1on1ミーティングを導入したものの、「毎回、進捗確認の場になってしまう」「話すことがなくなって沈黙が続く」「部下から本音が出てこない」と感じている経営者や管理職は少なくありません。実際、1on1は導入企業が増えた一方で、半年から1年で形骸化してしまうケースが非常に多い施策でもあります。
このサイト「仕組み経営」では、海外のメソッドをもとに中小企業・成長企業の仕組み化を支援していますが、私たちがベースにしているマイケル・E・ガーバー氏のメソッドでは、30年以上前から1on1ミーティング(Employee Development Meeting=社員育成ミーティング)を経営の必須の仕組みとして位置づけ、世界中の中小企業で実績を出し続けてきました。
この記事では、その1on1ミーティングの目的から、初回・2回目以降の具体的な進め方、アジェンダシートの作り方、話すテーマと質問例、そして「なぜ形骸化するのか」という失敗要因までを、実務でそのまま使える形でまとめます。対象読者は中小企業・成長企業の経営陣と管理職の方です。
ポッドキャストでも解説しています。
- 1 1on1ミーティングとは?
- 2 1on1ミーティングの目的をはき違えるな
- 3 1on1ミーティングのメリット
- 4 1on1ミーティングのデメリットと導入前の注意点
- 5 1on1ミーティングの頻度と時間
- 6 初めての1on1ミーティングのやり方と進め方【5ステップ】
- 7 2回目以降の1on1ミーティングのやり方と進め方【6ステップ】
- 8 1on1ミーティングのアジェンダシートの作り方
- 9 1on1ミーティングのテーマのヒント
- 10 1on1ミーティングでの質問例
- 11 1on1ミーティングで上司に求められる3つのスキル
- 12 部下側が1on1ミーティングで準備すべきこと
- 13 1on1ミーティングの記録の残し方
- 14 1on1ミーティングが失敗する7つの理由
- 15 1on1ミーティングを会社の仕組みとして定着させる4ステップ
- 16 1on1ミーティングに関するよくある質問
- 17 会社は仕組みで運営しよう
1on1ミーティングとは?
1on1ミーティングとは、上司と部下が一対一で、定期的に行う面談のことです。もともとは米国シリコンバレーの企業が、社内のコミュニケーション不足を解消するために始めた取り組みとして知られ、日本ではヤフーが全社導入し成果を出したことで一気に広まりました。
ただし、単に「一対一で話す場」を1on1と呼ぶわけではありません。仕組み経営が定義する1on1ミーティングには、次のような特徴があります。
- 社長から一般社員まで、全社員が定期的に行う。
- 社員の成長をメインの目的にしている。
- 給与や昇級のための面談(人事考課や評価)とは別に行われる。
- 上司はメンターやコーチとしての役割を担う。
- 心理的安全性を生み出し、お互いに開かれた会話を行う。
- 会議の場かぎりで終わらせず、次回までの行動が必ず一つ残る。
この6つのうち、特に見落とされやすいのが2つめと3つめです。ここを外すと、1on1は「呼び出されて詰められる時間」に変わってしまい、続けるほど部下の意欲が下がっていきます。
1on1ミーティングと人事評価面談・キャリア面談の違い
※評価そのものの設計は人事評価制度の作り方やトレンド、事例まとめで解説しています。
「うちも面談はやっている」という会社は多いのですが、その面談が何のためのものかを整理しておかないと、1on1は必ず他の面談に飲み込まれます。それぞれの違いは次のとおりです。
| 種類 | 主な目的 | 頻度の目安 | 主導権 |
|---|---|---|---|
| 1on1ミーティング | 部下の成長支援と障害の除去 | 週1回〜隔週 | 部下 |
| 人事評価面談 | 評価の伝達と処遇の決定 | 半期〜年1回 | 上司・会社 |
| MBO・目標設定面談 | 目標の設定と進捗の確認 | 四半期〜半期 | 上司・会社 |
| キャリア面談 | 中長期のキャリア意向の把握 | 年1回程度 | 会社・人事 |
最大の違いは「主導権が誰にあるか」です。評価面談やMBO面談は会社側が決めたことを伝え、確認する場ですが、1on1は部下が話したいことを話す場です。この一点が守られているかどうかで、同じ30分の使われ方はまったく変わります。
なぜいま1on1ミーティングが必要とされているのか
1on1が広がった背景には、いくつかの環境変化があります。
ひとつは、事業環境の変化スピードが上がったことです。半期に一度の面談では、状況が変わりきってから軌道修正することになります。もうひとつは、人材の流動化です。「不満があるなら言ってくるだろう」という前提が成り立たなくなり、離職の兆候は表に出ないまま進行するようになりました。さらに、リモートワークの定着によって、雑談のなかで自然に拾えていた情報が拾えなくなりました。
つまり1on1は、福利厚生的な取り組みではなく、これまで偶然に頼っていた情報のやり取りを、意図的な仕組みに置き換える施策だということです。仕組み経営が1on1を重視する理由もここにあります。
仕組み経営が30年以上前からこの仕組みを推奨してきた理由
私たちがベースにしているマイケル・E・ガーバー氏のメソッドでは、1on1にあたるものを「Employee Development Meeting(社員育成ミーティング)」と呼び、経営者が最初に導入すべき仕組みのひとつとして位置づけています。
理由はシンプルで、社長がいなくても回る会社をつくるには、社員が自分で判断できる状態をつくるしかないからです。そして人が自分で判断できるようになるのは、指示を受け続けたときではなく、自分で考えて、結果を振り返る機会を繰り返し与えられたときです。1on1はそのための最小単位の仕組みだと考えています。
1on1ミーティングの目的をはき違えるな
まず、1on1ミーティングの目的は確認しておきましょう。
1on1ミーティングの目的のはき違えで一番多いのがこれです。
1on1=人事評価や考課の面談でしょ?うちもやっているよ。
というものです。
普通の会社では人事評価のための面談が、多い会社で四半期に一回、最低1年に一回は行われています。これをもって1on1ミーティングをやっている、というのは間違いです。評価や考課のための面談の目的は、社員の昇進や給与などを確定させるためのものです。しかし、1on1ミーティングの目的はそうではありません。
目的1.社員の成長
1on1ミーティングの最大の目的は、社員の成長を促すことです。ここで言う成長というのは、単に仕事が出来るようになる、ということだけではなく、彼らのキャリア面での成長、プライベート面での成長、さらに人間的な成長を促すことも含まれています。
目的2.仕事の円滑な遂行
現在の仕事について話し合い、やるべき仕事、優先順位、やり方、結果などを明確にし、上司と部下の間で合意します。また、現在抱えている課題について共有し、今後の仕事を円滑に進められるよう支援します。ここで大事なのは、進捗を「確認する」のではなく、進捗を止めている障害を「取り除く」ために話すという姿勢です。
目的3.キャリア面での成長
社員がキャリア上の目標に向かうためにサポートし、仕事に対してよりポジティブに取り組み、意義を感じられるようにします。そのため、彼らの将来のキャリア像も明確にしていきます。
目的4.エンゲージメントの向上
※従業員エンゲージメントとは?その意味から高める方法まで。もあわせてご覧ください。
社員が会社の方針や目標に疑問を感じていないかを確認し、問題が深刻化する前に解決します。また、社員に“聞いてもらっている感”を与えることで、人に人として接していることを示します。
1on1ミーティングのメリット
1on1を継続したときに、実際にどんな変化が起きるのかを立場別に整理します。
部下にとってのメリット
最も大きいのは、判断に迷ったときの相談先が固定されることです。「いつ相談していいかわからない」状態がなくなるだけで、仕事の手戻りは大きく減ります。また、自分の仕事が会社のどこにつながっているかを定期的に確認できるため、目の前の作業に意味を感じやすくなります。
上司にとってのメリット
一見、時間を取られるように見えますが、実際は逆です。日々の細かい問い合わせ、判断待ち、手戻りの修正といった「割り込み仕事」が減っていきます。加えて、部下の状態を継続的に把握できるため、離職やトラブルの兆候を早い段階で拾えるようになります。
会社にとってのメリット
会社にとっての最大の価値は、マネジメントの品質が個人の資質に依存しなくなることです。「あの部長の下だと育つが、この部長の下だと育たない」という状態は、育成が仕組みではなく人に依存している証拠です。1on1を全社の共通ルールとして運用することで、育成の当たり外れを減らすことができます。
1on1ミーティングのデメリットと導入前の注意点
一方で、1on1にはコストとリスクもあります。導入前に正直に押さえておくべき点を挙げます。
第一に、単純に時間がかかります。部下が7人いる管理職が週1回30分行えば、週に3時間半が固定で消えます。これを「余った時間でやるもの」と位置づけると、必ず後回しになって崩壊します。導入するなら、他の会議を減らすなど、時間の枠を先に空ける決断がセットで必要です。
第二に、上司側のスキル差が結果に直結します。傾聴と質問の訓練を受けていない管理職がいきなり1on1を担当すると、ほぼ確実に「詰める場」になります。制度だけ導入して研修を用意しないのは、最も失敗しやすいパターンです。
第三に、期待値がずれると逆効果になります。部下が相談したことに対して何も改善されない状態が続くと、「言っても無駄だ」という学習が起こり、1on1導入前より信頼が下がることさえあります。すべてに応えられなくても構いませんが、「できること」と「できないこと」を明確に返すことは必要です。
1on1ミーティングの頻度と時間
1on1は会社にある会議のうちの一つです。他の会議との役割分担については会議体とは?意味・一覧サンプル・設計方法と体系図の作り方もご覧ください。
1on1ミーティングの頻度は各社ごとに異なりますが、仕組み経営では週に一回、30分を目安に導入してもらっています。職種によっては多すぎることもあるため、その場合には2週間に一回にします。逆に1か月に一回というのは少なすぎます。
なぜ月1回では足りないのか。理由は、間隔が空くほど「報告」の比率が上がるからです。1か月ぶりに会えば、まずこの1か月の出来事を説明することから始まり、それだけで時間が終わります。週1回であれば、前回からの差分だけを扱えるので、自然と「これからどうするか」に時間を使えます。
時間配分の目安としては、冒頭の状況確認に5分、その日のテーマの深掘りに20分、次回までの行動確認に5分程度です。長くやることよりも、同じ流れで毎回繰り返すことのほうが効果があります。
初めての1on1ミーティングのやり方と進め方【5ステップ】
初めての1on1ミーティングを行う場合のやり方と進め方は次のとおりです。初回は関係性の土台をつくる回であり、いきなり深い話を引き出そうとしないことが大切です。
1.基本的なルールについて合意する
1on1ミーティングを継続的に実施していくにあたって、基本的なルールについて確認します。これには3つあります。
ひとつめは、彼ら(部下)があなたに期待してもらって良いこと、言い換えれば、あなたが彼らに出来ることを伝えます。たとえば、あなたがコミットしたことを守ること、彼らの仕事に影響する変化や変更があった場合には、すぐに伝えること、仕事の成果について、すばやく、ストレートなフィードバックを与えることなどです。
ふたつめは、あなたが彼らに期待することを伝えます。たとえば、彼らがコミットしたことを守ること、仕事に影響しそうなことがあったらすぐにあなたに伝えてもらうこと、必要なときには助けを求めてもらうこと、などです。
みっつめは、彼らが効果的に働くために、あなたからどんな支援が必要かを話し合うことです。それを理解することによって、あなたはより優れた上司になることができ、信頼の上に築かれた、オープンなコミュニケーションをすることができるようになります。
2.1on1ミーティングの概要について伝える
1on1ミーティングの概要について伝えます。伝えるべきは、1on1ミーティングの目的、方法、内容です。1on1ミーティングの一番の目的は、上記に述べた通り、上司と部下が一緒に働きながら、障害を乗り越えることによって、彼らのキャリア的な成長を促すことです。方法とは、頻度や時間、場所などです。内容は仕事や事務的なことについて議論すること、長期的なキャリア成長や短期的な仕事の成果を改善するためのコーチングなどです。
ここで「この時間は評価には使わない」と明言することを強くおすすめします。これを言うか言わないかで、初回で出てくる話の深さが変わります。
3.現在の仕事内容を評価する
初回の1on1ミーティングでは、ひとつひとつの仕事について細かく話す必要はないですが、10分程度時間をとって、過去にお願いした仕事やこれからお願いする仕事について話すと良いでしょう。
4.部下の仕事面での目標を引き出す
多くの社長は、社員のことを家族だと思っていますが、ことマネジメントの話になったときには、個人的なことと仕事上のことの境目を設けるべきです。たとえば、プロジェクトの遅延が生じているとき、その担当者には説明責任を求めなくてはいけません。
社長をはじめとする上司の役割を簡単に表すならば、部下の仕事面での発展を促すことです。社員は一生、あなたの元で働くわけではないかも知れませんが、彼らの仕事面での発展を促すことによって、全員にとって大きな実りが生まれます。仕事は、自分の目標や夢を達成するための乗り物だと考えてもらうようにしましょう。彼らがキャリア面で考えている目標や成長についても考えてもらいましょう。そして、いまの仕事や会社が、それにどう役に立つのかについても議論をしましょう。
5.継続的な1on1ミーティングを設定する
1on1ミーティングのスケジュールを決めましょう。少なくとも向こう1か月分くらいはスケジュールを押さえておくとよいでしょう。また、初回のミーティングで解決できなかったテーマがある場合には、ノートを取っておき、次回に持ち越しましょう。
2回目以降の1on1ミーティングのやり方と進め方【6ステップ】
初回ミーティングでお互いの関係性についてしっかりと基盤を作ったら、今後の継続的な1on1ミーティングは、問題や課題について解決策や戦略を考える有効な時間になるでしょう。ただし、1on1ミーティングがお互いにとって、単に“こなすもの”でしかなくなってしまえば、まったくの逆効果になってしまうことに気をつけましょう。
また、1on1ミーティングには紙に書かれたアジェンダが必須です。アジェンダがあることによって、無駄なく効果的なミーティングが可能になります。継続的な1on1ミーティングの流れは次のとおりです。
1.1on1ミーティングの目的を認識する
最初に今回の1on1ミーティングの目的について部下に伝え、彼らの同意を取りましょう。そして、アジェンダを伝えたうえで、彼らから何か扱いたいテーマがないかどうかを聞いてみましょう。ただし、彼らが提案してきたテーマが取り扱うべき重要なものであるかどうかは、最終的にあなたが判断します。
2.現在の仕事を評価する
彼らが現在取り組んでいる仕事の進捗状況などを確認します。締め切りに間に合いそうか?最高の結果を出すために、何か助けが必要だろうか?
3.仕事や自己成長における課題を認識し、解決する
この部分が1on1ミーティングの鍵となるテーマです。社長や上司には、メンターとしての力が試されます。社員の仕事や自己成長における成功についても話します。たとえば、顧客からほめられたこと、新しいスキルを身につけたこと、プロジェクトが予定どおり終わったことなどです。そうすることによって、更なる学習や生産性を促すことができます。
1on1ミーティングにおけるもうひとつの重要なテーマは、社員の成長の機会を探すことです。彼らはどの分野において、更なる成長、成果を出すことができるでしょうか?上司であるあなたはメンターとして、それを見極め、これまでの経験や客観性を持って、彼らのサポートをしてあげることが求められます。
4.ほかのテーマについて話し合う
新しいルールや手続き、会社全体の進展、彼らにかかわってもらう新しいプロジェクト、彼らに影響する変化などについて伝えます。
5.次回に持ち越すテーマを決める
今回、完了しなかったテーマや次回に持ち越したいテーマについてお互いが確認しあいます。
6.次回1on1について確認する
次回のミーティングの場所と時間を確認します。ミーティング終了時には、“話を聞いてもらった”と感じてもらい、やるべきことに対して、ポジティブになり、具体的な手順を理解している状態になってもらうことが大切です。
1on1ミーティングのアジェンダシートの作り方
1on1が続かない会社に共通しているのは、毎回ゼロから何を話すか考えていることです。逆に定着している会社は、必ず共通のシートを持っています。項目は多くする必要はなく、次の5つで十分です。
- 前回決めたこと:前回の1on1で「次回までにやる」と決めた行動と、その結果。
- いまの状況:仕事の進捗と、いま詰まっていること。
- 今日話したいこと:部下が事前に記入する欄。ここが埋まっているかが定着度のバロメーターになります。
- 上司から共有すること:会社の方針変更や、部下に影響する事柄。
- 次回までの行動:一つだけ決める。多くしないことがコツです。
このシートは、部下が事前に3の欄を埋めてから面談に臨む運用にします。これだけで「話すことがない」問題のほとんどは解消します。
1on1ミーティングのテーマのヒント
ミーティングのテーマを何にしようかと思うこともあるでしょう。以下に挙げるのは、一般的なミーティングのテーマです。ヒントにされてください。
- その期間中の仕事の優先順位について
- 依頼した仕事へのフィードバックや進捗確認
- チームや会社の目標を再確認
- 部下が抱えている課題や問題の解決
- 成功したことや上手く行ったことを評価する
- 最近の仕事で上手く行ったことや失敗したことの共有
- キャリア上での目標の確認
- 今後の成長分野、学習分野について
- チーム内の人間関係や連携で気になっていること
- 業務量とコンディション(無理が続いていないか)
- 会社の理念や価値観と、自分の仕事とのつながり
- やめたほうがいいと思っている業務
最後の「やめたほうがいいと思っている業務」は、中小企業ではとくに有効なテーマです。現場が非効率だと感じている仕事は、経営者からはまず見えません。
1on1ミーティングでの質問例
1on1ミーティングを行っている途中に、話すことが無くなり、時間を潰すのに困ってしまう人もいるのではないでしょうか。そこで、ミーティング中に使える質問集をご紹介していきます。ぜひご活用ください。
状況を確認する質問
この一週間はどうでしたか?
この一週間は何をしていましたか?
●●の件はどうでしたか?(いきなり細かく問い詰めないよう注意)
いま取り組んでいることは何ですか?
いま、一番時間を取られていることは何ですか?
課題や障害を掘り下げる質問
いま、一番うまく進んでいないことは何ですか?
それが進まない原因は、どこにあると思いますか?
私(上司)が取り除ける障害は何かありますか?
もし何の制約もなかったら、どうやりたいですか?
会社や方針とのつながりを確認する質問
●●(会社の発表やルールの変更等)に関して質問はありますか?
会社やチームの目標は把握できていますか?
会社の方向性と自分の目指すことは一致していますか?
成長と学びを引き出す質問
最近上手く行ったことと上手く行かなかったことは何ですか?
(前の質問から続いて)そこから学んだことは何ですか?
3年後の目標は何ですか?
新しく身に付けたいスキルや知識は何ですか?
いまの仕事の中で、一番おもしろいと感じるのはどの部分ですか?
次の行動につなげる質問
チーム内や会社内での人間関係について話し合いたいことはありますか?
次回のミーティングまでに何が出来ますか?
今回カバーできなかったことで、次回話し合いたいことはありますか?
1on1ミーティングで上司に求められる3つのスキル
質問集を持っていても、聞き方が変わらなければ結果は変わりません。1on1で成果を出す上司が共通して持っているのは、次の3つです。
1.傾聴する力
相手の話をさえぎらず、評価せずに最後まで聞く力です。とくに、部下が話し終わったあとに一拍おくこと。この2〜3秒の沈黙のあとに、本当に言いたかったことが出てくることが非常に多いです。
2.答えを与えずに問い返す力
上司には経験があるので、部下の話を聞けばすぐに答えが浮かびます。しかしそこで答えを言ってしまうと、部下は次も答えをもらいに来るようになります。「あなたならどうしますか?」と一度返す。この一手間が、指示待ちを減らす分かれ目です。
3.具体的にフィードバックする力
「よくやっているね」ではなく、「先週の●●の対応で、顧客に先に連絡を入れたのが良かった」と、行動を特定して伝えます。抽象的な称賛は再現できませんが、具体的な行動へのフィードバックは再現できます。
部下側が1on1ミーティングで準備すべきこと
1on1は上司だけが準備するものではありません。部下側にも、次の3つを準備してもらう運用にすると質が一段上がります。
ひとつめは、話したいテーマを最低ひとつ用意してくること。ふたつめは、前回決めた行動の結果を報告できるようにしておくこと。みっつめは、上司に助けてほしいことを言語化しておくことです。
導入初期は、部下も「何を話していいかわからない」状態にあります。上記の3点をシートに明記して渡しておくだけで、部下側の心理的なハードルは大きく下がります。
1on1ミーティングの記録の残し方
記録は必ず残します。ただし、目的は管理ではなく、次回の起点をつくることです。
記録すべきは、話した内容の全文ではなく、「決めたこと」と「持ち越したこと」の2つで足ります。ツールは高機能なものである必要はなく、共有のスプレッドシートやドキュメントで十分機能します。大事なのは、上司と部下の両方が見られる場所に置くことです。上司だけが持っているメモは、部下からは評価材料に見えてしまい、1on1の目的から外れていきます。
1on1ミーティングが失敗する7つの理由
部下が話さないという悩みについては会議で発言しない人の心理と対策でも扱っています。
最後に1on1ミーティングが失敗する理由をご紹介していきます。導入したものの続かなかった会社は、ほぼこのどれかに当てはまります。
1.上司がしゃべりすぎる
これは非常によくありがちな失敗例です。冒頭でもいった通り、1on1ミーティングにおける上司の役割はメンターやコーチです。1on1ミーティングは上司の主張や意見を伝えるために開催されるものではありません。部下が成長することが最大の目的です。そのため、上司は話すのではなく、聞くことに徹することが大切です。目安としては「話す:聞く=1:9」の割合です。「え?そんなに聞くの?」と思われるかもしれませんが、このくらいの意識で臨んだとしても、実際には「話す:聞く=3:7」くらいにはなります。話しすぎた、と思ったら上記の質問例を参考に聞き役に回りましょう。
2.頻繁に時間を変更する
上司がミーティングの時間を頻繁に変更したり、リスケしたりすると1on1ミーティングの目的は達成されません。時間の変更やリスケは、”あなたとのミーティングは最優先ではない”というメッセージを暗に送ってしまいます。もしかしたらあなたは、1on1ミーティングをやっている時間はない、と思っているかも知れません。
しかし、実際のところ、1on1ミーティングを実施することは、あなたにとっても、その後の無駄な時間を削減する効果的な手段になるのです。毎週(または隔週)、決められた時間に部下との面談を行うことによって、日々の余計な問い合わせや質問、トラブルを避けることができます。部下が間違った方法で仕事を行い、それを修正する時間も避けることができます。1on1ミーティングを継続的に行うことで、問題に対処するという仕事がどんどん減り、問題が起こらないようになっていくのです。
3.仕事の進捗を詰める
1on1ミーティングで大事なのは、”このミーティングは、あなたをサポートするために用意されている”ということが暗に伝わるような態度で臨むことです。何度も言いますが、このミーティングは社員の成長を目的としているのであって、仕事の進捗を詰めるために行うものではありません。
4.評価面談と混ざっている
評価の話が一度でも1on1の場に持ち込まれると、部下は「ここで言ったことは評価に影響する」と学習します。そうなると本音は出てきません。処遇の話は必ず別の場で行ってください。
5.話した内容が何も改善されない
部下が挙げた課題に対して、上司が何も動かない状態が続くと、「言っても変わらない」という結論に至ります。すべてを解決する必要はありませんが、「これは変えられる」「これは会社の事情で変えられない」と返すことは必要です。
6.上司側のスキルにばらつきがある
制度だけ導入して、進め方は各管理職に任せる。これが最も多い失敗の形です。同じ会社の中で1on1の中身がまったく違うものになり、「あの人の1on1は意味がある/ない」という差が生まれます。共通のシートと最低限の研修はセットで用意すべきです。
7.目的が共有されないまま始まっている
何のためにやるのかを説明しないまま「来週から1on1をやります」と通達すると、現場は「監視が増えた」と受け取ります。導入前に、目的と、評価に使わないという約束を全社に明示してください。
1on1ミーティングを会社の仕組みとして定着させる4ステップ
ここまで進め方を見てきましたが、1on1を個々の管理職の努力に任せているかぎり、必ず属人化します。仕組みとして定着させるには、次の順序で進めます。
ステップ1.目的とルールを言語化する
何のためにやるのか、評価には使わないこと、頻度と時間、記録の扱いを1枚の文書にまとめます。口頭説明だけで済ませないことが重要です。この文書は社内ルールの一部として扱ってください(社内ルールとは?一覧・例文とテンプレート、作り方と徹底方法)。
ステップ2.共通のシートとテンプレートを配布する
前述のアジェンダシートを全社共通で使います。管理職ごとに自由にやらせないことで、品質のばらつきを抑えられます。
ステップ3.管理職にトレーニングを行う
傾聴、質問、フィードバックの3つを、ロールプレイで練習します。知識として知っているだけでは、本番では従来のやり方に戻ります。
ステップ4.実施状況をモニタリングする
実施率と、部下側の受け止め(役に立っているか)を定期的に確認します。ここを見ずに放置すると、半年後には形だけが残ります。
この4ステップこそが、私たちの言う「仕組み化」です。1on1というやり方を導入することではなく、それが誰が担当しても一定の質で回る状態をつくることが目的です。
1on1ミーティングに関するよくある質問
Q. 部下が話してくれないときはどうすればいいですか?
多くの場合、原因は部下の性格ではなく、場の安全性です。まず上司側が「うまくいっていないこと」を先に開示してみてください。上司が完璧な人として振る舞っているかぎり、部下は弱みを出せません。それでも変わらない場合は、事前にテーマを書いてもらう運用に切り替えるのが有効です。
Q. リモートでも1on1は成立しますか?
成立します。むしろリモート環境でこそ必要性が高い施策です。ただし、カメラをオンにすること、開始直後の雑談を意図的に取ることの2点は意識してください。対面であれば自然に生まれていた助走が、オンラインでは生まれません。
Q. 部下の人数が多くて時間が確保できません
一人の上司が直接見る人数が8人を超えているなら、それは1on1の問題ではなく、組織構造の問題です。中間の役割を設けるか、頻度を隔週に落とすかの判断が必要になります。無理に週1回を全員に適用して質が落ちるくらいなら、隔週で確実に実施するほうが効果は上です。
Q. 1on1の内容を人事評価に使ってはいけないのですか?
使わないことを強くおすすめします。評価に使うと明示した瞬間、部下は「評価されて困らない話」しかしなくなります。それでは1on1の目的である成長支援も、問題の早期発見も機能しません。
Q. 効果はどれくらいで出ますか?
関係性の変化は3か月程度で表れることが多いですが、離職率や生産性といった数字に表れるまでには半年から1年かかると考えてください。短期の数字で判断すると、効果が出る前に打ち切ることになります。
会社は仕組みで運営しよう
1on1で部下の状況が見えるようになったら、次は仕事そのものを渡していく段階です。仕事の任せ方|部下に仕事を任せる5ステップと権限委譲のコツと仕組み化とは?ビジネスでの意味と仕組みづくりもあわせてご覧ください。
以上、仕組み経営で推奨している1on1ミーティングの進め方ややり方についてご紹介してきました。
1on1に限らず、会社で行われる仕事はすべて仕組み化できます。仕組み化することで、属人性を排除し、社長があれこれ指示しなくても成長する会社が出来ます。1on1ミーティングは、その入口として最も効果が出やすい仕組みのひとつです。まずは一人の部下と、週30分から始めてみてください。
仕組み経営では”社長不在で成長する会社作り”を支援していますので、ぜひ以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。


