経営者の成功

経営者の成功とは?成功を測る8つの基準と成功する経営者7つの特徴



清水直樹
経営者となったからには成功したい、というのは誰もが考えることでしょう。しかし、いったい経営者としての成功とは何でしょうか。ここでは、経営者の成功を測る8つの基準と、実際に成功し続けている経営者に共通する特徴、そして失敗していく経営者との分かれ目についてお伝えしていきます。

 

そもそも「経営者の成功」とは何か

経営者の成功を、年商や社員数で測る人は多いと思います。しかし、年商100億円の会社をつくった経営者が、働き過ぎで身体を壊し、家族とは何年もまともに話していない状態だとしたらどうでしょうか。会社としては成功していても、経営者としては成功したと言い切れないはずです。

逆に、年商3億円でも、社長が現場に張り付かずに会社が回り、優秀な人材が育ち続け、社長自身は次の挑戦に時間を使えている。こちらのほうが、経営者としてはよほど成功していると私は考えています。

つまり「経営者の成功」とは、会社の数字と、経営者自身の人生の両方が満たされている状態のことです。どちらか一方が欠けている限り、それは成功の途中にすぎません。この記事では、その両方を測るための具体的な基準と、成功する経営者が実際にやっていることを整理していきます。

 

経営の成功率はどう測るのか?

中小企業庁のデータによると、5年以内の起業の失敗率は18.3%となっています。逆に言えば、81.7%は5年以上生き残ることに成功している、という読み方もできます。

ただ、個人的には、一般的に語られるこの手のデータはあまりあてにならないと思っています。理由は二つあります。

5年以上生き残っても、それが「成功」とは限らない

私はこれまでに4社ほどの経営に携わってきました。そのうち、最初に作った会社は10年以上生き残っていましたが、ちょうど10年ほど経った頃には、実質、その会社での活動はしておらず、別会社で別のビジネスをしていました。つまり1社目は、法人としては存続しているものの、ほとんど実態がない状態で何年も経っていたわけです。

こういう会社は世の中に結構あると思います。このような幽霊会社だけでなく、5年以上生き残っていたとしても、社長が細々と生活をやりくりしているだけ、という状態の会社はたくさんあります。したがって、5年、さらには10年以上生き残っていたとしても、それだけで成功とは限らないのです。

5年以内に廃業しても、それが「失敗」とは限らない

いまは会社を作ること自体が非常に簡単になっています。たとえば、自分で創業した会社があったとして、創業3年後にもっといいビジネスアイデアを見つけたとします。そのために新しい会社を作り、最初に作った会社を自主廃業させたとします。

この場合、会社は5年以内に廃業していますが、経営者自身は別会社で新規事業に意欲を燃やしている状態です。果たしてこれが失敗と言えるでしょうか。

というわけで、公的機関が出している経営の成功率・失敗率だけを眺めていても、自分が成功に向かっているかどうかは判断できません。必要なのは、他人が決めた統計ではなく、自分自身の成功の基準を持つことです。

 

経営者の成功を測る8つの基準

そこで、経営者としての成功、失敗を測る基準を8つご紹介していきます。会社の数字だけでなく、経営者本人の人生まで含めた基準になっています。

経営者の成功を測る8つの基準
経営者の成功

成功の基準1.身体的な健康を保つ

経営者にとって、何より身体的な健康が一番大切です。たとえ手持ちのお金をすべて失ったとしても、身体的に健康であれば何度でもやり直しがききます。そういう意味で、身体的に健康であるだけで、すでに大きな財産を得ていることになります。

せっかく経営者としてキャリアを積んだのに、体調を崩してしまっては意味がありません。裕福になったとしても、病床に伏していたとしたら、お金を使う機会もありません。

ちなみにWHOによれば、健康とは、病気でないとか弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることを言います。あなたはいま、その状態でしょうか。

成功の基準2.精神的な健康を保つ

精神的な健康というのは、あまりイメージが付かないかもしれません。しかし経営者にとって精神的な健康は、会社の業績や文化にも直結する重要な要素です。社長の機嫌が悪い会社は、それだけで社員の生産性が落ちます。

経営者にとっての精神的な健康とは、具体的には次のような状態を指します。

  • 自分が本当に情熱を持てるビジネスをしている
  • 顧客の成功が自分の成功だと本気で思える
  • 1日を終えたとき、ストレスではなく、明日へのワクワク感で満たされている
  • 5年後、10年後の会社と自分の人生のビジョンが明確になっている
  • 毎日、そのビジョンに向けて進んでいると実感できる
  • 会社の文化に自分の個人的な価値観が反映されている

ジョン・ウッデンの成功の定義

伝説のバスケットボールコーチといわれるジョン・ウッデン氏は、成功を次のように定義しています。

成功とは、なりうる最高の自分になるためにベストを尽くしたと自覚し、満足することによって得られる心の平和なのである。
– ジョン・ウッデン

外形的な結果ではなく、自分の内側の状態で成功を定義しているのが特徴です。これはまさに、精神的な健康が実現している状態と言えるでしょう。

成功の基準3.家族関係を成功させる

経営者にとって、会社の経営と家族は切っても切れない関係にあります。会社が家族経営ならばなおさら重要性は増しますが、そうでなくても同じです。私の師匠であるマイケル E. ガーバー氏は、会社と家族の関係について次のように語っています。

すべての会社は家族経営である。

この事実を無視すると悲劇が訪れる。

会社が実際に、家族で経営されているかどうかは関係ない。会社と家族が、実際にどのような関係にあろうとも、会社における意思決定は、家族からの影響を受けるものだ。

それを無視することは出来ない。

不幸なことに、大半の経営者は、彼らの仕事を家族とは関係ないものと考えている。


夫は妻に言う。

“お前には関係ない。”と。

しかし、それは真実ではないのだ。

家族と会社は切っても切り離せないものだ。

会社の中で起こることは、家庭の中でも起こる。

  • 仕事で苛立っていれば、自宅でも苛立っている。
  • 会社をコントロールできなければ、家庭もコントロールできない。
  • 会社でお金にトラブルを抱えていれば、家計にもトラブルを抱えている。
  • 会社でコミュニケーションのトラブルを抱えていれば、家庭でもコミュニケーションにトラブルを抱えている。
  • 会社でメンバーを信頼していなければ、家族のことも信頼していない。

これらのことによって、あなたは信じられないほど大きい代償を支払っているのだ。

経営がうまくいっていないとき、その原因を会社の中だけで探しても見つからないことがあります。家庭のほうに歪みが出ていないか、あるいはその逆になっていないかを確認してみる価値はあります。

成功の基準4.経営能力の向上を続ける

営業や開発などと同じく、経営という仕事もひとつの職業です。日本でも増えてきましたが、海外では複数の会社経営に携わり、成果を出す「経営のプロ」がいます。その職業的能力を向上させ続け、誰からも認められる経営者になることも成功の基準と言えます。

ここで注意したいのは、経営能力とは「現場で成果を出す能力」ではないということです。営業が得意な社長が、そのまま優れた経営者になるわけではありません。むしろ現場が得意すぎるがゆえに、いつまでも現場から離れられず、会社を大きくできない社長のほうが多いくらいです。

経営者の資質については、こちらの記事に詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。

成功の基準5.経済的豊かさを手に入れる

当然ながら、お金は重要です。経営者として経済的豊かさを得る方法は、大きく分けると2つあります。

インカムゲイン(役員報酬)

一つ目は、経営している会社から役員報酬をもらう方法、いわゆるインカムゲインです。日本総研のデータによると、東証一部・二部上場企業2,600社における社内取締役の平均報酬は2,660万円でした。上場していない会社の場合は役員報酬が公開されていませんが、これくらいの報酬を得ている社長はゴロゴロいるでしょう。ただし役員報酬には給与と同じく所得税などがかかりますので、実際の手取りはもっと少なくなります。

役員報酬はどう設定するか?

ちなみに役員報酬はどれくらいに設定すればいいのでしょうか。これは社長次第と言えますが、同じく日本総研のデータによると、上場企業2,600社における当期純利益に対する役員報酬総額の割合は7.0%(中央値)でした。つまり純利益が1億円の場合、役員報酬は700万円ほどということになります。

利益を1億円出して700万円というのは少ないような気もしますね。ただ実際のところ、経営者は社宅扱いにしている自宅や、社用車扱いにしている車があったりしますので、生活の質の体感値は役員報酬額よりも高くなりそうです。

キャピタルゲイン(上場や売却)

二つ目は、会社を上場させたり売却したりして、株式売却によるキャピタルゲインを得る方法です。創業社長や株を持っている社長の場合、役員報酬よりもこちらのほうが大きなリターンを見込めることが多いでしょう。

たとえばユニクロの柳井氏の役員報酬は4億円で、上場企業の中では44位とそれほど高いわけではありません。しかし資産は2兆円を超えています。内訳はユニクロ株式の評価額がメインですが、現金でも数千億円を所有していると言われています。これは柳井氏がユニクロを成長させ、上場させたことによるキャピタルゲインです。

インカムゲインとキャピタルゲインのどちらを目指すか

経済的豊かさを実現させたい場合、どちらを優先すべきでしょうか。これも社長の人生計画やビジョンによります。上場や売却は目指さず、着々と経営を行い、役員報酬をもらい続けるというのも一つの手です。一方、当面の役員報酬は低く抑えておき、その分を成長への投資に回して企業価値の向上を目指すのも手です。

ただしキャピタルゲインを狙う場合、「社長がいなくても回る会社」であることが評価額に直結します。社長依存の会社は、買い手から見れば社長が抜けた瞬間に価値が消えるリスク資産だからです。ここは後半で詳しくお伝えします。

成功の基準6.良質な人脈を持つ

経営者にとって、良質な人脈(コミュニティ)はそれ自体が財産です。健康と同じく、すべてのお金を失ったとしても、良質な人脈を築いていれば、再起のために資金提供してくれる人もいるはずです。また、経営の悩みを相談できる相手やアドバイスをくれる師匠がいれば、それも大きな財産と言えます。

私がメンターとして学びを得ているロビン・シャーマ氏は、そのような良質な人脈を「サークル・オブ・ジーニアス(天才の輪)」と呼んでいます。

地域や趣味のコミュニティも重要です。社長も仕事を引退したらただの人です。経営を退いたとたんに急に老け込んでしまった、という人が多いようです。これは会社以外に自分の生きがいや人脈がなかったことが原因だと言われています。そうならないよう、仕事以外のコミュニティも大切なのです。

成功の基準7.挑戦の機会を持つ

経営者は本来、挑戦好きです。そうでなければ日々の経営など到底できません。ですから、日々何かに挑戦しているという感覚が大切です。それが身体的にも精神的にも活力を生み出しますし、ひいては会社の文化にも影響してきます。

一方、長年経営をしていると、その状態に慣れ切ってしまい、挑戦を忘れてしまうことがあります。新しいことに挑戦するよりも、いまある売上、いまある組織、いまある顧客を守ることで精いっぱいになってしまうこともあるでしょう。これは挑戦好きの社長にとって不幸な状態ですし、会社自体が挑戦を忘れてしまえば、停滞の始まりです。

会社においては、新規事業の機会を探す、新しいエリアや顧客層を開拓する、新しい商品・サービス・技術を模索する、といったことが挑戦にあたります。人生においては、身体を鍛える、スポーツに取り組む、新しい趣味を始める、行ったことのない場所に行く、といったことです。どちらか一方だけでは、活力は続きません。

成功の基準8.レガシー(遺産)を残す

ここでいう遺産とは、お金のことではありません。あなたがこの世に生きた意味を残す、ということです。これは人間にとって、最も崇高な目的とも言えます。


言い換えれば、あなたが生きたことでこの世にどのような違いが生まれたのか。あなたが死ぬときに、地球上での任務を完了したかどうかをどのようにして判定できるのか、ということです。

金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流、人を残し続ける組織を残すのは超一流

よく言われる言葉に「金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流」というのがあります。これを経営者の立場で言い換えてみると、お金を残すというのは個人的な資産を家族に残すこと、会社としての資産を後継者に残すことです。仕事を残すというのは、自分が開発した事業、商品やサービスを残すこと。人を残すというのは、会社にリーダーや後継者を育てることと言えます。

私はこれに加えて、さらに超一流の基準を提案したいと思います。それが「人を残し続ける組織を残す」ということです。これは経営者だけができる特権です。

松下村塾がいまもあったら?

松下村塾

人を残すというのは確かに尊いことだと思います。しかし、その残した人も結局はいずれ死んでしまいます。それよりも、傑出した人材を輩出し続ける組織を創ることによって、永続的に世の中に違いをもたらすことができます。

たとえば吉田松陰は、松下村塾において優れた人材を輩出したことで有名です。これは人を残した、と言えます。しかし一方、もし吉田松陰が松下村塾を現在に至るまで残るような教育機関にしていたならば、同塾からはいまだに傑出した人材が生まれ続けているはずです。松陰先生にはその志があったはずですが、当時の環境や時間がそうさせなかったのでしょう。

経営者にとって、人材を輩出し続ける組織こそが遺産と言えるのではないでしょうか。

優れたリーダーと超一流のリーダーの違い

優れたリーダーは現役時代に実績を出しますが、超一流のリーダーは、自分がいなくなった後に実績を出し続ける組織を残します。その典型例がスティーブ・ジョブズです。彼は現役時代に卓越した実績を残しましたが、それよりすごい功績は、アップルという卓越した会社を創り上げたことです。彼にとっての商品とはiPhoneやiMacなどではなく、アップルという会社そのものだったのです。これは本田宗一郎や松下幸之助にも同じことが言えます。

 

成功する経営者に共通する7つの特徴

ここまでは「何をもって成功とするか」という基準の話でした。ここからは、実際に成功し続けている経営者に共通する特徴を見ていきます。私自身が国内外の経営者と関わってきた中で、規模や業種を問わず共通していると感じるものを7つ挙げます。

特徴1.「働く」対象が現場ではなく会社そのもの

最も大きな違いがここです。うまくいかない経営者は、会社の中で働いています(Work IN the business)。営業に出て、クレームを処理し、見積もりをチェックする。一方、成功する経営者は、会社そのものを対象に働いています(Work ON the business)。

つまり、商品をつくるのではなく、商品をつくり続ける仕組みをつくる。営業するのではなく、営業が回る仕組みをつくる。この視点の違いが、5年後10年後に決定的な差になります。

特徴2.自分が抜けたときの会社を想像している

成功する経営者は、常に「自分がいなくなったらこの会社はどうなるか」を考えています。これは後ろ向きな話ではなく、事業価値の測定そのものです。社長が3ヶ月現場を離れても業績が落ちない会社は、それだけで高い価値を持ちます。

逆に、社長が1週間休むと数字が崩れる会社は、どれだけ利益が出ていても、経営者個人の労働に依存した「自営業の拡大版」でしかありません。

特徴3.判断基準を言語化している

成功する経営者は、自分の頭の中にある判断基準を、社員が使える言葉に翻訳しています。「なんとなくこの案件は受けない」ではなく、「この3条件に当てはまる案件は受けない」と定義する。この作業をしている社長の会社では、社員が自分で判断できるようになり、社長への確認が減っていきます。

特徴4.人を責める前に仕組みを疑う

何か問題が起きたとき、うまくいかない経営者は「誰がやったのか」を探します。成功する経営者は「なぜこの仕組みだとそれが起きるのか」を探します。同じミスが違う人によって繰り返されているなら、それは人の問題ではなく、仕組みの問題です。

この視点を持てるかどうかで、組織の空気がまったく変わります。犯人探しをする会社では、社員はミスを隠すようになります。

特徴5.時間の使い方を先に設計している

成功する経営者は、スケジュールが「入ってきたもの」で埋まっていません。会社の未来を考える時間を先にブロックし、残った時間に日常業務を入れています。多くの社長はこれが逆になっており、日常業務で埋まったスケジュールの隙間に、未来のことを考えようとして、結局考えられずに1年が終わります。

特徴6.学びを人から取りにいく

本を読むだけでなく、実際に成果を出している人に会いに行き、直接聞く。しかも、自分より年下や立場が下の相手からでも学ぶ。この謙虚さと行動量は、成功している経営者にほぼ例外なく見られます。

特徴7.数字を「結果」ではなく「言語」として使う

決算書を見て一喜一憂するのではなく、数字を使って社内で会話をしています。粗利率が下がった理由を、感覚ではなく数字で説明できる。この状態になっている会社は、打ち手の精度が明らかに高くなります。

 

失敗する経営者に共通する3つのパターン

一方で、うまくいかなくなる経営者にも共通のパターンがあります。ここは自分自身への戒めも込めて、正直に書いておきます。

パターン1.有能すぎて、現場を手放せない

これが最も多いパターンです。社長自身が有能なので、社員に任せるより自分がやったほうが速いし品質も高い。だから任せない。結果、社長の1日は現場作業で埋まり、会社は社長のキャパシティ以上には決して大きくなりません。

短期的には正しい判断に見えるのが厄介なところです。半年、1年というスパンで見ると、この判断が会社の成長を止めています。

パターン2.採用で解決しようとする

忙しくなったから人を採る。しかし受け入れる仕組みがないため、教育はマネージャー任せになり、教える人によって品質がばらつきます。戦力化しないまま離職し、また採用する。この繰り返しで、管理負荷だけが増えていきます。

人を増やす前に必要なのは、その人が成果を出せる型を用意しておくことです。順番が逆になっている会社は非常に多いと感じます。

パターン3.成功の基準が他人のものになっている

同業他社の売上、上場した同年代、SNSで目立っている経営者。他人の基準で自分を測り続けると、どれだけ成果を出しても満たされません。前半でお伝えした8つの基準は、まさにここから自由になるためのものです。


 

経営者が成功するために、明日から変えられる3つのこと

特徴を知っただけでは何も変わりません。実際に着手するとしたら、次の3つが取り組みやすい順番だと考えています。

1.自分の時間の使い方を1週間記録する

まず現状把握です。1週間、自分が何にどれだけ時間を使ったかを記録し、それを「現場の仕事」と「会社をつくる仕事」に仕分けしてみてください。多くの社長は、後者が全体の1割にも満たないことに気づきます。

2.いちばん頻度の高い判断を1つ、言語化する

毎日のように社員から確認が来る判断を1つ選び、その基準を書き出します。「見積もりの値引き上限」でも「クレーム対応の初動」でも構いません。1つ言語化するだけで、社長への確認が目に見えて減ります。この体験が、次の言語化への動機になります。

3.3ヶ月後に「自分が2週間抜けても回る領域」を1つ決める

すべてを手放す必要はありません。まず1領域だけ、自分が完全に抜けても回る状態をつくる。この成功体験があると、他の領域にも展開できるようになります。

 

経営者の成功は「個人の馬力」ではなく「仕組み」で決まる

ここまで見てきた成功する経営者の特徴を、ひとことにまとめると「自分の能力ではなく、会社の仕組みで成果を出している」ということになります。

私たちが定義する「仕組み化」とは、業務をマニュアル化することでも、便利なツールを入れて効率化することでもありません。自社独自の、再現性のある仕事のやり方を構築することです。理念や価値観までを含めて仕組みに落とし込み、誰がやっても一定の成果が出る状態をつくる。ここまでやって初めて、社長は現場から離れられます。

そして、この状態こそが、前半でお伝えした8つの基準のほとんどを同時に満たします。現場から離れられれば身体的な健康を取り戻せますし、時間ができれば家族との関係も、新しい挑戦の機会も戻ってきます。会社の価値が上がるのでキャピタルゲインの選択肢も増えます。人を輩出し続ける組織を残すというレガシーにも、まっすぐつながっています。

経営者の成功は、社長個人がもっと頑張ることの先にはありません。社長が頑張らなくても成果が出る会社をつくることの先にあります。


 

経営者の成功に関するよくある質問

Q. 経営者として成功する人の割合はどれくらいですか?

公的なデータでは、5年以内の廃業率などから逆算した数字が語られます。ただし記事の冒頭でお伝えしたとおり、生き残っている=成功しているとは限りませんし、廃業した=失敗とも限りません。統計上の生存率よりも、自分が定めた基準をどれだけ満たしているかで判断することをおすすめします。

Q. 経営者に向いている人の性格はありますか?

性格そのものよりも、役割の切り替えができるかどうかが大きいと考えています。マイケル E. ガーバー氏は、事業を営む人の中には「職人」「マネージャー」「起業家」という3つの人格があると言っています。多くの創業者は職人として起業しますが、会社を大きくする段階では起業家とマネージャーの人格を使う必要があります。この切り替えができる人が、結果的に経営者として成功しています。

Q. 成功している経営者は何時に起きて何をしていますか?

起床時間そのものに意味はありません。重要なのは、誰にも邪魔されない時間帯を確保し、そこで会社の未来について考えているという点です。それが早朝の人もいれば、夜の人もいます。時間帯ではなく、その時間を先にスケジュールに確保しているかどうかが違いです。

Q. 中小企業の経営者でも大企業と同じ成功の基準で考えていいのですか?

規模を追う必要はありません。むしろ中小企業の場合、社長が現場から離れられるかどうかが、そのまま人生の質に直結します。売上規模よりも、社長依存からどれだけ脱却できているかを主要な指標にしたほうが、実感としての成功に近づきやすいはずです。

Q. 何から手をつければいいかわかりません

記事の中でお伝えした「時間の記録」から始めるのが最も現実的です。現場の仕事に何割の時間を使っているかを把握すると、次に何を手放すべきかが自然と見えてきます。

 

経営者として、自分なりの成功の基準を持つ

経営者としての成功の基準を8つ、そして成功する経営者に共通する特徴と、そこから外れていくパターンをお伝えしました。

冒頭に戻りますが、経営者の成功とは、会社の数字と経営者自身の人生の両方が満たされている状態のことです。そのどちらも、社長個人の頑張りの量では決まりません。会社にどれだけ仕組みが備わっているかで決まります。

紹介した8つの基準はあくまで私が考える成功です。ぜひ、あなたなりの成功の基準を考え、それを追求してみてください。そして、その基準を満たすために自分の時間をどう使うべきかを、一度立ち止まって設計し直してみることをおすすめします。


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