「社長を辞めたい」「経営を辞めたい」と感じる経営者は多く存在します。
そしてその背景には、こんな悩みが潜んでいます。
・仕事に追われて自分の時間が取れない
・年を取って体力的に経営が厳しい
・会社の業績が上がらない
・後継者がいない
しかし、自分が辞めたら会社や社員/従業員はどうなるのか?
こんな心配をしてズルズルと経営を続けてはいませんか?
今回は、そんな「社長を辞めたい」と考えている経営者が、会社と社員を守りながら経営から退く方法を2種類、お悩み別に紹介します。
社長を引退する方法①会社売却(M&A)
一つ目に紹介するのは、会社売却(M&A)です。
以下の2つの悩みを抱える社長におすすめの方法です。
社長の悩み①後継者がいない
近年、中小企業やスモールビジネスの経営者の間で特に多い悩みが、会社の後継者がいないことです。
これまでバリバリ会社を成長させて来た社長が年齢的に経営を続けるのが厳しくなった時に、後を継いでくれる人材がいないのです。
会社を存続させたいけれど人材がいなくて結局廃業する羽目になる、
こんな話をよく耳にします。
この場合、社長は辞めたいのに辞められない状況に追い込まれてしまいます。
社長の悩み②会社に情熱が持てない
今の会社に対して情熱が持てない。
もしくは他に興味のあることができてそちらに集中したい。
このような理由から社長を辞めたいと考える経営者もいるでしょう。
会社は、経営者の人生のビジョンや夢を実現させるための場所です。
もし自分の将来像や人生の目標の実現に今の会社が意味を成さないと感じるならば、その会社は辞めて他のことに時間を割く方が確実に社長の幸せに繋がるでしょう。
日本では、よく一つのことを長く続けることこそが美徳だと言われますが、実際人の情熱は移り変わるものです。
自分が死ぬ間際に人生を振り返った時、何を感じていたいかどうか?
それこそが一番大切なのです。
会社売却(M&A)を勧める理由
さて、上記のような悩みを抱える社長に会社売却(M&A)を勧める理由は2つあります。
1つ目は、会社売却であれば社長にその後の人生を豊かにするための資金が入ってくるからです。
廃業や単純な退社よりも、売却の方が額は大きいので、もしもシリアルアントレプレナーのように次の会社を立ち上げたい場合は起業資金にすることも可能です。
2つ目の理由は、社員と会社を守ることができるためです。
会社売却にも形は様々ですが大抵の場合、もともといた社員の雇用は安定して守られますし、会社を信頼できる新しい経営者に引き継げるので、会社が存続します。
更に、大きな会社に売却すれば社員のキャリアパスも広がり、人材として成長できる可能性も高まるでしょう。
会社売却(M&A)を始める前に
会社売却を検討するにあたり、必ず考えていただきたいのが、経営の仕組み化です。
経営の仕組み化とは、経営に必要な業務をマニュアル化し、オペレーションシステムを構築することで、
仕組み化によって、会社は誰でも経営できる状態になります。
フランチャイズ展開しているマクドナルドがいい例です。
マクドナルドは店の運営から接客までの全業務がマニュアル化され、システムとして成り立っているので、誰でも簡単に店舗を運営することができます。
※マクドナルドの事例について詳しくはこちら→「レイクロックから学ぶ!失敗しない経営術 – ターンキー革命基礎理論(3/5)」
では、なぜ会社売却において仕組み化が大切なのでしょうか?
それは、仕組み化されている会社とされていない会社では売却額に大きな差が生じるためです。
というのも、経営の仕組み化の究極のゴールは、社長がいなくても会社が回る・勝手に成長していく状態です。
つまり、会社売却においては新しいオーナーが前社長と同じように会社を経営し、少なくとも同じ利益を出すことが可能となります。
前社長がいなくなった途端に売上が落ちるような会社は、買ってもあまり価値がありませんよね。
経営者が誰であろうと、会社自体の価値は変わらない状態があるからこそ高値が付くということです。
どのくらい価値が上がるのかどうかはこちらの記事をご参照ください↓
「どんな会社も高く売れる! 会社売却の相場を7倍に増やすには」
社長を引退する方法②セミリタイア
社長を引退するもう一つの方法がセミリタイアです。
セミリタイアとは、完全に会社を退職して無職状態になるのではなく、働く時間を大幅に減らして余暇を増やすことです。
この方法は完全に会社から離れるという訳ではありませんが、ほとんど会社に行かなくても良い状態が作れるので、
実質的に「社長を辞めたい」というニーズには合致します。
つまり、
「会社の所有権を持ちながら経営の仕事は誰かに任せる」
ということになるわけです。
この方法は以下の悩みを持つ社長におすすめです。
社長の悩み③忙しすぎる
これは本当に多くの社長が抱えている悩みではないでしょうか?
日々の業務に追われてプライベートの時間を全く取れず、身も心も疲弊していく、
でも自分がいないと会社が回らないから休みが取れない。
このような社長は、商品/サービス作り・経理・営業・マーケティングなど経営に関わる全業務を自分自身で行う傾向にあります。
そしてこのタイプの社長に見られるのが、人を雇ってもあまり自分の負担が減らない傾向です。
その背景には、
・自分のやり方を社員にうまく伝えられていない
・各業務に適した人材をアサインできていない
といったものが挙げられます。
ここで紹介するセミリタイアの方法では、これらの原因を解決して社長が現場にいかなくても会社が勝手に成長していく状態を作り出すことができます。
セミリタイアにも仕組み化が必須
社長がセミリタイアを実現するのに欠かせない条件が、社長が会社にいかなくても会社の売上が落ちないことです。
この状態の実現にも、実は上記の会社売却で述べた経営の仕組み化が必須です。
ただし、ただ単に日々の業務をマニュアルに落とし込んで社員に任せるだけでは不十分です。
会社を成長させながらセミリタイアを望むのなら、社長中心ではなく、社員発信型の企業文化の形成や社長の右腕的存在も必要となってきます。
セミリタイアのための詳しいプロセスは下記の記事にまとめてありますのでご覧ください。↓
社長を辞めずに働く時間を減らした事例
最後に、実際に社長を辞めずに会社にいく時間を大幅に減らした事例を2つ紹介します。
①都市ガスサービス株式会社代表取締役 積田宜也さん
社長が当時365日働き詰めだった状態から、経営を仕組み化したことで現在では仕事時間を1/10程度に減らし、趣味を楽しむ余裕もできたそうです。
詳しくはこちらをご覧ください。↓
②株式会社エグゼサポート 勝亦徹さん
勝亦さんは一人で会社を経営されていらっしゃいますが、仕組み化の概念を学んだことで、わずか一年で働く時間を”少なくとも”三分の一にすることに成功されました。
詳しくはこちらをご覧ください。↓
社長を辞めたいなら仕組み化を
いかがだったでしょうか?
社長を辞めたいと感じる背景にあるお悩み毎に解決策を2種類提示しました。
①会社売却(M&A)
②セミリタイア
そしてどちらの方法においても、業務/経営を仕組み化して社長がいなくても会社が回るシステムを構築することが必要不可欠です。
もちろん会社を廃業にして社長を引退することもできますが、人生100年時代と言われる現代で、
資金面はもちろん、残りの人生をどう有意義に過ごすかという意味でも廃業はおすすめしません。
社長を辞めたいと感じるならば、まずは自分の現状の悩みを分析した上で今後の人生をどう過ごして行きたいかを考えてみてください。