経営チームのつくり方



清水直樹
今日は経営チームの作り方という話をしたいと思います。この経営チームというのは、会社を成長させていくにあたって、ぜひ知っておいていただいた方が良い考え方なんです。

 

動画でも解説しています。

 

経営チームのつくり方次第で、会社も潰れる

なぜ、今日、経営チームの話をするかというと、私自身が20代の頃にやっていたベンチャー企業があるんですけれども、それがまさに、経営チームの選び方といいますか、運営の仕方で失敗して、それで結果として倒産したという経験があるんです。

なので、経営チームが大事だっていうことは、自分自身も認識してるんですけども、とはいえ、運営方法だったりとか、特に人の選び方が難しいので、その辺をご紹介できればと思っております。

今、私たちが日ごろお伝えしている仕組み経営という、会社を仕組化していく考え方とメソッドがあるんですけれども、その中でもこの経営チームの作り方というか、運営の仕方のノウハウがあるんです。その辺も一部入れて、お話をしていきたいと思っています。

 

経営チームとは?

まず、経営チームとは何かという話なんですけども、そのままなんです。経営を社長個人で行わなくて、チームで行うということなんです。

普通は、例えば取締役の人だったりとか、CXOといわれる人たち。例えば、COOとかCFOとかいろいろ肩書あります。そういう、上の方の経営陣の人たち、そういう人たちとか、あと社外のアドバイザーです。社外役員とか、特定の分野の専門家の人たち。そういった人たちをチームとしてまとめて、経営をやっていくという、そういう考え方になります。

 

経営チームをつくるメリット

経営チームをつくると、経営の判断をするときに、視点の漏れがなくなります。社長1人で、いろいろ経営の判断をしていくと、この分野の視点が欠けているとか、この件に関する知見が欠けているっていうことが絶対あるわけなんです。そういう視点の漏れっていうのが、チームで行うことによってなくなっていくというメリットがあります。なので、より客観的に、いろんな角度から物事を見て判断できるようになるということです。

もう1個は、社長に依存しない運営が可能になったりするということです。やっぱり、社長自身だけで経営をしていると、社長が倒れたら、その会社は終わりっていうことになるわけです。これは、ほとんどの中小企業とか、成長企業の実態じゃないかと思うんですけれども、そうならないように、経営の仕事をチームで行うことで、より安定性の高いというか、リスクに強い運営ができるようになるということです。

最終的には例えば、事業承継したいとか、その会社から抜けるときに、チームがちゃんと整っていれば、非常にそれもやりやすくなるわけです。なので、経営チームは、社長不在で成長する会社を作るときにも役立つというお話なんです。

とはいえ、じゃあ、このチームに誰を入れるのかというのが、結構悩みどころになってくるわけです。冒頭で申しあげた通り、ここで選び方を間違うと、下手すれば組織崩壊ということになりかねないので、非常に大切な性質になるわけです。

 

経営チームのつくり方

というわけで、経営チームに入れる人の選び方についてお話をしたいと思います。もちろん、社長はそれぞれ、人を見るときのポイントっていうのはあると思いますので、それをもちろんベースにしていただきながらも、今回ご紹介する項目も、一つの参考情報として考えていただければいいのかと思います。

 

人格は主人公、才能は召使

まず、一つ目です。人格は主人公、才能は召使ということです。『菜根譚』っていう本がありまして。古典です。そこに書いてある言葉なんですけども、要は才能っていうのは、人格に使われる立場であると。人格次第で、才能っていうのは生かされもするし、殺されもするということなんです。なので、才能よりも人格の方が大事であるという。

これが考え方なんですけども、経営チームを作るときには、まさにこれが大事かと思うんです。単に、何か技術的なスキルがあるとか、営業の能力が高いとか、そういう理由だけでその人を経営チームに入れちゃうと、後々問題が起こっていきます。組織の中で上に行けば行くほど、才能とか能力よりも人格っていうのが重視されるような評価の形態になっていないといけないんです。

そういう意味で、経営チームというのは、組織の一番上の立場なので、そこは最も人格が高い人だけが入れるというようにしておかないと、いろいろと問題が起こるということになります。なので、これが一つ目の条件になります。

 

諫言者を入れる

次です。諫言者です。諫言っていうのは、目上の人に対しても率直に意見であるとか、アイデアを言える人のことを指しています。経営チームに入れる人は、全員じゃなくてもいいですけども、諫言できる人がいいです。

経営チームを作っても、社長がワンマンで、チームを運営していると結局何も変わらないわけです。チームを作ったところで社長が全て決めてしまっては、結局社長が個人で決めてんのと同じなので、それじゃ意味ないということで、社長としては諫言者、社長に意見できる人を入れて、それで自分の判断が間違っているというときには、何か意見を言ってくれる人を選ばないといけないということです。

社内見渡していただければ、そういう人、何人かいると思うんです。こいつは自分に対してもちゃんと意見を言ってくれるっていう人がいると思うので、そういう人を入れるということです。

もしくは、社内にそういう人がいないという場合です。これまで、結構ワンマン的な経営をしてきた場合にはそうなっちゃうんですけれども、そういう場合には外部から入れるしかないんです。外部では、よくあるパターンとしては、財務的なところを見てくれるアドバイザーを入れるとか、あとはコーチとかメンター的な存在の人を入れるということです。そういう人を入れることで、社長が間違ったことをしそうなときには、ストップをかけてくれるということです。

 

経営、数字の落とし込みができる人を入れる

三つ目の条件としては、計画、数字の落とし込みができる人です。これができない人は、組織の中で上に上げちゃいけないわけなんです。

どういうことかというと、例えば、会社全体としての売り上げの目標がありますと。で、社長がそれを掲げるわけなんですけれども、その下の管理職とか幹部の人は、その目標をブレークダウンして、そのためにはこの商品でこれだけ売り上げないといけないとか、この四半期でこれぐらいと売り上げないといけないっていう感じで、その目標をより具体的な計画であるとか、数字に落とし込んでいくっていうことが求められるわけです。

これができない人は、上に上げちゃいけないっていうことなんです。これができないと、単なる作業者になってしまいますんで、経営チームに入れる人は作業者じゃないので。あくまでも経営をしていくっていう立場なので、これをできない人は入れちゃいけないということになります。

 

全体思考ができる人を入れる

次は、全体思考です。全体思考というのは、会社全体のバランスを見て、考えられる人のことを指しています。これは結構大事で、経営チームに入れる人はどっかしらの部門の一番上の人っていうパターンが多いわけです。

普通にやってると、その人は自分が担当してる部署のことを最適化しようとするわけです。例えば、営業だったら営業部の利益を優先して話そうとするわけです。技術部門であれば、技術部の意見を代表して、自分は話すんだみたいなことになってるわけです。

でも、経営チームというのは、そういう人は、そういう意見は要らないんです。なぜかと言うと、経営チームはまさに、経営する立場なので、会社全体を見ないといけないんです。なので、営業部の部分最適とか、技術部の部分最適だけじゃなくて、全体的にどうなってるかっていうのを見れる人じゃないといけないということです。

これが全体思考というもので、自分の立場とか自分の部署だけの利益を優先させようとする人は入れちゃいけないということです。これで、実は私は冒頭に申し上げた通り、経営チームの選び方で失敗したんですけど、これが原因になったんです。



どういうことかって言うと、当時やっていた会社は、経営チームと言える人たちが4~5人ぐらいいて、やってたんですけれども、ベンチャーなんで、そこまで最初は売り上げが立たないので、自分たちの給料もそこまで出せないわけです。なので、2人ぐらいはやってた会社と別に、自分自身の会社を持ってたんです。元々自分がやってた会社を持ってたんです。そっから給与を得て、手伝ってくれているみたいな感じだったんです。

そういう体制で会社作って、出資もしてもらって、上場目指してやっていこうみたいな感じだったんですけれども、最初は盛り上がるわけです。でも、だんだん思ったより売り上げが立たないとか、思ったように計画が進まないってなってくるわけです。やっぱり。

そうなったときに、本当は経営チームは支え合っていかないといけないんだけれども、うまくいかないときほど、自分で会社をやってた人たちは会社のミーティングに来なくなるんです。自分の会社の仕事を優先しだすわけです。要は、全体思考がなくて、自分たちのことだけやるっていう思考に逃げがちだったんです。

厄介なことに、1人でも自分自身のことを優先させる人がいると、他のメンバーもそうなっちゃうんです。あいつがそうなら、俺もこうしよう、私をこうしようみたいな感じになっちゃって、だんだんミーティングに集まる人数も減ってきちゃって、意思疎通が取れなくなってきて、それで、だんだんチームとしての機能を果たさなくなって崩壊するという、そういうパターンになってしまったわけです。

だから、そうならないように全体思考、全体の利益を優先して考えてくれる人を、入れていかないと駄目だという話です。

 

多様性は危険ワード

次、多様性は危険ワードということです。この多様性という言葉って、今、非常に多く使われてます。組織の中に多様性のある人たちを入れていかないといけないっていうのが、非常によく言われてるんですけども、中小企業とか成長企業においては、多様性というの、非常に危険ワードかと私は思っています。

 

価値観の多様性は要らない

よく言われるのが、多様な価値観を持った人たちを受け入れないといけないと言われます。でも、これは中小企業とか、成長企業とか、あまり人数が多くない会社の場合には、絶対やっちゃいけないと私は思っています。

もちろん、多様な価値観っていうのは、世の中全体で見たらあっていいわけです。あの人はこう考える、この人はこう考えるっていう、いろいろあっていいと思うんです。社会全体で見たら、そうなんです。

ただ、会社組織っていう小さい枠組みの中で考えたら、多様な価値観を持ってる人たちを入れると、必ず崩壊するっていう。私自身の経験もそうだし、うちのお客さんの経験を見てもそう思います。

今までの世の中の歴史とか、今、世界の動きとかを見てると、戦争がなぜ起こるかというと、要は価値観の違いで起こるわけです。特に宗教戦争なんて、まさにそうです。あれは価値観の違いで起こってるわけです。そういう価値観の違う人たちが交わろうとすると、必ずトラブルが起こるわけです。会社の中をそういう戦争状態にしてはいけないので、価値観の違う人は入れない方がいいです。

これは、数千人とか数万人のいる大企業だったら別なんです。そのぐらいいれば、多様な価値観の人がいても会社は回るのでいいんですけど、人数が少ない、数百人ぐらいまでの会社だと、そういう人を入れるのは危険だということなんです。

 

能力、背景、年齢、性別の多様性は歓迎

なので、多様性というのはちょっと危険なワードなんですけど、一方で、チームとしてやっていきますので、例えば、能力の多様性とか年齢性別の多様性とか、バックグラウンドの多様性とか、そういうのはあった方がいいです。そういうのがあった方がいろんな意見が出るのでいいと。ただ、価値観は合わさないといけないということなんです。これ、結構ポイントになってくるかと思います。

そういう意味で、この価値観。私たちは、会社のコアバリューと呼んでますけれども、これに合う人を入れないといけないということです。社外でメンバーに入れる人も、必ず合う人を入れないといけないということになります。

 

各部門から選出

次に、各部門から選出するということです。チームに入れる人たちはいろんな分野の人たちを入れないといけないので、各部門から入れるということです。

これは、会社の規模によって全然部門の数が違ったりしますんで、一概には言えないんですけども、一般的なことを言うと、まず、販売側の部門の人たち、例えばマーケティングとか営業系の、そういう人たちがまず必要になります。

あとは、技術的なところとか専門的な技術を持った部門です。

あとは、バックオフィスです。オペレーションとか、総務経理とか、その辺の人たちです。この3本柱がいいのかと思います。売る側、技術側、バックオフィス、オペレーション側です。あと社長という感じで、4人になります。これでチームをまず作るというのが、いいのかと思います。

さらに組織が大きくなってきたら、そこに加えて、例えば財務の担当者、財務の専門家、外部だろうが内部だろうがいいんですけれども、そういう人を入れるとか、あとは社長のメンター役の人、コーチ役の人。これは主には外部の人になると思うんですけども、そういう人を入れるということです。そんな感じで膨らませていくと、バランスの取れたチームになるんじゃないかと思います。

 

チームバランスを大事に

最後です。チームバランスです。これは部門のバランスを取るっていうこともそうなんですけども、その人の特性です。これも見ていきましょう。

攻めと守りのバランス

一つは攻めと守り。これのバランスを取りましょうということです。営業系で独立した人は、大体攻めが強いです。守りが弱いので、守り側の人も入れた方がいい。

一方で、技術系で独立した社長は守りは強いんだけど、攻めが弱いっていうことありますんで、攻め側の人を入れるとか、そんな感じでバランスを取るといいのかと思います。

ここはポイントとしては、どっちかって言うと、攻め側をちょっと強くするっていうのがいいと思うんです。経営チームなので、あくまで未来についてのことを考えるのが、経営チームなわけです。なので、あんまりネガティブな人が多いと、話が進まなくなってくるわけです。なので、前向きに話をしたいのが経営チームなので、攻めを6とか7にして、守りを3とか4ぐらいのバランスがいいのかという感じです。

 

年齢のバランス

あとは、年少者と年長者のバランスを取るということです。経営チームなので、どうしても年長者を選びがちになるんですけれども、おっさんばっかりだと、やっぱりいいアイデアが出てこないわけです。会社の若さって経営陣の若さに直結しますんで、あんまり経営チームにおっさんばっか入れると、会社全体が古臭い会社になっていくっていうことがありますんで、そうならないように若い人を入れた方がいいです。

できれば、経営チームの平均年齢が30代に収まるのが理想かという感じです。なので、結構若い人も入れていかないと30代に収まんないので、年少者を重視して入れていくっていうのが大切かと思います。

経営チームは30代であれば、会社全体に若い文化ができていきますので、ちょうどいいかと思います。



 

経営チームを作って、会社を仕組みで回すには?

というわけで、今日は経営チームということについて、主にはそこに入れる人の選び方についてご紹介しました。ぜひ、皆さんのオリジナルの、人の目利きの方法があると思うんですけれども、それに加えて、今日ご紹介したようなところを使っていただくと、いいチームができるんじゃないかと思います。

なお、「仕組み経営」では、経営チームのつくり方、運営法なども含め、社長の属人技ではなく、仕組みで会社を成長させるご支援をしています。詳しくは以下からご覧ください。

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