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後継者育成塾が役に立たない理由とその対処法

本日は中小企業における「後継者育成」について解説します。ここでいう後継者というのは現在の社長の後継者であり、通常は現時点では社長を補佐する役職、上級管理職についている人になります。

後継者育成が上手くいかない理由

世の中には様々な後継者育成塾やプログラムがあります。しかし、特に中小企業においてはこのような経営リーダーを育成する試みはなかなかうまくいっていないのが実態です。事実、近年中に後継者不在で倒産する会社は数十万社にも及ぶとされています。

その理由としては、、、、

そもそも育てようとする意識がない

人生100年時代、昔であれば経営者引退迎えていた年齢に差し掛かっている人も、まだまだ現役で活躍できる時代です。そのため、自分がずっと経営していく、ということに疑問すら持っておらず、いずれ会社を誰かに引き継ぐ必要がある、という意識を持っていない社長は多いものです。当然ながらそういう会社では、後継者を育成しようという意識がありません。

後継者候補者がいない

一方、誰か後継者を育てたいと思っても、社内に候補者がいない、というケースもあります。社員の高齢化も進み、将来を見越して会社を託せる人材がいないケースです。このような場合には、M&Aで会社をどこかに売却するか、外部から人材を採用してくるという選択肢になります。ただ、それまで社長の専制政治で運営されていた会社ですと、それも難しいのが実態でしょう。

後継者に求められる資質を理解していない

次に、候補者はいるけど、なかなか社長の思うように育たない、というケースがあります。このケースの場合の問題は、社長が後継者に求められる資質を理解していない、ということです。社長が自分の代わりを出来るのはどんな人だろうか?というように考え出すと、もうキリがありません。あれも出来て、これも出来て、、、というように、とても育てるのが不可能な理想の人材像になってしまいます。これに関しては以下に詳しく解説していきます。

 

後継者に求められる能力とは?

後継者育成を考えるにあたって、後継者に求められる能力とはどんなものか?を考えてみます。ここでまず最初に知っておかなければいけないのが、「管理職には2種類ある」ということです(後継者も管理職の一種と考えます)。この2種類の管理職、求められる能力が全く異なります。

管理職①一般社員の上司

ひとつめの管理職は、”一般社員の上司”です。たとえば、営業スタッフが3人いて、それをまとめる営業リーダーがいる場合、そのリーダーは”一般社員の上司”になります。

管理職②管理職の上司

ふたつめの管理職は、”管理職の上司”です。この例で言えば、複数の営業リーダーがいるとして、そのさらに上司となる営業部長みたいな人のことです。この人は、”管理職の上司”となります。社長もそうですし、後継者候補が実際に社長になる際には、”管理職の上司”になります。

あまり知られていませんが、”一般社員の上司”と”管理職の上司”では求められる能力が異なります。

 

将の将たるものは

中国の故事でこんな言葉があります。

将の将たるものは

この故事の由来となった話を紹介しましょう。

 

漢王朝を建てた劉邦は、謀反の疑いで武将の韓信をとらえ、牢に入れました。劉邦は韓信に尋ねます。

劉邦:この私はどのくらいの兵を統率できると思うか?

韓信:せいぜい十万でしょう。

劉邦:では貴公は何人の将になれるか?

韓信:多ければ多いなりの将になることが出来ます。

劉邦:ではなぜ十万の将にしかなれない私に貴公が捕らわれたのか?

韓信:陛下は兵の将としての力はありませんが、将の将としての力をお持ちです。私が捕えられたのもそのためです。それに陛下の才能は天からの授かりもので、普通の人ではないのです。

 

”兵の将”というのは、先ほどの”一般社員の上司”です。一方の”将の将”は、”管理職の上司”です。韓信は兵の将になることはできましたが、将の将になることはできませんでした。そのため捕らわれたのです。この故事から得られる教訓は、武の力があれば兵の将にはなれるが、将の将になるためにはそれだけでは足らないということです。将の将になるためには、”兵の将”達がこの人と一緒に働きたい、というような人徳が必要なのです。

 

後継者選びで職人社長が失敗しがちな理由

これを現代社会の会社に置き換えてみましょう。たとえば自分が料理人として腕を磨き、自分のお店をオープンさせたとしましょう。最初は自分がオーナー兼店長兼料理長ということになります。ほかにスタッフが3人ほど雇ったとしたら、自分は”兵の将”となります。

お店が成長し、もう一店舗を出そうかな、という段階になったとします。この時点で、いまのお店の店長兼料理長となる後継者を育てなくてはいけません。後継者に求められるのは、何より自分と同じ味が出せることです。同じ味が出せなければお客さんが離れてしまい、ビジネスが成り立たないからです。また、料理が上手ければ、後継者は他のスタッフからも一定の信頼を得られます。

同じようにして店舗を増やしていき、5店舗になったとします。こうなると5店舗をまとめるマネージャーが必要になります。ではこの時、誰をそのマネージャーに引き上げるでしょうか?

職人技で成り上がってきた社長がやりがちなのが、5店舗の店長の中から最も料理が上手い人を選ぶ、ということです。これは実は間違いです。ここでのマネージャーというのは、兵の将ではなく、将の将になります。先ほどの故事で武力があるからと言って将の将になれるわけではないのと同じく、料理の腕が良いからと言って、店長の上司になることはできません。

 

マネージャーにすべきなのは、5人の店長の中で、最も人徳がある人物で、店長たちをまとめられる人物です。「マネージャーが一番腕が良くなければ、スタッフの信頼が得られない」と思うかも知れません。そんなことはないのです。スタッフが日々接するのは店長であり、店長から料理を学ぶのです。マネージャーの役割は腕が立ち、時に個性的な店長たちをチームとしてまとめ、会社の目標に向かわせることです。

お分かりのとおり、社長の後継者たる人物は、ほとんどの場合、兵の将ではなく、将の将となります。この点を間違っていると、育成方法、そして抜擢の基準も間違ってしまいます。

 

後継者が持つべき志とは?

さて、後継者の育成について別の切り口から見てみましょう。ここでは、フリーメイソンの話を引用します。

フリーメイソンの起源は、宗教施設などを作る石工職人たちの職業組合だったとされています。彼らが仕事をするにあたって、秩序を保てるよう、職人たちの成長システムが作られたそうです。

それが徒弟(見習い)、匠(熟練工)、棟梁(真の熟練工)の3段階です。

一段階目は、徒弟。彼らに求められることは、会社のビジョンに誠実であること、仕事の内容に誠実であること、会社のルールに誠実であること。彼らはまず”自分の夢”を実現するために働きます。

二段階目は、匠。匠に求められることは、更に上の段階に成長するという「希望」で仕事をすること。彼らは周りに影響を与え、”私たちの夢”を実現するために働きます。

三段階目は、棟梁。棟梁に求められることは、仕事の技術を慈愛の心で他の者たちに教えるために仕事をすること。彼らは後継者を育て、”次世代のための夢”を実現するために働きます。自分がこうなりたいということではなく、次世代へ託したい夢、これを志と言います。

実はこの3つのステップ、先ほどの将の将たるものは、の話に通じます。徒弟は”兵”であり、一般社員。匠は”兵の将”であり一般社員の上司。棟梁は”将の将”であり管理職の上司。ということになります。図にまとめるとこんな感じです。

中国の故事からも、フリーメイソンの話からも共通して言えるのは、役職が上になればなるほど、他の人や社会のために働くことが求められるのです。そして、その姿勢が人徳や人格へとつながっていきます。後継者を選ぶ際には、その人が将の将たる考えや志を持っているかどうかが大切です。

後継者育成のために

さて、色々とご紹介してきましたが、後継者育成のために、ということでまとめてみます。今述べてきたのは、あくまで後継者を選んだり、育成したりするときの基本的な考え方となります。実際には他にもたくさん行うことがあります。最後にそのいくつかを挙げてみましょう。

理念の明文化と共有

後継者は何より現在の社長と理念を共有していることが大切です。My Dreamだけで働いている人を後継者にすることはできません。会社の存在意義や目的、ビジョン、そして価値観(コアバリュー)を共有していることが大切です。これらの理念体系が明文化されていない場合には、まずはそこから取り組む必要があるでしょう。

社長の仕事の分解する

社長の座を譲る前に、社長の仕事を分解することも必要かも知れません。特に創業社長の場合、スーパーマンですから、社内のあらゆる業務を自分で行っている可能性があります。それらを一人の後継者に引き継ぐのは無理があります。そこで、社長の仕事を分解し、組織的に分業していく必要があります。

求められる資質の明示と仕組み化

求められる資質を明示、明文化することも大切です。先ほど兵の将と将の将の違いを紹介しました。これを理解しているのが社長だけではダメです。マネージャーに昇格するのがどういう条件なのかを全スタッフが理解していなければ、なんであいつが?という不満が出ます。ですから、店長に求められるのはこういうこと、マネージャーに求められるのはこういうこと、後継者に求められるのはこういうこと、というように明文化し、社内に周知しておくことが大切です。出来ればそれを研修内容や評価項目に入れるなど、仕組みにするのが理想です。

経験の場を作る

後継者のようなリーダーが育つためには、経験:薫陶:研修=7:2:1という割合が必要だとされています。後継者育成塾やプログラムが実態としてあまり役に立っていない理由がここにも表れています。研修というのは1割でしかないのです。大部分を占めるのは経験です。そしてここでいう経験も、単に長年勤めていればいいわけではありません。次に挙げるようないわゆる一皮むける経験が必要です。(リストは金井壽宏氏の書籍からの一部引用)

  • 何もないところから何かを作り上げる
  • 失敗している事業を立て直す
  • 管理する人数、職域の増加
  • ライン業務からスタッフへの移動
  • ロールモデルの観察
  • 事業の失敗
  • 部下との対峙
  • キャリアチェンジ
  • 個人的なトラウマ

こういった経験をさせるために、大企業の場合には子会社を作り、そこの社長を後継者候補にやらせることで社長を育てる仕組みがあります。中小企業の場合にはそれは難しいですが、新規事業を立ち上げるとか、難しい仕事をさせるとか、実ビジネスでの経験を積ませる必要があります。

後継者育成塾よりも実体験で育てるには?

さて、ここからは宣伝です。これまで見てきたように、後継者育成は一般社員の育成とは異なりますし、後継者育成塾やプログラムに参加させて何とかなるものではありません。

一方、我々の提供する”仕組み経営導入パッケージ”では、経営者の方が後継者候補の方と一緒に会社の仕組みづくり(理念の明文化から各業務のマニュアル化まで)に取り組みます。それによって、自然と社長と理念共有が出来、経営者目線での仕事を経験しながら、かつ会社の仕組み化も出来る、という後継者育成には非常に効果的なプログラムになっています。ぜひ一度個別相談をご活用ください。

 

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