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ティール組織における全体性(ホールネス)とは何?

清水直樹
清水直樹
この記事では、「ティール組織」内で紹介されている全体性(ホールネス)についてご紹介していきます。
「ティール組織」を読んで全体性(ホールネス)を知ったけど、どう始めればいいの?
という方に向けて基礎から実際に行われている運営のやり方などをご紹介していきます。

ちなみに姉妹サイト「ORG MAP」ではティール組織に向けて今の状態を診断できる「ティール組織診断マップ」を無料配布していますので、まだダウンロードしていない方はぜひ以下からチェックしてみてください。

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全体性(ホールネス)とは何か?

ティール組織における全体性(ホールネス)とは、偽りの仮面を被る必要がなく、ありのままの自分で仕事に出かけることができるようになる状態という意味です。

元々は心理学の世界で使われていた言葉ですので、上記の一言では表せない意味合いもあります。

フレデリックラルー氏は全体性(ホールネス)について次のように語っています。この説明を読むとより全体性(ホールネス)が理解できるのではないでしょうか。

“歴史を振り返るとに見て組織は常に、人々が仮面をつける場所であった。~中略~私たちは自分のありのままの姿ではなく、事前に定められた、組織に受け入れられるような一定の様式に従って装いを決め、ふるまうことを期待される。~中略~毎朝出勤前に着替えるたびに、自分自身の一部を締め出さなければならない、と思うようになるのだ。”

ワークライフバランスは是か?

働き方改革と共にワークライフバランスという言葉が流行りだし、生産性向上にはワークライフバランスを整えることが不可欠と言われてきました。そしてワークライフバランスとは仕事とプライベートの自分を分けることだ、というような風潮が生まれています。ほとんどの人は毎朝、スイッチオンして”仕事モード”になりますね。

しかし、このような風潮は本当は生産性向上の妨げになる(後述)ということがわかってきました。

ワークライフインテグレーションという考え

ザッポスのCEO、トニー・シェイは、「私たちが目指しているのは、ワークライフ・インテグレーション(統合)」です」と言っています。

ティールのような新しい概念では、プライベートの自分と仕事の自分を分ける必要はなく、”仕事に自分らしさを織り込むこと”こそが大切なのです。

ティール組織には、ホールネスの他にも、自主経営や存在目的というブレイクスルーが登場します。私はこの中でも全体性(ホールネス)が一番大事なのではないか?と思っています。というのも、職場がホールネスな状態になれば、自然と自主経営になりますし、ホールネスにならなければ本当の存在目的が発見できないからです。

私たちが自分の一部を自宅に置き去りにするたびに、可能性、創造性、エネルギーを自分から切り離すことになります。多くの職場に活気がないと感じるのもそれが理由でしょう。

自分にとってのホールネスとは?

ホールネスの意味が分かると、自然と次の質問が浮かんできます。

自分のありのままの姿って何なんだろう?

長らく全体性(ホールネス)が失われた会社に所属していると、こんなことを考える暇もなくなってしまいますね。

フレデリックラルー氏は、自分にとってのホールネスを考えるために次のような質問をすると良い、と言っています。ぜひ考えてみてください。

  • あなたはリラックスして自分自身でいられた瞬間を覚えていますか?他の人がどう感じるか気にしなくてよかったときはどんな時ですか?
  • それを思い出したあとで、日々の会社での時間を考えてみてください。あなたは本当はどんなことを望んでいますか?
  • 逆に、いまの状態であなたが望んでいないことはどんなことですか?自分のままでいられなくしているものは何ですか?
  • 今の会社の中で、ホールネスを体現している時はどんな時かですか?どんな場面、場所、時間ですか?自分ではなく、他の人がホールネスを体現しているときはどんな時ですか?
  • あなたが仮面の下に隠していると感じている部分どこですか?
  • 自分がありのままでいること、他の人がありのままでいることに対して、どんな恐れがありますか?

滅私奉公は全体性の妨げになるか?

ちなみに日本には滅私奉公という言葉がありますね。自分を押し殺して、会社のために身をささげるみたいな意味でとらえられているので、イメージが悪いです。ティール時代には滅私奉公なんて流行らないと思うかもしれません。

しかし、滅私奉公というのは、もともとは私利私欲を捨てて、公のために尽くすことを意味します。その公、という部分がいつの間にか会社という言葉に置き換えられてしまったのでイメージが悪いのです。公のために尽くす、ということは自分(たち)のエゴを超えて、世の中の役に立つことをする、ということです。そういう意味では3つのブレイクスルーのひとつ、存在目的につながる考え方と言えるでしょう。

 

全体性(ホールネス)の効果

さて、次なる質問として、

なるほど。ホールネスはわかった。でも会社って利益あげる場所なんだから、そんなこと考えて意味あるの?

と考える人もいるのではないでしょうか。

これに関しては、全体性を重視するチームでは生産性が高まることがグーグルの「プロジェクト・アリストテレス」という調査で分かっています。

調査で分かったことは、チームの生産性を高める要因は、次の5つである、ということでした。

  • 心理的安全性
  • 相互信頼
  • 構造と明確さ
  • 仕事の意味
  • インパクト

プロジェクトアリストテレス

引用元:https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/

心理的安全性がチームの生産性を高める

この中でも最も大事なのが心理的安全性だったそうです。ニューヨークタイムズに掲載されたプロジェクトアリストテレスに関する記事では、次のように語られています。

結果から浮かび上がってきた新たな問題は、個々の人間が仕事とプライベートの顔を使い分けることの是非であったという。もちろん公私混同はよくないが、ここで言っているのはそういう意味ではなく、同じ一人の人間が会社では「本来の自分」を押し殺して、「仕事用の別の人格」を作り出すことの是非である。

多くの人にとって、仕事は人生の時間の大半を占める。そこで仮面を被って生きねばならないとすれば、それはあまり幸せな人生とは言えないだろう。社員一人ひとりが会社で本来の自分を曝け出すことができること、そして、それを受け入れるための「心理的安全性」、つまり他者への心遣いや共感、理解力を醸成することが、間接的にではあるが、チームの生産性を高めることにつながる。

引用元:NY Times(What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team)

心理的安全性というのはまさにここで言う全体性(ホールネス)そのものと言えるでしょう。

まとめますと、全体性を取り戻した職場においては心理的安全性が確保され、全体の生産性が向上すると言えるでしょう。

 

全体性(ホールネス)を体現するパタゴニア社

では実際に全体性(ホールネス)を体現している会社にはどんなところがあるのでしょうか?書籍ではいくつか挙げられていますが、ここでは私が実際に見に行ったことのあるパタゴニア社をご紹介します。

カリフォルニア州ヴェンチュラにあるパタゴニア本社

カリフォルニア州ヴェンチュラにあるパタゴニア本社

 

パタゴニア創業当時の倉庫

パタゴニア創業当時の倉庫

パタゴニアの不買キャンペーン

パタゴニアの不買キャンペーン

創業時からのメンバーに話を聞く

創業時からのメンバーに話を聞く私たち

 

同社はそもそも環境を守るためにビジネスを始めた、という稀有な企業です。そのため、商戦時にあえて、自社のジャケットを買わないで、というような広告を出したりと何かと話題になる会社です。

ホールネスの観点で言うと、同社には社員が子供を連れてこれる保育施設が併設されています。そのため、ランチタイムなどは社員と子供が一緒にご飯を食べてる姿があります。そのような職場環境においてはプライベートの自分と仕事の自分を分ける必要もなくなります。

全員がそのようなありのままの自分を体現しているので、その姿に賛同する社員や顧客が集まってくるのです。

 

全体性(ホールネス)を実践するには?

では実際にホールネスを実践しようと思ったらどうすればよいでしょうか?ティール組織の書籍にはたくさんの慣行が紹介されていますが、私が個人的に大切だと思う点を挙げていきます。

まずリーダーから始めよう

やはり何事も変化はリーダーから起こさなくてはいけません。なので、ホールネスの実践もまずはリーダー、社長からです。リーダー役の人が自覚しないといけないことは、あなたの振る舞いは自分が思っている以上に他の人に影響を与えている、ということです。リーダーの振る舞いによってそのチームの文化が決まります。

私たちはこれまで多くの企業のご支援をしてきましたが、組織を変えるコーチングなどを始める際、何より最初に取り組むのが、”経営者の人生の目的”です。

なぜならば、経営者の人生の目的は、ビジネスに非常に大きな影響を与えるからです。経営者の人生の目的が会社の理念と紐づいたとき、その人らしい会社の運営が出来るようになり、結果としてそれが社員や顧客を引き寄せるマグネットになります。ティール組織には出てきていませんが、私が好きな起業家でヴァージングループのリチャードブランソン氏がいます。彼は自分らしさを日々表現しており、それに賛同する社員と顧客が集まっています。そして、それが”ヴァージンらしさ”というブランドにつながっているのです。

フレデリックラルー氏も、ホールネスを体現できる深さは、リーダーがホールネスを体現している深さに依存する、と言っています。これは考えてみれば当たり前のことで、リーダーが仮面をかぶっている会社やコミュニティで、他のメンバーが自分らしさを体現できるわけがありません。その逆もしかりで、リーダーがありのままの姿でいるチームでは、みんながありのままで居れる許可をもらったと感じることが出来ます。

グランドルールを創ろう

ラルー氏によれば、ホールネスを実践するにあたって、グラウンドルールを作ることも推奨される、とのことです。たとえば「” 私は・・”から語りはじめる」「他の人の発言を遮らない」などです。こういったルールをボランティアを募って決めていくことも良いでしょう。

またこういったルールを作るだけではダメで、それを語り合う場(ミーティング)を定期的に開催することも大切でしょう。

ストーリーを語る

ストーリーはメッセージを他の人に伝える非常に有効な方法です。ティール組織の書籍の中でもホールネスを取り戻すためにストーリーを語る場を設けることが推奨されています。ラルー氏によれば、ストーリーには3つの種類があるとのことです。

1.個人的な物語

なぜ、ホールネスを体現できない職場にいたくないか。それを物語で語れば、周りは共感をしてくれます。

2.会社の歴史

どういうときにホールネスが体現できていたか?会社の歴史のどういう面からホールネスが大事だと思えるのか?

3.存在目的

会社の存在目的を考えた場合、その目的のために、なぜホールネスが重要なのか?

こういったことを語り合う場を設けることです。

個人的にお勧めで私たち自身も実践しているのは、「個人的な物語」です。私たちの場合、新しいチームメンバーが参加するときには、”人生のアップダウンチャート”というのを話してもらうようにしています。

人生のアップダウンチャート

人生のアップダウンチャート

見ての通り、これは人生における感情などのアップダウンを図にしたものです。仮面をかぶった自己紹介をされるよりも、このように自分のストーリーを赤裸々に語ってもらうことでお互いのことをよく知ることが出来ます。

これも最初は私からスタートします。そうすることで、他のメンバーも”あ、こんなことまで話しても良い場所なんだ”と感じてもらえるわけです。

ティール組織マップを使って対話を始めましょう

以上、この記事では全体性(ホールネス)についての解説を行ってきました。あなたの会社にホールネスを取り戻すヒントになれば幸いです。

さて、改めてご紹介になりますが、このサイトではヨーロッパで開発された「ティール組織診断マップ」を無料配布しています。おそらく世界で唯一、全体像を俯瞰して診断できるマップです。これを使っていただくと、チームや会社内でティール組織に向けた対話をスタートすることが出来ます。使い方の簡単なガイドも付けていますので、ぜひ以下からダウンロードされてください。

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