セミリタイアという概念をご存知でしょうか?
近年ライフスタイルの多様化と共にリタイアのあり方も様々なものが登場してきました。
セミリタイアもその一つ。
今回は「仕事から距離を起きつつも金銭的に余裕のある生活を送りたい」そんな経営者の願いを叶えるセミリタイアについて、セミリタイアとは何か、また減収なしで実現する方法を8ステップで紹介していきたいと思います。
1. セミリタイアとは?アーリーリタイアとの違い
まず、セミリタイアとは何かを定義してみましょう。
セミリタイアとは、完全に会社を退職して無職状態になるのではなく、働く時間を大幅に減らして余暇を増やすことです。
最近話題のアーリーリタイアとの違いは、早期リタイアは定年前に会社を完全に退職するのに対し、セミリタイアは会社に席を置きつつも勤務時間や出社日数を半分以下に減らすところです。
※アーリーリタイアについてはこちらの記事をご参照ください。
セミリタイアにもやり方や形態は様々ですが、単純に働く時間を減らして収入も減るが、自由な時間が増えるというのが一般的です。
しかし経営者ならば働く時間を減らして自由な時間を増やしながら、前と同じ収入を得るというやり方も可能です。
2. セミリタイアの実現方法、8ステップ
さて、経営者がセミリタイアするための具体的なステップを紹介していきたいと思います。
この方法はアメリカのコンサルティング会社Maxumのサービス「Halfretire.com」により提唱されています。
セミリタイアへのステップ1:”ピカソワーク”を見つける
考えてみてください。週にどのくらいの業務をご自身でなさっていますか?毎週沢山の業務に追われてゆっくり休む暇がない、なんて社長は結構いらっしゃると思います。
しかし、実は全ての業務に会社のトップの力が必要とされる訳ではないのです。業務の多くは、社長でなくてもできる仕事ばかりなのです。
逆に社長でなくては出来ない仕事を”ピカソワーク”と呼びます。
ピカソの絵を手直ししたり、売ったりすることはピカソ以外でも出来るように、社長以外でも出来る仕事が多くあるはずです。
ただピカソの一筆がどうしても必要な作業、それが社長がやるべき仕事なのです。そんなピカソワークをまずは精査してみましょう。
ピカソワークの例としては、以下が挙げられます。
・顧客との関係構築、継続
・イノベーション、経営戦略
・「会社の顔」としての仕事
参照:「HALF-RETIREMENT BLUEPRINT」、https://halfretire.com/
セミリタイアへのステップ2:価値の低い仕事を仕組み化
ピカソワークを見つけたら、次は業務を社長から社員に委任する段階に移ります。
このステップで大切なのは業務権限を100%委任するのではく、98%委任することです。
100%社員に任せるのは中々難しい決断となりますし、社員にそのスキルがあるかどうかも疑問ですよね。
そこで98%の業務だけマニュアル化して社員に任せ、残りの2%であるピカソワークを社長自身で担当してみください。
以下のチャートが業務委任の5つのフェーズです。
それぞれのフェーズごとに業務を仕分けし、マニュアルを作って担当できる社員を割り振ってみましょう。
セミリタイアへのステップ3:社長中心企業から社員中心企業へ
経営者の多くは問題が起きた際、すぐに自分の力で解決しようとします。
この傾向は社長が経営の中心になっている場合は良いのですが、セミリタイアにはマイナスの作用となるのです。
というのも、社長が現場にいない時に問題が発生した場合、対応できる/しようとする社員がいないので迅速な対応を取れないからです。
この課題を解決するには、問題発生時に社長ではなく社員自らが率先して解決に動く文化と対応マニュアルを作る他ありません。
社長発信ではなく、社員発信型の企業となるよう徹底的な仕組み作りを行いましょう。
セミリタイアへのステップ4:厳格な企業文化の形成
会社の顔として社員のお手本になることは社長の大切な仕事の一つですよね。
しかし、社長が現場にいないと社員が手本にする基準を見失ってしまうようではいつまで経ってもセミリタイア出来ません。
そこで、社長がいなくても社員一人一人から伝達されるよう会社の理念や価値観を明確に、強く形成する必要があります。
顧客に提供する最低レベルのサービス品質や、社員の仕事に対する姿勢などは社長が普段無意識に社員に指導している基準を、しっかりと文書化して社員全員に浸透させましょう。
例えば、スターバックスではマニュアルがないと言われていますが、どこの店舗に入ってもスタッフのサービスレベルは同じように質が高いですね。
これはスタバの企業文化を従業員一人一人に浸透させる仕組み作りの賜物です。
このように社長が会社にいなくても企業文化が継承されるよう、時間とコストをかけてマニュアルと仕組みを作っていきましょう!
企業文化の仕組み化についてはこちらの記事もご参照ください「企業文化と仕組み化」。
セミリタイアへのステップ5:右腕を選ぶ
社長がセミリタイアする際、社長と同等のスキルを持った社員、いわゆる”右腕”がいると安心してリタイア出来ますよね。
しかし、この右腕選びは実はかなり重要なのです。
間違った人材を選ぶと経営を危険に晒す羽目になりかねません。
次の5ステップを正しい右腕探しの参考にしてください。
①会社経営に関する全ての業務や意思決定の領域を書き出す
②誰がこの領域全てを担当できるか考える
③候補を最高4人まで挙げる(候補は少ない方がベターです)
④先ほど書き出した領域に、重大な責任を伴う領域を加える。この領域を”究極の意思決定者”と呼びます。
この領域では、良くない企画を拒否したり、契約を破棄するといった経営の重要な意思決定を含みます。
⑤右腕の人望を確かめる。他の社員が右腕の役割を理解して、喜んで彼に付いてきてくれるかどうかを確かめてください。
以上のステップを行った上で、候補者の中から最適な人材を選びましょう!
ただ一つ注意していただきたいのが、右腕を信頼して、マニュアルのない状態で全てを任せてしまうのは大変危険です。
というのも、どれだけ優秀な社員でも一人の人間のキャパシティには限界があります。限界を超えたタスクを与えられると必ずボロが出てくるのです。
なので、どれだけ慎重に右腕を選んだとしても社長の仕事がシステムとなって社内で回っていくことを常に重視してください。
セミリタイアへのステップ6:仕組みを強化
これまで散々仕組み化の重要性について語ってきましたが、このステップでは仕組みを見直し、強化します。
多くの企業では社長自身が仕組みの根幹となっている場合が多いです。
しかしこのケースでは、社長がいなくなるとビジネス自体が壊れてしまいます。
また、社長の代わりにいくら優秀な社員を雇っても依然人に依存していることには変わりありません。
もし営業成績がずば抜けて良い社員が辞めてしまったら、会社にとって大きな痛手となりますよね。
なので、”社員の能力ではなく仕組みの能力を高める”という視点から会社を見直してみてください。
このステップには2つの始め方があります。
①会社の業績/成長にとって最もインパクトのあるシステムから取り組む
例えば、社長が営業活動の要で社長なしでは契約が取れない状態ならば、その営業方法の仕組み/マニュアル作りから始める、といったやり方です。
②小さな業務の仕組み作りから始めて弾みをつけていく
例えば、割引プランや返金制度のマニュアル化など。
②の方が簡単に始められますが、どちらのやり方にせよ、大切なのはあらゆる領域を仕組み化して、とことん強化することです。
仕組み化の関連記事:
セミリタイアへのステップ7:厳しい財務管理
あなたが社長なら少し考えてみてください。経理担当を盲目的に信頼して全てを任せていませんか?
社員を信頼するのは素晴らしいことですが、同時にシステムとしてはよろしくありません。
あなたのビジネス、そしてリタイア生活は会社の財務にかかっているんです。
そこで、会社の財務状況、お金の動きを社長自身で確認・管理するポイントをお教えします。
・領収書やクレジットカード明細、その他レシートは毎回必ずチェックする
・銀行関連の郵便物は社長に直接届くようにする
・収入に関する会計簿をよくよく吟味する。帳簿上で売上が増えていても自身の収入が増得ていない場合、固定資産や負債が原因かもしれません。回収可能な売掛金や支払い可能な買掛金等を手早く処理することで、自身の収入増加や詐欺防止につながります。
・経理係を信頼しすぎないこと
以上を少しずつでも習慣づけていきましょう!
セミリタイアへのステップ8:セミ/ハーフリタイアを楽しもう!
さて、ここまでセミリタイアへのステップを説明してきましたが、セミ/ハーフリタイアとは簡単なものではありません。
これまで会社を経営してきた社長は、その習慣が身に染み付いてビジネスから距離を置くこと自体に躊躇いを感じるかもしれません。
しかし、人生を楽しむためのセミリタイアへの最も近道は、実際にやってみることです。
まずは2週間だけ働く時間を半分にしてみてください。
その間に色々と問題が生じるでしょうが、それを一つ一つメモして直していけばいいのです。
そこで生じた問題が、会社の仕組みの足りない部分です。
いいことも悪いこともしっかり記録をとって、仕組みに組み込んでいく。このプロセスが会社にも社長にとってもすごく大切になります。
少しずつ現場から退いていき、セミリタイア生活を是非謳歌してください!
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