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BHAG(社運を賭けた大胆な目標)について解説。自己診断付。

清水直樹
清水直樹
BHAGとは、人々の意欲を引き出し、心に訴え、心を動かす社運を賭けた大胆な目標のことです。具体的でワクワクさせられ、焦点が絞られた目標であり、誰にでもすぐに理解でき、くどくど説明する必要がないものです。BHAGは名著「ビジョナリーカンパニー」で紹介されたコンセプトの中で、最も有名なものと言っても良いでしょう。この記事ではBHAGの意味から事例、自己診断のためのチェックリストなどをご紹介していきます。

BHAGの意味とは?

BHAGとは、Big Hairy Audacious Goalsの略です。Hairyというのは身の毛もよだつとか、危険、困難なという意味合いなので、身の毛もよだつほど大胆な目標と言えるでしょう。ビジョナリーカンパニーの中では「社運を賭けた大胆な目標」として訳されています。

BHAGは、ビジョナリーカンパニーの基本理念を維持しながら進歩を促すための仕組みです。

基本理念というのは会社の中の聖域であり、変えてはならないものです。一方で、会社というのは、環境に合わせて進歩しなくてはいけません。基本理念を維持しながら進歩を促すために、BHAGの出番があります。

基本理念ついては以下の記事をご参照ください。

基本理念とは?(意味から基本方針との違いまで解説)

 

仕組み経営との関連性

仕組み経営を学んでいただいている方のために、仕組み経営のカリキュラムの中で、BHAGに相当するものをご紹介しておきます。それは「ビジョン」です。一般的に使われるビジョンは曖昧さがある思いや方針のようなものですが、仕組み経営におけるビジョンは将来の姿を明確にイメージできるほど文書化したものであり、BHAGの概念に通じるものと思います。

 

BHAGの例

BHAG

では、まずビジョナリーカンパニーの中で紹介されているBHAGの例をご紹介しておきましょう。

ケネディ大統領 1960年代中に人類を月に着陸させる。
ボーイング 707機で民間航空機で大手になる。
フォード 自動車を大衆の手に。
ディズニー ディズニーランドを建設する。
IBM 世界クラスのコンピューターメーカーになる。
シティバンク 偉大な世界的金融機関になる。

その他、書籍には登場しませんが、私が発見したBHAGと思えるものをいくつかご紹介します。

モハマド・ユヌス氏のBHAG

グラミン銀行を創ったユヌス氏。彼は、海外から生まれ故郷のバングラディシュに戻ってきたとき、女性たちの貧困ぶりに衝撃を受けました。そこでマイクロクレジットを使って、彼女たちを貧困から抜け出させる仕組みを創りました。

ユヌス氏のBHAGと言えるのは、「世界から貧困を無くす」というものでしょう。誰もが”そうなればいいよね”というくらいにしか思っていないことを明確に目標として設定したわけです。

 

マイクロソフトのBHAG

私が元いたマイクロソフト社では、「すべての机と、すべての家庭にコンピュータを」という目標を掲げていました。まさにBHAGですね。創業当時は大型コンピューター全盛時代でしたが、いまでは当たり前の状況なので、この目標は達成したと言えるでしょう。

 

KEAPのBHAG

KEAP社は、中小・スモールビジネス向けのCRM/マーケティングオートメーションのツールを提供している会社です。この市場では大手と言えます。実はこのKEAP社、元々は小さなシステム開発会社だったのですが、私の師匠でもあるマイケルE.ガーバー氏の教えを受けてから急成長し、いまに至ります。ガーバー氏からは何のためにこのビジネスをやっているのか?と問い詰められ、ビジョナリーカンパニーで言うところの基本理念やBHAGを設定したのです。

ガーバー氏の紹介で、私たちもKEAP社を訪問し、彼らのビジネスをやり方を教えてもらうことが出来ました。彼らは「マーズミッション」というここで言うBHAGを掲げ、経営をしています。詳しくは以下の創業者インタビューからご覧ください。

会社を売るのを止めて年商12倍。スモールビジネスからスタートアップへ。KEAP(Infusionsoft)社創業者クレート・マスク氏インタビュー

 

BHAGのポイント

では次に、BHAGを設定する際のポイントをご紹介していきます。

BHAGと一般的なビジョン、目標、方針などとの違い

最初にご紹介した通り、BHAGは、「具体的でワクワクさせられ、焦点が絞られた目標」です。この目標ということがポイントです。目標であるということは、それが達成できたかどうか、明確にわかるということを意味します。

たとえばビジョナリーカンパニーに紹介されている、”BHAGとは言えない”例としては、

トータルクオリティ、市場のリーダー、技術主導、グローバル、焦点を絞った成長、多角化(ウェスチングハウスの例)

等があります。私の経験から言っても、社長に”御社のビジョンは?”と聞くと、

  • お客様第一
  • 社会貢献
  • 三方良し

などの言葉が返ってくることがあります。これはこれで社長の想いとして大事かも知れませんが、BHAG(ビジョン)とは言えません。

一方、フォードの”一般大衆でも買える車を創る”というのは達成できたかどうかが明確にわかりますね。

 

BHAGが達成出来たらまた作る

BHAGは目標なので、それを無事達成することが出来たら、次のBHAGを設定することが大切です。これをしないと、組織は目標を失い、情熱を失い、ビジョナリーカンパニーにはなれなくなります。

ちなみに、私が元いたマイクロソフト社は、インターネット時代が訪れたとき、他のIT企業に後塵を拝していた時期がありました。これは私が思うに、先ほど述べた、「すべての机と、すべての家庭にコンピュータを」という目標が達成されてしまい、組織としての目標を失ったせいではないかと思います。

これは「時を告げるのではなく、時計をつくる」の概念にもつながりますが、BHAGで大切なことは、BHAGを設定することではなく、BHAGを設定し続ける組織を作ることだと言えるでしょう。ビジョナリーカンパニーに書いてある通り、前進をもたらすのは指導者ではなく目標それ自体なのです。

 

不退転の決意

BHAGは、”社運”を賭けた大胆な目標です。文字通り、社運をかけて不退転の決意で臨めるかどうか?が大切です。より具体的に言えば、”会社の資源を全てつぎ込んでも、必ず完成させる”という不退転の決意です。

たとえば、ディズニーは、短編アニメしかなかった時代、長編アニメ「白雪姫」を創るのに、自社資源のほとんどをつぎ込みました。これは「ディズニーの酔狂」といわれるほどの大胆さでした。(幸い白雪姫は当たったのですが)

 

基本理念を維持しているか?

最後のポイントは、基本理念を維持しているか?です。基本理念とは、ビジョナリーカンパニーに登場する”基本的価値観+目的”を意味するものです。ビジョナリーカンパニーのなかでは、BHAGが有名なコンセプトですが、実はその前に、基本理念が必須であることが説かれています。

したがって、BHAGも基本理念から外れていない者である必要があります。これはビジョナリーカンパニーの特徴して紹介されている”一貫性”につながっていきます。

なお、基本理念については以下の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。

基本理念とは?(意味から基本方針との違いまで解説)

 

自己診断のためのBHAGチェックリスト

では最後に、自社の目標がBHAGと言えるようなものなのか?チェックリストをご用意しましたので、ぜひご確認ください。

  • その目標は、達成したらどのようになるか、イメージが湧きますか?
  • その目標は説得力があり、理解しやすいですか?
  • その目標は、基本理念と何らかの形で結びついていますか?
  • その目標は、経営幹部だけではなく、組織のすべての人にとって刺激的なものですか?
  • その目標は、冗長で分かりにくく、複雑なものではない、と言えますか?
  • その目標は、簡単に覚えることが出来ますか?
  •  あなたは、その目標を100%達成できると信じていますか?
  • 25年後、その目標をを達成しているかどうか、すぐにわかりますか?

 

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私たち仕組み経営では、BHAGのような大胆なビジョンづくりから、それを実現するための仕組みづくりをご支援しています。詳しくは以下から是非ご覧ください。

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