Q「職人を育成(教育)する仕組みづくりはどうすれば良いでしょうか」

[word_balloon id=”1″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” balloon=”talk” balloon_shadow=”true”]今日は職人育成の仕組みとは?という話をしたいと思います。日頃、会社の仕組みづくりをお手伝いしていますが、よくある悩みは、どうやって職人を育てるか?なのです。[/word_balloon]

日本の中小企業とかサービス業というのは、基本は職人技で成り立っている会社っていうのが多いわけですね。

なので会社の中に、職人技が非常に長けている人が多い会社、そもそも社長がもともと職人の仕事をしていて、独立して開業したという会社が非常に多いわけですよね。

そういう会社によくある悩みとしては

「うちの会社は職人集団だから仕組み化できない」

「みんなが職人なのでなかなか仕組みが浸透していかない」

といったことです。

そこで、このような課題をどのような考え方とか手順でやっていけばいいのかをご紹介していきます。

 

※動画でも解説しています。

職人を育成する仕組み等、会社の仕組みづくりに取り組むならこちらから

 

職人を育成する前に、理想の職人とは?匠とは?を考える

最初に、この職人という人達は一体どういう人なのかということを共有しておきたいと思います。今から説明する内容はウィキペディアに載っている内容になっています。

職人とは?

職人とは何かを調べてみると、

自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出すことを職業とする人のことである

ということですね。

いわゆる手に職をつけた人達。これが職人ということなんですね。この技術が非常に幅広いのですが、例えば職人と言って連想するのが伝統工芸品を作る人とか、本当に特殊な工場の技術でやっている人達はもちろんこの職人に当てはまりますし、あとサービス業でも高度な技術、他の人にはできない、一般の人にはできないような技術で、なにかサービスを提供している人達っていうのは須らく職人に当てはまるのではないかと思います。

 

職人気質とは?

そしてもう1個、職人気質という言葉もウィキペディアで見てみますと、こういう定義になっています。

自分の技術を探求し、また自信を持ち、金銭や時間的制約などのために自分の意志を曲げたり妥協したりすることを 嫌い、納得のいく仕事だけをする傾向がある。

いったん引き受けた仕事は利益を度外視してでも技術を尽くして仕上げる傾向がある。

ここで大事かなと思うのが、「自分の意志を曲げたり妥協したりすることを嫌い」という部分です。

一般的に職人さんって頑固だと言われますよね。それが職人集団を率いている社長の悩みだったりするわけです。

うちの職人は頑固だから、なんか新しいことをやろうとしてもなかなか受け入れないとか、人の意見を聞かないとか、そういう職人の頑固さに困っている社長って結構多いと思うんですね。

でもそういう頑固さっていうのは本来の職人の頑固さではないということなんですね。本来の職人気質の頑固さというのは、人の意見を聞かないとか新しい事をやらないとか、そういうことに頑固なわけではなくて、金銭や時間的制約などのために意志を曲げたり妥協しないということなんですね。

なので人の意見を聞かない事は職人気質とは言わないんですね。

私の考えでは、単に頑固な職人というのは、二流の職人だと思います。

本当の一流の職人は、常に自分の技術を探求するために新しい事を学んだりとか人の意見を聞いたりとか新しい技術を取り入れたりすることに柔軟であると思います。

私の師匠であるマイケルガーバーさんは、これをビギナーズマインドと呼んでいます。実は日本の禅の言葉、初心からきています。

そういう心を持っている職人が本当は一流の職人なんですね。単に頑固に人の意見を聞かないっていうのは一流じゃなくて二流の職人であるということです。

 

匠とは?

そしてもう1個、匠という言葉がありますね。これもウィキペディアの定義によると、

優れた技術を持った職人を指す言葉。工匠。伝統的な職人の究極的な技術を保持し、尚且つ、後進の技術者に 対して自分の持っている技術を披露し、指導するなど人間的にも尊敬される立場の人を言う

ということです。

なので職人のピラミッドがあったら、匠の人は本当に上の方の人達であるということですね。

ここのポイントは、後進の技術者に対して自分の持っている技術を披露し、指導するなど人間的にも尊敬される立場の人を言う、というところです。

これもよく職人集団を率いている社長にありがちな悩みですが、ベテラン職人がなかなか人の教育に協力的じゃないということがあります。

しかし、本当の匠、本当の職人は自分の持っている技術をちゃんと後世に受け継いでいこうをいう考え方であったりとか、立派な人格を持っているという事ですね。

そのような職人としての理想的な姿を会社の中で共有しておくことは大切なのかなと思うんですね。

教育の仕組みを作る時にも、どういう職人をみんなで目指すかを定義しないといけないのですが、その定義付けとして今申し上げたような、後進の技術者に対して自分の技術をちゃんと伝承していくであるとか、何に対して妥協しないかを勘違いしないで、自社の理想的な職人の姿を定義しておく、そしてそれに向けて教育の仕組みを作っていくというところが大切なのかなと思います。

 

理想の職人集団とは?

次に社長が考える理想の職人集団の組織というのはどういうものかというのを考えてみたいと思います。

よくありがちな職人集団のパターンというのは、こういう図で表せます。矢印が1つの人間だと思ってください。職人を集めると、みんな自分なりの考え方とか自分なりの技術を持っているわけですね。

そうすると、ある人はこっち向いてる、ある人はこっち向いてるみたいな感じでバラバラになるわけですね。かつ考え方の基準であるとか技術のレベルもバラバラであると。矢印の長さが技術のレベルですけれども、こんな感じの図になるんですね。そうすると組織としての形は取っているんだけれど、実態としては職人の集まりに過ぎないということなので、組織力は活用できないということなんです。

この状態をなんとかしたいということで、仕組み化をしていくんですけれども、例えばこういう図を目指すやり方があります。

仕組み化というと、職人さんの考え方であるとか技術を完全に画一化して、ここにあるような考え方も一致して技術もみんな同じレベルだというような組織のパターンを思い浮かべる人がいるんですけれども、これは実際には難しいし、このような組織で働きたいという職人さんはいないわけですね。

職人さんは自分の技術が独特であると思いたいし、他の人よりも抜きん出たいと思うので、こういう画一化された組織を目指そうとするとなかなか難しいということなんですね。

そこで1つの考え方として、以下の図のような組織体系だといいんじゃないかと思います。

これで職人の技を活かしながら組織力を活かす、型を作っていくということですね。

職人集団を率いている社長とお話をすると、うちの技術は特殊だからとか、うちの職人は特殊だからとか、うちの社員は特殊だからっていう、特殊っていう言葉を使いたがるんですね。

私はいろんな会社様とかいろんな業界、業種の経営者の方とお話をするんですけれども、面白いことにほとんどの社長がうちの会社は特殊であるとおっしゃるわけです。

ただ、会社の中を見てみると実際どの会社も同じようなことで悩んでいるんです。なので、確かに技術は特殊かもしれませんけれども、組織の運営の仕方というのは特殊でもなんでもなくて、普遍的な方法があります。

うちの会社は特殊だと思っている社長も、やらないといけないのは、基本的なことなのです。

この図を見ていただくと、まず最初に、人としての基本というのがあると思うんですよね。人間として当たり前の事、まずこれをきっちりみんなでやっていこうね、という組織にしないといけませんね。

その上で、組織としての基本的な仕組みだったりとか体制を作っていくということです。

人としての基本と組織としての基本的な仕組みとか制度。これがあった上で、個々の職人技でみんなが活躍していくというモデルが理想かなと思うんですよね。

 

人としての基本を教育する

というわけで、まず人としての基本とは何かという話なんですけれども、

  • 挨拶をする
  • 時間を守る
  • 身なり
  • 所作

この辺ですよね。

職人集団を率いている社長がよくおっしゃることなんですけれども、挨拶ができない、コミュニケーションを取るのが苦手だという人が多いという事ですね。あと時間を守る。時間を守るのは当たり前なんですけれども、そういう基本もできない人が多いということなので、これもきっちりやる。

あと身なり。身なりは職人さんの場合、汚れることが多いんですね。でもお客様はやっぱり身なりを見てますので、その辺をきっちり整えさせると。

うちのお客さんの職人的な仕事をしている会社の中で成長している会社は、身なりが非常にかっこいいですね。ユニフォームもオリジナルのやつを作ってかっこよくしたりとか、他の会社と完全に差別化しているデザインでユニフォームとかを作っていたりするんですね。そういうのに憧れてその会社に入りたいっていう職人さんもいらっしゃるみたいなので、身なりは大事ですね。

そして所作ですね。所作と言いますのは職人的な仕事をしている時の所作もありますけれども、どっちかというともうちょっと手前の働いている時の態度ですよね。タバコを吸ったりとか、座り込んだりとかそういう事をしない。基本的なビジネスマンとしての所作を身に付けるということですね。

職人さんの場合には、若い時から働き始める方が多いですよね。高校の時からやっているとかっていう方が多いのですが、大卒であれば会社に入ってビジネスマナー研修みたいなのがあってそこで学ぶんですけれども、高校ぐらいから働いているとなかなかそういう事を学ぶ機会がないわけです。

家庭の中においても、残念ながらこういう人としての基本的な考え方を学ぶ機会がないので、会社で整えてあげる必要があると思います。

 

組織の基本的な仕組みを整える

そしてその上で組織としての基本を整えましょう。

例えば会社の全体像をちゃんと教えてあげるということです。会社は営業があって、お客様がいて、こういうようなお金の流れがあって、みなさんの役割はこういうことですよっていうような事をきっちり教えてあげる。

また、打ち合わせや報告の方法等、会社として仕組みを整えるということです。

そして学ぶ環境ですね。勉強会をやったりとか、職人さんがさらに技術を学べる環境を整えてあげるということですね。

コミュニケーションの方法も教えることが大切です。さっき言った通り、職人さんってコミュニケーションが苦手な方が多いですね。職人的な仕事を学ぶために1人での作業に没頭していると、必然的に人と話す機会が減るわけですね。

現場でお客様と接しているのは職人さんなので、その職人さんがコミュニケーション能力が非常に高ければ、また新たな案件につながったりとか、新たなビジネスチャンスにつながっていくわけなので、ここって結構大切かなと思うんですね。

そして整理整頓。会社の中もそうだし作業場もそうだと思うんですけれども、整理整頓する仕組みを作るということですね。

最初に申し上げた通り、組織としての基本というのは、どんな業界であろうが変わらないわけですね。それをきっちりやっていくということですね。

 

職人技を伸ばす仕組み

その上で、個々の職人技を伸ばすための教育の仕組みを整えていくです。

座学+OJT

OJTをやっている会社って多いと思うんですけれども、座学も馬鹿にできないんですね。資格を取るために頭に知識を入れないといけないことがありますので、座学で理論で学んでOJTで実践するという、このループを回すことで早く職人技を伸ばしていくということですね。

 

道具を変える

あとは道具を変える。今まで手作業でやっていたところを、最近であればロボットとかいろんなツールを使うことで、そこまでの職人技がなくてもできるようになるということもありますので、そういうことも大切かなと思います。

 

教えるツールを整える

あと教えるツールということですね。職人さんに職人技を教える時に、背中を見せて育てる時間もないと思うので、教えるためのテキストみたいなものですね。これは私達はマニュアルを使ってやりましょうと言っているんですけれども、そういうツールがあるといいです。

 

キャリア、技能、報酬の明確化

みなさんこういう技能を身に付けてもらえば将来こういうキャリアにつながります、そしてその時には、うちの会社としてはこういう報酬をみなさんにご提供します、という人事の明確化です。それによって、職人さんに教えるということではなくて、自ら学びたくなる、自ら成長したくなる仕組みを作るということです。

 

作業の分解

作業の分解というのは別に職人さんだけに当てはまる話じゃなくて、あらゆる業務で使えるんですけれども、やってる業務を分解することで簡単な業務と難しい業務に分けるということです。難しいところは本当にベテランさんじゃないとできないと思うんですけど、簡単なところもベテランさんがやってたりするわけですね。なので簡単なところは新人に任せるように分解することで作業の分担ができるんですね。それによって1人1人能力っていうのが最大限に発揮できます。

 

技術の可視化

だれがどういう技術を持っているのか、誰がどういう作業をできるのかということを可視化していきましょうということですね。そうすると本人も、今自分はこういう事ができてこういう事ができないんだっていうことが分かりますので、ゲーム感覚で次はこの技術を覚えようかなとか、次はこれをできるようになろうかなと自己成長につながるということですね。

 

教える人を育てる

職人育成の仕組みを作る時の大きな目標は、教える人を育てるということですね。職人集団の場合には、社長がトップの職人さんなわけですね。そして新人の職人さんに教えていくんですけど、いつまで経っても社長が直接教えていると、組織として広がないので、自分の代わりに教えることができる人を育てていくということですね。これをトレイン・ザ・トレーナーと言います。ここまで来ると組織として職人さんが増えていっても、人材の教育が間に合わない状態を回避することができるということですね。

 

職人育成は社長の実践から

最後に大切なことなんですけれども、社長から実践するということです。特に人としての基本を身に付けさせるのは、社長ができていないのに教えることはできません。まず社長が挨拶するとか時間を守るとか身なりに気をつけるとか所作を丁寧に行うとか、そういったことを実践する。

社長が実践することで、それをモデリングする職人さんが出てきますので、そうすると輪が広がっていくということですね。人としての基本ができてくると、組織としての基本的な仕組みとかルールというのを組織内に共有していくのは難しくなくなってくるんですね。

逆に人としての基本が出来ていない人に、仕組みとかルールを押し付けても難しいわけなんです。

というわけでまずは社長から実践というところが一番大切かなと思います。

以上、今日は職人育成の仕組みというお話をさせていただきました。ぜひ、参考にされてください。

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