全社会議とは?
私たちが会社の仕組みづくりをお手伝いする中で、全社会議を行うことをおすすめしています。全社会議によって、会社の雰囲気も良くなり、会社の文化も醸成され、それが会社の業績につながっていくわけです。
今回は全社会議の目的や内容、失敗しないための仕組みづくりやオンライン開催時の注意点などをご紹介していきます。
全社会議とは、全社員が参加する定例会議のこと
全社会議とは、文字通り「全社員が参加する定例会議」のことです。ここでポイントになるのは、全社員が参加するということです。特段の事情がない限り、必ず全社員が参加するということが前提となります。
そしてもう1つのポイントが定例会議であること、つまり定期的に開催する会議だということです。全社会議を思いつきでやっても効果的とは言えません。毎年決まった時期に開催する、あるいは3ヶ月に1回など、定例で行っていくことが非常に大切です。それによって会社の経営にリズムが生まれ、会社の文化が高まっていきます。定例で行う会議の設計そのものについては定例会議のあり方|目的・アジェンダ例と週次・月次の進め方もあわせてご覧ください。
全社会議は英語で「オールハンズミーティング」
全社会議は英語で「All Hands Meeting」と言います。直訳すれば「すべての手の会合」なので、全社員が手を合わせる会議ということですね。日本語のなかでもそのまま「オールハンズミーティング」とカタカナで使われることがあります。
表記としては「All Hands Meeting」のほかに「all-hands meeting」とハイフンでつなぐ形も使われます。どちらも同じものを指します。
ほかに近い言い方として「Town Hall Meeting」があります。こちらは経営陣が社員の質問に答える形の会を指すことが多く、全社会議のなかの質疑応答の部分に近いものです。社内で使うなら「全社会議」で十分です。横文字にすると、参加を求められている社員の側に「何か特別な会なのか」という身構えが生まれます。
全体会議・全社定例・全社ミーティングとの違い
同じものを指す言い方がいくつもあります。整理しておきます。
- 全社会議……全社員が参加する定例の会議。この記事で扱っているもの
- 全体会議……ほぼ同じ意味。ただし「その部門の全体」を指して使う会社もある
- 全社定例・全体定例……定期開催であることを強調した言い方
- 全社ミーティング……同じもの。やや軽い場という響きになる
- 全体会……短く言うときの呼び方
指しているものはほぼ同じなので、呼び方を議論することに時間を使う必要はありません。ただし一つだけ決めておいてください。社内で使う呼び方を一つに統一することです。
理由があります。呼び方が複数あると、「全体会議」と言われたときに全社のことなのか部門のことなのか、参加する側が判断できません。特に新しく入った人は、自分が出るべき会なのかどうかが分かりません。呼び方を決めることそのものより、その呼び方に対応する参加者の範囲が決まっているかどうかが大事です。
全社会議の目的とは?
「どうしても会議が苦手だ」という経営者の方の声も耳にします。事情を伺ってみると、どうしてもダラダラした会議になってしまい、社員から「こんな会議に何の意味があるの?」という不平不満が出ることがあるようです。
そうなってしまわないように、全社会議の目的を最初に明確にしておく必要があります。みなさんの会社の現状や方向性に合ったものであればいいわけですが、代表的なものをいくつか挙げておきます。
ビジョンや戦略、計画を共有する
まず「自社のビジョンや戦略、計画を共有する」ことです。リモートワークが日常化すると、社長や経営幹部と直接話す機会が少なくなります。会社の長期的な目標や、将来へ向けた計画が一般の社員に伝わりにくくなるのです。それを全社会議を通じて定期的に共有するわけです。共有するビジョンそのものの作り方は経営ビジョンとは?作り方5ステップと策定・浸透の進め方で解説しています。
社員に安心感を与える
2つ目が「社員に安心感を与える」ことです。情報がないと社員は不安になります。ですから、全社会議で会社の現状や情報をきちんと開示して提供し、社員が安心して働けるようにします。
関わりを強める(エンゲージメント)
そして「関わりを強める」ことです。これは「エンゲージメント」という言葉で表現されます。リモートワークの環境下では、特定の人としか話さずに業務を行うことが多くなります。出社していればランチに行ったり、廊下で出会うなど、偶発的な出会いがあります。他部署のスタッフやこれまであまり接点がなかった社員と交流することで、いろいろなアイデアが生まれたりすることがありますが、リモートワークだとそういうチャンスに恵まれなくなります。
また、仕事上で関係している一部の人としか会話がなくなると、「会社に所属している」という帰属意識が薄まっていき、様々な不安を抱えてしまうことがあります。その結果、離職率が上がっていく恐れもあります。そういう意味で、全社会議を定期的に行い、他の社員との交流を促すことによって、会社との関わりを強めるわけです。詳しくは従業員エンゲージメントとは?その意味から高める方法まで。をご覧ください。
アイデアを引き出す
「アイデアを引き出す」という目的も考えられます。社員からアイデアを引き出すということです。全社会議では経営陣が一方的に話すだけでなく、社員から現場の声を引き出して経営に生かしていくことを検討しましょう。
作業に没頭するのではなく、外から会社を捉える
最後に「作業に没頭するのではなく、外から捉える」ことです。私たちはこれを「ビジネスの中で働く」と「ビジネスの外側から働く」という言い方で分けているのですが、一般社員の人は、いつも同じような作業をしていることが多いので、どうしても目の前の仕事に集中しがちです。
そうではなく、全社会議という場で、より大きな観点から会社の経営や世の中の状況、他の人が働いている状況を知ることで、全体の中での自分の仕事の位置付けを認識することができるのです。これが「外側から捉える」という意味で、これによって自分の将来をよりよく考えることができるようになります。
失敗しない全社会議のポイント
意見出しがしやすい雰囲気を作る
事前にゴールやアジェンダを共有する
全社会議の目的を全員が理解している
ファシリテーターを決め、役割を定める
- 対話が促進され、議論が活発になる
- 会議の目的から逸脱しなくなる
- 意見を出しやすい雰囲気をつくり、ポジティブな議論につながる
- 時間管理が徹底され、議事進行がスムーズになる
全社会議の内容(アジェンダ)とは?
では、この全社会議は何をやるのか、参考となる内容、アジェンダをご紹介したいと思います。
どこに向かっていて、今どこにいるのか(ビジョンと進捗)
まず「どこに向かっていて、今どこにいるのか」という、会社のビジョンとか現在の進捗を共有するということです。さっき言ったとおりで、全社会議の大きな目的は、長期的な展望をみんなに伝えることです。だからこういう会社のビジョンはこういうとこに向かっていて、それに対して今こういう状況にあるというのを定期的に社員と共有していくのが大切だと思います。人はどこかのタイミングでどこかにたどり着くという目標がないと、仕事に対して動機付けがされないわけです。そういう状況にならないように全社会議でビジョンと進捗を共有していくということです。
なぜそのビジョンなのか
そして「なぜそのビジョンを目指してるのか」という、ミッションとか使命感みたいなものを共有することです。目標があってもそれに対して目的がないと、人って動かないんです。なので、こういうビジョンがある、なぜならば自分たちはこういうことを目的としているからだと理由付けをしてあげないと、なかなか人は動機付けされないわけです。それを全社会議でやってあげるんです。
ビジョンとか目的の話は日常の仕事の中ではしないので、どうしても目の前の仕事の内容とか作業とか直近の案件の話とか、そういう細々した部分だけに話が行きがちなんですけれども、それだと長期的な展望が見えず、働き甲斐が得られないので、全社会議で全体像を見せて、今、自分たちが何をやっているかをあらためて認識してもらうことが大切だと思います。
短期的な計画
そしてビジョンだけではなく「短期的な計画」、例えば3カ月後や半年後の計画も必要になってきます。計画そのものの作り方は経営計画書の書き方、フォーマットや活用方法で解説しています。
誰がどの仕事をしているのか(部門ごと発表)
「誰がどの仕事をしているのか」も、会社が大きくなるほど分からなくなります。これを共有する場も設けてください。やり方としては、部門の責任者や担当者が、前回からの進捗を発表する時間を作ります。新しく入った人たちは、会社にこういう部門があり、こういう仕事をしている人がいると知ることができます。そうすると何かあったときに、その部門の人へ聞いたりヘルプをお願いしたりできるようになります。
何が変わり、何が変わらないのか(方針やルール)
そして「何が変わり、何が変わらないのか」ということです。全社会議の中で、方針やルールが変わったことがあれば共有します。今だとほとんどメールで方針の連絡とかルールの変更とかをやってる会社多いと思うんですけども、なかなか全部見切れないし、覚えてないです。
大切なことは何度も言わないといけないんですけど、メールで何度も言ってもなかなか聞かないっていうかみんな見ないので、そうじゃなくて、こういう全社会議という大切な場で重要なことを伝えます。
「メディアもメッセージである」という有名な言葉がありまして、大切なことは大切な場所で伝えないといけないっていうのもあるんです。なので、重要な方針の変更とか重要なルールの変更がある場合には、全社会議という大切な場所で行います。
自分は何を求められているのか(期待値と役割)
そして「自分は何を求められているのか」です。社員に対して期待値とか役割をあらためて伝えてあげるということです。こういうことができると全社会議としては成功なのかなと思います。
こういったことを全社会議を皆さんのスケジューリングに入れていただくと非常に有意義な会になるんじゃないかと思います。
全社会議のアジェンダテンプレートと時間配分
ここまでに挙げた6つの内容を、実際の進行の形に落とします。90分で行う場合の型を挙げますので、自社に合わせて調整してください。
- 0〜10分|社長からの話……どこに向かっていて、いまどこにいるのか
- 10〜25分|数字の共有……前回からの進捗。良い数字だけを出さない
- 25〜55分|部門ごとの発表……1部門5分程度。前回からの進捗と、他部門への依頼
- 55〜70分|変わったこと・変わらないこと……方針やルールの変更点
- 70〜85分|質疑応答……事前に集めた質問から先に答える
- 85〜90分|次回の日程と、今日決まったことの確認
この型でいちばん省かれやすいのが質疑応答の15分です。時間が押すと真っ先に削られます。しかしここを削ると、全社会議は社長からの一方通行の場になります。削るなら部門発表の時間を短くしてください。
アジェンダを作るときの3つの決まりごと
- 事前に配る……当日に配ると、参加者は聞きながら内容を理解することになる
- 担当者と持ち時間を書く……誰が何分話すのかを明記する。書いていないと必ず超過する
- 質問を事前に集める……その場で「何か質問は」と聞いても手は挙がらない
3つ目について補足します。質問が出ないのは参加者の関心が低いからではありません。大勢の前で最初に手を挙げるのは、誰にとってもやりにくいことだからです。事前に集めておき、最初の1問を進行役が読み上げる形にすると、そのあと手が挙がりやすくなります。
全社会議の頻度と時間
四半期に1回を基本にしてください。会社の規模が小さいうちは月1回でも回りますが、人数が増えるほど全員の時間を押さえるコストが上がります。
時間は60〜90分です。半日かけている会社もありますが、参加者の集中は持ちません。長くするより、頻度を保つほうが効きます。
大事なのは、日程を年間で先に押さえておくことです。「落ち着いたらやろう」と考えている会社では、全社会議は永遠に開かれません。落ち着く日は来ないからです。
全社会議をZoomなどのオンラインで行う場合の注意点
次に、オンラインで行う際の注意点です。最近だとほんとになかなか全社員で集まるってことはできないし、あと店舗ビジネスされてる場合には店舗は散らばってるので、一同に集まるって難しいです。1日全店舗休めて、それで集めないといけないっていう話にもなってくるんで、そういうビジネスの場合にはオンラインでやることもぜひ検討するといいと思います。
オンラインで行う場合にはいくつか注意点があります。
ファシリテーター/モデレーターを用意する
まず「ファシリテーター/モデレーターを用意する」ことです。オンラインでやる場合には、機械に慣れてない人はなかなか入れなかったりミュートにできなかったりするので、そういう機材のヘルプも必要だし、全体の進行役も必要になるんです。そういう意味で誰かファシリテーター、モデレーターを用意してあげるといいと思います。場合によっては1人だと難しいので、2、3人いたほうがいいっていうケースもあります。
事前にQ&Aを集める
オンラインの場合には、その場で質問を募ってもなかなか出てこないケースが多いです。オフラインで集まったときには、みんなワイワイしてるんで質問しやいんですけど、オンラインの場合って話してる人以外はみんなシーンとしてるんで、発言しづらい雰囲気あるらしいんです。なので、会議の前に、事前に社員の人から経営陣に聞きたいことをQ&Aとして集めて、それに対して答えるという場を設けてもいいと思います。
投票やコメントを募る
オンラインの会議のシステム、ZoomとかGoogleとかMSのやつとかありますけれども、そういうのは大体、投票とかコメント機能が付いてますんで、それを使ってインタラクティブに会議を進めるのが大切です。皆さん分かると思うんですけど、オンライン会議で単に聞いてるだけっていうのは非常に苦痛なんです。1時間ももたないぐらい苦痛なんです。なので、一方的な情報提供にならないように、インタラクティブに進めるために投票とかコメントの機能を使うってのがいいと思います。
開始前のバッファ時間を設ける
例えば会議を10時から始める場合には、9時40分ぐらいから会議のシステムをオープンさせといて、早く入ってきた人は雑談できるような場にしておくといいと思います。そうしたほうが会議全体も進めやすくなると思います。オフラインで行う場合は、大体会場は15分前くらいから開くわけです。そこで早く入ってきた人は、入ってきた人同士で雑談したりおしゃべりします。それで会場があったまって会議がうまくいくっていうこともあると思うんで、それをオンラインでもやりましょうということです。
スライドは多めに
これはPowerPointで何か話す場合の話です。例えば、このスライドを表示するとしましょう。

項目が6個ありますけれども、普通に会場でオフラインでスライド使って話す場合にはこういう書き方でもいいし、スライドに加えて、動画に人が登場して手振り身振りがある場合には、まだ何とか見えるんです。ただ、画面全体にスライドが出ている場合、画面が変わらないですよね。音はもちろん聞こえますけれども、スライド自体が変わらないので、退屈になるんです。スライド全画面でやる場合には画面の動きがないので、なるべくスライドを多くしてスライドの動きを出すのは非常に大切になってきます。
項目が6個ある場合には、1項目につきスライド1個にするのがおすすめです。「ファシリテーター/モデレーターを用意する」で1つスライド作って、次の項目行くときにはスライドを進めて「事前にQ&Aを集める」っていうスライドを別途用意して、っていう感じで6枚にします、この場合だと。そういう感じでスライドをガンガン動かすのが、見てる人を退屈させない1つのポイントなんで、おすすめです。
チームに分けて議論させる
そして「チームに分けて議論させる」ということです。これも退屈させないためのやり方なんですけれども、会議システムでは例えば100人参加してたら20人ごとに分けるとか5人ごとに分けるというのができるんで、そういう機能を使ってチームごとに何かテーマを与えて話をさせるのがいいと思います。
ザッポスっていう、いつも例に出してる会社があるんですけど、そこもAllHandsMeetingを定期的にやっています。そこは全社会議の中で、チームに分かれて会社に対する改善点をチームごとにいくつか出すっていうセッションがあるんです。それによって会議が終わったときには会社の改善点が何十個も出てる状態にすることができるというやり方です。オンラインの場合にもこうすることで、参加者も退屈せずに済みますし、会社としてはみんなからアイデアを募ることができるので、非常に有意義な会になります。そういう意味で、チームに分けて議論するのもおすすめです。
全社会議に関するよくある質問
全社会議は何人くらいの規模から必要ですか?
人数よりも、社長が全社員と直接話す機会があるかどうかで判断してください。10名程度なら日常のなかで足りていることが多いものです。目安として、社長が全社員の顔と仕事を思い浮かべられなくなる20〜30名あたりから必要性が出てきます。
全社会議と経営会議は何が違いますか?
参加者と目的が違います。全社会議は全社員が参加し、共有が中心です。経営会議は経営に関わる少数が集まり、決めることが中心です。全社会議で決議を取ろうとすると時間が足りず、経営会議で共有ばかりすると決まりません。経営会議の進め方は経営会議とは?取締役会との違いとアジェンダ例・資料の作り方をご覧ください。
全社員を集めると業務が止まります。どうすればいいですか?
店舗や工場を持つ会社では現実的な問題です。2回に分けて同じ内容を行う、録画を残して後日視聴できるようにする、という形が取られます。ただし録画だけで済ませると、質疑応答の場がない人が出ます。後日でよいので、質問を出せる窓口は用意してください。
社員が下を向いていて反応がありません
一方的に話す時間が長すぎる場合がほとんどです。15分に一度は、参加者が何かをする場面を入れてください。隣の人と一言交わす、投票する、質問を書く。どれでもかまいません。聞くだけの時間が30分続くと、人の集中は切れます。
全社会議で良い話しかしないほうがいいですか?
悪い数字も出してください。良い話だけが共有される会社では、社員は「都合の悪いことは言わない場だ」と学びます。そうなると、現場からも悪い情報が上がってこなくなります。全社会議は、その会社が何を隠すかを社員に教える場でもあります。
全社会議の議事録は必要ですか?
決議の場ではないので、詳細な議事録は要りません。ただし「共有された変更点」と「出た質問と回答」の2つは残してください。欠席者と、あとから入社した人が読めるようにするためです。
会議は仕組みで行おう
今回は全社会議の目的や内容、失敗しないための仕組みづくりやオンライン開催時の注意点をご紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。
全社会議は、会社にある会議のうちの一つです。自社にどんな会議があり、それぞれ何を決める場なのかを整理しておくと、全社会議に何を載せるべきかもはっきりします。
仕組み経営では、有意義な全社会議につなげるための仕組みづくりをご支援しています。詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。


