世界700万部のベストセラーを生み出した考え方

ブック – ブランド – ビジネス



清水直樹
「ブック – ブランド – ビジネス」は、マイケルE.ガーバー氏のベストセラー作家として、また起業家としての経験と成功の法則です。まず自分のアイデアや哲学が結集された指針(ブック)があり、ブックによって、特有のアイデンティティ(ブランド)を形成しました。このブランドを拡張可能で持続的なものにするためにビジネスになりました。「ブック – ブランド – ビジネス」という三位一体の結びつきにより、マイケルE.ガーバー氏は自分でも想像できなかったほど、世の中に受け入れられたということです。本記事では、ガーバー氏が、出版に興味がある人達があつまるセミナーで講演したときの様子をお届けします。
マイケルE.ガーバー氏・・・世界700万部のベストセラー「はじめの一歩を踏み出そう」の著者であり、世界No.1の中小企業アドバイザー(米INC誌による)に選ばれた。当サイト「仕組み経営」のもとになっている思想を提供してくれた人物。詳細はこちら>>
(以下、2010年代のマイケルE.ガーバー氏の講演内容)

創業当時の様子

創業当初の数年間、私は自ら様々なことを学び、発見し、創り出す必要がある状況に置かれました。ウォルト・ディズニーの言葉に従えば、私はビジネスコーチング、エグゼクティブコーチングの分野、または中小企業のコンサルティングの分野における最初のイマジニア(創造者)のような存在でした。

共同創業者だったトムと私は、起業家として夢を実現しようと決意していました。その夢とは、「アメリカの中小ビジネスに夢を取り戻す」というものです。この夢は、数百もの事業者のドアを叩いて回り、歩き回る中で見つけた夢でした。

ビジネスオーナーの多くは夢を持っておらず、単なる仕事に追われていました。私は、生計を立て、物を作り、物を売ることが彼らの生き残るための手段であることに気付きました。同時に、これが彼らの本当の人生ではないはずだと感じました。私は常に単なる生存以上の人生があると信じていました。私はロマンチストであり、哲学者であり、神秘主義者であり、詩人であり、音楽家であり、冒険者であり、常に新しい発見を求めていたからです。

夢の実現にはビジョンが必要でした。夢をビジョンに変える必要性に気付いのたです。そのビジョンを表現しようと試みる中で、ビジョンはますます明確になりました。私たちのビジョンは、「中小企業コンサルティングのマクドナルドになること」でした。

私たちはビジネスオーナーに言いました。何もできない理由はない。システム、トレーニング、コーチング、教育、感動があれば、夢を実現できるのはマクドナルドだけでないと。私たちはビジネスオーナーが夢とビジョンを持つことの重要性を共有し続けました。

本を書く目的とは

本を書くことは、自分を際立たせ、信頼性を築き、個人ブランドを構築するために非常に重要な手段と言われています。しかし、本来、本は表面的な解決策を求める人や単に生活するだけの人生に満足する人のためではなく、深く信じていることを伝える手段なのです。本はあなたの声を世界に残す手段です。

聖書のような本は人間の生き方の指南書としていまだに重要視されています。もしトーラ(ユダヤ教の聖書)が神によって書かれたと信じるなら、それは人々にとって人生の処方箋となります。

本は神聖なもので、言葉は人間と獣を分けるものです。本の中の言葉があなた自身の言葉であれ、私の言葉であれ、それは神聖な場所に位置づけられ、思考する唯一の方法です。

生きる意味の追求が出発点

今回共有するメッセージは、本が全ての起源であるという考え方です。

創業当時、私はコーチになりたいわけでも、有名なブランドになりたいわけでもありませんでした。もちろん、もし経済的に成功しなければ、夢が幻想であり、ビジョンが非現実であり、考えるのは楽しいけれども時間と命の無駄遣いであることを意味します。

しかし、「隣の百万長者」になりたいと思ったことはありませんでしたし、そう思われることを恥ずかしいと感じていました。

「ブック、ブランド、ビジネス」は、“人生の意味”によって駆動されます。これは、生きる価値のある人生を追求し、価値を単なる価格でなく、宗教的で神聖で霊的な思考に基づくものと位置づけています。分かりやすく言い変えれば、子供に“意味のある人生とは何か?”を尋ねられたときにあなたは何と答えるのでしょうか?

その答えが、本を書く出発点です。

本は、「私にとって最も重要なことは何か?」という問いに対するあなたの回答であり、それを共有するために本を書くべきなのです。

私たちはどのような人生が価値あるのかを考え続けました。成功した起業家がどのように考えるかを考えました。彼らの姿勢やアプローチを、私たちのクライアントにも共有できるようにする方法を見つける必要があったのです。ただ生活のために生きるだけでなく、自分で自分の人生を創り出すことが重要だと気づいたのです。私たち一人一人が生まれながらにして創造者であり、したがって創造が鍵であるということです。

私たちの目標は、中小企業を成功させるための仕組みを発明することでした。マクドナルドのように、標準化されながらもカスタマイズされた結果を毎回生み出せるものでなければなりませんでした。

その結果、私たちの仕組みは、クライアントを単なる管理者にするのではなく、本物の起業家、真の創造者に変えるものでした。彼らを鼓舞し、教え、訓練し、コーチし、指導し、彼らが自らの突破口、独自の企業、価値ある人生、独自の仕組みを生み出すことができました。

この絵に何が欠けているのか?

1977年にマイケル・トーマス・コーポレーションを設立して以来、私は自然な流れで1985年までに本を執筆し、出版することになりました。そして、本は私のブランドになり、ビジネスとして成長しました。私が最終的に書いたものは、現実の世界で私たちが築き上げたものでした。

この本は、配管工、電気技師、コピーライター、アーティスト、心臓専門医、コンサルタント、成功しているか、失敗しているかに関わらず、自らビジネスを始めることを決意したすべての人のために書かれました。単に成功するやり方を述べるだけでなく、中小企業の在り方を再定義するように書かれました。

既存の事業の壊れたところを少し修理するための本ではなく、創業者がまったく最初から人生と事業をやり直すことで、その会社の状態を根本的に変革することを意図したのです。

私たちは理想主義者でありましたが、それを実用的ものへと変えました。その他多くのビジネスの本を読んで参考にしたり、他の人が何をしているかを見たりせず、ビジネスとは何か、どのように機能するか、ビジネスオーナーは何をしなければならないか、なぜ今それをやっていないか、視点から考え始めたのです。

私たちは常に自問しました。「この絵に何が足りないのか?」と。その答えが本を書く意味です。

その結果、何百万人もの人々の人生、会社、家族に影響を与えることが出来ました。

参加者との質疑応答

Q. ブランドを成長させる上で最大の課題は何でしたか?

最大の課題は、なぜここにいるのかを忘れずにいることと、コースを守り続けることでした。私がずっと直面してきた最大の課題は、コースを守り続けることでした。1977年に始まり、その時からずっと、ビジネスオーナーが直面する可能性のあるあらゆる試練や困難が私に降りかかりました。まるで神が私に試練を与えているかのようでした。これが最も大きな課題でした。

私が抱えた2番目に大きな課題は、仕事をする人々の中に夢がないことでした。最初のクライアントが配管工でした。彼の名前はラリー・ペレグリーノと言いました。彼は、何をやっても古くなるだけだから、なぜやるのか?と言い続けました。彼は自分の内にある起業家精神を目覚めさせないために必死でした。初心者の心で始めることを許さない人でした。そのような抵抗はその後、多くのクライアントに見られました。その抵抗の克服が大きな課題でした。



Q.やったことのないことをどう成功させたのですか?

私は学歴が無く、ビジネスのバックグラウンドもありませんでした。私は百科事典を販売したり、家の建築をすることしか経験していませんでした。ビジネスについて何も知りませんでした。だから、唯一の方法は人々と話して学び、信じることでした。

同時に理解していただきたいのは、私は物事をマスターする方法を、他のマスターから学んでいたことです。12歳のときの私のサックスの先生はマスターでした。百科事典を売る方法を教えてくれた人もマスターでした。家を作る方法を教えてくれた人もマスターでした。

マスターたちは、自分がマスターしたスキルを私にも身につけさせることを要求しました。彼らはそれを「システム(仕組み)」と呼び、成功するためにはそのシステムを理解し、徹底的に実践することが不可欠だと信じていました。

彼らは成功するためには単なる個別のスキルだけでなく、システム的なアプローチが必要だと考えていました。マスターが私に伝えたのは、単なる技術だけでなく、その技術を組織的に統合して使うことが成功の鍵であるということです。

Q. 自己出版しましたか、それとも出版社を見つけましたか?

自己出版ではなく、出版社が私を見つけました。これは1984年のことで、私が主催したセミナーがきっかけでした。そのセミナーは新規クライアント獲得を目的としたセミナーで、「成長中のビジネスの悩みとそれに対処する方法」をテーマにしたものでした。経営者向けの無料の3時間セミナーで、当時の従業員の一人の配偶者が出版社であることから私の話を聞きに来て、「本を書いてみませんか?」と提案されました。

私は「何についてですか?」と尋ねると、「セミナーについてです」とのこと。私は「もちろん」と答え、その後、彼は出版社に戻り、私が話した内容を伝え、彼らが気に入り、1985年に最初の本『The E-Myth – Why Most Businesses Don’t Work And What To Do About It』が出版されることになりました。

Q. 私はコーチなのですが、あなたの考え方を使って、どうやってビジネスを成長させればいいでしょうか。

私がコーチング会社を立ち上げたのは、元々私がコーチになるためではなく、私たちビジネスオーナーをコーチングすることができる仕組みを構築するためでした。実際、私は1977年に会社を始め1979年以降は、一度もクライアントを個人的にコーチしていません。私の目的は世界ナンバーワンのコーチになることでも、世界ナンバーワンのコンサルタントになることでもなかったのです。それが大事なことです。私たちのシステムを使用してビジネスオーナーの人生とビジネスに深い影響を与えるコーチングシステムを構築することが目的だったのです。実際、70,000人以上のクライアントにプログラムを提供してきました。あなたは言いましたね。私はコーチです、と。私は一度も自分自身をビジネスコーチとは呼んだことがありません。コーチになりたかったのではなく、中小企業の状態を変革する会社を創ろうとしたのです。この違いをよく理解してください。

Q.障害にぶつかったときに、どのようにそれを迂回すればいいでしょうか。

私の現在の夢は、1977年に会社を設立する前とまったく同じです。世界中の中小企業の状態を変えることです。障害にぶつかるたびに、回りを通ったり、対抗したり、などしましたが、夢を変えたりしませんでした。夢の効果を絶対的に信じているからです。私はこの仕事をするためにここにいると信じています。そして、それに取り組むより良い方法を見つけ続けてください。さらに新しい方法を他の人々に委任できるようにするのです。

 

変革的で拡張可能なビジネスを作るために

私の、そしてあなたの焦点は、変革的かつ拡張可能なビジネスを創り出すことです。ビジネスが変革的になる唯一の方法は、顧客やクライアントが抱える最大の問題を解決するようなモデルを設計することです。そして、それが確実に機能すること。さらにビジネスが拡張可能になる唯一の方法は、ビジネスオーナーの個人的な能力や欲求を超え、これまでに実施されたことのない方法で、解決法が実施されるようにすることです。

私たちが創造しようとしているものは、単に他と同じような製品/サービスで異なるパッケージであるビジネスではなく、真実で本物、意味があり、効果的で、他の誰もが提供していない結果を生み出すものです。

自問すべき質問

したがって、本やブランド、ビジネスのアイデアを熟考しているときに尋ねるべき最初にして最も大事な質問は、「顧客を変革するためのユニークなことは何か?不可能に思えるが、それを行えば、世界を一変させることは何か?」ということです。

これは、続いて考えるべき2番目に重要な質問に導かれます。

「顧客が最も手に入れたいと思っているものを手に入れようとするときに、彼らが経験する最大の苛立ちは何ですか?」

これらの質問を考えるとき、本当に最も重要な質問に導かれます。

それは、「この絵に何が欠けているか」ということです。これは私が40年以上前に旅を始めた時に自分自身に尋ねた質問でした。

中小企業のオーナーが“知らなくて行っていないこと”は何なのか?そのために払っている代償はどれほどか?私は答えを見つけました。彼らは物事を全体として見ることができないために、会社の壊れた部分を修復する無効な解決策に飛びついているということでした。そのことがさらに壊れたビジネスを作ることになり、修復不可能な、職人的視点でしか運営されない会社を創りだしているということでした。

視点を変えること

すべては心に帰結します。すべては私たちの視点(考える方法)に帰結します。視点とは、私たちが世界をどのように捉えているかということです。大半の中小企業のオーナーは、森の内側から見た視点しか持っていませんでした。そのため、木にぶつかりながら、毎日をやりくりしているのです。私たちの仕事は、彼らを森から連れ出し、森の上に連れ出し、彼らが本当にその森の中にいるべきか、違う選んだ森にいるべきかという疑問を投げかけることでした。そのために重要なのは、私たち自身が森から抜け出ることです。私たち自身が囚われた森の上にあがり、この森の妥当性に疑問を投げかけることです。

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