利他の心(読み方:りたのこころ)とは?
「利他の心(利他心)」とは、他人のために尽力することを意味します。自分自身の利益よりも、他人の望ましい結果を優先する考え方です。読み方は「りたのこころ」です。
ビジネスの文脈で使われるとき、この言葉には3つの側面があります。先に整理しておきます。
- 判断基準としての利他…迷ったときに「相手にとってどうか」で決める。京セラフィロソフィの項目名にもなっています
- 価値観としての利他…会社が大切にする考え方として明文化し、採用や評価に反映する
- 日々の行動としての利他…同僚を助ける、情報を共有するといった具体的な振る舞い
この3つは別のものです。混ぜて語ると「良い心がけを持ちましょう」で終わります。本記事では1と2を中心に扱います。行動の話だけで終わらせないためです。
利他の心の反対は利己の心
利他の心の反対は利己の心です。利己は「己を利する」と書きます。エゴイズムともいいます。何よりもまず自分の利益を優先させるという意味です。まず他を利する利他の心とは反対の立場になります。
ただし、利己が悪で利他が善という単純な話ではありません。会社は利益を出さなければ続きません。社員の給与も払えません。ここで問われているのは、利益を取るか取らないかではなく、判断の順番です。相手の利益を先に考えたうえで、自社の利益をどう成立させるか。この順番を指して利他と呼んでいます。
利他の心を英語で言うと?
利他の心は東洋的な思想ですが、英語にも該当する言葉があります。「Altruism(アルトルイズム)」です。次のように使われます。
- 「altruistic behavior」:利他的行動
- 「altruistic manner」:利他的な態度
利他の心は誰の言葉か?
利他的な心という概念は、仏教・道教・ヒンズー教など、さまざまな哲学的・精神的伝統に根ざしています。これらの伝統において、利他心は精神的な解放と悟りへの道と見なされてきました。
そのため、利他の心という言葉自体は、誰か特定の人が生み出したものではありません。ただ、京セラ創業者の稲盛和夫氏が京セラフィロソフィで語りだしてから、日本のビジネスの世界で広く知られるようになりました。

稲盛和夫氏の京セラフィロソフィーにおける利他の心
京セラフィロソフィには「利他の心を判断基準にする」という項目があります。以下、その内容を引用させていただきます。
私たちの心には「自分だけがよければいい」と考える利己の心と、「自分を犠牲にしても他の人を助けよう」とする利他の心があります。利己の心で判断すると、自分のことしか考えていないので、誰の協力も得られません。自分中心ですから視野も狭くなり、間違った判断をしてしまいます。
一方、利他の心で判断すると「人によかれ」という心ですから、まわりの人みんなが協力してくれます。また視野も広くなるので、正しい判断ができるのです。
より良い仕事をしていくためには、自分だけのことを考えて判断するのではなく、まわりの人のことを考え、思いやりに満ちた「利他の心」に立って判断をすべきです。京セラフィロソフィ「利他の心を判断基準にする」
注目したいのは、項目名が「利他の心を持つ」ではなく「判断基準にする」である点です。心の持ちようではなく、判断の物差しとして使えという指示になっています。ここが実務で効く部分です。
利他の心を経営理念にする
なお、利他心は私たち”仕組み経営”のコアバリュー(核となる価値観)の第一番目の項目として掲げております。ここでは、利他心を以下のように定義しています。
利他心:人に最大限の慈しみをもって見返りを求めず尽くすこと。
以下にさらに詳しく意味を解説します。
私の師匠のマイケルE.ガーバー氏は、偉大な会社を創るためには、パーソナルドリーム(個人的な欲求)ではなく、インパーソナルドリーム(他の誰かのための夢)に目覚めることが必要だと説いています。日本語でいえば、利己心ではなく、利他心で経営するということです。
利他心には二つの良くある誤解があります。
まず、他の誰かのための夢と言うと、ボランティア精神(自己犠牲)で経営をしなくてはいけないのか?と思われるかもしれませんが、そうではありません。たとえば、高い品質の商品を安い値段で売れば、顧客は喜ぶかもしれませんが、会社の利益率は下がり、社員とその家族に悪影響が出るかもしれません。これは顧客のために社員を犠牲にしていることになります。逆に高い値段であっても、他社よりも品質が良いのであれば、顧客が安物買いの銭失いをしないように、自社の商品を薦めて上げることが善となります。
また、誰かのために役立つことをすれば、それが巡り巡って後から自分の利益になる、と考えるかも知れませんが、それも少し違います。たしかに因果の法則で、他人に手を差し出せば、あとから自分も救われるということもあるかも知れません。ただ、これは利己心のために利他心を装っていることになります。目指すべきは、他の人のために仕事し、彼らの夢を実現することが、自分にとっても夢となる状態です。
何か良いことをしたとしても、その裏で“もっと自分を褒めてほしい”、“もっと自分に感謝してほしい”といったような心があれば、それは自分だけが知っている裏の心(偽の心)となります。自分だけが知っている裏の心をなるべく捨てていかなければ、いずれそれが表に出て、利己心丸出しの人物になってしまいます。
最初は利他心を装った利己心でも良いかも知れませんが、大切なことは、顧客の人生や会社のステージを高めるために、仕事を洗練させることです。それによって、顧客が真の変化を得るのを見たとき、インパーソナルドリームを追求することが自分にとっての夢となるはずです。マイケルE.ガーバー氏は、この状態を発見できた時に起業家精神が目覚める、と表現しています。仏教用語では、これを自利利他円満と言います。自利利他円満とは、利他的行いをすれば自分にも利益が返ってくるということではなく、利他的行い=自分の利益だと考えることなのです。
1つ目の誤解については、価格の付け方が分かりやすい例になります。安くすれば喜ばれるという発想は、利他に見えて社員への負担に転嫁されます。この論点は値決めは経営で詳しく扱っています。
仕組み経営のコアバリュー全文はこちらのページに掲載しています。価値観を言葉にする手順そのものを知りたい方は経営理念の作り方をご覧ください。
ビジネスにおける利他の心の使い方
ここからが実務の話です。「利他の心が大事だ」と言われても、月曜の朝に何をすればいいのかは分かりません。使う場面を先に決めておくと、言葉が動き出します。
利他の心を使う場面は3つある
- 判断に迷ったとき…どちらを選んでも成立するとき、相手にとっての結果で決めます。これが最も本来の使い方です
- 言葉にして伝えるとき…朝礼、経営計画の発表、採用面接、顧客への提案。会社の姿勢を説明する場面で使います
- 評価するとき…数字だけでなく、他の人の成果に貢献した行動を評価に反映します
3つのうち、最も効果が出るのは1です。3は運用が難しく、基準が曖昧だと不公平感を生みます。まず1から始めてください。
利他の心の例文12選(使う場面つき)
実際に文章や会話で使うときの例です。場面とあわせて挙げます。
- 経営理念・行動指針「当社は利他の心を判断基準とし、顧客にとって最善となる提案を行います」
- 経営計画の発表「今期は売上目標に加えて、利他の心にもとづく行動を評価項目に加えます」
- 朝礼「利他の心とは、自分の都合より先に相手の事情を考えることです。今日の商談で試してみてください」
- 会議での問いかけ「この判断は利他の心にかなっていますか。顧客の側から見て説明できますか」
- 顧客への提案「利他の心を大切にしておりますので、御社に不要な機能はお勧めしません」
- 断るとき「利他の心で考えた結果、今回は他社さんのほうが御社に合うと判断しました」
- 採用面接「当社は利他の心を第一のコアバリューに掲げています。人の成果を喜べる方と働きたいと考えています」
- 新入社員への説明「利他の心は自己犠牲とは違います。相手の利益を先に考え、そのうえで自社の利益を成立させることです」
- 部下をほめるとき「今回の対応は利他の心が表れていました。自分の数字より先にチームの納期を守ってくれました」
- 失注の振り返り「提案が自社都合になっていました。利他の心が抜けていたと反省しています」
- 取引先との関係づくり「利他の心で長くお付き合いしたいので、値上げの理由を先にご説明させてください」
- 座右の銘として「私の座右の銘は利他の心です。判断に迷ったときは、相手にとってどうかで決めるようにしています」
使うときの注意が1つあります。自分の行動を説明するときに使い、相手に要求するときには使わないでください。「もっと利他の心を持ちなさい」は、言われた側には人格の否定に聞こえます。
「利他の心」と「顧客第一」「三方良し」の違い
似た言葉と並べると、輪郭がはっきりします。
- 顧客第一…相手を顧客に限定した考え方です。社員や取引先は含みません。行きすぎると顧客のために社員を犠牲にします
- 三方良し…売り手・買い手・世間の3者が同時に良くなることを求めます。結果の状態を指す言葉です
- 利他の心…判断するときの順番を指す言葉です。相手を先に置きます。結果として三方良しに近づきます
三方良しが到達点、利他の心がそこへ向かう判断の仕方。この関係で捉えると、社内で説明しやすくなります。
利他の心を判断基準にする方法
京セラフィロソフィの項目名にあるとおり、利他の心は判断基準として使うものです。ではどうやって基準にするのか。手順があります。
「動機善なりや、私心なかりしか」
稲盛氏には、もう1つよく知られた自問があります。「動機善なりや、私心なかりしか」です。
1984年、氏は第二電電(現在のKDDI)の設立を決断する前に、半年間この問いを自分に投げ続けたと語っています。この事業を始めようとする動機は本当に善なのか。そこに自分の私心は混ざっていないか。半年かけて、私利私欲から出たものではないという結論に至って踏み切りました。
ここで大事なのは、半年かけたという点です。利他の心は一瞬のひらめきで判定するものではありません。時間をかけて問い直す対象です。そして問い直しには、問いの文章が要ります。
会議で使える3つの問い
実務に落とすと、次の3つになります。重要な意思決定の前に、口に出して確認してください。
- この決定で、誰が得をして誰が損をするか。名前を挙げて言えるか
- 損をする側に、事前に説明できる理由があるか。説明できないなら、それは私心が混ざっています
- この判断を顧客と社員の前で、そのまま話せるか。話せない部分が判断の弱点です
3つ目が最も効きます。人前で説明できない判断は、たいてい自分の都合が入っています。判断の質そのものを上げたい場合は、経営の意思決定のプロセスとバイアスの整理もあわせてご覧ください。
心がけではなく、会議の議題にする
ここが本記事で最もお伝えしたいところです。
利他の心が社内に根づかない理由を、社員の意識の低さに求める説明をよく見かけます。この見方だと、打つ手は「もっと言い聞かせる」しかなくなります。そして数か月で元に戻ります。
原因は意識ではありません。判断の場に、利他を問う手続きが組み込まれていないことです。朝礼で唱えても、午後の会議で価格と納期だけを議論していれば、そちらが本音として伝わります。社員は言葉ではなく、何が議題になっているかを見ています。
ですので、やることは次の3つです。
- 会議の議事フォーマットに問いを入れる…前項の3つの問いを、決議事項の欄の下に印刷しておきます。空欄のまま次に進めないようにします
- 行動として書き下す…「利他の心を持つ」では評価も指導もできません。「顧客に不要な機能は勧めない」「他部署の納期を自部署より優先する場面を決めておく」のように、動作の形にします
- 事例を集めて共有する…月に1回、利他の判断をした具体例を1つ持ち寄ります。抽象語は事例でしか伝わりません
3つとも、個人の資質とは関係ありません。書式と会議と時間の割り当ての話です。だから会社に残ります。
利他の心の事例
稲盛和夫氏と日本航空の再建
最もよく知られた事例が、日本航空(JAL)の再建です。
2010年、経営破綻した日本航空の会長に、稲盛氏が就任しました。当時78歳です。航空業界の経験はなく、報酬も受け取らない形での就任でした。
氏が持ち込んだのは、航空業界の専門知識ではありません。判断の基準と、部門別に採算を見る仕組みでした。全社員に対して、何のために働くのかを問い直す教育を行っています。同社は2012年に再上場しました。
この事例から読み取るべきは、精神論の力ではありません。基準を言葉にし、それを毎月の数字と会議に接続したという点です。心構えの話だけで数万人の会社は動きません。
中小企業での例
規模を落とすと、利他の心はもっと地味な形で現れます。仕組み経営でお手伝いしてきた会社で見てきたのは、次のような場面です。
- 売らない判断…自社の商品が合わない顧客に、そのまま伝えて他社を勧める。短期の売上は落ちますが、紹介が増えます
- 手順を公開する…自分だけが知っている作業手順を書き出して共有する。個人の価値は下がるように見えて、部門全体の成果が上がります
- 値上げの理由を先に話す…黙って上げるのではなく、原価の状況を先に説明する。取引先の予算立てを助けることになります
3つに共通しているのは、短期の自分の損と、長期の全体の得を交換している点です。そしてどれも、その場の善意では続きません。「こういう場合はこうする」と決めておくから続きます。
利他の心が仕事や経営にもたらすメリット
利他の心を持てば仕事や経営に役立つ、という考え自体が利他の心に反してはいます。それでも、利他の心で仕事に取り組むと以下のような効果が期待できます。
社員満足度の向上
利他の心にあふれた会社で働いていると感じた社員は、仕事にやりがいを感じやすくなります。利他主義の文化は社員の士気を高め、従業員エンゲージメントとモチベーションの向上につながります。
より良い(正しい)意思決定
利他の心を持ったリーダーは、他者の幸福や、自分の決断が他者に与える影響を考慮する傾向があります。その結果、より良く、より倫理的な意思決定ができるようになります。
離職の低下
社員の離職理由の多くは人間関係にあると言われています。利他の心で運営される組織では、社員がお互いを信頼し、支援する傾向が強くなります。その結果、仕事上の関係が強くなり、調和のとれた職場になります。
業績への影響
利他の心で働く社員は、意欲的に仕事に取り組みます。その結果、生産性が向上し、業績にも反映されます。顧客の側から見ても、社員が利己心で働いている会社より、利他心で働いている会社と付き合いたいと思うのは自然なことでしょう。社会的責任や倫理観が高いとみなされれば、評判にも良い影響が生まれます。
利他の心を実践するには?
利他心は、以下のような実践によって培うことができます。
共感の実践
他人の感情や経験を理解し、共感できることは利他主義の重要な側面です。他人の立場になって考え、相手の視点で物事を見るようにしましょう。仕事の場面なら、相手の立場と締切と評価のされ方を想像してみてください。
小さな親切
小さな親切の積み重ねが、他人の状況を大きく変えることがあります。1日に少なくとも1回は親切な行動を心がけましょう。職場でいえば、資料の場所を先に教える、会議の議事録を引き受ける、後工程の人が困らない形でデータを渡す。この程度で十分です。
寄付をする(お布施)
困っている人に自分の時間、お金、資源を差し出します。地域の団体への寄付や支援など、簡単なもので構いません。仏教では、お金を差し出す以外にもできる布施として「無財の七施」というものがあります。
- 眼施(げんせ):やさしい眼差(まなざ)しで人に接する
- 和顔悦色施(わげんえつじきせ):にこやかな顔で接する
- 言辞施(ごんじせ):やさしい言葉で接する
- 身施(しんせ):自分の身体でできることを奉仕する
- 心施(しんせ):他のために心をくばる
- 床座施(しょうざせ):席や場所を譲る
- 房舎施(ぼうじゃせ):自分の家を提供する
お金がなくてもできる点が要点です。布施は六波羅蜜の第一に置かれています。稲盛氏も経営との関わりでたびたび触れています。
感謝する
いまの自分にある良いものに目を向け、感謝の気持ちを育みましょう。自分が持っているものの価値を理解すると、他者と共有しやすくなります。
許す
他人に対する怒りや恨みを手放し、許すことを実践しましょう。良好な人間関係を維持でき、困っている人を助けやすくなります。
慈愛の心
他人の苦しみを想像し、それを軽くする手段を考えることで、思いやりの感覚が育ちます。地域の活動に参加する、寄付をする、困っている人にただ寄り添う。どれでも構いません。日常的に続けることで、周りの状況を少しずつ良くしていけます。
部下の利他の心を育むには?
社長や組織リーダーであれば、部下に利他の心を育んでほしいと思うかも知れません。以下はそのためのヒントです。
模範を示す
何よりもまず、リーダーが利他の心を実践しなくては始まりません。上記のリストを振り返り、自ら実践しましょう。見返りを期待せず、与える方法を部下に示すことです。
地域社会への参加を奨励する
社会奉仕やボランティア活動への参加を勧める、またはみんなで参加するようにしましょう。自分の行動が他者に与える影響を理解し、共感する力を養えます。
寛容の文化をつくる
無私の行為を評価し、認めることで、寛大さと優しさの文化を築きます。ここで大事なのは、評価する対象を具体的に決めておくことです。何を評価するかが曖昧なままだと、声の大きい行動だけが目立ちます。
良好な人間関係の育成
社員同士が良好な関係を築き、公私ともに支え合うことを促します。
内省を習慣化させる
自分自身の価値観や動機を理解するために、自己反省と内省を促しましょう。自分の行動と信念を一致させ、目的意識を持てるようになります。
利他の心が空回りする3つのパターン
最後に、うまくいかない場合の典型を挙げておきます。どれも心構えの問題ではありません。
パターン1|自己犠牲とすり替わっている
利他を掲げた結果、社員が長時間働いて顧客の無理を飲む状態になる。これは顧客のために社員を犠牲にしています。前述のとおり、利他心とは自己犠牲ではありません。誰かが黙って負担を引き受けている状態を見つけたら、それは利他ではなく設計の不備です。
パターン2|言葉だけがあって行動の定義がない
理念に「利他の心」と書いてあるが、それが日々の何を指すのか誰も説明できない。この状態だと、社員は自分に都合よく解釈します。抽象語のまま置いておくと、意味は人数分に分かれます。行動の形に書き下してください。
パターン3|評価と矛盾している
利他を掲げながら、評価は個人の数字だけで決まっている。社員はどちらが本音かをすぐ見抜きます。理念と評価がずれている会社では、理念のほうが無視されます。掲げるなら、評価の一部に組み込むところまでやってください。組み込めないなら掲げないほうが、社内の信頼は保てます。
利他の心についてよくある質問
利他の心と自己犠牲は同じですか?
違います。自己犠牲は自分が損をすることが前提です。利他の心は、相手の利益を先に考えたうえで、自社の利益も成立させることを目指します。誰かが一方的に損をし続ける状態は、長続きしません。
利他の心は誰の言葉ですか?
特定の個人が生み出した言葉ではありません。仏教をはじめとする思想に古くからある考え方です。日本のビジネスの文脈では、京セラ創業者の稲盛和夫氏が京セラフィロソフィで語ったことで広く知られるようになりました。
利他の心を経営理念に入れるべきですか?
入れること自体は問題ありません。ただし、その言葉が日々のどの行動を指すのかを書き下せる場合に限ります。書き下せないまま掲げると、前述のパターン2になります。
社員に利他の心を持たせるにはどうすればいいですか?
持たせようとするより、利他の判断が起きる場面を用意するほうが早く進みます。会議の議事フォーマットに問いを入れる。評価項目に加える。事例を月1回共有する。この3つが具体的な手です。
利他の心は業績につながりますか?
直接つながる保証はありません。ただ、離職の低下や顧客からの信頼という形で間接的に効きます。逆に、業績のために利他を掲げると、社員には見抜かれます。順番を逆にしないことです。
日々の仕事で利他の心を活かす
より具体的に、日々の仕事で利他の心を活かす場面としては以下が挙げられます。
- 仕事に追われている同僚や、プロジェクトで苦労している同僚を助ける
- 他の人が目標を達成できるように、情報、資源、スキルを共有する
- チームや組織のために、自ら進んで追加の仕事や責任を引き受ける
- 個人的な興味や利益よりも、組織や顧客のニーズを優先させる
- 同僚を批判したり貶したりするのではなく、建設的なフィードバックや支援を提供する
- たとえ不都合なことがあっても、倫理的かつ公正に行動する
- 同僚、取引先、顧客に対して思いやりと共感を示す
- 廃棄物を減らし、資源を節約し、職場の持続可能性を高める
これらはほんの一例です。大切なのは、この一覧を配って終わりにしないことです。自社ではどれを優先するのか。それをいつ確認するのか。ここまで決めて、はじめて言葉が仕事に入ります。
ぜひあなたの会社でも、利他の心を実践する方法について話し合ってみてください。


