企業は人なりは本当?

企業は人なりとは?意味と誰の言葉か|組織・会社は人なりとの違い



企業は人なり、と言われますが、経営者の、「人の悩み」は尽きることがありません。

多くの経営者の方は「優秀な人材さえいれば」と考えます。しかし実際のところ、大半の中小スモールビジネスにはその余裕がありません。優秀な人材を雇う余裕も、優秀な人がやってくるのをのんびり待つ余裕もないのが実態です。

ここでは、日本企業でよく言われている「企業は人なり」について解説します。

 

「企業は人なり」の意味とは?

「企業は人なり」

「人材こそが最大の財産である」

というのは良く知られた格言です。「企業は人なり」と言ったのは、かつて経営の神様と言われた松下幸之助氏だとされています。企業は働く人の人格や姿勢によって、良くも悪くもなる、ということでしょう。そんな中でも松下氏自身が人格者であり、人としての在り方の模範であったことと思います。

「人なり」とはどういう意味か

「〜なり」は古語の断定の助動詞で、現代語の「〜である」にあたります。つまり「企業は人なり」は「企業とは人である」という言い切りの形です。

「人が大事だ」ではなく「人そのものだ」と言っている点に、この言葉の強さがあります。設備でも資金でも技術でもなく、そこにいる人が企業の正体である、という断定です。

「企業は人なり」は誰の言葉か

一般には松下幸之助氏の言葉として知られています。ただし正確に言うと、松下氏自身が繰り返し使ったのは「事業は人なり」という形です。松下幸之助氏の公式サイトにも「人事万華鏡(事業は人なり)」という項目が置かれています。意味はどちらも同じで、事業の成否は適切な人を得られるかどうかにかかっている、という考え方です。

この言葉と並んでよく引かれるのが、松下氏が社員に語ったとされる次の言葉です。

松下電器は人を作っている会社です。併せて電気製品も作っている会社です。

製品より先に人を挙げているところに、松下氏の順序が表れています。なお松下氏の言葉全般については松下幸之助の名言から経営理念を確立するでも扱っています。

事業は人なり・組織は人なり・会社は人なりの違い

検索していると似た言い方がいくつも出てきます。結論から言うと、指している範囲が少し違うだけで、意味はほぼ同じです。

  • 事業は人なり……松下幸之助氏が実際に使った形。個別の事業の成否を人に置いています
  • 企業は人なり……最も広く使われている形。組織全体を指します
  • 会社は人なり……企業とほぼ同じ。より日常語に近い言い方です
  • 組織は人なり……会社に限らず、チームや団体にも使えます
  • 経営は人なり……経営という行為そのものを人に置いた言い方です

また近年は「人材」を「人財」と書く会社もあり、「企業は人なり、人は財なり」と続けて使われることがあります。人を費用ではなく資産として見る、という含みを持たせた言い方です。

もちろん、企業は人で成り立っていますので、人が大事ではない、ということではありません。ここで言いたいのはむしろ逆であり、良い仕組みがなければ、人を活かすことが出来ない、ということなのです。

実際のところ、多くの経営者は人の問題に常に悩まされ、人がかえって、問題の発生源になってしまっています。

たとえば、

  • 採用した人がすぐに辞めてしまう
  • そもそも人が採用できない
  • 職場の人間関係が悪い
  • ミスが多い
  • 社員のモチベーションを上げるのに四苦八苦している
  • なかなか一人前に育たない

等々。

経営者は本来、視点を社外つまり顧客に向けるべきです。しかし人の問題が絶えないために、社内にばかり目が行ってしまう。そういう方が多いのが事実でしょう。

 

「企業は人なり」の幻想

なぜ大半の会社では「人に関する問題」が

なくならないのか?

それは、大半の会社が「人材依存」で創られているからです。この状態から抜け出すことを、私たちは仕組み化と呼んでいます。

ワールドクラスに成長する会社は、「仕組み依存」なのに対し、大半の中小スモールビジネスは「人材依存」です。例としてその違いを見てみると、、、

人依存の会社と仕組み依存の会社の違い

このように「人材依存」の会社と「仕組み依存」の会社では経営に対する考え方が「正反対」なのです。


「企業は人なり」

この格言が正しいのは、あなたの会社に正しい人を採用したり、人を活かす仕組みがある場合に限ります。

仕組みで「企業は人なり」を実践した事例

マネジメントとは人を通じて仕事を進化させることではない。仕事を通じて人を進化させることである。- 詠み人知らず

仕組み化、というと、社員(人)を軽視しているように思えるかもしれません。

しかし、正しく仕組み化が為されれば、仕組みは人を縛るものではなく、彼らの能力を発展させ、最大限に発揮されるものになります。

たとえば、ヤクルトでは、初心者の販売員(ヤクルトレディ)でも販売できるように仕組みが整えられており、世界中に広まっています。

また、例えば米国で有名なEC企業ザッポス社。

私たちがザッポス本社に視察ツアーに行った際、とある社員にインタビューすることが出来ました。

彼はもともと、内気であまり自分のやりたい仕事をやることが出来ませんでした。ミーティング中もあまり発言が出来ず、本当にこの会社で自分が活躍できるのか?と思い詰めていたそうです。しかしある時、会社が新しい組織運営の仕組み「ホラクラシー」を導入することになりました。

その仕組みを導入したことで、会社のミーティングの仕方も変わりました。ミーティング中はすべての人に発言する機会が与えられるようになりました。彼はその仕組みによって、自分の意見を言えるようになり、周りの人たちも彼の仕事内容を評価するようになりました。私たちが話を聞いた時点でチームリーダーとして活躍していたのです。

ザッポス社の詳細についてはこちらからご覧ください。

その人が活躍できるかどうかをその人次第にしてしまっては、せっかくの人の可能性も活かすことが出来ません。人が持っている可能性を発揮させるためにも仕組みが必要なのです。

仕組みがあることで、人は創造性を発揮できる

会社における人の価値は、なんといっても創造することです。単なる作業はどんどん機械やAIに置き換わっていきます。そんな中で人の価値は、新しいやり方を考えたり、新しい工夫を加えたり、新しい事業を立ち上げたり、と創造性を発揮することなのです。

これは社員であろうと社長であろうと変わりがありません。全ての社員が創造性を発揮して働くことこそが、会社の成長につながっていきます。

では、社員が創造性を発揮するにはどうすればいいのか?

人が創造性を発揮するのは、日常の何気ない活動を無意識にしている時だとされています。運動している時やお風呂に入っている時などです。あなたも経験があるかも知れませんが、目の前の雑務からいったん離れて、リラックスした時に良いアイデアが生まれやすいとされています。目の前の作業に追われて忙しく、頭の中がいっぱいいっぱいの時にはいいアイデアが出ません。

ということは、社員が創造性を発揮するためには、社内でそういった環境を創らなければなりません。そのためには、可能な限り、作業レベルでの判断を無くすことです。この仕事をどうやろうか。このクレームにどう対応しようか。この案件にどう対処しようか。そういった細かい作業レベルのことは、無意識のうちに出来るようにしておきます。

要はそれが仕組み化なのです。作業レベルの細かい判断をしなくても良くなれば、その分だけ創造的な仕事に時間を使えます。手順と判断基準を先に決めておく進め方は、マニュアルの作り方の記事にまとめています。

繰り返しになりますが、仕組みは人を縛るものではなく、彼らの可能性を最大限に発揮させるために創られるものなのです。

「企業は人なり」を自社で実践する3つの手順

ここまでの話を、明日から手をつけられる形に落とします。優秀な人を待つのではなく、いまいる人が力を発揮できる状態を先に作る、という順番です。

手順1:採用の前に「誰でも成果が出る形」を作る

人が採用できない、採ってもすぐ辞める。この悩みの多くは、入った人が成果を出せる形が用意されていないことから来ています。新しい人が入るたびに先輩の背中を見て覚える会社では、教える側の負担も、教わる側の不安も減りません。

まず、いちばん人が入れ替わる仕事を1つ選んでください。その仕事の手順と、どうなっていれば良しなのかという基準を書き出します。手順書が1枚あるだけで、立ち上がりの速さは変わります。

手順2:人の問題を、人のせいにせず構造で見る

ミスが多い、指示待ちが増える、報告が上がってこない。こうした問題が起きたとき、「誰が悪いか」ではなく「どういう形になっているからそうなるか」を先に見てください。

たとえばミスが多いなら、その作業の判断基準が決まっているかを確認します。報告が上がってこないなら、報告する場が業務として設定されているかを見ます。ルールが守られない会社の多くは、守る気がないのではなく、守れる形になっていません。


手順3:創造に使う時間を、制度として確保する

先に書いたとおり、人の価値は創造することにあります。しかし目の前の作業に追われていては、その時間は生まれません。

ここは気合いでは解決しません。改善を考える場を、業務の予定として先にカレンダーへ入れてください。定例会議の議題に「今月やめられた作業」を毎回入れる。それだけでも、作業を減らす方向に力が向きます。

「企業は人なり」を掲げるなら、人に期待する前に、この3つを会社の側が用意する。それが私たちの考える実践です。

「企業は人なり」についてよくある質問

「企業は人なり」は誰の言葉ですか?

一般には松下幸之助氏の言葉として知られています。ただし松下氏自身が繰り返し使ったのは「事業は人なり」という形です。松下幸之助氏の公式サイトにも「人事万華鏡(事業は人なり)」という項目があります。意味はどちらも同じで、事業の成否は適切な人を得られるかどうかにかかっている、という考え方です。

「人なり」とはどういう意味ですか?

「〜なり」は古語の断定の助動詞で、現代語の「〜である」にあたります。「企業は人なり」は「企業とは人である」という言い切りの形です。「人が大事だ」ではなく「人そのものだ」と言っている点に、この言葉の強さがあります。

「組織は人なり」「会社は人なり」との違いは何ですか?

指している範囲が少し違うだけで、意味はほぼ同じです。事業は個別の事業、企業と会社は組織全体、組織は会社に限らずチームや団体まで含みます。使い分けに厳密な決まりはありません。

「人は財なり」とはどういう意味ですか?

人を費用ではなく資産として見る、という考え方を表した言い方です。「人材」を「人財」と書く会社もあり、「企業は人なり、人は財なり」と続けて使われることがあります。

優秀な人を採用できない中小企業はどうすればよいですか?

優秀な人を待つのではなく、いまいる人が成果を出せる形を先に作ってください。手順と判断基準が決まっていれば、特別な経験がない人でも一定の成果が出せます。結果として、その会社は「人が育つ会社」として選ばれるようになります。順番が逆になっている会社が非常に多いところです。

「企業は人なり」は、人に依存する経営を肯定する言葉ではないのですか?

違うと考えています。人が大事であることと、人に依存することは別です。人に依存した会社では、その人が抜けた瞬間に成果が落ちます。それは人を大事にしていることにはなりません。人を活かす仕組みがあってはじめて、「企業は人なり」は成り立ちます。

「企業は人なり」を実践する経営なら

このサイト「仕組み経営」では、人を活かし、会社を成長させるための仕組みづくりをご支援しています。詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。
 


>仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

人依存の経営スタイルから脱却し、仕組みで勝手に成長する会社するための「仕組み化ガイドブック」をプレゼント中。

CTR IMG