最近、良く聞く問題の一つが「常識が通じない（言わないとわからない）」社員に対する対応です。
例えば、「新しく入った社員が基本的な挨拶をしない」「会議中にスマホをいじっている」「指示された業務を適切に実施しない」など、これまで常識として受け入れられてきた行動や態度を欠く社員が増えているとの声を聞きます。
ここではその背景や原因を詳しく探るとともに、具体的な対策を考えてみたいと思います。
「言わなくてもわかる」とはどういうことか？
「常識が通じない（言わないとわからない）」社員が増えていると言われていますが、まず、「常識」とは具体的に何を指すのでしょうか。
ルールや規律は、会社の中で明確に定められた、守るべき行動や態度を示すものです。
これに対し、常識は「言わなくてもわかる」とされる、共通的な社会的な価値観や行動の範疇を指します。会社のルールや規律を破ることは、簡単に指摘や訂正が可能です。しかし、常識が欠けている場合、指摘が難しく、同僚や上司との間に摩擦が生じることもあるでしょう。
最近は、常識が無く、言わないと分からない社員が増えているために、経営者や上司としては悩みを抱えることになります。では、言わないとわからない人に対して、どうアプローチしたらいいでしょうか。
選択肢①すべての常識（=本来、言わなくてもわかること）をルール化
最も簡単に考えられる方法は、その“常識”を明文化し、明確なルールとして伝えることでしょう。仕組み化という観点から言うと、これが正しいアプローチのように思えます。
しかし、これあまりお勧めできません。
ルールとすべき事項には限りがない
「すべての“常識”をルール化する」というアプローチには、実はいくつかの限界と課題が存在します。
その理由は、ルールとすべき事項には限りがないからです。
何か一つをルール化するということは、
例えば、子供に対して「廊下を走らない」
となると、次には「教室では走らない」
以下同様に、際限なくルールを作ることになり、
常識とは何か判定できない理由
これはコンピューターに物事を教えるという行為に例えることが出
コンピューターに猫の画像を見せて、それを「猫」
従来は、「猫」の特徴をリストアップし、
たとえば、「ヒゲがある」「4本足である」という特徴を与えて「
この2つの特徴だけでは、猫と犬の区別が付きません。
すると猫と犬の区別はつくかもしれませんが、
以下同じように、どんどん特徴を与えますが、結局のところ、
ここで「猫」を「常識」に置き換えてみましょう。
「常識」を教え込もうとして、様々なルールを作っても、
選択肢②コミュニケーションの強化
二つ目の選択肢は、「コミュニケーションを増やす」ことです。
先ほどの猫の例で、
コンピューターに猫の特徴を与えて猫を判別させようとするのは難
そこで次には、コンピューターに猫の画像を大量に見せて、
すると、
この実験は人工知能の発展に大きく貢献したとされています。
なぜこの実験がうまく行ったかというと、
「猫」を「常識」に置き換えてみれば、
社員とのコミュニケーション量を増やすことで、
これにより、彼らが自分で「常識」とは何かを獲得し、
言わないと分からない社員を育てる方法
ここ数年、リモートワークが進んだことによって、
リモートワーク環境や、一緒に働く時間の減少、仕事とプライベートを分ける考え方などによって、職場のコミュニケーション量は減っています。その結果、「言わないと分からない」と思うような社員が増えてしまっているのです。
これを解決するには、今申し上げた通り、
例えば以下のような仕組みです。
会議の仕組み
- 日常的なスタンドアップミーティング: 日々の業務の進捗や課題を共有する短時間のミーティングを取り入れることで、社員間の情報共有と疎通を促進します。
- 月次の全体会議: 企業の方針や目標、業績などを共有し、社員全員での意見交換の場を持ちます。
懇親の仕組み
- 定期的な社内イベント: 社員同士の人間関係を深化させるため、月に1度のランチ会や社内イベントを実施。仕事の話以外の交流を促します。
- 社外の研修やセミナー: 社外での学びの場を提供し、異なる視点や知識を持ち帰る機会を増やします。
コミュニケーションを増やす仕組みを導入することで、”言わなくても分かる社員”を育てていくことが可能となります。
