年商一億弱だった会社が、職人技を仕組み化して108億円まで成長しました。
これは「獺祭」という日本酒ブランドを販売する旭酒造の話です。
(ちなみにちょうどいま獺祭が商品を自主回収するという話がニュースになってます)
元々は普通の日本酒メーカーだったのですが、いまや世界的に有名なブランドにまで成長しました。
私も日本酒が好きなので、実はこんなに有名になる前から知っていたのですが、
一時はどこの店に行っても手に入らないくらいの品薄状態でした。
数ある日本酒メーカーの中で、なぜ獺祭がこんなにも有名になったのでしょうか?
その秘密を旭酒造の前社長であり、いまの獺祭を作り上げた桜井博志さんが書籍で書いています。
今日はその中から重要な点をピックアップしてご紹介したいと思います。
- 1984年当時、年商は1億円弱で、杜氏がお酒を造っていた。業績が芳しくなく、違う道に活路を見出そうとして、レストランをスタートした。コンサルタントに巨額のお金を払ったが、大外れ。杜氏が会社の将来を危ぶんで、会社を辞めてしまった。その時から杜氏に依存するのではなく、自分たちでお酒を造っていこうという考えになった。
- 経験と勘でしかできない、というのは言い逃れ。酒造りの見える化、データ化を進めたことで、杜氏時代は最大で2億円くらいだった売り上げが、仕組みにしたことで108億円にまで成長した。
- 酒造りを仕組みにしたことで、若手の経験量がベテランの杜氏の経験量を上回り、そこから質が生まれた。(旭酒造では若手が1年で杜氏一生分と同じだけの経験を出来る)
- データ化したことで酒を改善できるようになった。今よりちょっと良い酒を、を日々の指針にしている。
- マニュアル化できるのは、98%まで。残りの2%は知恵が必要。ただし、マニュアルがあることで、2%の本質的な部分に頭を使うことが出来る。
- 良い酒を造る、のではなく、「届ける」。酒は保管の仕方や合わせる料理によって味が変わってくるので、既存チャネルにこだわらず、大切に扱ってくれる取引先とだけ付き合う。
と、こんな感じです。まさに「職人技を仕組みに変えた」事例だと言えます。
個人的には、”良い酒を造る、のではなく、「届ける」”という部分がとくに気に入りました。
これはまさに”顧客体験の仕組み”だと言えます。
アップル社なんかもそうですが、大事なのは商品そのものよりも、顧客がどういう体験をするか?に意識を向けています。
だからアップル社は販売を通常のチャネルに任せるのではなく、わざわざ自社ストアを作って、ブランドを維持しています。
職人技をいかにして仕組み化するか?
これは職人型のビジネスにとっては、永遠のテーマになると思いますが、
獺祭の事例をみれば、それも不可能ではない、ということがわかると思います。
ぜひ参考にされてください。