NO IMAGE

革新性とは?意味と言い換え、独自性との違いと高める方法



革新性とは、これまでになかった新しさを生み出す性質のことです。ただし仕組み経営では、もう少し実務に近い意味でこの言葉を使っています。普通のビジネスを、他社とは違うやり方で行うことです。

新しい技術を持つことや、斬新な商品を思いつくことだけが革新性ではありません。ありふれた商品を扱いながら、その届け方が他社と違う会社のほうが、実際には長く成長し続けています。

この記事では、革新性という言葉の意味と読み方、言い換え、独自性や差別化との違いを整理します。そのうえで革新性がどこから生まれるのか、自社の革新性をどう見つけて高めていくのかを事例とともに解説します。対象読者は中小・成長企業経営陣の方です。

 

革新性とは?意味と読み方

革新性は「かくしんせい」と読みます。「革新」は古くなったものを新しく改めることを指す言葉です。そこに「性」が付くことで、新しく改める力がどれくらいあるかという性質を表します。

一般的には、革新性というと最新のテクノロジーを使うとか、画期的なビジネスモデルを開発することを想像されると思います。しかし、仕組み経営で提唱している革新性とはそういう意味ではありません。

革新性とは普通のビジネスを他社とは違う方法で行うこと

これが定義です。

なぜこう定義しているのかというと、前者の意味で革新性をとらえた瞬間に、多くの会社にとって手の届かない話になってしまうからです。画期的な技術を生み出せる会社はごく一部です。一方、自社のやり方を他社と違う形に組み立て直すことは、どんな業種のどんな規模の会社でもできます。

「革新的」「革新する」の意味と使い方

「革新的」は、これまでのやり方を大きく変えるさまを表す形容の言葉です。「革新する」は、古いやり方を新しく改めるという動作を指します。簡単に言えば、これまで当たり前だったやり方を、当たり前でない形に変えることです。

例文を挙げます。

  • 自社の強みは、商品そのものではなく納品の仕組みの革新性にある
  • あの会社の受注から出荷までの流れは革新的
  • 創業以来のやり方を革新することで、少人数でも回る体制になった
  • 技術の革新性は高いのに、届け方が従来のままになっている

使い方を見ていくと分かることがあります。革新的と言われるとき、変わっているのは商品そのものではなく、その商品を届けるやり方であることが多いのです。

革新性の言い換え・類語

革新性は、場面によって次のような言葉に置き換えられます。指している範囲が少しずつ違うので、並べて整理します。

  • 独創性・オリジナリティ……他にはない発想であること。誰の頭から出たかに重きがある
  • 創造性……新しいものを生み出す力そのもの。人や組織の能力を指すことが多い
  • 新規性……これまで存在しなかったという事実。特許や研究の場面で使われる
  • 先進性……他社より先を行っていること。時間の前後に重きがある
  • イノベーション……革新をそのまま外来語にしたもの。会社では新事業や技術開発の文脈で使われやすい

社内で使うなら、「うちならではのやり方」と言い換えるのがもっとも伝わります。革新性という言葉は、聞いた社員が「何か新しいことを考えろと言われている」と受け取りがちです。そうなると発想力のある一部の人の仕事になってしまいます。自社のやり方をどう組み立てるかという話であれば、全員が自分の担当業務で考えられます。

なお「改革」「変革」は革新と近い言葉ですが、指しているものが違います。革新が「新しくすること」に重きを置くのに対して、改革は「悪いところを直すこと」に重きがあります。この使い分けは意識改革とは?言い換えと例文、成功事例4社と進め方で詳しく整理しています。

革新性と独自性・差別化の違い

革新性は、独自性や差別化と混同されやすい言葉です。3つは近い場所にありますが、見ている向きが違います。

  • 独自性……自社に固有の性質そのもの。視点が自社の内側にある
  • 差別化……競合と比べて違いをつくること。視点が外側にある
  • 革新性……これまでになかった新しさ。視点が時間の前後にある

順番があります。まず自社の独自性を見つけ、それを競合との違いとして伝わる形にするのが差別化です。そのやり方が業界の常識から離れているとき、革新性があると言われます。

逆から言えば、革新性だけを先に求めても行き詰まります。新しいことをやろうとして、自社が得意でもない領域に手を出す形になるからです。それぞれの詳細は独自性とは?ビジネスでの意味と自社の独自性の見つけ方差別化戦略とは?差別化を図る15の方法と中小企業の事例で解説しています。

革新性を持ったビジネスの例

多くの人は、たくさん売る(成功する)ためには斬新な商品や画期的なテクノロジーを使わないといけないと思っています。

しかし、皆さんご存知の右のような有名な企業は何を売っているのでしょうか?

マクドナルド、スターバックス、ユニクロ、ニトリのロゴ

マクドナルド、スターバックス、ユニクロ、ニトリ、、、彼らは世界中に店舗を展開している非常に成功しているビジネスと言えます。

しかし考えてみてください。彼らが実際に売っているものは何でしょうか?

  • マクドナルド・・・ハンバーガー
  • スターバックス・・・コーヒー
  • ユニクロ・・・服
  • ニトリ・・・家具

です。そうなのです。彼らは何か画期的な商品やサービスを売っているわけではないのです。彼らが売っているのは、言ってしまえば、「ありふれた商品=コモディティ商品」です。

実は永続している会社ほど、ありふれた商品を売っています。それらの商品は少なくとも10年経っても需要が絶えることがありません。

ただし、他とは違うやり方で売っているのです。


マクドナルドは一店舗目から革新性を持っていた。

例えばマクドナルドを見てみましょう。彼らは創業当初からハンバーガーというありふれた商品を売っていました。

映画「ファウンダー」に描かれたマクドナルド創業の場面

しかし、先ほど出てきた通り、一店舗しかなかった頃から既に、”店が汚くて、味も量も出てくるスピードもバラバラ“という従来のハンバーガー屋の常識を覆し、”いつも期待通りのスピードで“ハンバーガーを提供し、繁盛店になりました。

「ファウンダー」というマクドナルドの創業物語を描いた映画があります。この映画を見ていただくとわかりますが、当時、ミルクシェイク製造機の営業マンとしてマクドナルドを訪れたレイクロック氏は、その店舗を見て革新性に驚きました。そして、マクドナルド兄弟からフランチャイズ権を買い取り、マクドナルドの全米展開をスタートさせたのです。その後の広がりはあなたの知る通りです。

つまり、マクドナルドは、ハンバーガーというごく一般的な商品を他のハンバーガーショップとは全く異なる売り方で売っていたのです。

ここで注目したいのは、その違いが厨房の動線や調理の手順という、外からは見えない部分にあったことです。看板でもメニューでもありません。完成したハンバーガーを見ても、なぜ速いのかは分かりません。革新性が真似されにくい形で宿るのは、たいていこういう場所です。

先ほど例に挙げたスターバックスやユニクロ、ニトリなども同じです。世の中で成功している会社が売っている商品というのは、実はそのほとんどは、その他大勢の会社が売っている商品と大差ありません。むしろ、中小企業が職人技で作っている商品のほうが品質が良いかも知れません。

しかし、世界に広がるような成功する会社になるかどうかは、商品よりも売り方が問題なのです。

松下幸之助氏は革新性の意味に気が付いていた

現パナソニックを創った松下幸之助氏は、いま言った革新性の重要性に気が付いていました。

曰く、

商品はどこから仕入れることも出来れば、他社に簡単にまねされてしまうこともある。しかし、販売網は簡単には手に入らない

とのことです。

松下幸之助氏は、売り方の革新性こそが大事であると早くから気が付いていたのです。それが他の家電メーカーを押しのけて同社が成長した秘訣です。松下幸之助氏は実際、他メーカーが直販しているのに対して、ナショナル系列の電器店ネットワークを全国に作ることに尽力しました。松下幸之助氏の言葉から経営の考え方を読み解く記事は松下幸之助の名言から経営理念を確立するにまとめています。

日本の中小企業には、優れた技術を持っている会社がたくさんあります。それなのに技術が広がっていかないことがあるのは、経営者が売り方を知らないからではありません。技術を磨く工程は業務のなかに組み込まれているのに、届け方を設計し直す工程がどこにも置かれていないからです。誰の担当でもない仕事は、忙しい会社では永久に始まりません。

革新性はどこから生まれるか?

では、その革新性はどこから生まれるのでしょうか?

それは、あなたの事業の背景にある思想は何なのか?を考えることが大切です。

たとえば、本田宗一郎氏が戦後の日本人に夢を与えたいという想いで創ったドリーム号は大ヒット商品となりました。

本田技研工業のドリーム号
引用:本田技研工業株式会社

私の哲学は、技術そのものより思想が大切だというところにある。思想が具現化するための手段として技術があり、また良き技術の無いところからは、よき思想も生まれえない。人間の幸福を技術によって具現化するという技術者の使命が私の哲学であり、誇りである。 - 本田宗一郎

優れた商品やサービスを創りたいというのは起業家、経営者であれば当たり前のことです。しかし、それだけでは革新性を持ったビジネスにはなりません。これまでの例でご紹介した通り、それをどのような仕組みで売るか?が大切なのです。

どんなに良い商品、サービスでも売れなければ価値を提供することが出来ません。起業家や経営者は自分の商品を使う人に届け、その人が喜んでくれることで初めて満足を得ることが出来るのです。

革新性は「改善を続ける仕組み」から生まれる

思想が大切だと聞くと、経営者の想いの強さの話に聞こえるかもしれません。しかし、想いだけでは革新性は生まれません。想いと並んで必要なのは、現状の改善を続ける仕組みがあることです。

私たちは、永続的に成長する会社の条件のひとつとして革新性を挙げています。そこで言う革新性とは、崇高な志やビジョンとともに、現状の改善を続ける仕組みがある状態を指します。未来を見据えながら、いま目の前の仕事に一生懸命取り組む。それを続けているうちに創造力が発揮され、革新と呼べるような大きな変化が生まれます。

ここに、多くの会社が取り違えている点があります。革新は、ある日ひらめいて生まれるものではありません。小さな改善が積み重なった先に、結果として現れるものです。だから「うちには革新的な発想をする人がいない」という悩みは、たいていの場合、人の問題ではありません。改善を持ち寄る場が業務のなかに置かれていないという、構造の問題です。

そしてもう一点。革新とは、人々に何かを売って少しばかりの変化をもたらすことではありません。その人の人生に変化をもたらすことです。自社の商品を買った人の生活が、買う前と後で何か変わっているか。ここを問える会社が、結果として革新的だと言われます。

革新性を指標に置いている会社

革新性を仕組みにしている会社は、それを数字で測っています。


100年以上にわたって持続成長しているスリーエム社は、「売上に対する新製品比率」という指標を持っています。この比率が高いということは、新製品が売れているということであり、会社が革新的な活動をしている証拠になります。

アイリスオーヤマ社も、「常に高い志を持ち革新成長する」という理念の実現に向けて、「売上高に占める新商品比率」を指標に設定しています。同社が知られているのは、その指標を実現するために毎週、商品開発会議を開いている点です。

この2社に共通しているのは、革新性を心構えではなく指標と会議に落としていることです。比率という測れる形にして、それを動かすための場を毎週の予定に固定しています。ここまでやって初めて、革新は続く活動になります。

自社に置き換えるなら、まず「何をもって革新的だと言えるのか」を1つ決めることです。新商品の比率でなくてもかまいません。去年と違うやり方に変えた業務の数でも、顧客から「他社にはなかった」と言われた回数でもかまいません。大事なのは、決めた数字を見る場が毎月あることです。

革新性は永続する会社の4条件のひとつ

私たちは、仕組みが隅々まで構築され、自社ならではのやり方が会社の強みになっている状態を最上位のレベルと位置づけています。その状態にある会社は、次の4つを兼ね備えています。

  • 革新性……志やビジョンとともに、現状の改善を続ける仕組みがある
  • 拡張性……売上の拡大とともに合理化が進み、小さい組織でも大きな成果を出せる
  • 永続性……経営者が変わっても同じように成長できる
  • 一貫性……いつでも、だれでも、どこでも同じ価値を提供できる

4つを並べると分かることがあります。革新性だけが単独で成立することはありません。一貫性のない会社が新しいやり方を始めても、店舗や担当者ごとにばらつくだけで終わります。拡張性のない会社では、新しい取り組みが増えるほど人手も比例して必要になり、途中で止まります。

つまり革新性は、他の3つが整っている会社でこそ効いてきます。逆に言えば、いま自社に革新性が足りないと感じるとき、手を付けるべきは新規のアイデア出しではなく、日々の仕事のばらつきを減らすほうかもしれません。この土台については業務標準化とは?進め方5ステップと進まない理由【売上9倍の成功事例も】をご覧ください。

会社に革新性が育たない3つの理由

革新性が生まれない会社には、共通する状態があります。3つとも、社員の発想力とは関係がありません。

①改善を持ち寄る場が予定に入っていない

もっとも多いのがこれです。改善したほうがいいと現場が感じていても、それを話す場がありません。会議はあっても議題は数字の報告と目の前の案件で埋まります。緊急の話は必ず、重要な話を押しのけます。先に場を押さえておかないと、改善の話が出てくることはありません。

対策は単純です。定例の会議に「今月変えたこと」「来月変えること」の枠を固定で置きます。KPT法とは?振り返りの進め方とテンプレート・具体例のような型を使うと、毎回ゼロから考えなくて済みます。

②いまのやり方が書き出されていない

変えるためには、いま何をどうやっているのかが見えている必要があります。やり方が担当者の頭のなかにしかない会社では、そもそも何を変えればいいのかを議論できません。「もっと効率よくやろう」で話が終わります。

工程を書き出すと、無駄がどこにあるかは自然に見えてきます。革新性の前に、まず現状を紙に出すほうが早いのはこのためです。

③変えた人が損をする形になっている

新しいやり方を提案した人が、そのまま一人で実行する担当になる。うまくいかなければ責任を問われる。この形になっている会社では、誰も提案しなくなります。合理的な判断です。

提案と実行を分けること、そして試してうまくいかなかった場合の扱いを先に決めておくこと。この2つで提案の数は変わります。「試してみて駄目だったものは、駄目だと分かった時点で成果」と言い切れるかどうかです。

自社の革新性を見つける4つの視点

革新性は、これから生み出すものとは限りません。すでにやっていることのなかに埋もれている場合が多くあります。次の4つの視点で自社を見てみてください。

  • 手順……同業他社と工程の順番が違うところはないか。飛ばしている工程、逆に足している工程はないか
  • 届け方……売る場所、売る相手、売るタイミングが業界の常識と違っていないか
  • 基準……品質や納期について、他社が置いていない基準を自社が置いていないか
  • 組み合わせ……単体ではありふれた要素を、他社がやらない組み合わせで提供していないか

探すときのコツは、お客様に「なぜうちを選んだのですか」と直接聞くことです。自社が革新的だと思っている点と、お客様が選んだ理由は一致しないことがよくあります。社内では当たり前になっているやり方が、外から見ると珍しいという場合が多いのです。

見つかったら、次はそれを仕組みに固定します。特定の人がやっているから成立している状態のままでは、その人が抜けた瞬間に消えます。手順として書き出し、他の人に渡せる形にして、初めて会社の革新性になります。手順として書き出す進め方は、この記事の最後にご案内しています。

革新性に関するよくある質問

革新性の読み方を教えてください

「かくしんせい」と読みます。「革新」は古いものを新しく改めること、「性」はその性質や度合いを表します。

革新性と独自性はどう違いますか

独自性は自社に固有の性質そのもので、視点が内側にあります。革新性はこれまでになかった新しさで、視点が時間の前後にあります。順番としては独自性が先です。自社の固有のものを見つけ、それが業界の常識と離れているときに革新性と呼ばれます。

革新性と革新的の違いは何ですか

革新性は性質を表す名詞、革新的は状態を表す形容の言葉です。「この会社は革新性がある」と「このやり方は革新的だ」のように使い分けます。指している中身は同じです。

技術力があれば革新性があると言えますか

言えません。技術は革新性を生む材料のひとつですが、それだけでは足りません。その技術を、どういうやり方でお客様に届けるかまで設計して、初めて革新性になります。日本の中小企業には技術力があるのに広がらない会社が多くありますが、原因のほとんどはここにあります。

中小企業でも革新性は持てますか

持てます。むしろ規模が小さいほうがやり方を変えやすいという利点があります。大企業は既存のやり方を変えるのに社内の調整が要りますが、中小企業は経営者が決めれば翌週から変えられます。革新性は資金力ではなく、変える回数で決まります。

革新性を高めるには何から始めればいいですか

新しいアイデアを考える前に、定例会議に「今月変えたこと」を話す枠を1つ置いてください。所要は10分で足ります。改善が出てくる場をつくることが、革新性を高める最初の一歩です。アイデアの数が足りないのではなく、出す場と出したあとの行き先が無いだけ、という会社がほとんどです。

 

革新性を持った会社を創るには?

このサイト「仕組み経営」では、仕組み化をすることで、普通のビジネスをすごいビジネスにするお手伝いをしております。詳しくは以下からご覧ください。

 


>仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

人依存の経営スタイルから脱却し、仕組みで勝手に成長する会社するための「仕組み化ガイドブック」をプレゼント中。

CTR IMG