分業化の意味
分業化というのは、その名の通り、
中小企業においては多くの業務を社長がこなしています。たとえば時に営業、時に開発、時に人事、時に財務、そしてたまに経営の仕事、というようにとにかく現場の仕事を回すのに忙しいのが中小企業の社長です。私たちはこのように社長の職人技で成り立っている会社を職人型ビジネスと呼んでいます。
忙しくしていれば仕事をした気になり、満足感も得られるわけですが、そのままでそれ以上に成長できません。社長があらゆることに足を突っ込んでいるようでは個人事業の延長線上に過ぎず、”会社”とは言えない状態です。職人型ビジネスのままでは社長の時間と体力の限界=会社の限界となり、いずれ破綻する時が来てしまいます。
職人型ビジネスから抜けだしたかったら、
分業化のデメリット
会社を成長させるには分業しなくてはいけない。しかし一方で分業化のデメリットもあります。
それは分業されたことで仕事の全体像がわからなくなり、仕事が単純な作業になってしまい、社員のモチベーションが下がることもあります。仕事へのモチベーションが下がるとミスが増えたり、仕事の遅延が起こったりします。
また、他の人の仕事内容が見えなくなることで、「私はこんなに頑張っているのに、彼らの仕事が遅いから・・」というような人間関係が悪化したりすることもあります。
さらに、誰かが休んだり辞めた時に、他の人がカバーできないというデメリットもあります。
分業化のデメリットを克服するには?
ではそのようなデメリットをどう克服すればいいのでしょうか?
カギとなるのは、”仕事の有意性”というキーワードです。これを説明するのにひとつエピソードをご紹介します。
パラシュートの落下事故が多いのはなぜか?
話は遡り、第二次世界大戦中のこと。
空軍は地上に降り立つために、パラシュートを使っていました。
そのパラシュートを梱包し、バックパックの中に詰めるのは、
”ミッションの成功”を目的として、
パラシュートを梱包するのは女性
パラシュートを使って地上に降り立つのは兵士
というように業務を分業していたわけです。
この時、ひとつ問題がありました。それは、パラシュートが開かず、
パラシュートが開かないのは、
ミスを減らすためにやったことは?
そこで、この分業のデメリットを克服するために何をしたか?
普通なら女性側の作業を厳しくチェックする体制を作りそうなもの
しかし、この時行われたのは、
そうすると、
これは何を意味するのか?
それまで女性たちは、
誰が使うのか、どれだけそれが重要なのか、
しかし、兵隊と交流することで、
これを仕事の”有意性”と言います。
自分の仕事がいかに重要であり、
分業をすると、兵隊と交流する前の女性たちのように、
その結果、生産性を上げるために分業したはずなのに、
分業をする際には、この点に気をつけなくてはいけません。
分業のデメリットを克服するには仕事の有意性がカギを握る
というわけで、この例からも分かる通り、分業のデメリットを克服するには仕事の有意性を感じてもらうことが大切なのです。
そして、有意性を感じてもらうためには、その仕事内容が以下のような特徴を持つことが必要です(ハックマン=オルダム・モデル)。
- 技能多様性・・・単調な仕事ではなく、自分が持つ多様なスキルや才能を活せる仕事である
- タスク完結性・・・始めから終わり(完結)までの全体を理解した上で、関われる仕事である
- タスク重要性・・・他者の生活や社会にインパクトをもたらす重要な仕事である
分業化する際には、各業務がこのような特性を持つように設計することが大切になります。
まとめますと、
- 組織作りには、分業が欠かせません。
- しかし、分業すると同時に、
各仕事に有意性が見いだせるようにしなくてはいけません。 - そのためには、各業務に技能多様性、タスク完結性、タスク重要性という特徴を持たせることが大切です。
ぜひあなたの会社も、上記の条件を満たしているか?
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