通じて語るストーリーが全てである。事を成すのは、ストーリーの魂である。

Joan、聞いて欲しい。ストーリーはいつも、“私たちが誰であるか、私たちが何をするか。”から始まる。
あなたは残念ながら、間違った方法で冒険を始めたかもしれない。それに気がつくまでに何年も、何万ドルもかかったかもしれない。あなたの持っているものを理解できていない夫と議論になったことだろう。

最初に始めたとき、全く異なる方法で始めることも出来たのだ。キャラクターベアが、今頃、全米中に広がっていたかも知れない道があり、それを進むことも出来た。店を通じてではなく、他のオモチャと競合することなく。

しかし、あなたは今日から再スタートできる。最も親しみやすい熊のぬいぐるみというオモチャを使って、子供達に必要不可欠なことを教える方法を、母親達に教えるのだ。

ひとたび、母親がそれを家族の中で行う知識を得たならば子供達はキャラクターベアから、これまで学んだことの無いことを学ぶ。彼らが成長するに従って、自分の子供にも同じようにしてあげようと思う。それがブランドが、ビジネスが根付くということです。

Joan:ありがとうございます。考えて見ます。素晴らしいです。

MG: 長く考えすぎないように。子供達が待っているのです。

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