マニュアル作成大百科

マニュアルの作り方7ステップ。テンプレートと種類別の実例つき



清水直樹
今回はマニュアル作成について解説します。これまで多くの会社のマニュアル作成をご支援してきた私達「仕組み経営」のノウハウをたっぷり盛り込み、作り方だけでなく、おさえるべきマニュアル作成のコツやテンプレートも紹介しています。

※なお、マニュアル作成は、こちらでご紹介している「経営者不在でも成長するための仕組み化」の全体像の一部です。

マニュアルとは?作る目的と、使われない理由

マニュアルとは、その時点でその仕事を最も効果的に行えるやり方を書き残した文書です。

大切なのは「その時点で」という部分です。仕事のやり方は改善のたびに変わります。マニュアルもそれに合わせて書き換わっていきます。完成したら終わりの文書ではありません。

マニュアルを作る目的は、社員が毎回ゼロから考えなくて済むようにすることです。たとえば経営計画の発表会を企画運営する業務を考えてみましょう。第一回目は資料も段取りも会場手配も、全部ゼロから担当者が試行錯誤します。翌年に担当者が代わったとき、記録が何も残っていなければまたゼロからのやり直しです。第一回目の内容を業務フローとマニュアルにまとめてあれば、担当者が代わっても同じように開催できます。空いた時間で前回よりも良い演出を考えることもできます。

マニュアルは社員の自由を奪うものではありません。社員をより生産的に、より創造的にするためのものです。

なぜ立派なマニュアルほど使われないのか

マニュアルを作ったのに誰も見ない。この相談を私たちは数え切れないほど受けてきました。

拙著『仕組み化の経営術』では、仕組み化の試みが失敗する理由の第一に「仕組み創って魂入れず」を挙げました。業務のマニュアル化をしようとして、使われない立派なマニュアルが出来上がる。人事制度を入れて社員を動機づけしようとして、自社の文化に合わず作り直しになる。どちらも同じ根から起きています。

原因は担当者の熱意でも文章力でもありません。会社の理念とマニュアルが切り離されていることです。

理念と仕組みの関係は4つに分かれます。両方ない状態が「無法地帯」です。理念だけあって仕組みがないのが「精神論」です。そして仕組みだけがあって理念が抜けている状態を「官僚主義」と呼びます。使われないマニュアルが棚に積み上がっている会社は、この官僚主義に入りかけています。

だから本記事では、作り方の手順だけでなく、作ったマニュアルが現場で回り続けるための条件まで解説します。使われない理由そのものを詳しく知りたい方は、なぜ?マニュアルが活用されない【3つの理由】で個別に解説しています。

マニュアルの種類は3つ。まず使い分けを決める

作り始める前に決めることがあります。どの形式で書くかです。一口にマニュアルと言っても、手順書・業務フロー図・チェックリストの3つに分かれます。対象とする業務によって使い分けます。

マニュアルの種類
マニュアルの種類

手順書

手順書は一般的なマニュアルのイメージに近いものです。その業務を行うための手順を記載したもので、ステップ1はこれ、ステップ2はこれ、、、というように業務の流れを記載します。

業務フロー図(プロセスマップ)

業務フロー図は、手順書を図にしたものと考えればわかりやすいでしょう。複数の部署や担当者をまたぐ業務に向いています。誰から誰へ仕事が渡るのかが一目で分かるためです。業務の見える化を進めたいときにも役立ちます。

ブログ記事制作の業務のフロー図例
ブログ記事制作の業務のフロー図例

チェックリスト

チェックリストは、その業務を行うために忘れてはならない項目をリストにしたものです。飲食店などのトイレに行くとたまに掃除のチェックリストが置いてありますがあれのことです。掃除のような簡単な業務から飛行機の点検のような人の命にかかわる重要な業務まで、さまざまなシーンで活用されます。

店舗ビジネスのマニュアル体系例

形式が決まったら、次は体系です。あなたが作ろうとしているマニュアルは誰が使うものでしょうか。通常の店舗ビジネスであれば、ざっくりと大きく分けて2種類のマニュアルがあります。

マニュアルの分け方
マニュアルの分け方

マネジメントマニュアル

マネジメントマニュアルは経営層に近い人たちが使うものです。店舗ビジネスの場合で言えば、店舗開発や採用、人材育成、人事について、等々非常に多岐にわたる内容が書かれています。たとえば、無印良品のマネジメントマニュアルはオペレーションマニュアルよりさらにボリュームがあるともいわれています。

オペレーションマニュアル

オペレーションマニュアルは店舗を運営するためのものであり、いわゆる現場のマニュアルです。たとえば接客の仕方から会計の仕方、商品陳列の仕方などが書いてあるものです。普通の人がマニュアルと聞いてイメージするのは、このオペレーションマニュアルのことだと言えるでしょう。仕組み化、マニュアル化でV字回復を果たした無印良品は、このオペレーションマニュアルだけでも2,000ページあるといわれています。

無印のMUJIGRAMについてはこちらから:

MUJIGRAMを完全解説。無印良品の最強のマニュアル運用術

フランチャイズビジネスのマニュアル体系例

いまは店舗ビジネスを例にしましたが、フランチャイズチェーンなどでは、さらに加盟店開発用、本部運営用、などのように細かく種類分けしているケースがあります。他の業態でも同じです。現場の作業レベルのことを書いているオペレーションマニュアルと、経営をどうやるか?組織をどう動かすか?というマネジメントマニュアルに分けることが出来ます。

マニュアルの種類例(仕組み経営の資料から抜粋)
マニュアルの種類例(仕組み経営の資料から抜粋)

ともかく、あなたの会社にどんな種類のマニュアルが必要なのか?を決めることが最初の一歩です。

マニュアル作成のテンプレート(そのまま使える8項目)

マニュアル作成にあたって、テンプレートが欲しいという人も多いでしょう。要はマニュアルにどういう項目が必要かということです。私たちが推奨しているマニュアルに含めるべき項目は以下の通りです。

マニュアルに入れるべき8項目

  • マニュアルのタイトル名(対象業務名)
  • 文書番号
  • 作成日(改定日)
  • 目的
  • 担当者
  • リソース
  • 作業手順
  • 作業基準

上記項目は、作成時に必ず盛り込みましょう。この8項目をエクセルやGoogleドキュメントのひな形として保存しておけば、それがそのまま自社のテンプレートになります。

記入例:ブログ記事制作のマニュアル

項目だけ見てもイメージが湧きにくいと思います。実際に埋めるとどうなるかをご覧ください。以下は「ブログ記事制作」という業務のマニュアルを、上記8項目に沿って書いた例です。


①対象業務名:ブログ記事制作

②文書番号:MKT-003

③作成日(改定日):2026年4月1日作成/2026年8月1日改定

④目的:読み手にとって価値ある情報を届け、自社を知ってもらう入口をつくること

⑤担当者:マーケティング担当

⑥リソース:ブログの管理画面、キーワード調査ツール、記事構成のひな形

⑦作業手順

手順1 検索キーワードを1つ決める

手順2 上位10記事に目を通し、書かれていない論点を1つ見つける

手順3 見出しの構成を作り、編集担当の確認を受ける

手順4 本文を書く

手順5 図版を用意する

手順6 公開設定を行う

手順7 担当者以外がもう一度読んでから公開する

⑧作業基準:一次情報にあたること。数値を書くときは出典を確認すること。公開前に必ず本人以外が読むこと。

目的が書いてある点に注目してください。目的があると、担当者は手順の外側でも判断できるようになります。この例で言えば「読み手にとって価値がある」という基準があります。だから検索エンジンを意識しすぎて読みにくくなった原稿を、担当者が自分で止められます。

マニュアル作成の実例を動画で見る

以下の動画で、上記テンプレートに基づいた解説をしています。

以下、マニュアル作成のステップをご紹介していきますが、上記に述べたテンプレートに合わせて解説していきます。

マニュアルの作り方7ステップ

次に、マニュアル作成のステップをご紹介していきましょう。

マニュアル作成ステップ①マニュアル体系を決める

マニュアルを作り始める前に、マニュアルにはどんな種類があるのかを把握し、どの種類のマニュアルを作りたいのか(これをマニュアル体系と呼ぶ)を認識しておく必要があります。前章の「マニュアルの種類は3つ」で解説したとおりです。手順書なのかチェックリストなのか、現場向けなのか経営層向けなのかを先に決めます。会社全体で取り組む場合は、業務標準化の進め方も併せてご覧ください。

マニュアル作成ステップ②目次を決める

マニュアル作成の際に、目次を作るべきかと悩む人は多いのではないでしょうか。

もしあなたが単発の業務についてマニュアルを作りたい、というのであれば目次はいらないでしょう。

しかし、より体系的に会社の業務をマニュアル化していきたいのであれば、目次が必要です。先ほどの無印良品のように2,000ページはないにしても数十ぺージにわたるのであれば、目次があったほうが良いです。

私たちも多くの企業のマニュアル作成の支援をしていますが、最初に頭を悩ませるのが、マニュアルの目次をどうするか?です。

目次というのは、その会社の業務をどう分解するかによって大きく異なります。私たちがやっているような体系的なマニュアルを作るには、ちょっとしたノウハウが必要です。まずは自社にどんなマニュアルが必要かを考え、それらをリストするだけでも目次として機能するでしょう。


マニュアル作成ステップ③対象業務名(≒マニュアルのタイトル)を決める

マニュアルの対象となる業務名を決めましょう。

これがマニュアルのタイトルにもなります。簡単なように思えますが意外と重要です。

会社の規模が大きくなってくると、社内で使われる言葉にブレが生じます。

誰が見ても、”この業務のマニュアルである”と理解できることが大切です。

マニュアル作成ステップ④対象業務の目的を書く

マニュアル作成でとても重要なのが、対象業務の目的を明確にし、記載することです。

重要である一方、ほとんどの会社のマニュアルには目的が欠けています。

目的はなぜその業務が存在するのかを記載したものです。会社のビジョンやブランドと各業務を結びつける役割を果たします。

目的を理解することなしに手順通りに行うだけでは、いわゆるマニュアル人間が出来上がってしまいます。

たとえば「ブログ記事制作」のマニュアルを作るとしましょう。この業務の目的は”読み手に取って価値ある情報を提供すること”です。この目的を理解しないまま手順だけに従ったとしたら、SEOを意識しすぎて、人が読みにくい記事が出来上がってしまうかも知れません。

マニュアルの目的の例

実際に私たちが使っているマニュアルを例にしてみましょう。以下は、私たちが提供している仕組み経営ファシリテータートレーニングのマニュアルの目的になります。

【実例:仕組み経営ファシリテータートレーニングのマニュアルの目的】

仕組み経営ファシリテーターが、

・仕組み経営の理念体系、原理原則、講座内容を理解し、正しく活動し、活躍できるようにすること。

・ファシリテーター同士で相談しあえる、応援しあえるコミュニティを作ること。

・活動計画を立案し、トレーニング直後から活動をスタートできる状態にすること。

このように、対象業務の目的を明確することは、会社側の意図を正しく伝えるためにも欠かせないのです。

マニュアル作成ステップ⑤対象者やリソースを書く

次にそのマニュアルは誰が使うのか(対象者)、その業務を遂行するにあたって必要な道具やツール(リソース)を記載するようにします。

マニュアル作成ステップ⑥.手順を書く(手順書の場合)

対象業務の手順を書きます。(チェックリストの場合にはチェックリストを書きます)ここでの注意点は、手順の粒度と手順の数です。

手順の粒度

手順の粒度とは、どれくらい細かく書くかです。

たとえば「電話で新規アポイントを取る」という業務があったとしましょう。このマニュアルで、”受話器を上げて、電話番号をプッシュする”という手順まで書く必要が無いのは明らかです。

粒度の決め方にもノウハウが必要ですが、少なくとも御社内にてどれくらい細かく書くかを統一しておくことが大切です。

手順の数

一つのマニュアルにつき、10個以上の手順がある場合には、マニュアルを二つに分けましょう。10個以上手順があると複雑になり、作業時にミスが生じる可能性があります。

マニュアルの作り方ステップ4、手順を書く
仕組み経営のファシリテーターマニュアルからの抜粋

マニュアル作成ステップ⑦業務の基準を書く

基準というのは、対象業務を行うにあたって注意すべき点や守るべき点を書いたものです。

手順でカバーできなかった細かい点を必要に応じて書きます。

マニュアル作成、10のコツ

これだけは押さえてほしい、マニュアル作成のコツを10個ご紹介します。動画でも解説していますので、ご参照ください。


マニュアル作成のコツ①目的を先に決める

この記事をご覧の方は、どうマニュアルを作るかを知りたいのだと思います。しかし、それより前段階の話があります。

  • 何のためにそのマニュアルを作るのか
  • そしていつ誰がどういうシチュエーションでマニュアル使うか

これを最初に決めておくことです。ここを決めないと、いくらマニュアルを作ったところで使われなくなってしまいます。

マニュアル作成のコツ②フォーマットを先に決める

これも基本的なことですけども見逃しがちです。部署ごとにフォーマットが違うとか担当者ごとにフォーマットが違うようですと、あとあと支障をきたします。

また、ある部署ではエクセルで作ってある、でも別の部署ではパワーポイントで作ってある、またある部署ではGoogleドライブで作ってあるみたいな感じだと統一感がありません。さらに、どういうフォントを使うのか、文字の大きさはどうするか、等の細かい点も大切です。

形式の使い分けについては、前章の「マニュアルの種類は3つ」をご覧ください。手順書・業務フロー図・チェックリストのどれを使うかを、業務ごとに決めておきます。

マニュアル作成のコツ③参考にしても真似はするな

これは大事です。マニュアルというのは各社ごとに違ってしかるべきです。各社ごとに違いがないと、むしろマニュアルを作る意味がないのです。

マニュアル作る時にサンプルはありますかという質問を受けることが多いのですが、確かにサンプルはいろいろあるんです。しかし、それをそのまま使われちゃうと困ります。

なぜならば、その業務のやり方がその会社に合っているかどうかというのがわからないからです。

なので、サンプルはお渡ししますが、あくまでこれは参考レベルにしてくださいとお伝えしています。

参考にしたうえで、自社独自のものを作ることが非常に大切です。

マニュアル作成のコツ④置き場所を決める

これも基本的なことなんですけれども意外と出来ていないことが多いです。各メンバーが自分のやりたいようにマニュアルを作って、おきたい場所に置いておくケースが多いです。

そうすると他の人が見たときに、どこに何があるかわからないわけです。

マニュアルは生産性を上げるために作成します。しかし置き場所に統一感が無いと、マニュアルを探す手間がかかり、逆に生産性が下がります。

マニュアル作成のコツ⑤自社で創る

マニュアル作成を代行している会社もありますが、基本、私たちはそういったサービスを使うことを推奨していません。これにはいくつか理由がありますので、後述したいと思います。

マニュアル作成のコツ⑥差別化(自社らしさ)

これがマニュアルを自社で作成したほうが良い一つの理由でもあります。

成長している企業には、だいたい自社独自の仕事のやり方があります。有名なのがHPウェイとかトヨタウェイなどです。

たとえば、営業マニュアルを作る場合を考えてみます。同じ業界であっても、A社の営業方法とB社の営業方法は違うはずです。その違いが両社の営業成績の違いに現れ、結果として競争力の違いにつながります。

ですから、営業マニュアルを作る際には、まず営業方法の違いが何なのかを知り、マニュアルに落とし込む必要があるということです。単にマニュアルがあるだけではなく、その内容が他社と差別化されていることで、自社の競争優位性が生まれます。

マニュアル作成のコツ⑦シンプルさ

マニュアルはシンプルであるほうが、作る際にも使う際にもメリットがあります。

そのためには、マニュアル化しようとしている仕事内容自体をシンプルにするか、対象の仕事をより細分化することです。仕事を細分化すれば、マニュアルも細分化されます。

また、シンプルさを実現するためにも、●●を心掛ける、●●に注意する、などのあいまいな言葉は使わないようにします。マニュアルで指定する作業や手順は、可能な限り数字で測定できるくらいの明確さが求められます。たとえば「周りに注意する」というあいまいな言葉があったら、これを「前後左右を2回、見回して何もないことを確認する」というように明確な言葉にします。

マニュアル作成のコツ⑧森から作る

森から作るとは、個別業務のマニュアル作成に入る前に大枠を決めることです。自社にはどんなマニュアルが必要なのか。どの業務がマニュアル化対象なのか。ここからスタートします。これについては、上記したステップに沿っていただくとうまく行くと思います。

マニュアル作成のコツ⑨評価と連動する

これは少し高度な話です。ただ、私たちのお客様で、マニュアル作成がうまく行っている会社ではこれを実践されています。どういうことかというと、

  • マニュアル作成を評価する(マニュアル作成を業務のひとつとしてワークスケジュールに入れてあげ、成果を評価してあげること)
  • マニュアル通りに業務が出来たことを評価する

というように、作成段階、実行段階の両方を評価してあげることです。

マニュアル作成のコツ⑩改善を続ける

マニュアルというのは、見るだけのものではなく、改善し続けるものである、という意識を社員と共有しなくてはいけません。マニュアルを見て作業するだけだったら、まさにマニュアル人間です。


そうではなく、マニュアル化というのは、より良い仕事のやり方を探し続けるプロセスだということを全社員に伝える必要があります。そのためにも、マニュアル作成は外部に任せるのではなく、自社内で作っていくことが大切です。

マニュアル作成に使えるツールやアプリは?

実際にマニュアル作成する場合、どのツールやアプリを使うかを悩むと思います。MSオフィスを使う場合でも、人によって、ワードが使い慣れている、エクセルが良い、パワポが良いなど、様々です。

これを個人の好みに合わせて自由に作成を進めたのでは全く統一感がありません。あらかじめ、全社的に統一しておくことが欠かせません。

マニュアル作成におすすめなツールやアプリ、ソフトを下記で紹介していますのでご参照ください。

無料マニュアル作成ツール①マイクロソフトOffice

お勧め度:★★☆

1つ目のマニュアル作成の無料ツールは、文書作成の鉄板、マイクロソフトのオフィスシリーズです。

これらのソフトでマニュアルを作成している人も多いのではないでしょうか。通常、オフィスを使ってマニュアルを作成する場合、ローカルPCで作成して、グーグルドライブやドロップボックスなどのクラウドツールで共有するケースが多いと思います。

マイクロソフト出身者としてはこれらをお勧めしたいところですが、★は2つにしました。

というのもマニュアル作成には、ちょっとオーバースペックで動作が重いこと。クラウドで共有するならば後述のGoogleドライブのほうが利便性が高いことが理由です。

下記は、マイクロソフトが公式で提供しているマニュアルのテンプレートです。英語で書かれていますが、フォーマットだけなら十分利用可能です。

マイクロソフトWordのマニュアルテンプレート:Professional manual

無料マニュアル作成ツール②Googleドライブ

お勧め度:★★★

2つ目に紹介する無料のマニュアル作成ツールは、GoogleドキュメントやスプレッドシートなどのGoogleドライブです。

正直、中小企業、スモールビジネスには一番お勧めです。

基本無料ですし、共有も簡単。動作も比較的軽快です。法人向けのGoogle Workspaceも、中小企業が導入しやすい価格帯に収まっています。

ただし(これはマイクロソフトオフィスにも言えますが)、Googleドキュメントなどでマニュアルを作成し、そのまま共有すると他の人でも編集できてしまいます。間違って削除したり、変更したりしてしまうこともありますので、共有の際には閲覧モードなどを活用しましょう。

Googleドライブでマニュアルを管理している画面の例

あとドキュメント、スプレッドシート、スライドのどれをつかうかですが、これは各社ごとに使い慣れているものがあると思いますので、それを使うといいと思います。ただし、これも人によって変わってしまうと後から面倒なので、社内で統一はしておきましょう。

無料マニュアル作成ツール③Youtube

お勧め度:★★★

3つ目のマニュアル作成無料ツールは、YouTubeです。

動画マニュアルを作りたい場合には、Youtubeを使いましょう。自社のチャンネルを作り、そこにアップしていきます。

先のGoogleドライブと連携させて、マニュアル内から動画へのリンクを貼ったりもできます。ただし、動画の公開範囲には気を付けましょう。「公開」にしてしまうと一般の人も見れてしまいます。

有料のマニュアル作成ツール①COCOMITE

COCOMITEはテキストベースのマニュアル作成・管理ソフトです。提供元はコニカミノルタ株式会社です。

オンラインでマニュアルを管理できるため、常に最新の情報を提供/閲覧することが可能です。

また、作成もフォーマットに従って入力していくだけなのでスピーディで簡単なマニュアル作成が可能です。


有料のマニュアル作成ツール②TeachME

TeachMEは動画を主体にしたマニュアル作成・管理ソフトです。提供元は株式会社スタディストです。

スマホなどで写真や動画を撮影して気軽にアップできるのが特徴です。

有料のマニュアル作成ツール③Clip Line

ClipLineも動画を主体にしたマニュアル作成・管理ソフトです。提供元はクリップライン株式会社です。

Clip(クリップ)の名の通り、短い動画を撮影して簡単に現場でマニュアル作成が行えるサービスです。

なお、有料ツールの料金体系は改定されることがあります。導入を検討する際は、各社の公式サイトで最新の金額をご確認ください。

私たち「仕組み経営」のお客様でもこれらのツールを導入されている方はいらっしゃいます。ただ、初期費用と月額が発生するため、中小・スモールビジネスにはコスト負担が重く感じられることもあります。

これからマニュアル作成を始めようとする方は、

  • 最終的にどれくらいのボリュームになるのか?
  • テキストが良いのか、動画が良いのか?

などを考慮のうえ、ツールを選択するようにしましょう。

理念とマニュアルをつなぐAIシステム:カルチャーフィット

最後に、私たちが監修しているツールもご紹介させてください。カルチャーフィットは、会社の仕組みづくりを支援するAIシステムです。

この記事の冒頭で、マニュアルが使われなくなる原因をお伝えしました。会社の理念とマニュアルが切り離されていることです。カルチャーフィットは、まさにそこを出発点にしています。自社のコアバリュー(価値観)をAIが学習し、それに沿った仕組みを一緒に作っていく設計になっています。

マニュアル作成に直接かかわるのが「マニュアル棚」の機能です。ベテラン社員の頭の中にある勘どころや判断基準を、AIとの対話で引き出して言語化します。それを手順書や判断基準として蓄積し、誰でも参照できる状態にします。見直し周期を設定できるため、内容が古びたまま放置されることも防げます。

ほかにも組織図と職務設計、採用、評価と賃金、顧客体験の設計といった機能があります。マニュアルだけを作るツールではありません。会社の仕組み全体を扱う点が、ここまで紹介した他社ツールとの違いです。

料金は月額9,800円(税込10,780円)で、メンバー10名までが含まれます。14日間はすべての機能を無料で試せます。クレジットカードの登録は不要です。体験期間のあとは無料プランに自動で切り替わるため、いったん試してから判断できます。

※現在は先行導入モニターとしてご参加いただく企業のみのご提供となっています。ご関心のある方は公式サイトの募集ページをご覧ください。

マニュアル作成の代行サービスを使ったほうが良いですか?

マニュアル作成というのは結構大変な作業になりますので、誰かに任せたい、代行サービスに外注したい、と思う方もいらっしゃると思います。しかし、私たちの経験から言って、少なくとも中小企業、成長企業の場合にはマニュアル作成を制作代行サービスを利用するのはお勧めできません。その理由を以下にご紹介していきます。

マニュアルに基づいて仕事をする文化を作る

多くの中小企業では、マニュアルに基づいて仕事をするという文化がありません。もともと社長の専門的、職人的スキルで創業した会社が多く、社内全体が仕事は見て覚えるものという文化になっています。いわゆる属人化した状態です。これは何も悪いことではなく、ほとんどの会社が最初はそうなのです。

したがって、外部の人が作ったマニュアルを持ってきて、”今日からこの通りにやってね”といったところで、誰も言うことを聞きません。俺には俺のやり方がある。なんでマニュアルに従わないといけないんだ?という感じです。

このような文化から、マニュアルに基づいて仕事をする文化に変え、会社を成長させていくためには一定のステップを踏む必要があるのです。

第一に、社長が会社のビジョンと方向性を明確にすること。第二に、そのビジョンに向かうためには会社を仕組み化、マニュアル化していく必要があることを伝え、共感を得ること。第三に、マニュアル作りに取り組むための体制を作ること。第四に、マニュアルを継続的に改善していく文化を作ること。

このようなステップを着実に踏むことで、はじめて”使えるマニュアル”が社内に定着していきます。

社長の中には、うちにもマニュアルはあるけど機能していない(使われていない)というお悩みをお持ちの方が多いものです。マニュアルが機能しない理由は、このステップを踏んでいないことです。つまり、自社の目指す姿やマニュアルの意義、それがもたらすインパクトを社内で十分に共有しないまま、とりあえずマニュアルを作り始めてしまうからなのです。

マニュアルは見るものではなく作る(改善する)ものだという文化を作る

大前提のお話をしますが、マニュアルというのは、”その時点において、その仕事を行う最も効果的であろうやり方”を記載したものです。

あくまで、その時点、というのが大切です。ビジネスは改善、改善の連続です。したがって、もっと効果的な仕事のやり方が見つかれば、マニュアルもそれに応じて改善する必要があります。特に中小・成長企業の場合には、日常業務と改善活動の間にほとんど境目がありませんから、仕事のやり方もどんどん変わるでしょう。

そんな中、マニュアル作成を外注し、きれいなマニュアルを作った場合には、”マニュアル=誰かが作ってくれたのを見るもの”という認識が社内に出来てしまいます。仕事内容が改善され、マニュアルが実態にそぐわなくなってしまっても、誰もそれを改善しようとする意思がありません。

一方、最初からマニュアルを自分たちで作れば、話は別です。マニュアル=見るものではなく、マニュアル=作るものという認識が生まれますので、実態にそぐわなくなれば、それを改善していく文化を作るのも簡単です。


マニュアルというのは、見るものではなく、自分たちで改善し続ける生きた文書なのです。

拙著『仕組み化の経営術』でも、仕組み化が失敗する理由のひとつに「自ら作っていない」を挙げました。外部から持ってきたマニュアルに依存すると、仕組みを守ること自体が目的になります。社員から見れば創造性を奪われる話です。自分たちで作れば逆のことが起きます。社員の創造性が発揮され、経営者への依存が減っていきます。

マニュアル作成で社員を育てる

マニュアルを自分たちで作ることによる、意外な副産物がこれです。マニュアルを作る作業というのは、意外とクリエイティブな仕事なのです。先ほど言った通り、会社がどこを目指しているのか。そのためにどんな仕事をするべきなのか。では、その仕事をどうマニュアル化し、誰でも出来るようにしていくのか。このようなことを考えること自体が非常に有効な人材育成の場になります。

私たちの経験から言って、マニュアル制作に取り組んだ社員の方(主には経営者と一緒に取り組む)には次のような成長がみられます。

  • 会社のビジョンや価値観をしっかりと理解し、共有できる
  • 会社全体の業務について把握し、業務分解できる
  • 業務の分析と改善が出来るようになる
  • 他部署とのコミュニケーションを取り、マニュアル化に向けた協力体制を作れる
  • マニュアルの意義や活用方法について語れるようになる

このような成長が出来るのは、会社の理念(ビジョンや価値観)を反映させたマニュアル作成が大事だ、ということを最初にご理解していただいているからです。そのため、マニュアル作成というプロジェクトを経験するにつれて、自然と経営者と同じ目線で会社のことを見れる社員に育っていきます。

マニュアル人間への対応

さて、この記事をご覧の方は自社にマニュアルを取り入れたいと思っていると思います。

一方、社員がマニュアル人間になってしまったらどうしようという不安をお持ちの方もいると思います。そこで、社員をマニュアル人間にさせないための対応法をご紹介しておきます。

冒頭で、仕組みだけがあって理念が抜けた状態を「官僚主義」と呼ぶとお伝えしました。マニュアル人間は、社員個人の資質から生まれるのではありません。会社が官僚主義の側に寄っているときに生まれます。つまり構造の問題です。だとすれば、打ち手も構造の側にあります。

価値観とマニュアルのバランスを取ろう

Airbnbの創業者、Brian Chesky氏は、文化が強ければ強いほど会社が必要とする社内プロセスは少なくなる、と述べています。そうすると人々は独立し、自律的になり、起業家のように動けるようになる、と。

これはどういうことかと言いますと、社内での価値観の共有度が高ければ高いほど、マニュアルは最小限で済むということです。阿吽の呼吸が通じる関係性が社内で作れていればマニュアルは少なくて済みます。これは肌感覚でもイメージが付くと思います。

マクドナルドとスターバックスの違いはどこから生まれるか?

このことを端的に表しているのが、マクドナルドとスターバックスの違いです。この両社、どちらも世界的に展開している巨大チェーン店です。しかし、大きな違いがあります。

マクドナルドはオペレーションの正確性を重視した経営をしています。彼らは世界中の人をお客様にするために、どんな人でも正しくオペレーションが出来るようマニュアルが作られています。

それに対して、スターバックスは価値観の共有を重視した経営をしています。そのため、彼らの接客方法などにはある程度の自由さが認められます。

このように、自社内で価値観が共有されていればいるほど、オペレーションレベルのマニュアルは軽くて済み、社員がマニュアル人間化するのを防ぐことが出来ます。

なお、スタバのマニュアルについては以下で解説をしています。

「スターバックスにマニュアルはない」はウソ?

仕事に大局観を与えよう

次の有名な逸話をご覧ください。

「二人の石切職人」

旅人が、ある町を通りかかりました。その町では、新しい教会が建設されているところであり、建設現場では、二人の石切り職人が働いていました。

その仕事に興味を持った旅人は、一人の石切り職人に聞きました。あなたは、何をしているのですか。その問いに対して、石切り職人は、不愉快そうな表情を浮かべ、ぶっきらぼうに答えました。

このいまいましい石を切るために、悪戦苦闘しているのさ。

そこで、旅人は、もう一人の石切り職人に同じことを聞きました。

すると、その石切り職人は、表情を輝かせ、生き生きとした声で、こう答えたのです。

ええ、いま、私は、多くの人々の心の安らぎの場となる素晴らしい教会を造っているのです。


どのような仕事をしているか。それが、我々の「仕事の価値」を定めるのではありません。その仕事の彼方に、何を見つめているか。それが、我々の「仕事の価値」を定めるのです。

(田坂広志氏HPより抜粋)

この二人の石切職人の違い、それは仕事に対して大局観を持っているかどうかです。この例では大局観を持っているかどうかは個人個人に依存していました。しかし本来、マニュアルを作る側の経営者やリーダーは、社員がマニュアル人間にならないために会社のビジョンや理念を伝える必要があります。

人はだれしも、大きなものと繋がりたいという帰属欲求を持っています。それを与えるのは経営者の役割です。”うちの会社はこのような世界を目指している。そのためにこの仕事が必要なんだ”と言える必要があるのです。先ほど、マニュアルの中にその業務の目的を入れましょうとお伝えしましたが、これもそのためです。

マニュアル至上主義の欧米のチェーンストアで教えることとは?

欧米のチェーンストアの逸話があります。彼らはスイス時計を分解し、それぞれのパーツがどのようにして時計全体に貢献しているのかを学ばせるそうです。スイス時計は膨大な数のパーツがありますが、どれを取っても欠かせない存在であることを理解させるのです。

この体験から、社員は、一人ひとりが行っている仕事は小さなことに思えるかも知れないが、どれをとっても、会社全体が機能しなくなる、ということを理解するのです。

マニュアル作成で成功した事例

ここでご紹介したマニュアル作成のやり方で実際にマニュアルを作り、成功した事例をいくつかご紹介します。業種も規模も異なりますが、いずれも自社の社員が手を動かして作った点が共通しています。

制作会社が、属人化していた案件の進め方を仕組みに置き換えた事例です。

社長と会社を救った仕組み化 株式会社デジタルスタジオ 代表取締役 板橋 憲生 様 インタビューレポート

マニュアル化を通じて、業務の引き継ぎと人材育成を同時に進めた事例です。

介護施設でマニュアルを活用して新人教育を加速した事例。100人以上の組織をほぼ出社無しで運営。

人材サービス業で、増えていく業務を標準化していった事例です。

仕組み化で社員の離職率低下に成功。 エイチアールプラス社会保険労務士法人 代表社員 佐藤 広一様

職人の技が中心の造園業でも、マニュアル化は進められることを示した事例です。

造園業の経営者が大成功した方法とは?

マニュアル化できない仕事をどうするか?

最後に、マニュアル化できない仕事をどうするかについてご紹介しておきましょう。マニュアル作成を進めていくにあたり、「この仕事はマニュアルに出来ないな~」と悩むこともあると思います。

そういった時には、強引に業務をマニュアル化するのではありません。一歩引いて考え直す必要があります。これについては、以下の記事でまとめていますので、合わせてご参照ください。

マニュアル化できない仕事をどう社員に委任していくか?

マニュアル作成なら仕組み経営へ

以上、マニュアル作成の方法をご紹介してきました。

これだけでも基本的な作業のマニュアル化は可能だと思います。


一方、本当の意味でマニュアルを活用し、会社を成長させていくためにはまだまだ入り口と言えます。私たちが提唱している”仕組み経営”では、会社の仕組み化レベルを次のように定義しています。

仕組み化レベル
仕組み化レベル

ここでご紹介したとおり、基本的な業務をマニュアル化すると仕組み化レベルの2くらいまでは到達可能になります。しかし、ご覧のとおり、そこはまだまだ組織としては入り口と言えます。

私どもでは、会社の理念(ミッションや価値観等)が反映された仕組み作り、マニュアル作りを進め、会社を成長させていくためのご支援をしていますので、ぜひ以下の仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。

 


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