報連相とは?報告・連絡・相談の違いとルール作り6つ



清水直樹
「報連相」は社会人としての基本であり、職場コミュニケーションの土台となるものです。一方、報連相が出来ない人が社内(部下)にいて困っているという経営者もいらっしゃるでしょう。そこで本記事では、報連相を確実に実践してもらうためのルール作りについてご紹介していきます。

報連相(報告、連絡、相談)とは?

報連相(ほうれんそう)とは、報告・連絡・相談の頭文字を取った言葉です。仕事に必要な情報を、必要な人に、必要なタイミングで伝えるための考え方を指します。「報告連絡相談」「報・連・相」と表記されることもありますが、指しているものは同じです。

まず報連相とは一体何なのかを改めて復習しておきましょう。

報告とは?

辞書によれば、報告とは「ある任務を与えられた者が、その用務の情況・結果などを述べること」とあります。この定義によれば、報告は組織の立場上、下の者から上の者に行うことと言えます。部下から上司へ、後輩から先輩へ、という方向です。

報告の目的は、仕事の進捗や結果を上司と部下で共有することです。そのうえで問題が起きていないか、上司と部下の認識がずれていないかを確認します。

報告がうまく行っていないと、次のような問題が起こります。部下がミスをしたのに上司がそれを知らず、顧客に大きな迷惑をかけてしまう。上司が依頼した内容と大きく異なる仕事を部下が進めていて、誰も気づかない。どちらも、あとから直すほうが何倍も手間がかかります。

 

連絡とは?

次に連絡ですが、こちらも辞書によれば「通信手段などを用いて関係者に通知する」とあります。報告と似ていますが、向きが違います。報告が部下から上司へ行うものであるのに対し、連絡は上下関係に関わらず、その情報が必要な関係者全員に対して行うものです。

たとえば、「本日都合により早退します」「今日のミーティングでは〇〇を持参してください」というのは上司だけではなく、同僚にも連絡すべき事項と言えます。これらの連絡事項は同僚にとっても重要なことだからです。

また、連絡は、”上司から部下へ”行うこともあります。

たとえば、会社の重要な決定事項や計画、仕事の仕方などを部下に連絡することがあるでしょう。連絡が出来ない部下も困ったものですが、部下に重要な事実を連絡しない上司も困るものです。部下からすれば、”なんでそれを先に言ってくれなかったんだ”というようなことがあるからです。

 

相談とは?

最後に相談です。辞書によると「問題の解決のために話し合ったり、他人の意見を聞いたりすること」を指します。仕事上で使われる相談は、主には部下から上司へ、後輩から先輩に行うものというイメージが強いでしょう。ですが、同僚同士の相談も、上司から部下への相談もあります。社内のさまざまな関係のなかで行われるものと考えてよいでしょう。

相談が上手くできないと、一人で悩みを抱えこむことになります。その結果、誤った判断を下したり、いつまでも仕事が終わらなかったりします。適した人に適したタイミングで相談できれば、仕事の生産性は上がります。

 

報告・連絡・相談の違い

3つは似ていますが、性質が違います。整理すると次のようになります。

  • 報告……下から上へ。任された仕事がどうなっているかを伝える。義務に近い
  • 連絡……関係者全員へ。上下は関係ない。事実だけを伝え、自分の意見は入れない
  • 相談……判断に迷ったとき。相手の意見を聞き、自分では決めきれない部分を埋める

使い分けの目安は、「その情報を受け取った人が何をするか」で考えると分かりやすくなります。受け取った人が確認や判断をするなら報告、知っておくだけでよいなら連絡、一緒に考えてほしいなら相談です。

社内で混乱が起きやすいのは、相談のつもりで話したことが報告として扱われる場面です。「相談したのに勝手に決められた」「報告だと思って聞いていたのに、あとで意見を求められた」といったすれ違いは、最初の一言で防げます。話しかけるときに「相談があります」「報告です」と種類を先に言う。それだけで、聞く側の構えが変わります。

 

「ほうれんそう」という言葉はどこから来たのか

報連相という言葉を広めたのは、山種証券(現在のSMBC日興証券)の社長・会長を務めた山崎富治氏です。1982年に社内キャンペーンとして「ほうれんそう」を始め、1986年に『ほうれんそうが会社を強くする 報告・連絡・相談の経営学』(ごま書房)を出版してベストセラーになりました。

ここで注目したいのは、もともとこれが経営者側の取り組みだったという点です。副題も「報告・連絡・相談の経営学」であって、新入社員の心得ではありません。社内の情報が上まで届くようにするために、会社のトップが旗を振って始めたものでした。

ところが現在では、報連相はもっぱら「部下が守るべき基本動作」として語られています。出発点と、いま語られている姿が逆になっているのです。報連相ができないという悩みを部下の問題として扱いたくなったときは、この由来を思い出してみてください。

 

報連相が必要な理由

なぜ報連相が必要なのか。理由は3つあります。

  • 判断の材料が集まる……現場で起きていることが上に届かなければ、経営の判断は勘に頼るしかなくなります
  • 問題が小さいうちに見つかる……トラブルの大半は、報告が遅れたから大きくなっています
  • 同じ話を何度もしなくて済む……連絡の抜けは、あとで全員に説明し直す時間を生みます

逆に言うと、報連相が行われていない会社では、社長が現場のことを知るのに社長自身が現場に行くしかありません。これは社長が現場から離れられなくなる原因のひとつです。

 

報連相が出来ないのをその人のせいにしてはならない

社内に報連相が出来ない人がいることで悩んでいる上司や経営者は多いと思います。ここで考えたいことがあります。何を、いつ、どの方法で報連相するか。これらはすべて、その人の価値判断に委ねられているという点です。

つまり、上司が好むような報連相をする人が”報連相が出来る人”と認識されます。そうではない人は”報連相が出来ない人”とみなされます。

上司と部下の報連相に対する価値判断が異なるため、問題が起こるわけです。

部下が報連相をしないのは上司の責任

報連相ができないと言われる部下と上司のすれ違い

たとえば、部下Aさんは、”これくらいのことは上司に報告する必要はないだろう”と思って上司Bに報告しなかったとします。一方、上司Bさんが”それは報告してほしかった”と考えていたとします。すると上司Bさんは、部下Aさんを報連相が出来ない人だと認識します。

次に、部下Aさんが部署移動し、上司Cさんの下についたとします。部下Aさんは、上司Bさんの下で働いた経験から、”細かいことまで報告したほうが良いだろう”と考えるようになっています。そうなると、部下Aさんは上司Cさんに頻繁に報告することになります。


ここで新しい上司Cさんが”細かいことは報告しなくていい。自分で判断してやってほしい”と考える人だったらどうなるでしょうか。部下Aさんが頻繁に報告してくるのをうっとうしいと感じ、”そんなことはいちいち報告しなくていいので、勝手にやってくれ”となります。

部下Aさんは良かれと思って報告の頻度を上げました。ところが上司Cさんから見ると、部下Aさんは報連相が下手な人になってしまうのです。

こうなると部下Aさんは不幸です。上司の報連相に関するご機嫌を伺いながら仕事をしなくてはならなくなります。これでは上司部下のコミュニケーションのコストが大幅に増え、生産性が下がってしまいます。

報連相を人依存にしない

私たちは日頃、会社の仕組み化をご支援しています。このように人によって価値判断が異なり、その人の勘や経験に業務が依存している会社を”人依存の会社”と呼んでいます。これは属人化が起きている状態です。

人はそれぞれ経験が異なります。経験から得られた価値観も異なります。だから組織の人が増えれば増えるほど、価値判断の違いから来るトラブルは増えていきます。

先ほどの部下Aさんと上司Bさん・上司Cさんの例は、まさに人依存の典型です。

報連相ができない5つの原因

「うちの社員は報連相ができない」と感じるとき、実際に起きていることは次の5つのどれかです。

  • 何を報告すべきかの線が引かれていない……本人は判断しているつもりでも、基準がないので当たり外れが出ます
  • 報告すると仕事が増える……報告するたびに追加の指示が飛んでくるなら、報告しないほうが合理的になります
  • 報告する場と時間が決まっていない……いつ言えばいいのか分からないまま、言いそびれます
  • 上司がいつも忙しそうにしている……話しかける隙がなければ、相談は起きません
  • 報告しなくても何も起きない……しなくて済んだ経験が積み重なると、それが標準になります

5つのうち、本人の資質の問題と言えるものは一つもありません。どれも会社側で用意できる条件です。

特に2番目は見落とされがちです。悪い報告を持っていったときに強く叱られた経験があると、次から報告は遅くなります。これは性格の問題ではなく学習です。悪い情報が早く上がってくる会社と、遅れて上がってくる会社の違いは、悪い報告をした人がどう扱われるかにあります。詳しくは「心理的安全性の作り方7ステップ」をご覧ください。

報連相はルール作りで徹底させる

そこで、報連相のルール作りが大切になってきます。ルールを決めておけば、報連相のやり方を属人化させずに社内で統一できます。上司部下や同僚同士のムダないざこざも減り、コミュニケーションにかかる時間も削減できます。

なお、社内ルール全般の作り方や文例は「社内ルールとは?一覧・例文とテンプレート、作り方と徹底方法」にまとめてあります。

以下に報連相を上手く機能させるためのルールをいくつかご紹介していきます。

報連相のルール①仕事を委任する時点で報告ルールを決め、確認する。

報連相が上手くできない原因は、あらかじめ決めていないことにあります。いつ報連相するのか。どこで行うのか。どのような方法で伝えるのか。

これはつまり、報連相が出来ない部下の問題ではなく、仕事を任せる上司の問題なのです。

そこで、仕事を任せる際に、報連相の仕方を決めておくことが大切です。会社としては、”部下に仕事を任せる際、このようなことを確認するように”とルールを決めておくことです。
具体的には、仕事を任せる際に次の3つを確認します。

  • 成果物は何なのか?
  • いつ途中の報告を行うのか?(日程だけではなく時間までを決める)
  • どのように報告を行うのか?(メール・面談・電話など)

これらを上司と部下で確認し、合意することです。仕事の渡し方そのものについては「仕事の任せ方|部下に仕事を任せる5ステップと権限委譲のコツ」で詳しく扱っています。

 

報連相のルール②上司は唐突な報告を求めない

仕事を任せ、報告のルールを決めたら、上司は唐突な報告を求めないことが大切です。唐突な報告を求めるとは、部下の背後を動き回って動きを常に監視し、“どんな調子だ?”と曖昧な質問をすることを指します。

このように急に、しかも頻繁に報告を求めることは非生産的です。突然要求されても部下は準備ができていないので、まともな報告は返ってきません。そればかりか、上司は状況の一部しか見られず、かえって誤解を招きます。

報告のルールを決めたら、あとは部下を信頼してルールどおりの機会を待つことです。

 

報連相のルール③コミュニケーションツールで報連相の場を創る

最近ではリモートワークも広がり、電話や対面ではなく、チャットなどのコミュニケーションツールで連絡を取り合うことも増えているでしょう。そこで、コミュニケーションツールの運用ルールを決めておくことが大切です。

たとえば、

  • このスレッドは〇〇に関する報告、連絡、相談を行う
  • このスレッドは全社宛、このスレッドは自部門宛に使う
  • 読んだら確実にリアクションを行う
  • リアクションを受けたら、確認したものとして進めてよい

等々です。

 

報連相のルール④会議のルールを決める

報連相を確実に行うためには、会議の仕組みを整えることが大切です。会議そのものが報告・連絡・相談の場だからです。

大半の会社では、会議に仕組みづくりが必要だと考えられていません。放っておくと、会議は主催者の個人的な勘や経験、その時々の感情で進んでしまいます。

すると次のようなことが起こります。本来連絡すべきことがあるのに、時間が無くて取り上げられなかった。会議中の雰囲気が悪くて、報告すべきことを報告できなかった。どちらも致命的なミスにつながりかねません。


会議には例えば以下のようなものが含まれます。

  • 朝礼/終礼
  • 1on1ミーティング
  • 週次会議
  • 月次会議
  • 四半期会議

これらそれぞれの会議で、何を議題として挙げ、何を決めるかを明確にしておくことが大切です。

会議についてより詳しいことは、以下の記事をあわせてご参照ください。

 

報連相のルール⑤オープンドアポリシー

オープンドアポリシーは主に「相談」を促すのに大切な考え方です。オープンドアポリシーとは、上司が自分の部屋のドアを解放しておき、部下が気軽に相談できるような風土を作ることを指します。海外の会社では管理職クラスにそれぞれ個室が用意されていることが多いため、このような名前がついています。日本では大半の会社には個室がありませんので、常にオープンの状態といえます。とはいえ、上司が常に忙しそうにしていては、部下が相談しようという気になりません。そのため、いつでも聞く耳を持っているよ、と伝えておくことが大切です。

報連相のなかでも、相談はためらいが生まれやすいものです。これは相談してよいことなのか、自分で考えるべきことなのか。多くの人がここで迷います。だからこそ、気軽に話せるランチの場や非公式なミーティングの場を用意し、オープンドアを実践することが大切になります。

 

報連相のルール⑥伝え方の型を決める

最後に、伝え方そのものの型を決めておくと、報連相の質が揃います。人によってばらつきがいちばん出るのがここだからです。

型は3つで足ります。

  • 結論から言う……「A社の件です。納期を1週間ずらしてほしいと言われました」
  • 事実と意見を分ける……「先方の担当者が交代しました(事実)。引き継ぎに時間がかかっていると思います(意見)」
  • 数字と日付を入れる……「あとで」「そのうち」ではなく「今週金曜まで」と言う

いちばん困る報告は、事実と意見が混ざっているものです。聞いた側は、それが実際に起きたことなのか、本人がそう感じているだけなのかを判断できません。判断できないので、結局もう一度聞き直すことになります。

悪い例と良い例を並べます。

  • 悪い例……「A社さん、なんだか反応が良くない感じで、ちょっと厳しいかもしれません」
  • 良い例……「A社から、見積もりの返答が2週間止まっています(事実)。担当者が交代したので、社内の検討が止まっているのだと思います(意見)。来週こちらから連絡してよいでしょうか(相談)」

この型は、新入社員向けの決まりごとではありません。ベテランほど省略しがちなので、全員に対して同じ型を決めておいてください。

 

報連相に関するよくある質問

報連相はどこまで報告させるべきですか?

線引きに正解はありませんが、決めておかないと必ずばらつきます。判断に迷ったら「これを知らないまま社長や上司が別の判断をしてしまうか」で考えてください。判断が変わり得るなら報告の対象です。そのうえで、金額・日数・顧客の区分など、自社の基準を数字で書いておくと現場が迷いません。

何でも細かく報告してくる部下にはどうすればいいですか?

その部下は、以前どこかで「報告しなかったこと」を責められた可能性があります。報告の量を減らせと言う前に、報告しなくてよい範囲を具体的に伝えてください。「10万円までの発注は事後の共有でよい」というように、範囲を数字で示すのがいちばん早く伝わります。

「かくれんぼう」「おひたし」とは何ですか?

「かくれんぼう」は確認・連絡・報告の頭文字で、相談を確認に置き換えた言い方です。部下が自分で案を作り、上司はそれを確認する形になります。「おひたし」は報告を受ける側の心得として、怒らない・否定しない・助ける・指示するの頭文字を取ったものです。

どちらも誰がいつ提唱したのかは、はっきりしていません。言葉として広く使われてはいますが、報連相のように出典をたどれる言葉ではないので、その前提で扱うのがよいと思います。言葉を増やすことより、自社のルールを一つ決めるほうが実務は動きます。

報連相は時代遅れではないですか?

「報連相は上下関係を前提にした古い考え方だ」という指摘があります。ただし、情報を必要な人に届ける必要そのものは無くなっていません。古くなっているのは考え方ではなく、口頭と紙を前提にした運用のほうです。チャットで完結すべき連絡を会議で読み上げているなら、それは報連相の問題ではなく手段の問題です。

リモートワークでも報連相は同じでいいですか?

同じではありません。対面なら「なんとなく様子がおかしい」と気づけますが、リモートではそれが起きません。離れて働くほど、報告のタイミングをあらかじめ決めておく必要が高まります。本記事のルール①と③がそのための土台になります。

ルールを決めても守られません。どうすればいいですか?

守られないルールには、たいてい共通点があります。決めた人と守る人が違う、守らなくても何も起きない、そもそも量が多くて覚えられない、のいずれかです。報連相のルールは3つまでに絞ってください。そして、決めたことを上司自身が守っているかを最初に確認してください。

 

報連相が出来ないのは、その人のせいではなく、ルールが無いから

以上、報連相のルール作りについてご紹介しました。大切なことは、報連相が出来ない人がいるからといって、本人の資質や能力のせいにしないことです。放っておけば、報連相の仕方はばらばらになっていきます。報連相はあくまで会社側の責任と考え、ここで述べたようなルール作りを実践していくことが求められます。

そして思い出してほしいのは、報連相という言葉がもともと経営者の側から始まったものだったという事実です。情報が上まで届く会社にするために、トップが旗を振って始めた取り組みでした。報連相ができないという悩みは、部下をどう変えるかの問題ではなく、情報が流れる道をどう作るかの問題です。その道を作るのは、経営者にしかできません。

なお「仕組み経営」では報連相のルールなどを含め、会社を”人依存”ではなく”仕組み依存”で成長させていくためのご支援をしています。詳しくは以下の仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。

 


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