優秀な人材の見分け方は六韜から学べ



中小企業経営者にとって、優秀な人材の見分ける力は会社の生命線です。採用然り、登用然り、人材の見極めが組織の行く末を左右すると言っても過言ではありません。そこで今日は、『六韜(りくとう)』という兵法書から得られる、優秀な人材の見分け方をご紹介します。

なぜ六韜から優秀な人材の見分け方が学べるのか?

六韜と太公望(呂尚)

『六韜』は、周の文王・武王と太公望の対話を通じて政治や統治、人々との関わり方について詳細に述べられた兵書です。この書には「六韜」と呼ばれる六つの章があり、前半の三つは政治や戦略に関連し、後半の三つは戦術に焦点を当てています。

『六韜』は一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、「虎の巻」という言葉は聞いたことがある方もいるでしょう。それは『六韜』の第二巻に含まれる「虎韜」を指しています。また、太公望という名前も、現代では釣りの名人として知られていますが、実際には周の文王に認められた軍師であり、周王朝の建国に貢献しました。

中小企業経営者が『六韜』を参考にすることで、優秀な人材を見抜く手助けができます。『六韜』には戦略や戦術の秘訣が詳細に記されており、組織内での適切なリーダーシップや意思決定能力、真摯な姿勢など、優れた人材の特徴を把握することができます。

古代の兵法書が中小企業経営者に役立つなんて驚くかもしれませんが、『六韜』は組織運営においても応用が利く智慧に満ちた書と言えるでしょう。優秀な人材を見つけるためには、古代の知恵を活用し、組織の成功に繋げることが重要です。

 

優秀な人材の見分け方①6つの守りを観察する

六韜にはいくつか人材の見分け方が出てきますが、まずは、「六守」についてみていきましょう。「六守:6つの守り」とは、仁、義、忠、信、勇、謀のことを指します。以下のポイントに注目して、人物の持つ資質を観察してみましょう。

仁:思いやり

仁とは他者への思いやりや配慮を持って行動することです。中小企業経営者は、人を踏みつけることなく、他者を尊重する姿勢を持つ人物を求めるべきです。仁のある人物は、チーム内の調和を築くことができ、協力的な環境を作り出すことができます。

義:正義感

義とは正義感や倫理観を持って行動することです。中小企業経営者は、人を見下すことなく、公正な判断を下すことができる人物を評価すべきです。義のある人物は、倫理的な問題にも真摯に向き合い、信頼性のある行動を取ることができます。

忠:責任感

忠とは責任感や忠誠心を持って仕事に取り組むことです。中小企業経営者は、重要な業務を任せられても、責任を果たし、結果を出す姿勢を持つ人物を見極めるべきです。忠のある人物は、困難な状況でも諦めずに努力し、組織のために尽力することができます。

信:正直さ

信とは信頼性や正直さを持つことです。中小企業経営者は、隠し立てをすることなく、真実を伝えることができる人物を重視すべきです。信のある人物は、他のメンバーからの信頼を得ることができ、組織内での円滑なコミュニケーションを築くことができます。

勇:チャレンジ精神

勇とは積極的にチャレンジし、困難に立ち向かうことです。中小企業経営者は、尻込みせずに新たなアイデアや変革を提案できる人物を探すべきです。勇のある人物は、新たな可能性を追求し、組織の成長に寄与することができます。

謀:戦略思考

謀とは計画的な行動や戦略を持つことです。中小企業経営者は、問題解決能力や戦略的な思考を持つ人物を評価すべきです。謀のある人物は、目標に向かって着実に進み、組織の成果を最大化することができます。

 

優秀な人材の見分け方②3つの宝を考慮する

次に「三宝」についてみていきましょう。「三宝:3つの宝」とは、農、工、商のことを指します。六韜には、国家の基本事業として三宝を大事にしないといけないと書かれています。これは人材の見分け方とは異なりますが、これら三宝に貢献してくれる人物を各署に配置することが大事だと考えていいでしょう。

農業:人事や財務の責任者

まずは食べ物を確保しないといけません。中小企業経営においては、安定した収益と持続可能な成長を実現するために、基盤となる体制を確立する必要があります。国で言えば内政をしっかり行える人物、会社の役職で言えば、人事や財務など、社員を支える部門の責任者に優秀な人材を据えることが大切だと言えます。

工業:技術系の責任者

技術や生産力の向上を通じて、競争力を高めることが重要です。中小企業経営者は、製品やサービスの品質向上や効率化を図りながら、持続的な競争力を確保する必要があります。役職で言えば、開発部長やCTOなどに優秀な人材を据えることが大切だと言えます。

商業:営業やマーケティングの責任者

市場や顧客のニーズを的確に捉え、販路の拡大やマーケティング戦略の展開を行うことが求められます。中小企業経営者は、市場の変化に敏感に対応し、積極的な販売活動を通じて事業を成長させる必要があります。営業やマーケティングなど、収益に直結する部門の責任者に優秀な人材を据えることが大切です。

 

優秀な人材の見分け方③六賊七害

最後に、六賊七害についてみていきましょう。六賊七害とはその名が表す通り、避けなくてはならない人物です。

六賊:このような人物は避けよう

  1. 遊興に耽る者を避ける: 優秀な人材は責任感を持ち、仕事に集中して取り組む傾向があります。広大な邸宅庭園や遊興に耽るような傾向がある人は、仕事に真剣に取り組む能力や意欲が不足している可能性があります。
  2. 法律を犯し官吏に従わない者を避ける: 優秀な人材は道徳的な価値観を持ち、法律を遵守し、社会的ルールに従う傾向があります。意のままに行動し、法律を犯す傾向がある人は、組織内でトラブルを引き起こす可能性があります。
  3. 賢人智者を排斥する者を避ける: 優秀な人材は協調性があり、他の人の意見や知識を尊重します。徒党を組んで賢人智者を排除するような人は、新しいアイデアや革新的な解決策に対するオープンマインドが欠如している可能性があります。
  4. 主君を軽んじる者を避ける: 優秀な人材は忠誠心を持ち、組織やリーダーシップに敬意を払います。気位や節義ばかりを高ぶり、主君を軽んじるような人は、組織の統一やチームの調和を損なう可能性があります。
  5. 功臣の労苦を傷つける者を避ける: 優秀な人材は成果を重視し、組織の目標達成に向けて努力します。爵位や地位を重んじず、主君や組織のために危険を冒すことを恥じるような人は、組織の価値観や目標と合致しない可能性があります。
  6. 弱者を侵略・凌辱する者を避ける: 優秀な人材は公正さや倫理観を持ち、他者を尊重します。強大な一族郎党の頭領となって貧弱な者を侵略・凌辱するような行動がある人は、組織内の倫理的な風土を損なう可能性があります。

七害:このような人物は避けよう

  1. 蛮勇に頼る者を避ける: 優秀な人材は智慧や臨機応変の能力を持ち、無謀な戦いに頼ることなく問題を解決します。蛮勇を重んじる傾向がある人は、組織内で冷静な判断や戦略的な思考が欠如している可能性があります。
  2. 有名無実で巧言令色な者を避ける: 優秀な人材は評判だけでなく実力も兼ね備えています。内外で意見を変えたり、他人の善事を隠し、悪事をあげつらうような人は信頼性に欠ける可能性があります。また、自己保身に長けているため、相談する価値がないかもしれません。
  3. 名誉や利益を追い求める者を避ける: 優秀な人材は質素さや真摯さを持ちながらも、名誉や利益に執着せず、仕事に専念します。見かけに惑わされず、本質を見極めることが重要です。
  4. 華美な装飾に惑わされる者を避ける: 優秀な人材は本質的な能力や実績を重視し、外見や見栄に惑わされません。奇抜な衣服や装飾に飾られ、空論を振りかざすだけで実際の行動や成果が伴わない人は、組織にとって有益ではない可能性があります。
  5. 俸禄や小利のみを追求する者を避ける: 優秀な人材は長期的な目標や組織の利益を考え、高尚な議論や計画に取り組みます。ただ利己的な利益を追求し、実質的な貢献や将来の展望を欠く人は、組織にとって有益ではない可能性があります。
  6. 本業を損なう者を避ける: 優秀な人材は本業に真摯に取り組む姿勢を持ちます。装飾や他の活動に過度に注力し、本業の成果を犠牲にする人は、組織の発展にマイナスの影響を与える可能性があります。
  7. 幻惑や邪悪な手法を用いる者を避ける: 優秀な人材は倫理的な価値観を持ち、正当な手段で人々を導きます。怪しげな技術や邪教、不吉な予言によって人々を幻惑しようとする人は、信頼性に欠ける可能性があります。

 

まとめ

以上、六韜から学べる優秀な人材を見分ける方法を見てきました。

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