レイクロックはなぜ成功したのか?名言から見える最高の経営術

レイクロックはなぜ成功したのか?名言から見るマクドナルド成功の秘訣。



清水直樹
レイクロックは、マクドナルドを世界的に広め、世界一の外食チェーンを作り上げた人物です。今日はレイクロックについて、プロフィールや彼の成功の秘訣をご紹介していきましょう。

レイクロックを題材にした映画「ファウンダー」

レイクロックはなぜ成功したのか?名言から見える最高の経営術
レイクロックを題材にした映画「ファウンダー」は、日本でも公開され、賛否両論を生みました。
正直、一般の人からすると、「とんでもない卑劣な男だ」と思うようなシーンもありましたが、起業家・経営者の方から見ると、「この成功への野心と情熱はスゴイ」と思ったのではないでしょうか。
「ファウンダー」で描かれたレイクロックのストーリーは以下の通りです。

レイクロックは「マルチミキサー」を売るしがない営業マンだった

ストーリーは、レイクロックがミルクセーキを作る機械を売り歩くシーンから始まります。様々なハンバーガー店を回るものの、まったく売れず、途方に暮れています。訪れるハンバーガー店の粗末なサービスにも不満を抱きます。
あるとき、カリフォルニア州のあるお店から電話がかかってきます。これまで全く売れなかったマルチミキサーをまとめて買いたい、というのです。レイクロックは、いったいどんなお店なんだ?と興味を持ち、店に向かいます。
その店こそ、マクドナルド兄弟が創業した「マクドナルド」だったのです。
レイクロックはそのお店が他のハンバーガー店と全く異なることにすぐ気が付きます。効率化された調理システムや顧客サービスに魅了され、多くの顧客が押し寄せていたのです。
レイクロックは、マクドナルド兄弟が創り上げた仕組みに驚き、兄弟にフランチャイズ権を売ってくれるよう交渉します。そして、1955年4月にイリノイ州デスプレーンズに最初のフランチャイズ店を出店しました。

レイクロックがマクドナルドを乗っ取った?

その後、レイクロックはどんどん出店を続け、1961年にマクドナルド兄弟から商権を270万ドルで買収、兄弟は商売を続けることができなくなり、実質上、レイクロックにマクドナルドを乗っ取られた形になりました。
このストーリーには賛否両論ありますが、レイクロックが創り上げた一大ハンバーガーチェーンの仕組みは、その後、多くの飲食店の見本となり、現在においてもその思想は受け継がれています。
「ファウンダー」とは創業者、という意味ですが、映画に描かれている通り、マクドナルドの実質的創業者はレイクロックではなく、マクドナルド兄弟です。レイクロックは創業兄弟から「仕組み」を買い取り、世界展開させたのです。

レイクロックの名言6選

さて、そんなレイクロックは数々の名言を残しています。

彼の名言から、彼の経営への思いがよく伝わってきます。

1. In business for yourself, not by yourself.”
「ビジネスは、自分のためにやるもの、自分自身でやるものではない」

.“Take calculated risks. Act boldly and thoughtfully. Be an agile company.”
「計算されたリスクを取れ。大胆で思慮深く行動しろ。アジャイル企業となれ。」

3. “There are things money can’t buy and hard work can’t win. One of them is happiness.”
「お金では変えず、ハードワークでは勝てないものがある。その一つは幸せだ。」

4.“If you work just for money, you’ll never make it, but if you love what you’re doing and you always put the customer first, success will be yours.”
「お金のためだけに働いているならば、絶対に成功はできないが、もしもあなたが自分のしていることを愛し、常に顧客を最優先するなら、成功は君の手にある」

5. “You’re only as good as the people you hire.” 
「あなたは、あなたが雇った人々と同じくらい優秀なだけだ」

6. “If you’re not a risk taker, you should get the hell out of business.”
「もしあなたがリスクを取れないなら、ビジネスからさっさと抜けるべきだ」

レイクロックの何がすごかったのか?

レイクロックがここまで成功した秘訣は、ビジネスは仕組みであると理解していたことです。彼はマクドナルド兄弟が創り上げた店を運営する仕組みを買い取り、それをさらに発展させてフランチャイズの仕組みを作り上げます。いまでは一般化したフランチャイズですが、当時、「お店を運営する仕組みごとフランチャイズ化する」のは珍しいことだったのです。それこそ、マクドナルドが世界的に広がった大きな理由なのです。

レイクロックの考え方は、起業家や経営者がビジネスを拡大させるのに重要なヒントになります。

そこで、以下にレイクロックの成功の秘訣を解説していきましょう。

レイクロックの商品は「マクドナルドというビジネス」だった

レイクロックが成功した理由は、彼がハンバーガーではなくマクドナルドというビジネスそのものを商品としたことに他なりません。

彼は、マクドナルドのビジネスを完全にシステム化し、誰でも経営できる状態まで持って行ったのです。つまり、フランチャイズ化です。どこへ行っても同じサービスを提供し、誰もが経営できるよう会社の仕組みを整えたのです。

レイクロックが最初のマクドナルドハンバーガーの店舗を開業したとき、彼はハンバーガー店には出勤せず、ハンバーガーもポテトも自分では作りませんでした。

レイクロックにとっては、最初のマクドナルドハンバーガーの店舗そのものが大量生産品の試作品だったからです。ヘンリー・フォードが最初のT型フォードを大量生産品の試作品として見ていたように、レイクロックは最初のマクドナルドハンバーガーの店舗自体を大量生産品のひとつとして見ていたのです。

レイクロックは、産業革命の原理をビジネスに初めて適用し、自分のビジネスは、ハンバーガーやフライドポテトやミルクシェイクが重要なのではなく、ビジネス自体に本質があると考えていました。店舗の仕組み自体に価値を見出したのです。

レイクロックの顧客は消費者ではなかった

レイクロックは、彼にとっての最も重要な顧客とは、フランチャイズ加盟者であると考えていました。

彼は、世界中に何百万店舗にも広げていく展望を持ち、今はまだハンバーガー店は1店舗だけれど、いつか世界中に出店してやろうと野心を燃やしていました。

しかし、ビジネスを拡大するためには、彼のもとにフランチャイズ加盟者が集まらなければなりません。

このように、レイクロックのビジネスは、他のハンバーガービジネスと競争するのではなく、他のビジネスチャンスと競争していたのです。

この違いは非常に重要で、レイクロックは「ハンバーガービジネス」という業界にいたのではなく、「ビジネスチャンスを提供するビジネスをしていたということです。

だから彼がすべきことは、誰よりも美味しいハンバーガーを作ることではなく、他人よりも優れたビジネスチャンスを作ることだったのです。

そのためには、フランチャイズ加盟者のことを理解し、経営したいと思わせなくてはなりません。

レイクロックはフランチャイズ加盟者に安定と独立を提供した

レイクロックはフランチャイズ加盟者を増やすために、以下の2つを売りにしていました。

安定と独立です。



通常、独立しようと思ったとき、安全が手に入ることは無く、安全を諦める代わりに、独立を手にします。

しかし、レイクロックの作ったフランチャイズシステムでは、独立と安全が同時に手に入るのです。

彼はこう言っていました。「私のフランチャイズに加盟すれば、一定の独立と安全を享受できる。他のビジネスではなく私からビジネスを買うのだから。そして、いったん買えば、成功すると保証できるから」

レイクロックは、仕組みこそが普通の人たちを傑出したパフォーマーに変える手段であるということを理解していました。

しかし、どうやって加盟者に安定と独立を提供していたのでしょうか?その秘訣は、人を育てるための仕組み「ハンバーガー大学」にあります。

レイクロックが作ったハンバーガー大学

レイクロックは、フランチャイズ加盟者のためだけにハンバーガー大学を設立しました。

ハンバーガー大学で学ぶのは、マクドナルドで使う機械の動かし方です。フランチャイジーが大学に通い、機械の動かし方などを学び、卒業します。

しかし、ここで彼は卒業生に対しある警告をします。

「絶対にやり方を変えてはダメですよ。もし変えたら、ビジネスを取り上げますからね」と。

その「やり方」こそが金の卵を生むガチョウだからです。そのやり方で上手くいくんだから、変える必要はないわけです。

フランチャイジーは誓いを立て、ハンバーガー大学を卒業し、その通りにお店を運営し、成功していきました。

やり方を変えたフランチャイジーがいたら、レイクロックはすぐにクビにしました。こうしてレイクロックはマクドナルドを完璧なフランチャイズにして大成功することができたのです。

人依存では成長する会社は作れない、と気づいた

レイクロックにはビジネスの才能がありましたが、それ以上に彼は重要なことに気が付いていました。

それは、才能ある人たちに依存していたら成長し続ける会社は築けないということでした。才能ある人たちに依存したビジネスを築いてしまったら、彼らがいなくなった途端会社は潰れてしまいます。

そこで、レイクロックは、普通のスキル、普通の才能、普通のモチベーションを持った、普通の人を採用し、彼らが活躍できる「仕組み」を会社内に構築することで、持続可能な会社経営が可能になると考えました。

これは「優秀な人材が欲しい」と考える大半の経営者の発想とは正反対です。

マクドナルドの場合、店舗経営をフランチャイズ化したこと、ハンバーガー大学でフランチャイズ加盟者のスキルと知識を均一化したことで、いつでもどこでも同じサービスを受けられる仕組みを構築し、世界一の企業へと拡大することができました。

 

レイクロックは自分がいなくても回る仕組みを作った

レイクロックは、最初から自分が現場に介入しなくてもいいような仕組みを作り上げました。レイクロック自身が忙しくお店で働いていては、一店舗を運営するだけで精いっぱいで、彼が描いた世界展開はとてもできません。

これは重要な原則です。経営者がいつまでも忙しく作業し続けなくてはいけない状況では、経営者は本来フォーカスすべき成長への道筋を描くような創造的な仕事に集中できないのです。

レイクロックは、現場で働くのではなく、普通の人がよりうまく働ける仕組みづくり、そして、フランチャイズ加盟店を増やすことに自分の時間を集中させました。

他の大多数の店舗オーナーが毎日お店に行き、やらないといけないことをやることで一日を終えている間に、レイクロックは着々と世界展開の仕組みを整えていたのです。

 

レイクロックの成功から学べることとは?

以上、レイクロックのストーリーや成功の秘訣を見てきました。

最後に、私たちがレイクロックの成功から学べることをまとめてみましょう。

ビジョンがあった

まず、彼にはマクドナルドを世界的に展開するチェーン店にするという大きなビジョンがありました。ビジョン無くして、どんなビジネスも成功できません。ビジョンと現在地のギャップを埋めることこそ、経営者の仕事だからです。

自分がいなくてもうまく行く仕組みを作った

あなたが毎日しているその業務は果たして本当に重要なことでしょうか?その業務を続けて、ビジョンを実現できますか?レイクロックは自分が現場に介在しなくてもうまく回る仕組みを創り、自分は本当に大切な仕事だけに集中しました。



真の顧客と彼らの欲求を理解していた

レイクロックの本当の顧客はハンバーガーを買ってくれる消費者ではなく、フランチャイズ加盟店でした。彼は加盟店が成功するための仕組みを整えました。誰が本当の顧客で、彼らが真に求めているものは何なのか?それを安定して提供するにはどんな仕組みが必要でしょうか。

 

ビジネスの仕組み化なら仕組み経営へ

以上、レイクロックについてご紹介してきました。

なお、仕組み経営では、レイクロックが創り上げたような仕組みを作るためのご支援をしています。詳しくは以下の体験ウェブセミナーからご覧ください。

 

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