今回のテーマは人事評価制度です。
前記事で人事制度全般について紹介しましたが、今回はその中でも評価制度について詳しく紹介していきます。
人事評価制度は会社を成長させる上で不可欠な社内の仕組みです。
本記事ではそんな人事評価制度とは何か、種類とそれぞれのメリット・デメリット、人事評価制度の作り方、例をわかりやすく解説しています。
ぜひ最後までご覧ください!
前記事の人事制度についてはこちら↓
目次
人事評価制度とは
人事評価制度とは、一定期間にわたる社員の成果や仕事ぶりを評価する制度のことです。
人事評価制度で会社が何で社員を評価するのかを明確にすることによって、
社員個人は目標の指標を見つけてモチベーションをあげる事ができ、
会社としては社員を同じ方向に向かわせるに繋がります。
また、どのように評価するのかによって会社の空気感、社風も大きく異なってきます。
例えば、成果で評価する外資系企業は少しガツガツした社風、
勤務年数によって評価が変わる伝統的な日系会社は少しおっとりした社風であったりしますよね。
このように、人事評価制度は会社全体の方向性と社風を決める重要な仕組みなのです。
そのため、人事評価制度と決める際には”会社の方針や経営戦略”が必要不可欠です。
- どういう会社にしていくのか
- どんな人材になって欲しいのか
- どんなキャリアコースを描くのか…etc.
また、人事評価制度は設計して終わりではなく、適切に運用できる事が重要です。
適切な運用には評価する側の社員が正しく評価できる事がとても大切です。
そこで評価者が評価しやすいよう、制度を設計する事が必要になってきます。
- どのくらいのボリュームにするのか
- どの評価内容を優先するのか
- 評価頻度はどのくらいか…etc.
まとめると、人事評価制度の設計のポイントは大きく以下の2つです。
- 会社の方針を明確にして、評価基準を決めること
- 現状の会社の評価者の実力に合わせた制度にすること
ぜひ意識してみましょう。
人事評価制度の種類とそれぞれのメリット・デメリット
人事評価制度には4つの種類があります。
目標管理制度(MBO)
目標管理制度(MBO)とは、「もしドラ」のドラッカーが提唱した制度で
個人もしくはチームで目標を設定し、その達成度で評価する制度のことです。
目標管理制度のメリットは、個別目標を上司が中心に設定するのでコントロールがしやすいことです。
デメリットは、上司の意識によって部署間の格差が生まれてしまうことです。
このデメリットを克服するためにはマネジメント層を意識して設計を行う必要があります。
OKR(Objectives and Key Results)
OKRとは、組織が掲げる達成目標と主要な成果をリンクさせ、組織と個人の方向性とタスクを明確にする制度のことです。
企業の目標から事業部の目標、そしてチームの目標へと細分化した上で、個人目標を設定していき、全組織のコミュニケーション促進や生産性向上を目的としています。
GoogleやFacebookも取り入れている制度です。
OKRのメリットは、会社、部署、個人の目標の方向が同じにむくため個人の意識が高まることです。(個人目標は個人で設定します)
デメリットは、1ヶ月から4半期での定期的な面談が必要のため運用に手間がかかることです。
評価シート方式
評価シート方式とは、評価する項目を設定し、それに沿って評価するやり方です。
メリットは、全社的に一定の基準が明確なためキャリアプランのイメージがつきやすいことです。
デメリットとしては放っておくと陳腐化する可能性があるため評価項目の設定に定期的な見直しが必要なことが挙げられます。
360度評価
360度評価とは、被評価者が上司だけでなく、同僚や部下、多部署などからも評価される制度のことです。
メリットは周りからも評価されるため一体感が生まれることです。
デメリットとしては、評価に慣れていない人も評価するため主観的な評価になりやすいことが挙げられます。
人事評価制度の5ステップの作り方
人事評価制度の作り方を5ステップで紹介します。
しかし具体的な評価制度を作る前に、事前準備をしておく必要があります。
評価制度設計の事前準備
事前準備では主に現状分析をし、理想の評価制度とのギャップを把握します。
まずは従業員の現状を表にしてまとめてみましょう。
- 役職
- 部門
- 給与
- 年齢
- 勤続年数…etc.
そしてそこから見えてくる傾向や課題を見つけてみましょう。
例えば、勤続年数と給与がほぼ比例している年功序列型であることがわかったり、給与に部門間格差がある場合は評価の仕方を部門ごとに変える必要性があることなどがわかります。
また、他社(同業・同規模)の状況も調べて把握しておきましょう。
これによって自社のずれや他社と比べて強みとなる部分が見えてきて、採用戦略にも繋がります。
現状と理想のギャップが把握できたら、いよいよ評価制度を作っていきます。
ステップ1:評価制度の概要設計
まずは人事評価制度の大枠・構成を決めましょう。
先にフレームを先に作ってあげることで後の詳細な評価制度設計がやりやすくなります。
概要設計では主に以下3つを検討しましょう。
①人事戦略としての会社の基本方針明確化
まずは会社の基本方針、経営戦略などを明確にし、その上でどんな人材が必要なのかを検討します。
この時、コアバリューの観点とスキルなどの成長の観点両方の視点から考えてみるとよりイメージが明確になります。
②基本方針に基づいた評価軸の検討
求める人物像が定まったら、どういった評価軸を用意するのかをざっくりと決めます。
この時点ではまだ詳細な評価項目を決める必要はありません。
全社共通の軸・各部門の軸・役職による軸など、詳細な評価項目の大きなカテゴリ決めをしていきます。
また、この時どの評価軸に重点を置くのかも考えておきましょう。
③評価項目のボリュームを考える
いくつ評価項目を用意するのかを考えます。
先ほど決めたカテゴリの中でそれぞれいくつの項目を用意するのか、全体の構成を考えます。
初めての場合はシンプルで少なめにする方がオススメです。各評価軸に5項目ぐらいが妥当でしょう。
ステップ2:どの制度をどのように活用するのか決める
ここからは評価制度の詳細設計です。
会社の基本方針沿って、自社にあった制度を選び、職種にあったキャリアコースを検討します。
制度選びは、目標制度と評価シートを組み合わせるのがオススメですが、あくまでも会社の方針に一番適している制度の種類を選ぶのが鉄則です。
職種にあったキャリアコースとは、一般職・総合職・専門職など、異なる職種ごとにどのようなキャリアパスを提供するのかを考えることです。
キャリアパスをしっかりと考えてあげることで社員は目指す先がより明確になり、モチベーションアップに繋がります。
ステップ3:要件の洗い出し
ここでは、具体的にどんなことに対して評価するのか決めます。
概要設計で検討した評価軸に沿って、具体的な評価項目を決め、評価シートの中に落とし込んでいきます。
ステップ4:シュミレーション
評価シートが出来上がったら、実際の社員を当てはめてシュミレーションをしてみましょう。
シュミレーションによって、表現の曖昧さや評価のしやすさ・しにくさ等が明確になります。
違和感を感じたらその都度考え直して調整を行います。
ステップ5:他制度とのバランス
一旦人事評価制度ができたら他の人事制度との整合性を見てみましょう。
人事制度には評価制度の他に等級制度と賃金制度があるので、3つの制度をバランスよく作ることがとても大切です。
人事評価制度の例
最後に、人事評価制度はこんな感じの見た目がいいですよ〜という例を種類ごとに掲載します。
目標管理制度
目標管理制度のポイントは、個別で目標を設定し、目標に対する評価を行うことです。
しかし、単純に個人的な目標だけを設定されても会社の方針とそぐわない場合があるので、
会社目標→部署目標→個人目標というように全て繋げて考える事が重要です。
評価シート
評価シートには以下の3つのカテゴリーを入れるのがオススメです。
- 基本評価
全社共通の意識や行動に関する評価のことで、コアバリューと結びつく内容が多いです。
- 職能評価
職種に応じて求めるスキルを中心に評価項目を作成します。
その職種に対してどういったスキルが会社から求められるかが明確になるというメリットがあります。
- 役職評価
役職に応じて求めるスキル(マネジメントなど)を明確にします。
専門職の場合は職能評価のより高いスキルなどを入れると良いでしょう。
上記の例を参考にしながら、目標管理と評価シートをうまく組み合わせて、会社にあった評価制度を設計に役立ててください!
では今回は以上となります。
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