アマゾンのビジネスモデル完全まとめ。わかりやすい図で解説

【アマゾンのビジネスモデル完全まとめ】わかりやすい図で解説



今回のテーマは、アマゾンのビジネスモデルです。

コロナ禍の中で売上を伸ばしている数少ない企業の一つであるアマゾン。

「ポチる」だけで簡単に買い物ができる世界的ECサイトのアマゾンですが、実はその事業範囲は通販だけではありません。

PrimeやKindle、Amazon Web Service(AWS)など事業は多角化し、2019年のアマゾンの総収益は2800億ドル(約30兆円)に達し、純利益は115億ドル(約1兆2300億円)となりました。

そんなアマゾンのビジネスモデルマネタイズ方法について、図と共にわかりやすく解説していきます。

本記事を読めば成長し続けるアマゾンの成功の秘訣と、利益を生み出す仕組み、各事業のつながりなどがよくわかるでしょう。

是非最後までご覧ください!

 

アマゾンCEOジェフ・ベゾスのビジョン

アマゾンのビジネスモデルを理解する上でCEOであるジェフ・ベゾスのビジョン知っておくことはとても大切です。

アマゾンにはリーダーシッププリンシプルという社員が共有する価値観があります。

  • Customer Obsession(顧客中心)
  • Ownership(オーナーシップ)
  • Invent and Simplify(開発とシンプルさ)
  • Are Right, A Lot(正しい判断と多様な考え方)
  • Learn and Be Curious(学びと好奇心)
  • Hire and Develop the Best(最高を雇い、育てる)
  • Insist on the Highest Standards(最高水準に投資する)
  • Think Big(大きく考える)
  • Bias for Action(素早い行動力)
  • Frugality(倹約)
  • Earn Trust(信頼を勝ち取る)
  • Dive Deep(深く関わる)
  • Have Backbone; Disagree and Commit(信念を持ち、時に異議を唱え、しっかりコミットする)
  • Deliver Results(結果をもたらす)

(出典:https://www.amazon.jobs/jp/principles

また、ジェフベゾスは”Being on Day One!”「常に1日目でいる!」という価値観を重要視しています。

衰退やスローモーションを避け、日々進み続けるには毎日が初日であるべきだと彼は言います。

ベゾスは2016年のシェアホルダーレターで以下のように述べています。

Day 2 is stasis. Followed by irrelevance. Followed by excruciating, painful decline. Followed by death. And that is why it is always Day 1.

「2日目は停滞している。無意味に追われる。耐え難く、痛みを伴う衰退に追われる。死に追われる。だからこそ常に1日目であるべきなのだ。」

「毎日が初日である」この価値観によってアマゾンは巨大企業となった今でもスタートアップのマインドセットを失わずにいられます。

顧客に常にフォーカスし、一度成功したサービスに固執せず、常により良い価値を提供するため実験と新サービス展開を繰り返します。

さらに、アマゾンは最新のトレンドを常に受け入れて実践し、時代の波に抗おうとすることは決してありません。

トレンドに逆らうことは未来を拒絶することだとベゾスは語っています。

常に変化し続けることこそがアマゾンの成長の秘訣であり、その裏には”Being on Day One!”という価値観が隠れていました。

アマゾンのビジネスモデルの概要

では、アマゾンのビジネスモデルの概要を紹介します。

1994年にアマゾンは書店として始まってから扱う商品を増やし続け、現在の姿に至ります。

アマゾンのコアビジネスモデルはオンラインストアですが、アマゾンはアメリカで実店舗も構え、2017年にはその収益は50億ドルに達しています。

また、サブスクリプションサービスであるアマゾンプライムもビジネスモデルの中では重要な位置づけにあり、顧客のアマゾンへの依存度を高め、ユーザの定着率を高めることに大きく寄与しています。



その他にも、アマゾンは企業向けクラウドサービスであるAWSや広告サービスも取り扱っており、法人ITソリューション業界でもプレゼンスを高めています。

このようにアマゾンのビジネスは非常に多角化しているのです。

そしてアマゾンの成功は最高のカスタマーエクスペリエンス、低価格化、安定したテクノロジーインフラ、豊富なフリーキャッシュフローで実現されています。

アマゾンのプラットフォームビジネスモデル

多角化するアマゾンのビジネスがどのように相互作用しているのかをビジネスモデルマップを用いて見ていきましょう!

アマゾンはプラットフォームビジネスモデルをコアモデルとして採用しています。

例えば、プライムや広告ビジネスはECサイトに繋がっており、ECにより顧客が集まる/定着するよう設計されています。

また、AWSといった他のビジネスはアマゾンの技術インフラを向上させています。

このようにアマゾンはECというプラットフォームを中心に、それぞれの事業のシナジーを最大限活かしているのです。

アマゾンのプラットフォームであるECサイトAmazon.comは、アメリカで27億ユーザー/日が訪れる巨大マーケットで、顧客は使いやすくデザインされたウェブサイトやアプリを活用して豊富な商品を見て回り、簡単に決済することが可能です。

商品の中にはアマゾンのオリジナルブランドのKindleやファイヤースティック、ファイヤーTV、アマゾンエコーといったテック商品も人気を誇っています。

また、外部店舗からのアマゾンへの出品の商品種は多岐にわたり、2018年には外部店舗の売上はアマゾンの商品売上の58%にも上っています。

アマゾンは外部店舗から、固定料金や売上の数%、活動料金、利息などを安定的な収入として得ています。

AWSはデベロッパーや企業向けの開発環境プラットフォームですが、この商材も非常に戦略的な役割を果たしています。

更に、アマゾンは作家や音楽家といったクリエイター向けにKindle Direct Publishing(KDP)と呼ばれるプラットフォームも提供しています。

KDPとは、独立した作家が自身の本をアマゾンのKindleストアを通じて簡単に出版できるプラットフォームのことで、アマゾンは30〜70%のロイヤルティフィーを本の売上から得ています。

このように、アマゾンは消費者にとっても、Amzon.comへ出店している店舗にとっても、デベロッパーや企業のエンジニアにとっても、作家にとっても欠かせないプラットフォームを提供することで収益を上げているのです。

アマゾンのマネタイズモデル

アマゾンの戦略的なビジネスモデルは「あらゆるプラットフォームになること」であるとわかりました。

しかし、アマゾンは具体的にどのように利益を得ているのでしょうか?

アマゾンの収益モデル

アマゾンの収益モデルを見てみると、オンラインストア(EC)が稼ぎ頭となっていることがわかります。

しかし、ECはコストが高く利益率はよくありません。

そのため、アマゾンはECを、AWSや広告ビジネス、プライムといった利益率の高い商材を売るための土台として位置付けています。

それではそれぞれの商材のマネタイズモデルを詳しく見ていきましょう!

アマゾンECストア:キャッシュマシンモデル



アマゾンは低価格かつ即日配送で商品を提供しているため、ECビジネスのコストが高く、十分なキャッシュフローを生み出せていないのではないかという印象を受けます。

しかし実際はその逆で、キャッシュマシン戦略によってECサイトでは素早くキャッシュを生み出す仕組みができています。

具体的には、顧客からの支払いをすぐに回収し、ベンダーへの支払いに長めの時間を設定することで短期的な流動資産を保持し、会社の成長のために投資を行えるシステムになっています。

このような、利益率が低くてもキャッシュを手元に保持できるECの仕組みによって、アマゾンは破壊的イノベーション創出に沢山投資ができるのです。

アマゾンの広告ビジネス

アマゾンのデジタル広告の事業規模は年々大きく成長しています。

2017年には29億ドルだった広告収入は、2018年に67億ドルにまで成長しました。

そしてその純利益は2018年に60億ドルとなっており、非常に高い利益を見込める事業であることがわかります。

アマゾンプライム

近年多くの企業がサブスクリプション、いわゆるサブスクモデルを採用していますが、アマゾンもこのトレンドに乗っかって成功した一つです。

アマゾンプライムはアマゾンの成長戦略において重要な役割を果たしています。

ロジックは非常にシンプルで、より多くの人がプライムメンバー登録をすれば、より多くの人がオンラインストアを利用するようになり、オンラインストアの収益が上がるだけでなく、集客コストも抑えることができます。

プライムによって、顧客は即日配達やプライムビデオを楽しめ、アマゾン側はサブスクモデルによる安定的な収入を見込めるWIN-WINな仕組みとなっています。

アマゾンAWS

アマゾンAWSは2000年に実験的に始まり、2019年には400億ドルに達し、その純利益は99億ドルと高い利益率の見込める商材です。

また、アマゾンはAWSを将来の主力事業として非常に重要視しています。

マネタイズまとめ

・アマゾンの収益はオンラインストアの売上が最も大きいが利益率は低い

 

・オンラインストアのキャッシュフローを支えるキャッシュマシンモデル

 

・キャッシュマシンモデルで生まれた流動資産をイノベーション/高マージン商材に投資

 

・利益率の高い広告ビジネスの拡大

 

・プライムでオンラインストアへの集客と顧客ロイヤルティ向上&サブスク収入

 

・高マージンのAWSをB-to-B向けに展開&拡大

まとめ

最後にアマゾンのビジネスモデル全体のポイントをまとめます。

・ジェフベゾスの”Being on Day One!”ビジョンで常に成長し続ける

・ビジネスの多角化と格事業のシナジーを最大限活用

・消費者だけでなく、外部店舗やデベロッパー、作家など複数のプレーヤーにプラットフォームを提供

・キャッシュマシンモデルを用いたオンラインストアのマネタイズ方法で、成長が見込める戦略的商材に投資する



では、今回は以上になります。

※ちなみにコロナ禍でオンラインストア市場が成長する中、アマゾンの2020年第一期の収益は大きく向上していました。

2020年のアマゾンの収益

 

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