人時生産性とは
人時生産性とは1人が1時間に稼ぎ出す利益のことを指し、いかに効率的に利益を上げているかを表している数字になります。
より詳しく言いますと、人時生産性が高い会社は少ない労力で多く儲けている会社だと言えます。
一方でこの数字が低い会社は、みんなが忙しく働いているんだけれども儲からない会社だということです。これは非常にまずい状況になるわけですね。
したがって、人時生産性は経営者にとっては大事な数字になってくるということです。
人時生産性の計算式
次に人時生産性の計算式です。
粗利を総労働時間で割ったものが人時生産性です。
粗利の部分は正確には、付加価値額という数字なのですが、ざっくり言うと粗利ということです。
また、粗利ではなく、営業利益で計算してる場合もありますけれども今回は一般に使われている粗利で計算しています。
総労働時間は全スタッフの労働時間を合算したものです。
この計算式を使っていただければ、皆さんの会社の人時生産性もすぐ出せるかなと思います。
月間で計算するのもいいですし、年間で計算することもできます。
これが高いか低いかで皆さんの会社がいかにうまく稼げればどうかがわかるということですね。
人時生産性の目安は5000円?
では、人時生産性がどれくらいだったらいいのかという目安をご紹介します。
業界によって全然違うのですが、だいたい5000円が目安と言われております。
5000円上回っていれば、うまく稼げている、下回っていると大して稼げていない会社ということになります。
ただこの金額に達していれば良いのかというとそうでもないんです。その理由は後ほどご紹介しますが、5000円いっていない会社はここを一つの目標にするのがいいと思うんですけれども5000円いっているからと言って、そこで満足して改善を止めてはいけないということです
ね。
人時生産性の国際比較と推移
このグラフは、数字が小さくて見づらいかもしれませんけれども生産性本部がだしている、労働生産性の国際比較2020年度版になっております。
これ見ていただくと、日本が21位です。金額としては$47.99、だいたい5,000円ぐらいなんですよね。先ほど人時生産性の目安として5000円と言いましたが、日本の平均値が5000円なので、5000円いっていれば、いいんじゃないか、という話ですね。
ただ、これは日本の平均であって国際的にみたらあまり高い数字じゃないわけです。もちろん世界各国百何十か国がありまして、その中で21位というのは悪くないんですけど、先進国の中で見るとかなり低い数字なんですよね。
最近、日本が安くなったとかよく言われていますけれども、これがには原因なんですよね。人勢させが低いことで、日本人の給料はなかなか上がらない原因だも言われております。
日本がこんなに低い理由は、もちろん国の政策のせいもあるのですけれども、あと半分の要因としては経営者自身が人時生産性に注目して高める努力をしてこなかったことにあるのではないかと思います。
対象としてわかりやすいのは、アメリカで、77ドルです。日本の1.5倍ぐらいはあるわけです。そう考えると日本の生産性はめちゃくちゃ低いですね。
バブル期も日本は人時生産性が低かった
人時生産性の推移を見てみましょう。
日本は1970年から50年ぐらいずっと20位ぐらいでウロチョロしています。なのでGDPが世界3位の割には、働き方の効率が悪い国なんです。バブルの時の日本は非常に豊かだったと記憶ある方もあると思うんですけれども、その時ですら20位ぐらいです。
バブルの時はとにかく労働時間が多かったわけですね。1時間あたりの稼ぎは少ないんだけど、労働時間を増やして全体の生産高を上げていた時代なんですね。
私たちは、中小企業向けの仕組み化をお手伝いしているのですが、仕組み化というのは、やっぱり生産性を高めていくというところが一つ目標なんですね。なので人時生産性を高めるのは仕組み化が出来てるかどうかの指標にもなります。
業界別の人時生産性の平均値は?
業界別の人時生産性の平均値次に業界別の人時生産性の平均値を見てみたいと思います
- スーパーマーケット 3000円前後
- 家電販売店 4000円前後
- 旅館・ホテル 4000円前後
- 美容室 2000円前後
- 居酒屋 3000円前後
(渥美俊一氏の書籍を参考)
これと比べて皆さんのビジネスの状態を測る目安にしてもらうといいのかなと思います、
ただこれはあくまで平均なので、これを上回っていればいいというわけではありません。そもそも日本企業は稼げてないので、平均で満足してはいけません。
ちなみに、どの業態も日本平均の5000円を下回っていますが、これはここに載っていない大手の製造業の生産性高いからです。大手の製造業では、生産工程が自動化されますので人時生産性が高いわけです。
ただ、中小企業や非製造業はそれをはるかに下回る金額で推移しているということですね。
外食/飲食業界の人時生産性データ
業界別の中でも、外食産業の人時生産性のデータがありましたので見てみたいと思います。
これは農林水産省が出しているデータになります。
これの一番右の列に人時生産性が出ています。
平均値で3,259円ということになっていまして、大手でもそんなに生産性が高くないという実態となっています。ただ、いま外食産業はオートメーションを進めていますので、この数字をあげていこうということで各社が努力しているところじゃないかと思います。
人時生産性をどう改善&向上させるか?
では、人時生産性をどうやって改善&向上していくかを見ていきます。
人時生産性の計算式は、分子が粗利、分母が総労働時間なので、粗利を上げるか、労働時間を減らすかという話になります。
業界とか業態によっても打つ手は無限にあると思うんですけれども、ここでは、全業界に共通することを申し上げようと思います。
粗利を上げる
より利益率の高い、価値のある商品やサービスの開発
単に価格を上げればいいということではなく、お客様にとって、より価値のある価値を感じてもらえる商品とかサービスを提供するしていくということです。
人手を介さない/労務を伴わない商品やサービスの開発
例えばサービス業であれば1時間いくらみたいな感じで課金しているケースが多いと思います。当然ながらそこに人が入っているわけですが、プラスして何かモノを売ったりすることで、人手を介さずに粗利を積み上げることができます。
新人を即戦力化する仕組み
新しく入ってきた社員が早く稼げるようにする仕組みをつくるということですね。新人がなかなか活躍できずに社内でぶらついているという状況だと人時生産性というのは高まりませんね。
中小企業でも新卒社員を雇っているケースが増えていますが、やっぱり1年くらいは稼ぎには繋がらないわけですね。そうすると必然的に人時生産性は低くなっていきます。
総労働時間を減らす
業務を仕組み化し、一人がマルチタスクできるようにする
組織づくりの基本は分業なんですけど、分業するとボトルネックが生まれるんですね。こっちの人は忙しいけど、こっちの人は暇、みたいな感じになります。そうすると暇な人の時間は無駄になります。分業すればするほど、一見効率的になるように思えますが、上手くバランスを取らないと人生産性を高まらないわけです。
その解決策のひとつとしては、一人の人がいろんな業務をできるようにするということです。そのために、仕事を仕組み化しておくことが大切です。
業務を可視化し、無駄な手順を無くす、または簡潔化する
業務のプロセス分解して、本当にこの手順はいるのかな?と考えていくことです。
ITを活用して業務を標準化し、自動化する
ウチの場合だとマーケティングをオートメーション化していますので、この部分は人手を介さずに業務が進んでいます。
働き方の柔軟化
パートアルバイトの方みたいに、フルタイムで働きたくないんだけれども自分の空いた時間を活用して働きたいという人を活用することです。そうすることで、業務量と労働量のバランスをうまく取ることができます。
人時生産性を高めるための仕組み化なら
というわけで今日は、人時生産性についてご紹介しました。先述した通り、人時生産性を高めていかなければ、日本は働いても豊かにならない国になってしまいますので、ぜひ自社の人時生産性を高めていただければと思います。
なお、仕組み経営では、会社の仕組み化を通じて、人時生産性を高め、稼げる会社にしていくご支援をしています。詳しくは以下からご覧ください。