属人化をわざとする人の理由とは?リスクや防止策も紹介


清水直樹
属人化は多くの企業で無意識に進行しており、組織全体に深刻な影響を与える可能性があります。特定の人物に業務が依存することで、業務の効率やチームワークが損なわれるリスクが高まります。本記事では、属人化をわざと進める人々の理由、そのリスク、そして防止策について詳しく解説します。

属人化とは?

属人化とは、業務や責任が特定の人物に過度に依存し、その人物がいないと業務が滞る状態を指します。

このような状況が進行すると、組織全体の柔軟性が失われ、問題が起きた際に対応が遅れることがあり、特定の人物が持つ情報やノウハウがチーム全体に共有されず、効率が低下します。

属人化が進むと、その人物に依存している限り、業務はスムーズに進行するかもしれませんが、その人物が欠けたときに組織全体が混乱するリスクも伴います。

これにより、業務の引き継ぎやリスク管理が不十分となり、組織の成長を妨げることになります。

属人化についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

 

属人化をわざとする人の理由

属人化は多くの場合、企業にとって避けるべき課題ですが、残念ながら意図的に属人化を進める人もいます。

ここでは属人化をわざとする人の理由について、詳しく解説します。

自分に対する評価を高めるため

1つ目の理由は、自分に対する評価を高めるためです。

属人化を進める人々の中には、業務を独占することで他の人からの依存度を高め、自己評価を上げようとする人がいます。

わざと属人化を進める人

例えば、あるプロジェクトのリーダーが、自分がいないと進行しないように業務を独占することで、プロジェクト成功時にその貢献度を強調し、評価を高める戦略を取るといったケースです。

これにより、自分の立場が強化され、他のメンバーにとって不可欠な存在になることができます。

自分の責任から逃れるため

2つ目の理由は、自分の責任から逃れるためです。

属人化を進めることで、自分の責任を回避し、他の人に業務や問題の責任を押し付けることができる場合があります。

たとえば、あるマネージャーが、特定の業務を他のメンバーに依存させることで、その業務に関わる問題が発生した際に、責任を負わずに済むようにするケースです。

重要な業務を他者に依存させることで、自分のリスクを低減させ、問題が発生した際にその責任を負わなくても済むという意図です。

変化を避けるため

3つ目の理由は、変化を避けるためです。

変化を嫌い、安定した状況を保とうとする人々も、属人化を進めることがあります。

新しいシステムや手法を導入せず、現状維持を選ぶことで、リスクを避けると同時に自分の立場や業務の流れを守ることができます。

たとえば、新しい業務システムの導入に反対し、既存の方法を維持することで、業務の流れを変えず安定させようとするなどは典型的な属人化の事例です。

属人化が進むと、業務の流れが変更されることがなく、安定した状況が保たれるため、この方法を選ぶ人もいます。

属人化をわざとするリスク

属人化が特定の人でわざと進められてしまうと、企業にはさまざまなリスクが発生します。

ここではそのリスクについて詳しく解説します。

不公正な評価

1つ目のリスクは評価が不公正なものとなってしまうリスクです。

属人化が進むことで、特定の人物に過度に依存する状況が生まれ、その結果として不公正な評価が行われる可能性があります。



たとえば、プロジェクトの重要な部分を一人の社員に依存させ、その社員が成功した場合、その貢献が強調される一方で、他のメンバーがどれだけ努力しても評価されない状況になるといったケースです。

業務の一部が特定の人に依存する場合、その人物がいないと業務が回らないため、その人の評価が過大評価されがちです。

逆に、他のメンバーが貢献しているにもかかわらず評価されないことが多くなり、不公平感が生まれ、モチベーションが低下する恐れがあります。

情報の非共有

2つ目のリスクは、情報が共有されなくなることです。

特定の人物に業務が依存している場合、その人物が持っている情報や知識が組織全体に共有されないことが多くなります。

具体的には、特定の部門のリーダーに重要な業務のノウハウが集中し、そのリーダーが不在の際に業務が停滞したり、他のメンバーが必要な情報を手に入れたりすることができず、トラブルが発生した場合に迅速に対応できなくなることがよくあります。

この状態では、他のメンバーが同じ業務を行う際に必要な情報が手に入らず、全体の効率が低下します。

特に、情報の流れが一方向的であると、問題が発生した場合に迅速な対応ができなくなります。

人材育成の停滞

3つ目のリスクは、人材育成が停滞するリスクです。

属人化が進むと、業務の進行が特定の人物に依存するため、新たに入ってきたメンバーの育成が進まなくなります。

たとえば、プロジェクトを担当しているメンバーが特定の業務を独占していると、新しく入ったメンバーや後継者がその業務を学ぶ機会が少なくなり、将来的にそのメンバーが欠員した場合、組織全体に大きな影響を与えてしまいます。

組織の成長において、後継者や新しい人材の育成は不可欠ですが、属人化が進むことで、後任が育成されず、急な欠員が発生した場合に組織が対応できなくなるリスクが生じます。

トラブルの隠蔽

4つ目のリスクはトラブルが隠蔽されてしまうリスクです。

属人化が進行すると、問題やトラブルが発生しても、その人物が問題を隠蔽することがあります。

特定の部門のリーダーが問題を隠蔽してしまい、後にその問題が大きくなり、組織全体の信頼性や業務の進行に悪影響を及ぼすケースがあります。

特定の人物に依存していると、その人物がリスクを軽視したり、問題を報告しないことがあるため、組織内で問題が大きくなる前に適切な対応ができなくなります。

結果として、問題が組織全体に広がる前に対処できず、深刻化する恐れがあります。

業務効率の低下

5つ目のリスクは業務効率が低下してしまうリスクです。

属人化が進むことで、業務の進行が特定の人物に依存し、その人物の不在や負担の増加によって業務効率が低下します。

特定の人物が重要な業務を担当しており、その人物が欠席したり、過労で効率が下がると、全体の業務が滞ることになります。

例えば、業務が特定の人物に集中的に負担されている場合、その人物が欠席したり、他の業務で忙しいときに業務が停滞してしまいます。

これにより、組織全体のパフォーマンスが落ちてしまうリスクがあります。

属人化をわざとさせないための防止策

属人化を防ぐためには、業務を誰でも実行できるように標準化し、マニュアル化することが非常に効果的です。

業務の流れを明確にし、誰でも同じレベルで業務を進められるようにすることで、特定の人物に依存することなく、効率的に仕事が進められる環境が整います。

具体的には業務フローを文書化し、全員がアクセスできるようにすることで、業務を誰でも引き継げるようにするなどが挙げられます。



また、特定の人物に依存しないためには、情報をチーム全体で共有できる仕組みを整えることが重要です。

業務に必要な情報やノウハウは、チームメンバー全員が簡単にアクセスできるようにして、情報の非共有によるリスクを回避しましょう。

クラウドベースのツールや共有ドライブなどを利用することで、効率的な情報共有が可能になります。

さらに、役割を定期的にローテーションさせることで、特定の人物に業務が依存しなくなります。

業務の担当者を入れ替えることで、どのメンバーも重要な業務を遂行できるようになり、チーム全体のスキルアップにもつながります。

また、各メンバーの負担を軽減し、業務の効率が向上します。

属人化の解消方法については、こちらの記事でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

まとめ

属人化を防ぐことは、組織の健全な運営と成長に不可欠な要素です。

リスクを理解し、業務の標準化や情報共有、役割のローテーションなどを積極的に実行することで、属人化によるリスクを回避できます。

これらの対策を取り入れることで、効率的で持続可能な組織を作り上げましょう。

仕組み経営では、属人化を解消する標準化に関するサポートを行っています。

属人化でお困りの企業様は、ぜひこちらをご覧いただき気軽にご相談ください。

 

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