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社員の自主性を育てるには?

清水直樹
清水直樹
「社員の自主性を育てるにはどうすればいいのか?」これは多くの社長がお持ちの課題と言えるでしょう。そこで本記事では、社員の自主性を育てるには?というテーマで必要な仕組みや考え方をご紹介していきます。

 

”社員に自主性を発揮してもらいたい”のワナ

「社員に自主性を発揮してもらいたい。そのためには、社員からアイデアや意見を引き出さないといけない」

と考えている社長は多いのではないでしょうか。

これは結構なことですが、私の経験上、「社員の自主性」という言葉、時と場合によってよろしくない結果を生み出します。

私の知っている会社で、社長が「うちは社員の自主性を重視しているから」と言っている会社では、以下のような現象が起こりがちです。

社員は一見イキイキ働いているようだが、、、

  • 離職率が非常に高い。
  • 小さいままで成長しない。
  • 社長と社員の信頼関係喪失。

​というような問題が裏側では起きてしまっているのです。

なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。

 

社員の自主性を育てようとすると離職が増える理由

各社員のやりたいことをやらせていると、離職率が増えるという現象が起こりがちです。なぜならば、会社としての求心力が弱く、社員としてはその会社にいる意味がないと思えてしまうからです。だったら、もっと条件の良い会社に転職しよう、または自分でやりたいことをやれるように起業しよう、ということになってしまいます。

やはり人は、みんなと一緒に大きな目的意識やゴールに向かっていきたいという想いがあります。でも社長が社員の自主性を重んじて、方向性や目的の提示を怠ると、組織としてやっていく意味がなくなってしまうのです。

いわば、社員の自主性を重んじると言いつつ、個人商店の集まりになっているだけになります。​したがって、一見いい会社に見えるものの、その実、社員の離職が高い会社になります。

 

社員の自主性に任せると成長が止まる理由

また、自主性を重んじようという会社では、意外と成長が止まってしまっている会社も多いです。なぜならば、中小・成長企業においてはただでさえリソースが足りていないうえ、組織やチームとしての方向性が不明瞭になり、エネルギーが分散してしまうからです。

こうなると、会社としてのビジョンや目標の未達が頻発します。でも社長としては社員の自主性を重視することを決めているので、目標達成に向けてみんなを叱咤激励することもできない雰囲気になります。このようにして、たいして成長していない会社になってしまいがちです。

​​

中途半端な自主性重視が信頼関係を壊す

また、社員の自主性を重んじると言って社員に自由にやらせたり、意見を募った後、社長がちゃぶ台返しをして、やっぱり社長の方針で仕事を進めると、社長と社員の信頼関係は崩壊します。

社長と社員では視点や情報量が違うために、社員から意見やアイデアを引き出しても、トンチンカンな意見しか出てこないことが多いです。社長は会社の全業務を俯瞰的に見ています。したがって、顧客や各部門のメリットをすべて考慮したうえで意思決定を行うわけです。

一方の社員は、自分の担当分野しか見ていません。自分の担当分野しか見てない状態なので、必然的に自分にメリットがある意見、かつ短期目線での意見しか言わないのです。
なので、社長からするとトンチンカンで自分勝手な意見しか出てこないことがあります。

それが理由で、社員に任せても大した意見や成果が出ないので、社長はやっぱり自分で決めたくなるのです。でもそうすると、社員からすれば、「任せると言ったのに」「何でも言って、と言ってたのに」となってしまいます。会社と社員の信頼関係は崩れ、社員はその後何も意見を言わなくなります。

これでは自主性を重んじる経営と逆の方向に行ってしまいます。

自主性を重んじるのは大切なことですが、一歩間違えば上記のようになってしまいます。

ではどうすればよいのでしょうか。

 

Spotifyが目指す社員の自主性と統一感を両立する企業文化

Spotifyという音楽配信の領域で有名なスタートアップ企業があります。この会社はそのサービス自体も有名ですが、企業文化を大切にしている経営手法でも注目を浴びています。そのSpotifyが公開している資料に以下のような図があります。横軸は社員の自主性です。この図では企業文化を縦横軸で4つに分けています。縦軸はアライメント、会社としての統一性、コントロールの度合いです。Spotifyが目指す文化は右上、すなわち、組織としての統一性も高く、社員の自主性も高い文化ということです。おそらく多くの社長が目指したいのも右上なのではないでしょうか。

 

ちなみに、この図を解説しますと以下の通りです。

1.自主性とアライメントの両方が低い

⇒社員は烏合の衆になる。

2.自主性が低くてアライメントが高い

⇒リーダー「川を渡る必要がある。橋を作れ」

⇒官僚主義的で社員の動機付け低下。

3.自主性が高くてアライメントが低い

⇒リーダー「誰か橋を作ってくれないかな」

⇒個人のやりたい放題で、やるべきことが為されない。

4.自主性が高くてアライメントも高い

⇒リーダー「川を渡る必要がある。どうするか考えよう」

⇒Spotify社が目指す企業文化

 

では、右上の文化を作るにはどうすればいいのでしょうか。以下にいくつかやらないといけないことをご紹介していきます。

 

社員の自主性を育てるために必要な仕組み

​情報を共有すること

会社の情報をなるべく多く共有することです。これが出来れば出来るほど社員はうまく働けます。​従来の官僚型組織の特徴は、組織の上層部が情報を持っており、彼らだけが正しい判断を出来るという前提で動いていることです。一方、社員の自主性が重視されている組織の特徴はそれとは正反対です。最も顧客に近い人たちが情報を持っており、彼らが正しい判断を出来るという前提で動いています。

社員は正しい情報を持っていたほうが、主体的に行動できる。秘匿情報の増加は、社員に疎外感を与える。正確な情報を持たない人々は、責任をもって行動することができない。正確な情報をもつ人々は、責任をもって行動せざるを得ない。情報を持つものが権力を握る。かつては企業に限らず、世の中すべてがそのような構造で出来上がっていた。しかし、情報があればあるほど、行動能力は大幅に拡大される。情報がなければ、時に全く行動を起こすことができない。 -マイケルE.ガーバー

 

​会社としての目指すべき姿、目的、基準を伝える

社長が何をしたいのかを伝えなければ、社員から何をすべきか?という意見やアイデアは出てくるはずがありません。特に、社員の自主性を育てるために必要なことは、社員に何を期待しているのかを正確に伝えることです。人は他人から何かを期待されていると感じているときに、最もうまく仕事が出来るともいわれています。

自分が何をしたいか?ではなく、自分は何を期待されているのか?という問いが生きる力を与えてくれた。 – ビクター・フランクル(「夜と霧」著者)

​そのためには、会社のビジョンを明確にコミュニケーションし、その中での各社員の役割や期待されている基準を明確に伝えることが大切です。

 

​権限の範囲を明確にする

組織として活動している以上、自主性を重視するからと言って何でもやっていいわけではありません。社員にどこまでの権限を与えるのかを明確にしてあげましょう。これにより社長にとっても、社員にとっても働きやすくなります。たとえば、リッツカールトンホテルには2,000ドルルールという有名なルールがあります。これは各スタッフが顧客のためならば2,000ドルまで自分の判断で使っていい、というルールです。なんでも好きにやっていいよ、というのでは社員も不安になります。しかし、このように権限の範囲を明確にされることで、社員は自主性を発揮しやすくなります。

業務内容によって自主性の程度を決める

業務の中には、社員の自主性に任せても良いものと、トップダウンで決めたほうがいいものがあります。この混同をしないことが大切だと思います。たとえば、オーガニックスーパーとして有名なホールフーズでは、店舗の売り場の運営方法は完全に社員の自主性に任されています。一方の本部側の運営はどちらかというと指揮命令系統が明確にされ、トップダウンで運営されているそうです。

​適材適所の仕組み

人は自分の興味がある分野や情熱がある分野であれば、自主的に行動したくなるものです。したがって会社としては各社員の自己認識力を高め、それに応じてキャリアを築けるようにサポートしてあげるのが良いでしょう。

 

顧客重視の姿勢

社員の自主性は最終的に顧客への貢献へつながるべきものです。通常、会社員として働くヒットは、

  • 自分の都合
  • 顧客の都合
  • 会社の都合

のハザマで揺れています。しかし、社員は本来的に、顧客の期待に応えたいと思っているものです。そこで、会社として顧客重視の姿勢を打ち出し、判断を顧客の都合に合わせて行う文化を作っていくことが大切です。そのためには、単に顧客第一と言葉でいうのではなく、顧客からのフィードバックを得るための仕組み(アンケートや調査、顧客との交流)を取り入れるのがいいでしょう。

 

挑戦や変化を許容する

社員の自主性を重視すると言いつつ、最終的に社長が決めてしまう「ちゃぶ台返し」にならないためには、何より、社員の行動やアイデアには社長が最終責任を持つと明言することも大事です。そして、会社として社員の挑戦や変化を許容する文化を作っていくことが大切です。調査によると、挑戦や変化を好む企業文化を持つ会社は、業績アップしやすいことが証明されています。より具体的に言えば、自社の価値観(コアバリューに、挑戦や変化などの言葉が入っていて、かつその価値観を採用基準や人事の評価項目に入れて運用している会社は同業他社と比べて優れた業績を生み出す傾向にあるとのことです。

 

社員によって対応を変える

人の成長度合いには違いがあります。「あなたに任せるよ」と言われてやる気を出す人もいれば、不安に思う人もいるわけです。これはそれまでの人生で、自主的に行動する経験をしてきたかどうかで決まります。ですから、相手に合わせて伝え方を工夫するのが良いでしょう。

自主性を育てる仕組みなら

というわけで、本日は自主性のワナとその対応策をいくつかご紹介しました。仕組み経営では、社員の自主性を育て、社長に依存せずに成長していける会社作りをご支援しています。詳しくは以下からご覧ください。

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