日報

日報とは?書き方と例文、続かない4つの理由と対策



清水直樹
今日は、日報についてご紹介していきます。書き方だけでなく、「日報が続かない」「書かせても意味がない」という状態がなぜ起きるのかも見ていきましょう。

 

日報とは?業務日報との違い

日報とは、その日にやったことや気づいたことを記録して、上司や関係者に共有する報告のことです。読み方は「にっぽう」です。

「業務日報」「作業日報」「営業日報」といった呼び方もありますが、指しているものはほぼ同じで、対象が違うだけです。作業日報は現場での作業内容と時間を記録するもの、営業日報は訪問先と商談内容を記録するもの、というように用途で呼び分けられています。

社内で使う呼び方は一つに決めておくと混乱がありません。呼び方を議論することより、それを何のために書くのかを決めるほうがはるかに重要です。

 

日報と週報・月報の違い

違いは頻度だけではありません。扱う内容の粒度が変わります。

  • 日報……その日に起きた事実と、気づいたこと。細かい変化を拾うのに向いています。
  • 週報……1週間の進捗と、来週の予定。仕事の進み具合を見るのに向いています。
  • 月報……数字の実績と、その分析。傾向を見るのに向いています。

3つとも同じ内容を頻度だけ変えて書かせている会社は、どこかで必ず形骸化します。日報に週報の内容を求めると、毎日「特に変わりありません」が並ぶことになるからです。

 

日報の目的|何のために書くのか

ここがこの記事でいちばん大事なところです。日報の目的が決まっていない会社では、日報は必ず形骸化します。

目的は大きく3つあります。自社ではどれを狙っているのかを、はっきりさせてください。

 

①その日の事実を共有する

誰が、どこへ行き、何をしたのか。この情報が共有されていれば、担当者が休んだときに他の人が引き継げます。この目的で書くなら、必要なのは事実だけです。感想や反省は要りません。

 

②本人が振り返る

書くことで一日を整理し、次の行動を決める。この目的なら、事実よりも「何に気づいたか」「次に何を変えるか」のほうが重要になります。

 

③現場で起きていることを経営側が把握する

顧客の反応、現場の困りごと、うまくいった工夫。こうした情報は、日報以外の経路では上がってきにくいものです。この目的なら、書かせるだけでは足りません。読んで、返す必要があります。

3つのうちどれを狙うかで、書かせる項目も、読む人も、返し方も変わります。そして多くの会社では、この3つが混ざったまま「とりあえず日報を書かせている」状態になっています。書く側からすれば、何を書けば正解なのか分からないまま毎日提出することになります。

 

日報の書き方|入れる5項目

目的が決まったら、項目を決めます。基本は次の5つです。

  • 1.今日やったこと……事実だけを簡潔に。時間の記録が必要な業務なら時間も。
  • 2.結果と進捗……どこまで進んだのか。数字で書けるものは数字で。
  • 3.気づいたこと……顧客の反応、想定と違ったこと、困ったこと。
  • 4.明日やること……翌日の予定。ここがあると、翌日の日報とつながります。
  • 5.相談したいこと……判断を仰ぎたいこと、助けてほしいこと。

5項目目を入れている会社は多くありません。しかし、ここがあるかないかで日報の性格が大きく変わります。「相談したいこと」の欄があると、日報は報告書から相談の窓口になります。わざわざ時間を取って相談するほどではない、しかし気になっていること。こうした小さな引っかかりが上がってくるようになります。

 

日報の例文|悪い例と良い例

同じ一日でも、書き方でまったく違うものになります。営業担当の例で見てみます。

悪い例

  • 今日やったこと……A社、B社、C社を訪問しました。
  • 気づいたこと……もっと提案力を上げていきたいと思いました。
  • 明日やること……引き続き営業活動を頑張ります。

良い例

  • 今日やったこと……A社訪問(見積提示)、B社訪問(初回ヒアリング)、C社に電話で納期確認。
  • 結果と進捗……A社は来週中に返答をもらえる見込みです。B社は現在3社で比較検討中とのことでした。
  • 気づいたこと……B社の担当者から「導入後のサポート体制が判断材料になる」と言われました。今の提案書にはサポートの記載がありません。
  • 明日やること……B社向けにサポート内容を追記した資料を作成します。
  • 相談したいこと……サポート範囲をどこまで書いてよいか、確認させてください。

違いは一つです。悪い例には、読んだ人が何かできることが一つも書かれていません。「頑張ります」「上げていきたい」という表現は、書く側の気持ちであって、事実でも相談でもないからです。

そして、この差は本人の文章力ではありません。何を書けばいいのかを会社が示していないだけです。良い例のような項目立てを最初に渡しておけば、多くの人はそのとおりに書きます。

 

日報が続かない4つの理由

日報を導入したものの、数か月で誰も書かなくなった。あるいは形だけになった。よくある話です。原因は書く側の意識ではありません。

 

①読まれていない

最大の理由がこれです。提出しても何の反応もない状態が2週間も続けば、誰でも書く意味を感じなくなります。

読んでいるつもりでも、読んだことが相手に伝わっていなければ同じです。書く側から見れば、既読がついたかどうかは分かりません。

 

②書く項目が決まっていない

自由記述の日報は、書く側にとって負担が大きくなります。毎日「何を書けばいいのか」から考えることになるからです。項目が決まっていれば、埋めるだけで済みます。

 

③目的が説明されていない

「なぜ書くのか」を伝えずに始めると、監視されていると受け取られます。特に、日報の導入と業績の悪化が重なったときは、その印象が強くなります。導入の前に、何のために書いてもらうのかを言葉で伝えてください。

 

④正直に書くと不利になる

うまくいかなかったことを書いたら叱られた。困っていると書いたら能力を疑われた。こうした経験が一度でもあると、以後の日報からは都合の悪い情報が消えます。

そして残るのは「本日も問題なく業務を行いました」という当たり障りのない文章です。日報に悪い情報が上がってこない会社は、日報が機能していないのではなく、機能した結果としてそうなっています。書く側が学習した結果だからです。この構造については心理的安全性の作り方で詳しく扱っています。


 

日報は「書かせるもの」ではなく「返すもの」

4つの理由を裏返すと、日報を機能させる条件が見えてきます。いちばん重要なのは、返すことです。

返すといっても、長い文章は要りません。次の3つのどれかで十分です。

  • 受け取ったことを伝える……一言で構いません。読まれていると分かるだけで、書く側の姿勢が変わります。
  • 相談に答える……5項目目に書かれた相談には、翌日までに返します。
  • 気づきを拾って共有する……役に立つ気づきは、本人の名前を出して全体に共有します。

3つ目が効きます。自分の日報に書いたことが会社の判断に使われた、という経験を一度でもすると、書く内容が変わります。逆にいえば、何も拾われない状態が続けば、書く内容は薄くなっていきます。

日報を読む時間が取れないという声もよく聞きます。その場合は、全員分を毎日読むのをやめてください。週に一度まとめて読む、あるいは相談欄だけ毎日見る。読み方を決めておくほうが、読めないまま溜めるより確実です。

 

経営者が日報を活かすには

ここからは、社長や管理職の側の話です。

 

社長も日報を出す

仕組みや決まりごとを作っても、社長や管理職といったリーダーが守らなければ形骸化します。社員に日報を出すよう求めたのであれば、社長自身も日報を出す必要があります。そうでなければ、社員は「なぜ我々だけがこんなことをしなければならないのか」と感じるからです。

そんなことをしている会社があるのかと思われるかもしれません。私たちのお客様のなかに、実際に社員と一緒に日報を出している社長がいます。その日に自分が行ったことや気づいたことを、毎日全社員に配信しているのです。

結果として何が起きたか。社員との信頼関係が構築され、お互いに言いたいことが言える、非常に生産性の高い組織になっています。

社長の日報には、もう一つ効果があります。社長が何を見て、何を考えて、どう判断したのかが社員に伝わることです。判断の基準は、口で説明してもなかなか伝わりません。しかし毎日の判断を見ていれば、少しずつ共有されていきます。この効果はコアバリューを浸透させる作業とほぼ同じものです。

 

日報から仕組みをつくる

日報には、現場でしか分からない情報が蓄積されています。同じ困りごとが複数の人の日報に出てきたら、それは個人の問題ではありません。仕事のやり方そのものに原因があるというサインです。

そこで手順を見直し、次からは誰もそこで困らないようにする。これを繰り返すと、日報は改善の入口になります。手順に落とす具体的な方法はマニュアルの作り方をご覧ください。

 

日報に関するよくある質問

日報は本当に必要ですか?意味がないのでは?

目的が決まっていない日報に意味はありません。ただし、それは日報という手段が悪いわけではなく、何のために書くのかを決めていないからです。判断の一問はこうです。「この日報をやめたとして、何か困ることがありますか」。答えが出てこないなら、その日報は今すぐやめて構いません。空いた時間に何を入れるかを先に決めてください。

 

どれくらいの分量が適切ですか?

5分で書ける量にしてください。書くのに30分かかる日報は、その時間の分だけ本来の仕事から引かれています。営業担当が20人いる会社なら、1日30分の日報は月間200時間になります。この時間に見合う情報が得られているかを、一度計算してみることをお勧めします。

 

手書きとツール、どちらがよいですか?

検索できるかどうかで選んでください。日報の価値は、あとから読み返せることにあります。「あの顧客の件、去年どうなっていたか」を探せない形で溜めても、資産になりません。特別なツールでなくても、共有のファイルやチャットで十分に機能します。

 

書く人によって内容の差が大きいのですが。

文章力の差ではなく、項目の設計の問題です。自由記述をやめて、5つの項目を埋める形にしてください。それでも差が残る場合は、良い例をひとつ社内で共有すると揃っていきます。人を注意するより、見本を見せるほうが早く効きます。

 

提出しない社員がいます。

まず、その人が提出しないことで何が起きているかを確認してください。誰も困っていないなら、その人の日報は元々必要なかったということです。困っているなら、何が書けないのかを本人に聞きます。提出を守らせること自体が目的にならないよう注意してください。ルールが守られない構造については社内でルールが定着しない理由で扱っています。

 

日報と1on1は両方必要ですか?

役割が違うので、両方あって構いません。日報は日々の事実と小さな気づきを拾うもの、1on1はまとまった時間を取って本人の状態や中期的な話をするものです。日報で上がってきた相談を1on1で扱う、という組み合わせは相性が良いといえます。詳しくは1on1ミーティングのやり方をご覧ください。

 

まとめ

日報とは、その日にやったことや気づいたことを記録して共有する報告です。書くときは、今日やったこと、結果と進捗、気づいたこと、明日やること、相談したいことの5項目を埋めます。

そして、日報が続かない理由は書く側の意識ではありません。読まれていない、項目が決まっていない、目的が説明されていない、正直に書くと不利になる。この4つはどれも会社側の設計の問題です。

日報は書かせるものではなく、返すものです。受け取ったことを伝え、相談に答え、良い気づきを全体に共有する。そして社員に求めるなら、社長自身も書く。ここまでやって初めて、日報は現場と経営をつなぐ道具になります。

なお、仕組み経営では、こうした情報共有の仕組みづくりを含めた会社の仕組み化をご支援しています。詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。


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