会議が沈黙・・・発言がない人をどうするか?


清水直樹
会議が始まっても、誰も発言しない。いつもリーダーである自分が仕切り、自分が意見を言うだけで終わる。意見を求めても「特にありません」と沈黙が続く。そんな経験はありませんか?

会議の目的は、情報を共有し、意見を出し合い、より良い判断をすることです。しかし、発言がなければ単なる報告の場になり、貴重な時間が無駄になってしまいます。さらに、沈黙が続くことで「意見を言うのはリスクだ」という雰囲気が生まれ、ますます発言しづらくなる悪循環に陥ることもあります。

私たち仕組み経営では、経営者や管理職が実際に活用できる「会議システム」というカリキュラムを提供しています。このカリキュラムは、企業の会議をより効率的に、そして成果を上げるための仕組みを構築することを目的としています。実際の現場で多くの成功事例を生み出してきたこのシステムを基に、会議中の沈黙や発言が少ない問題に対する解決策を提案いたします。実際、会議システムを導入しただけで、社長の仕事が半分以上なくなり、業務効率が劇的に向上したという会社もあります。

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本記事では、会議で沈黙が生まれる原因を探り、発言を引き出すための具体的な方法をご紹介します。ただ「もっと発言してください」と促すだけではなく、自然に意見が出る会議の進め方を解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

会議で発言がない人の心理と原因

会議で発言しない人には、それぞれ理由があります。単に「やる気がない」のではなく、心理的なハードルや職場の環境が影響していることが多いのです。ここでは、発言を妨げる主な原因を解説します。

心理的要因

  1. 恥をかくのが怖い
    「的外れなことを言ったらどうしよう」「間違ったら恥ずかしい」と考え、発言を避ける人がいます。特に、過去に意見を否定された経験があると、慎重になりがちです。

  2. 反対意見を言う勇気がない
    上司や多数派の意見と異なる考えを持っていても、「空気を乱したくない」「嫌われたくない」という気持ちから、意見を飲み込んでしまうことがあります。

  3. 過去の経験からの無力感
    「どうせ発言しても変わらない」「前に意見を言ったけれど無視された」といった経験があると、発言する気力を失ってしまいます。何を言っても意味がないと思えば、沈黙を選ぶのは自然な流れです。

これら心理的要因を取り除くためには、会議の場だけではなく、普段から職場の「心理的安全性」を高めておくことが大事です。心理的安全性については以下に詳しく記載しています。

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環境的要因

  1. 会議の雰囲気
    堅苦しくピリピリした雰囲気では、自由に意見を言いにくくなります。逆に、上司や一部の人だけが話す場になっていると、他の参加者は「自分が話す必要はない」と感じてしまいます。

  2. 上司や同僚の態度
    「そんなの当たり前だろ」「意味がわからない」といった否定的な反応をされると、発言しづらくなります。普段のコミュニケーションで上司や同僚がどのような対応をしているかも、発言のしやすさに影響します。

  3. 組織文化
    「上の決定には従うもの」「若手は黙っているべき」といった文化が根付いていると、自然と発言しない空気が生まれます。また、「失敗を許さない文化」があると、ミスを恐れて発言しにくくなることもあります。

会議で発言が少ないのは、個人の性格だけが原因ではありません。心理的な不安や職場の雰囲気が影響していることを理解し、発言しやすい環境を整えることが重要です。

会議での発言を促すための具体的アプローチ

会議で発言しない人の対策

会議で発言を増やすためには、ただ「もっと意見を出してください」と言うだけでは不十分です。参加者が意見を出しやすくなるよう、会議の前から準備を整えることが重要です。

①会議前の準備

ここでは、会議前にできる具体的な対策を紹介します。

アジェンダの共有

会議の場でいきなり「何か意見はありますか?」と聞かれても、すぐに発言できる人は多くありません。事前に議題を伝え、考える時間を与えることで、発言のハードルを下げることができます。

  • 議題はシンプルかつ明確に
    「〇〇について話し合います」ではなく、「〇〇の売上を伸ばすために、どのような施策が考えられるか?」のように、具体的な問いかけにすると意見が出しやすくなります。

  • 事前に意見を集めるのも効果的
    会議の前に「当日話す内容について、考えたことをメールやチャットで送ってください」と依頼するのも有効です。事前に意見をまとめることで、当日の発言がスムーズになります。

役割分担

会議では、発言しやすい雰囲気を作ることが大切です。そのためには、参加者全員に役割を持たせるのが効果的です。

  • ファシリテーターを決める
    司会役を交代制にすることで、発言の偏りを防ぐことができます。特定の人だけが進行するのではなく、持ち回りで担当すると、普段発言しない人も主体的に関わるようになります。

  • テーマごとに担当者を決める
    「この議題は〇〇さんに意見を出してもらいましょう」と事前に伝えておくと、責任感が生まれ、発言につながります。

  • メモ係やタイムキーパーを設ける
    役割があると会議への関与が深まり、「ただ座っているだけ」になりにくくなります。発言が苦手な人も、メモ係として積極的に関わることで、意見を言うきっかけが生まれることがあります。

会議の成功は、始まる前の準備で決まります。アジェンダの共有と役割分担をしっかり行うことで、参加者の意識が高まり、自然と発言が増えていくでしょう。

②会議中の工夫

会議の場で発言を促すには、進行の仕方を工夫することが重要です。いくら準備をしても、実際の会議が話しにくい雰囲気では意味がありません。ここでは、会議中に実践できる具体的な工夫を紹介します。



ファシリテーターの配置

会議を活性化させるためには、発言しやすい空気を作る人が必要です。そこで有効なのが、ファシリテーター(進行役)を置くことです。

  • 中立的な立場で進行する
    ファシリテーターは、自分の意見を主張するのではなく、参加者全員の意見を引き出す役目です。「〇〇さんはどう思いますか?」と個別に話を振ることで、発言のきっかけを作れます。

  • 意見が偏らないように調整する
    同じ人ばかりが話してしまうと、他の参加者が黙ってしまう原因になります。発言が少ない人にも順番が回るように配慮すると、バランスの取れた議論ができます。

ルールの設定

会議では、発言しやすい環境を作るためのルールを明確にしておくことが大切です。

  • 一人の発言時間を制限する
    1人が長く話し続けると、他の人が発言しづらくなります。「1回の発言は1〜2分以内」と決めておくと、テンポよく議論が進みます。

  • 他者の意見を否定しない
    「それは違う」「そんなの無理だろう」といった否定的な言葉が飛び交うと、発言しにくくなります。「まずは最後まで話を聞く」「意見には必ず一度ポジティブなコメントをする」などのルールを設けると、心理的安全性が高まります。

小グループディスカッションの活用

大人数の前で発言するのが苦手な人でも、少人数なら意見を言いやすくなります。そのため、小グループディスカッション(ブレイクアウトセッション)を取り入れるのも有効です。

  • 3〜4人のグループに分けて話し合う
    いきなり全体で議論するのではなく、小さなグループで意見をまとめる時間を設けると、発言のハードルが下がります。その後、各グループの代表が意見を発表する形にすると、より多くの考えが共有されます。

  • ペアで話す時間を作る
    さらに発言しやすい雰囲気を作るなら、1対1のペアトークを取り入れるのも有効です。ペアで話した後に、相手の意見を代わりに発表する形式にすれば、普段発言しない人の考えも会議に反映されます。

これらの工夫を取り入れることで、会議が一方的なものではなく、参加者全員が意見を出し合う場に変わります。沈黙の多い会議から、活発な議論が生まれる会議へと進化させましょう。

③会議後のフォローアップ

会議が終わった後も、発言を促すためにはフォローアップが欠かせません。会議後の対応が次回の会議に大きく影響します。ここでは、発言した内容に対するフィードバックや、出た意見をどのように活かすかについて説明します。

フィードバックの提供

会議中に発言した内容に対して、適切なフィードバックを提供することは非常に重要です。参加者は自分の意見がどう受け取られたかに敏感です。

  • 建設的なフィードバック
    発言に対して単に「良かった」と褒めるだけでなく、「その意見は〇〇のプロジェクトにどう活かせるか」と具体的に説明することで、次回の発言への意欲を高めます。

  • 改善点の提案
    もちろん、すべての意見が完璧ではありません。しかし、否定的なフィードバックだけではなく、改善の余地がある場合には、その提案も具体的に伝えることで、次回の発言がより効果的になります。

意見の反映

会議で出た意見を実際の業務やプロジェクトに反映させることは、参加者のモチベーションを向上させる鍵です。意見が反映されることで、社員は自分の意見が組織にとって価値があると感じ、次回も積極的に発言しようという気持ちになります。

  • 具体的なアクションを示す
    「会議で出たアイデアを〇〇プロジェクトに取り入れます」と明確に伝えることが重要です。こうすることで、発言が実際に組織の方向性に影響を与えたことを実感できます。

  • 結果をフィードバック
    会議での意見がどのように活かされたか、その結果を次回の会議で共有することも効果的です。これにより、参加者は自分の意見がどれほど貢献したかを知り、次回も意見を出す意欲が高まります。

会議後のフォローアップをしっかり行うことで、会議での発言が単なる議論にとどまらず、実際の成果につながります。その結果、次回の会議でもより多くの意見が出やすくなり、組織全体の成長にもつながるのです。

リモート会議特有の課題と対策

リモート会議には、オフィスでの会議にはない特有の課題があります。オンライン環境では、特に「沈黙」が生じやすく、参加者が意見を言いにくくなることがあります。では、どのようにその課題を克服できるのでしょうか?

オンライン会議での沈黙の原因

リモート会議では、いくつかの要因が発言をしづらくしています。

  • カメラオフによる孤立感
    参加者がカメラをオフにしたままだと、顔が見えず、発言する際に孤独感を感じやすくなります。会議の進行が一方的になり、参加者が発言しづらくなる原因のひとつです。

  • 通信遅延によるタイミングのずれ
    インターネットの接続状況によっては、音声や映像が遅延し、発言のタイミングがずれてしまうことがあります。このずれが原因で、誰もが発言を控えてしまい、結果として会議が沈黙してしまうことがあります。

オンライン会議の対策

これらの課題を解決するための対策を講じることが重要です。

  • バーチャル背景の活用
    プライバシーを守りつつ、参加者の顔をしっかりと映すために、バーチャル背景を活用すると効果的です。これにより、顔を隠すことなく参加者同士が視覚的に繋がり、発言しやすい環境が整います。

  • チャット機能の活用
    口頭で発言するのが苦手な参加者のために、チャット機能を活用するのも一つの方法です。チャットで意見を共有することで、発言がしやすくなり、会議全体の参加感が向上します。特に、タイミングが合わない場合や通信遅延が起こる場合には、テキストでの意見交換が非常に役立ちます。



リモート会議でも、こうした工夫を施すことで、沈黙を減らし、参加者全員が積極的に意見を出しやすい環境を作ることができます。適切なツールや方法を使うことで、会議の生産性が大きく向上することは間違いありません。

まとめ

この記事では、会議での発言を促すための具体的なアプローチを紹介しました。参加者が意見を出しやすくするためには、事前準備、会議中の進行方法、そして会議後のフォローアップが重要です。また、リモート会議特有の課題に対しても、適切な対策を講じることで、全員が活発に参加できる環境を作ることが可能です。

要点の再確認

  • 会議前にはアジェンダの共有や役割分担で準備を整える。
  • 会議中はファシリテーターやルール設定、小グループディスカッションで発言を促す。
  • 会議後はフィードバックを通じて次回の発言意欲を高める。
  • リモート会議では、カメラオンやチャット機能の活用で参加者の意見を引き出す。

行動への呼びかけ
まずは、次回の会議でこれらの方法を実践してみてください。参加者に役割を与え、フィードバックを行い、発言しやすい雰囲気を作ることで、会議の活性化が期待できます。リモート会議の場合は、カメラの活用やチャット機能をうまく使い、オンラインでも効果的な意見交換を促進しましょう。あなたの会社の会議がより効果的になる一歩を、今日から踏み出してみてください。

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