今回は、Googleのビジネスモデルと経営戦略を完全解説します。
検索エンジンから始まり、今やクラウドやハードウェアまで取り扱う世界最大のTechカンパニーGoogle。
そんなGoogleの収益モデルやサービスごとのビジネスモデルを徹底的に見ていきましょう。
Googleのビジネスモデルの概要と特徴
“How Does Google Make Money? It’s Not Just Advertising!”, FourWeekMBA
GoogleのビジネスモデルはGoogle AdsやYouTubeの広告をメインの収益源とし、収益のうち83%が広告事業で成り立っています。
しかし、広告以外の部分においてはGoogleのビジネスモデルはかなり多様化していることが特徴です。
広告ほどの利益はないにしても、クラウド・ハードウェア・Playstore・YouTubeプレミアムコンテンツでもかなりの収益を計上し、2019年のGoogleのトータルの収益は、1610億ドルを計上しました。
Google広告のビジネスモデル
Google Adsのビジネスモデルでは、人々に適切なタイミング・場所において有用な情報を提供する関連広告を提供しています。
大量のユーザーデータの分析から、最適な広告を表示することで莫大な収益を生み出しています。
また、Googleは広告主に広告キャンペーンの効果を測定し、最適化するツールを提供しています。
Googleの広告ビジネスモデルには2種類の広告があります。
パフォーマンス広告とブランド広告です。
パフォーマンス広告
パフォーマンス広告とは、Googleで作成・配信した関連広告をユーザーがクリックすると広告主に費用が発生する仕組みです。
Google Adwordsは主にアクションベースの広告プログラムで、シンプルなテキスト広告をGoogleのサイト上と、Googleネットワークメンバーズのサイト上に表示させます。
Googleネットワークメンバー図はAdSenseプログラムを使って、関連広告を自分のサイト上に表示させ、サイトの訪問者が広告をクリックすると収益が発生します。
ブランド広告
Googleはテキスト・ビデオ・写真といった広告を通じて、広告主が自社商品やサービスのユーザー認知度・好感度を高めるサポートをします。
Googleはユーザーと広告主にとって”最高の広告体験”を作り出すことにフォーカスしています。そのため、Googleはユーザーにとって悪い広告や怪しいトラフィックをフィルタリングし、取り除き、必要であればブラックリストに掲載をしています。
このような取り組みはGoogleの成功の秘訣ともいえるでしょう。
というのも、Googleが検索エンジン業界で首位を獲得しているのは、自然検索のクオリティの高さだからです。もちろんAdWordsには広告主に対してキーワードへの課金によってアドバンテージを与える制度がありますが、それでもなお、クリック数が多いページの方が上位表示されることが原則となっています。
つまり、ユーザーが本当に見たいコンテンツを必ず1番上に持ってくるように出来ているのです。
Googleは広告のネットワークパフォーマンスをどうやって評価しているか
広告事業の業績を評価する際、Googleは2つの指標を用います。
- ペイドクリック数
- AdwordsとAdsenseにおけるクリックperコスト
ペイドクリックについて
ペイドクリックとは、Google上の広告をユーザーがクリックした回数のことを指します。
クリックという行為が1つ行われる毎に広告主に費用が発生し、Googleに売上が発生するビジネスモデルであるため、クリック数の増加=売上増となるわけです。
ペイドクリックには大きく3つのカテゴリーがあります。
⑴Google.comのペイドクリック:
Googleの検索エンジン上の広告をユーザーがクリックすると売上が発生する仕組み。
⑵その他のGoogleのサービスのペイドクリック:
Gmail, Google maps, Google Play等に表示される広告のクリック
⑶Googleネットワークメンバーズのサイト上のペイドクリック:
AdMob, AdsenseなどのGoogleのプログラムに登録しているサイト上の広告
クリックperコストについて
クリックperコストとは、クリックによって発生した収益をクリック数の合計で割ったもので、1クリックに対して広告主が支払う平均価格のことです。
クリック単価が上がれば、Googleの収益も上がるわけです。
Googleの広告事業の成長要因
2017年のGoogleのレポートによると、Google Adsの収益向上の要因は以下が考えられるそうです。
- キーワードに対する広告主の競争
- 広告のクオリティの向上
- デバイスの変化
- 為替の影響
- 広告主が喜んで支払うコストの変化
- YouTube広告収入の向上
- トラフィックの増加
Google Playのビジネスモデル
Google Playのビジネスモデルは、アプリ課金とアプリ内課金、そしてストア内のコンテンツで収益を生み出します。
Google PlayとはGoogle公式のアプリストアで、Androidのオペレーションシステムを活用しています。
Androidソフトウェアの開発キットで生成されたアプリがGoogleを通じて販売されています。
Google Playにおいては、開発者がアプリの利益の85%を、Googleが15%を利益として獲得する仕組みになっています。
Google Cloudのビジネスモデル
Googleは企業向けのクラウドサービスであるGoogle Cloud Platform(GCP)とG suite(Google Work Spaceにリニューアル)を提供しています。
GCPは、デベロッパー向けのPaaS・IaaSで、アプリケーションを開発する基盤を提供しています。
G Suiteは企業の生産性を向上させるSaaSで、企業向けGmail、Document、Drive、Hangoutなど、リアルタイムのコラボレーションとコミュニケーションを円滑にする働き方改革ツールです。
両者ともサブスクリプション型で月額料金を支払って利用します。
Googleハードウェアのビジネスモデル
Googleは、2015年3月にGoogleストアというオンラインのハードウェア店をオープンし、デバイスを販売しています。
スマホのPixelやChromebookなど、Googleクラウドと親和性の高く、高性能なハードウェアを提供しています。
Googleの経営理念
次々にイノベーションを生み出すGoogleの経営理念とは一体どのようなものなのでしょうか。
Googleは経営理念という形式張ったものではなく、彼らが信じる10の事実を掲げています。バリューのようなものですね。
- ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
- 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
- 遅いより速いほうがいい。
- ウェブ上の民主主義は機能する。
- 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
- 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
- 世の中にはまだまだ情報があふれている。
- 情報のニーズはすべての国境を越える。
- スーツがなくても真剣に仕事はできる。
- 「すばらしい」では足りない。
Googleの今後の経営戦略
Googleの今後の経営戦略を見ていく上で、着目すべきはGoogleの決算上の”Other bets”、”その他”です。
その他の中身は詳しく公開されていませんが、Googleの収益の1%を占めており、Googleがチャレンジしている新規事業への投資を指します。
新規事業への投資の中には、自動運転ビジネスやライフサイエンスビジネス、TVサービスなどが含まれ、中には既に8億ドルの資金調達に成功しているものもあります。
これらは、現段階では運用試験中ですが、今後Googleの収益柱となる可能性をしめています。
Googleのビジネスモデルまとめ
Googleのビジネスモデルをざっくりとまとめると、
- Googleは圧倒的収益基盤である広告事業
- クラウド・Google Play store・ハードウェアの安定した収益
- 新規事業への投資
上記3つで成り立っています。
収益の86%が広告事業で支えられ、かつ世界1の検索エンジンというプラットフォームを持つGoogleは非常に安定した収益基盤を持っています。
さらに、最近はYouTubeの広告の急成長し、今後の新たな収益基盤の1つとなるでしょう。
その他にも、クラウドプラットフォームやPlay Storeもプラットフォーム型のビジネスであり、安定的に売上を計上できる仕組みを持っています。
これらの収益基盤を元に新たな基幹作りに投資をする。これがGoogleのビジネスモデルの全体像です。
仕組み化したビジネスは、新たなチャンスを生み出す要となるということですね。