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「求人難に必要な仕組み」2024年3月7日号



一般財団法人日本アントレプレナー学会の清水です。

さて、最近はどこの会社でも求人難になっているようです。

何十万円、何百万円と求人活動に投資したものの、一人も採用出来ない。

または採用出来たものの、すぐに辞めてしまった。

こんな経験がありませんか?

実はこれら採用コストは、仕組み不在によって生じる際たるコストなのです。

言い換えれば、正しい仕組みづくりによって、数十万、数百万円の「見逃している利益を得る」ことが出来ます。

■ちょっと例を挙げましょう。

以前、とある会合で小さな不動産会社の社長が、こんなことを言っていました。

”パートを募集したら、スゴイいい人が来たんだよね。〇〇大学卒業してて。この人に頑張ってもらえれば自分の仕事がだいぶ楽になると思うんだ”

この発言に私は一抹の危うさを感じてしまいました。

なぜなら、これは人依存経営の典型的な思考パターンだからです。

でもそれほど親しくもない社長だったので、何も言いませんでした。

数か月後、同じ会合があり、その社長がその後のいきさつを話してくれました。

”1か月もたたずに辞めちゃったんだよね。色々教えたんだけど、そこまでやる気がなかったみたい”

やはり、という感じだったんですが、それももちろん言いませんでした。

■結局、この社長は求人コスト(広告費など)と教育コストを無駄にし、また新たに採用するコストを払わなくてはいけないわけです。

少なく見積もっても100万はかかっているでしょう。

さて、ではこのような事態にならないように、どんな考え方でどんな仕組みを作ればいいのでしょうか。

以下にいくつか考えてみましょう。


1. 自社の分と魅力を正しく見極め、打ち出す仕組み

先ほどの社長のように、いい人さえ来ればうちの会社は良くなる、と考えるのは人依存の典型的思考です。

そもそも、社長が求めるような人物というのは、世の中に非常に少ないわけです。その少ない人たちは、大抵の場合、大企業を目指します。

ですからまず、自社の分を知らなくてはなりません。

自社の分とは、採用市場における自社の立ち位置のことです。

採用市場において、私たちは大企業と伍して戦わないといけないのです。

松下幸之助氏も言っていますが、結局、会社には分にあった人しか定着しないものです。

つまり、自社の社格というようなものを高めていかなければ、世の中において優秀とされるような人は来ないものです。

先ほどの例に出した不動産会社の社長は、はっきり言ってしまえば、身分不相応の採用をしようとしてしまったのかもしれません。

それを認識したうえで、自社の魅力を見極め、打ち出すこと。

私は大企業とされる会社、中小(ベンチャー)の両方に勤めた経験がありますが、中小が大企業よりも優れている点は、以下のような点でしょう。

将来性と出世の速さ、仕事の幅の広さによる成長の速さ、社長と距離が近いことによる意見の通りやすさ。

とはいえ、これはあくまで自社を磨き上げることで実現できることなので、そっちが先決です。



2. 自社にとって正しい人を見極める仕組み

学歴が良い、職歴が良い、ということと、その人が自社に合うかどうかは別問題です。

それを理解せず、エージェントや求人メディアに大枚をはたくのは危険です。

どんな人が自社に合うのかを正確に知ることが大切です。

そして、そして、そういった人たちが選考を通過できるようなプロセスを設計します


3. 自社にとって正しい人を受け入れる仕組み

ほとんどの会社に欠けているのがこの仕組みです。

多くの会社では、その人が会社に馴染めるかどうかが、本人次第”という扱いになっています。

だから、いい人が入ってくれたな、と思っても、放っておくと数か月で辞めてしまうケースがあります。

そうならないように、彼らが会社と仕事に馴染めるような仕組みが必要なのです。

本人次第、という他人本願ではなく、自社の仕組み次第という自力本願にすることが大切です。

そう自覚できた時、はじめて自社の改革や改善が可能になります。


4. 普通の人を活躍させる仕組み

グーグルなどの人材戦略を知ると、やっぱり凄い会社には凄い人材が必要なんだな、と思いますね。

でも、グーグルのような会社は実は例外的で、ほとんどの成長している会社、長く続いている会社は、普通の人によって運営されています。

会社が大きくなればなるほど、採用する人数も増えるわけですが、そうなると、トップクラスの人材を集め続けるのは困難になります。

この点をよく理解している会社の例として、マイケルE.ガーバー氏が良く引用するのがマクドナルドです。

マクドナルドは世界中で採用をしており、世間的に優れた人材を集める続けることの難しさを知っています。だから、普通の人を活躍させる仕組みを作ったのです。

また、本田宗一郎氏のト金の経営の話も有名です。

とある棋士がホンダを見学した後、本田宗一郎氏に言いました。

”あんたのところは、「歩」を上手く使っているね”

どういうことかというと、「歩」という普通のコマ(人)を上手く活用しているということです。

「歩」は前に一個ずつしか進めない、もっとも弱いコマと言えます。

一方で、相手の陣地に入ると、「ト金」になり、「金」と同じ役割を果たすことが出来ます。

ホンダは、一般には普通とされる人を自社においてのみ「ト金」として活躍させていたのです。

他者に入社していれば、普通程度の活躍できないのに、ホンダには入社したことによって非凡な成果を出せるような仕組みを持っていたということになります。

まさに仕組みが自社の強みになっていると言えます。

というわけで、今日は求人難に関連して、求人採用関連の隠れたコストを削減する方法をご紹介しました。

ご参考になれば幸いです。



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