初めての方はこちら

企業文化を完全解説

この記事では、仕組みづくりの基盤となるコアバリューと企業文化についてご紹介していきます。

最初に参考までに、以前に勉強会で利用したPPTをシェアさせていただきます。

 

では、より詳しい内容は以下の記事でご覧ください。

企業文化の定義

企業文化、組織文化という言葉はしょっちゅう議論の対象になります。しかし、その定義とは何でしょう?

企業文化については広範囲な学術的な研究が行われていますが、その定義については、いまだ統一が得られていないのが現状といえます。

たとえば、下記のような定義付けがあります。

  • 集団の行動規範や、そうした規範を維持し続けている根底にある共有された価値観 – John Kotter

  • 組織における人々の行動や仕事のやり方を規定する、必ずしも明確ではない価値観や規範、信条や態度や前提のパターン – Michael Armstrong

  • 外部適応や内部統合の問題を解決するために、とある集団が発明し、発見し、開発した基本的な前提のパターンであり、十分に妥当であると思われているため、それらの問題に対してどのように知覚し、考え、感じるべきかの正しい方法を新たな成員に対して教えられる種類のものである – Edger Schein

他にも様々な定義付けがありますが、共通していることをまとめれば、次のようになるでしょう。

企業文化とは、

第一に、社員が共通して持つ信念や価値観の集合体であり、
第二に、組織と社員の活動を特徴づけるものである。

また、Paypalの共同創業者であり、「Zero to One」の著者であるピーターティール氏は、次のように言っています。

企業にとって文化とは持つモノじゃない。企業そのものが文化だ。
-ピーターティール

人が集まるところには文化が出来る。そして、会社ができれば文化が出来るというわけです。

なぜ企業文化を気に掛ける必要があるのか?

それは、企業文化は業績に直結するからです。

これを良く表した例が、無印良品です。

ご存知の方もいると思いますが、無印良品には、MUJIGRAM(ムジグラム)という立派なマニュアルがあります。

実はこのマニュアルが出来る前は、「セゾン文化」と呼ばれる”先輩の背中を見て育て”という文化があったそうです。

仕事は見て盗むもの、という典型的な職人文化です。

これは創業者であるカリスマ、堤さんから生まれた感性主義の文化だったのです。

そのため、カリスマがいなくなると、仕事にばらつきが生まれ、38億円の赤字という業績悪化へと繋がっていきました。

それを変えたのが、松井会長です。

松井会長は感性主義から脱却し、仕組み主義へと脱却させ、MUJIGRAMを創りました。

結果、現場力が高まり、人材育成のスピードも高まり、過去最高の業績へと繋がったのです。

このように、職人志向の会社を起業家志向に変えていくには、企業文化も気に掛ける必要もあるのです。

もうひとつ、企業文化を気に掛けるべき理由があります。

それが、「採用」です。

海外の成長企業の間では、採用する際に、その人の能力や資質のみならず、その人が自社の企業文化に合うかどうか?が重要視されています。

これは以前お伝えした通り、採用した人が100%、またはそれ以上の能力を発揮できるかどうかは、その人が働く環境に左右されるからです。

グーグル社の元CEOエリック・シュミット氏は、著書「How Google Works」の中で次のように書いています。

スマートクリエイティブは職を探す時に重視するリストの一番上に文化を持ってくる。実力を発揮するには、どんな環境で働くかが重要だとわかっているからだ。

※スマートクリエイティブというのはグーグルが定義する優秀な人材の呼び名。

このように、採用の際、自社の企業文化に合う人かどうかを見極めるのがとても大切なのです。

 

企業文化はどこから生まれるか?

企業文化は、その会社が直面してきた、過去の課題や挑戦、それにどう対処してきたか?その成功体験、失敗体験を経て形創られるとされています。

例えば、私が以前在籍していたマイクロソフトは、創業当時から、ライバルを蹴落として売上を上げてきました。

その経験が成功体験となり、”これが私たちのやり方だ”と新入社員に伝承されていくことになります。

さらに会社の歴史を振り返っていけば、そもそも、創業者自身の価値観や信念が企業文化の構築に大きな影響を与えていることがわかります。

特に創業当初の企業文化は、創業メンバーの個人的な性格や背景、価値観が強く反映されています。

創業後、だいたい10人までのメンバーが持っている信念や価値観によって初期の企業文化が形作られると言われています。

彼らの仕事のやり方、ビジネスのやり方が組織のルールや構造になります。そして新しくチームに加わるメンバーは、そのやり方に従うことになります。

創業者の価値観によって会社が成功し続ければ、同じ価値観で運営され続け、逆に、その価値観では時代の環境についていけなければ、変革の必要性に直面します。

先ほどの無印良品の話はまさにその実例ですね。

 

5匹の猿

文化がどのように生まれるか?に関連して、5匹の猿という社会実験があります。

英語ですがアニメーションなので、わかりやすいかも知れません。

念のため、簡単に流れを書いておくと、、、

1.5匹の猿をゲージの中に入れる
2.真ん中に梯子を置き、上にバナナを乗せる
3.ある猿がバナナを取りに行こうとするたびに、他の4匹に水を浴びさせる
4.繰り返すと、ある猿がバナナを取りに行こうとすると、他の猿がそれを阻止するようになる
5.さらに繰り返すと、どの猿もバナナを取りに行かなくなる
6.5匹のうちの1匹を入れ替える
7.新入りがバナナを取りに行こうとすると、他の猿が阻止をする
8.新入りもバナナを取りに行かなくなる
9.同じようにして、5匹の猿を全部入れ替える
10.どの猿もバナナを取りにいかない
¹1.「なぜバナナを取りにいかないのか?」と聞けば、「わからない。それがここでのやり方なんだ」と答えるだろう

というような感じです。

つまり、この実験で、新しく入った5匹の猿は、誰も水を浴びさせられた経験もないのに、バナナを取りにいかなくなります。

目の前に好物があるにも関わらず、みんなが取りにいかないから、自分も取りにいかない、という状況が生まれたのです。

実は会社組織でも似たようなことがあったりします。

過去の成功体験、失敗体験が脈々と受け継がれているがために、あれはやらないほうが良い、と勝手に思い込んでしまっているときがあったりするのです。

過去の経験は貴重な財産になることもありますが、この例のように、みすみすチャンスを見逃してしまう原因もなるということです。

企業文化は、過去の成功体験、失敗体験からも形作られると言います。

その傾向が強くなれば、結束力が固くなると同時に、固定概念にはまってしまう危険性もあるということですね。

 

あなたの会社をギリシャの神々に例えると誰?チャールズ・ハンディの組織文化モデル

企業文化の分析・診断のために、いくつかの手法が研究されてます。ここではヨーロッパにおけるドラッカーのような存在と言われるチャールズ・ハンディの組織文化モデルをみてみましょう。

チャールズ・ハンディ(Charles Handy/1932年~)は、アイルランド出身の経営学者です。ヨーロッパでは、経営学の権威として知られる人物であり、ロンドンビジネススクールの創設者の一人でもあります。日本における知名度はいまいちですが、ヨーロッパにおけるドラッカーと評される人物だそうです。

著書も何冊か出てますが、組織文化について書かれている「ディオニソス型経営(原題:Gods of Management)」は既に絶版のようで、アマゾンでも高値がつけられています。

チャールズ・ハンディは、組織の文化を4つのカテゴリーに分けています。書籍の原題、「Gods of Management」のとおり、文化をギリシャの神々に例えて表現しているところが面白いです。

4つのカテゴリーは次の通りです。

1.権力文化
権力を保持する強大なリーダーによって、支配される組織でゼウスに例えられています。組織は蜘蛛の巣のような状態で、中心にいる蜘蛛がすべての意思決定や行動を握っています。権力文化は、意思決定が速かったり、統一性が出ますが、一方で、リーダーの枠を超えて組織が成長することがない、という弱点もあります。

2.役割(官僚)文化
体系だてられ、整理されている組織で、ギリシャ神殿に例えられています。組織構造はきっちりした階層構造になっており、それぞれの役職には明確な役割や手順が与えられています。役割(官僚)文化では、決められたことを決められたとおりに行うことで一貫性のある経営が可能になる一方で、市場環境に対応したり、変革を起こしたりするのが苦手、という弱点もあります。

3.仕事(タスク)文化
プロジェクトベースで仕事が進んでいく組織で、女神アテナに例えられています。特定の目的に向かってチームが編成され、目的を達成したらチームが解散する、ということを繰り返します。コンサルティングファームやIT企業などに多いタイプと言えるかもしれません。柔軟性や革新性が求められる状況に強い一方、組織全体での強みや一体感を生み出すことが難しいという面もあります。

4.個人文化
専門家が集まって、ゆるやかな組織を形成している文化で、酒と歌の神ディオニソスに例えられています。この組織に所属している人たちは、個人の目的を達成するために存在していて、組織に対する忠誠心や所属意識は薄い傾向にあります。士業の会社やデザイン事務所など、専門職を擁する組織に多いタイプと言えます。

という感じで、どの企業も、完璧にどれかに当てはまる、というわけではありませんが、どれかの傾向が強くなっているとされています。

4つのタイプそれぞれの強み、弱みがありますが、汎用的に完璧な組織文化というのは存在しないので、自社にとってどれが最適か?という視点で考える必要がありますね。

 

企業文化とリーダーシップスタイル

企業文化とリーダーシップがどう関係するのかを見てみましょう。

経営者や管理職のリーダーシップのスタイルも企業文化に影響を与えることがわかっています。

たとえば、インスピレーションを与えるような話をするリーダーの場合、チーム重視、協力関係重視の文化になります。

一方、報酬でやる気を出させるリーダーの場合、競争関係重視、結果重視の文化になります。

これは一例ですが、ともかくリーダーの言動が企業文化に影響を与えます。他のメンバーはリーダーの言動を見て、この組織内では何が許され、何が許されないのか?どんな決断が良いとされ、何が悪いとされているのか?そういったことを自然と判断するようになるのです。

先ほどの5匹の猿の話がまさにそれを表しています。

リーダーがロールモデルとして、他のメンバーにその会社の価値観や何が重要なのかを示していることになります。

私が師事した世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーは次のように言っています。

あなたのやるべきことは、単に仕事を終わらせるのではなく、導くことなのだ。社内で枯れない井戸となり、そこから価値観を生み出し、浸透させ続けていることを忘れてはならない。組織図の上に行くにしたがって、あなたは何をしているか?よりも、どんな人物であるか?が大切になる。これはリーダーの大きな責任でもあり、チャンスでもある。あなたは意識しているかどうかにかかわらず、常に、周りの人たちをトレーニングしているのである。

ここに書いてある通り、特にリーダーとしての役割を担う人は、自らが文化の体現者となっていることを忘れてはなりません。

 

企業文化と人事評価制度

会社の人事評価制度も企業文化に影響を与えます。どんな行動や結果を生み出せば、評価されるのか?または評価されないのか?

人事評価制度は企業文化を目に見える形にしたものだと言えます。

最近では、売上数字などの目に見える要素だけではなく、目に見えない要素も評価項目に加える会社が増えています。

有名なのは、米GEが採用している評価のマトリックスです。彼らは業績と同様に、GEバリュー(現在はGEビリーフ)に基づいて評価を行う方法を創りだしました(現在は別の方法になっている)。日本でもLIXILが二つの軸、9つのマスで評価を行っていることが知られています。

一方、文化を重視している会社であっても、競争重視、結果重視の文化を持つ会社は、数字成果のみで評価をしていることがあります。

このように、評価制度を創る際に重要なのは、企業文化との一貫性です。いくらうちの文化はこうです、推奨される行動はこうです、と口で言っていても、評価制度がそれと矛盾する行動を促進するようなものであれば、ちぐはぐさがすぐに露呈し、社員は何を基準に行動、判断していいのかわからなくなってしまいます。

 

優れた企業文化をいかにして保つか?

会社が成熟するにつれ、企業文化、そしてその核となっている価値観は強化されていく。そうなると誰を組織に入れ、誰を入れないか?が決める仕組みが必要になってきます。

さらに新しい社員を採用したのち、彼らが組織の文化に溶け込めるような仕組みが必要になります。そこで登場するのが、Attraction-Selection-Attritionとオンボーディングという概念です。

これらは組織の文化を保つために重要な役割を果たします。 以下にその参考となるASAプロセスというのをご紹介します。

Attraction-Selection-Attrition (ASA)プロセス

1.Attraction(魅了)

Attractionとは、求職者を組織文化に惹きつけるということだ。どんな文化に惹きつけられるかは、人それぞれである。

たとえば、競争心の強い人は、社員同士を競わせる構造や仕組みがある文化を魅力的に感じるだろう。一方でそうでない人は、チームワーク重視の文化に魅力を感じるだろう。

企業側が文化を強めれば強めるほど、そして、それを対外的にも表現するほど、求職者はその企業が自分に合うかどうかを自己判断できるようになる。

もちろん、単に価値観が合うという理由で会社を選ぶだけではない。人によってはそれよりも充実した福利厚生を重視する人がいる。そこで、Selectionのプロセスに移る。

 

2.Selection(選別)

求職者が自分に合う会社を探すのと同様、企業側も自社の文化にフィットする人を選別することになる。いま、企業文化を重視する会社では、その人が仕事を行う能力があるかどうかと同様、またはそれ以上に、会社の文化に合うかどうかを採用の基準にしている。

例えば、サウスウェスト航空は、その人の仕事の能力よりも、性格や態度を重視して採用を行っている。能力は採用した後に学ぶことが出来るからだ。同様の採用基準を設けている会社は増えているが、求職者が自社の文化に合うかどうかを判断する方法は、会社によってまちまちである。

たとえば、グーグルでは、既存社員による複数回の面接を行っている。つまり、候補者の将来の同僚に面接させることで、候補者が職場にフィットするかどうかを判断しようというということである。

また、コンテナストア(収納用品を専門的に扱うチェーン店)では、顧客の中から積極的に候補者を選んでいるという。コンテナストアの顧客は既に整理整頓することに興味があり、店の運営方針や社員の対応を知っていて来店しているため、将来的に素晴らしい社員になる可能性が高いだろうということだ。

また、社員の満足度を高める努力がされており、社員紹介制度も奨励している。それらの施策が上手く融合した結果、高い社員満足度、採用費用の削減、高いカルチャーフィットが実現している。

企業文化に力を入れるザッポスでは、採用選考そのものも厳しいが、採用後の仕組みもユニークである。新人は採用後、数週間の研修(カルチャーキャンプ)を経たのち、二つの選択肢を迫られる。

・4000ドル受け取って辞める

・ザッポスで働く

という選択肢である。ザッポスで働くよりも、目の前の4000ドルを選択する人は、そもそもザッポスに合わない、ということだ。彼らはそれだけ、”誰を中に入れるか?”ということに注意を払っている。

 

3.Attrition(人員の削減)

どんなに選考を厳しくしたとしても、様々な要因でどうしても、会社に合わない人が出てくる。人が人を選考している以上、バイアスは避けられないものだ。そこで、次のプロセス、Attrition(人員の削減)が登場する。

ちなみにAttritionは、”意図せずに減っていく”という意味があり、会社に合わない人を解雇する、ということではない。

研究によると、”会社と合わない”というのが大きな退職理由となっている。つまり、合わない人を辞めさせるというよりも、自然と辞めていくというほうが正しいだろう。

 

ASAの考え方は、共通の価値観を持つ人を集め、選ぶ一方で、入社後にやはり価値観に合わなかった人は自然と退職していくということになります。生物は自分の体に合わない異物を体の中に入れようとは思わないし、たとえ入り込んでも自浄作用で外に排出しようとします。組織もこれと同じで、強い企業文化を持つ会社は人材に対して自浄作用を持っていると言えます。

 

オンボーディング

海外でオンボーディングと呼ばれるプロセスがあります。日本で言えば、新入社員オリエンテーションと言ったところ。このオリエンテーション、日本では特に中途の場合、せいぜい1日程度で終わります。やることは基本的な事務手続きや社員の自己紹介程度だあとはそれぞれ、これまで培ってきた彼らなりのやり方で仕事を始めるわけです。

一方、文化を重視する会社では、オンボーディングプロセスは非常に重視されていいます。オンボーディングは、詰まるところ、新入社員を会社に馴染ませるためのプロセスです。

もしオンボーディングによって、社員を組織にうまくなじませることができれば、社員も自信を持って仕事に取り組めるようになるし、同僚からも受け入れてもらったという感情を受けることが出来ます。それが社員と組織、同僚との結びつきを強め、仕事に対する取組み意欲や離職率の軽減につながるのです。

大半の会社では、新入社員が入ってくるとホッタラカシにされがちです。雇ってしまったら、あとは本人の能力次第、人間性次第で組織に馴染めるかどうかが決まるというわけです。しかし、企業文化を大事にする会社では、入社後のオンボーディングにシステマチックなプロセスを採用しています。

オンボーディングでは、新入社員に対して、まずは会社の文化や彼らの仕事、同僚などについて全体的な説明がなされる。これは新入社員が歓迎されているという感情を持つために重要です。

リッツカールトンホテルでは、オンボーディングに力を入れている企業のひとつ。2日間のオリエンテーションで、新入社員はホテルのレストランに招かれ、マネジメント層とともに食事をするといいます。

そして、目の前で一流の顧客サービスとは何かを体感します。その2日間でサービスの基準やチームワーク、彼ら独自の言葉を身につけます。そして、入社から21日経つと、サービスの水準を満たしているかをテストされ、合格してようやく一人前になるのです。

新入社員のオンボーディングでは、人事部だけではなく、他部署の既存社員も重要な役割を果たします。様々な部署のリーダー層がオンボーディングに関わることで、新入社員はより早く会社のポリシーや文化を学ぶことが出来ます。

また、既存社員がオンボーディングに関わることは、彼ら自身にとっても有用なことがあります。

たとえば、私の知り合いの成長している保険代理店では、新入社員が入ってくると、既存社員と一緒に会社のカルチャーブックを読み合わせします。これによって新入社員は会社の文化を学ぶことが出来ますが、一方の既存社員も新鮮な気持ちで改めて会社の文化を振り返ることが出来るのです。そして、新入社員の模範となるような行動を自然と取るようになります。

 

参考:企業文化と風土

企業文化と同列に語られる企業風土という言葉があります。正式にはこの二つは違い定義です。例えるなら、風土はその時々の気分、文化はその人の人格と言えます。文化のほうがより根深く、変え難いものと言えます。

両者の違いについて、カルチャーユニバーシティというブログを書いているティム・カプラー氏の記事をご紹介します(本人承諾の上、翻訳してます)

 

From:ティム・カプラー

企業文化が熱い話題になっている。企業のリーダーや専門家たちが、いかにして”アジャイル”な文化を創るか、”リーン”な文化を創るか、企業買収による文化の崩壊をいかにして克服するかなど、企業文化を変革するための議論をしている。

しかし、不幸なことに、そうした試みの大半は、企業文化ではなく、”風土”に焦点を当てているに過ぎない。もっとも私自身、数年前までそのことを理解していなかったのだが。

風土とは何か?

組織風土とは、組織内で共有されている認識や態度のことだ。一般的に、企業文化(実際には風土なのだが)の有効性を図るために焦点が当てられているのが、社員エンゲージメント指数である。しかし、ギャラップ社(米国の調査会社)の調査によると、過去15年において、社員エンゲージメント指数は、ほとんど変化していない。

社員エンゲージメント指数は、社員に対して、”何が期待されているか理解していますか?”、”自分の意見が重要視されていると思いますか?”、”上司は自分を気にかけてくれていると思いますか?”などの質問を行うことで導き出される。これらのアンケート結果を集計し、会社は、”行動計画”を立案する。

大半の”いわゆる、企業文化診断や”働き甲斐のある会社”調査は、主に組織風土に焦点を当てているものだ。

ミッションが明確か?
福利厚生は充実しているか?
経営陣は社員に感謝をしているか?
チームワークが奨励されているか?
変化に対応できているか?

これらは”組織風土”の話である。

 

企業文化の深い話

企業文化とは、共有されている信念や前提条件のことである。これらの”明文化されていない”ルールや認識が、組織内での行動を形作る。

問題やチャレンジに突き当たったとき、それら文化の一端が垣間見れる。

たとえば、

・意思決定の際に上司に判断を仰ぐのかどうか、
・挑戦しがいのある選択肢を選ぶのかどうか
・ミスは絶対侵さないように意思決定をするのかどうか
・目標は自分で決めるのかどうか

などなど。

 

風土だけに焦点を当てることで何が問題なのか?

風土と文化が、私たちの仕事のやり方にどう影響を与えているのかを理解しよう。風土だけに焦点を当てれば、短期的な成果は出るかも知れない。管理職が部下を厚遇すれば、かれらのエンゲージメントは高まるかも知れない。しかし、そうした改善は、企業文化のシフトが起こらない限り、短命で終わる。

かつて、私は製造業の会社の社長を拝命したことがある。そこは完全に、”指示・命令”の文化であった。当時のリーダーが私に、”あなたは「ハグしあう文化」から来たかも知れないが、私は成果主義で、必要であれば社員のケツを引っぱたく人間なのだ”と言ったのを覚えている。

このリーダーの態度によって、その組織がどんな文化が想像できるだろう。現場の社員は極度に受動的で保守的であり、言われたことしかやらなかった。

私たちは、すぐに組織変革の旅に乗り出した。向こう2年にわたって、改善のための計画を設定した。

2年にわたってビジネスの業績は劇的に改善した。私を雇った取締役は、”こんな変化が起こるとは信じられない”と言っていた。

私たちはこのプロジェクトの最初に”企業文化調査”を行った。(いま考えれば、それは文化ではなく、風土に焦点を当てたものだったのだが)12のカテゴリーのうち、8つのカテゴリーで最低点だったものが、最終的にはほぼすべてのカテゴリーで80点以上を獲得した。

私は結果に満足した。しかし、調査が示したように、文化も2年間で変革できたのだろうか?答えはノーだった。たしかに風土は変わったが、企業文化の変革はまだ道半ばだったのだ。

その後、私は家族と暮らすのに適した役割に付くため、その組織を離れることになった。そして、私の後釜は、まったく異なるリーダーシップスタイルを持つ人物が担うことになった。

私たちが築いた運営モデルは間もなく崩壊した。取締役会は競合他社に資産を売却することを決定し、話はそこで終わったのだ。風土改革は短命で終わった。

風土と文化の両方を理解することが必要である。何を測ろうとしているのかを理解すること。風土を測るだけでは不十分である。風土も大事だが、文化を見過ごしてはならない。風土は、リーダーや労働条件、ルールの変更で変化してしまうものだから。

 

コアバリューを軸にして企業文化を作るには?

以上、企業文化について解説してきました。

このサイト、「仕組み経営」では経営者の価値観をベースにした企業文化を構築する支援をしています。以下のページからプログラム一覧をいただけますのでどうぞご活用ください。

 

▶Eブック「社長不在で成長する会社の創り方」

▶社長不在で成長する会社を個別支援で実現

▶仕組み経営プログラム一覧

 

合わせて読みたい記事