動画でも解説しています。
以前の動画で「組織づくりの14原則」という動画も上げています。こちらはファヨールという人が導き出した14個の原則です。これも100年くらい前からずっと原則としていわれ続けていることなので、そちらもよろしければ合わせてご覧いただくとより理解が深まるかと思います。
今日の話は、14 個の原則の話も若干入っていますが、より具体的にどうやって組織を作っていくかという話をしたいと思います。
組織の作り方の3つのコツ
今日は三つコツを紹介するんですけども、まず一つ目が三つの基本要素を押さえる。
二つ目が機能の組織図を作る。
そして三つ目が三つの足で安定させる。
組織の作り方1つ目のコツ:3つの基本要素
まず、この三つの基本要素を押さえるというところから進めていきます。
組織というが何かという話になってくるんですけど、組織は基本要素三つ、これで成り立っているという話です。
この三つがないと組織とはいえないということになります。その三つが共通の目標、分業、調整です。
組織と似たような言葉で例えば群衆であるとか、集団という言葉がありますけど、この群衆や集団と組織の違いは何かというと、この三つの要素が全てそろっているかどうかになってきます。
少しこの三つの要素を分かりやすく説明するために、野球チームの話を例にします。
野球のチームは9人でやりますけど、あれは群衆や集団ではなく一つの組織になっています。
共通の目標
野球で守り側のシーンを想像していただきたいです。要は9人がこのフィールドに散らばって、各自の役割を果たすのが野球チームの守りですけど、まず野球チームには共通の目標があります。
守る場合には0点に抑えることが共通の目標になると思います、まず組織においてはこれがあるのが大切になってきます。
分業
そして、もう1個が分業です。
9人がどういうふうに散らばっているかというと、キャッチャー、ファースト、セカンド、ショート、サードがいたり、レフト、センター、ライトというふうに分けられており、こういうふうに分業されているわけです。どの人がどのエリアを守るかが分業されている。
これが二つ目の組織を特徴づける要素になってきます。皆さんの会社でも誰がどの持ち場を守るんだ?という役割分担ができていないと組織とは言えないということです。
これが分業ということになります。
調整
三つ目が調整ですけど、これは何かということで、この野球のフィールドをちょっと見ていただくと、これは内野と外野の間には線がありますけれども、その他の部分には線が入っていません。要はセンターとライトの境界線がどこかは書いてないわけです。
ショートとセカンドの境界線がどこかも書いてないということです。要は分業はされているけれども、明確にここに来たボールは誰が取るかは決まっていないわけです。そこで調整が必要になってきます。
例えばレフトとセンターのちょうど間くらいにボールが飛んできた時に調整をするわけです。センターの人が取るのか、ライトの人が取るのかを、声を掛け合って調整するわけです。こういうのが組織の中で行われていると、さっきの分業がさらにうまく機能します。
調整がなくて、例えばセンターとライトの間に線が引いてあって、「ここからここまではあなたの責任ですよ」みたいなことが明確になっていると逆に守りがしづらいことになります。落ちてくるまでどっちが取るべきか分からないわけですから逆に守備がしづらいことになるので、線はなくて調整という作業が入ることになります。
私たちがこの組織づくりを支援する時に会社の組織図を作るわけです。その時に明確に役割分担を決めていきましょうという話をするわけです。
要は分業の仕組みを作っていきましょうと話をするんですけど、そうするとよくある質問としては、あまりにも明確に役割を決めてしまうと「この仕事は私の仕事じゃない」みたいなことを言い出す人がいるのではないかという疑問というか質問がよく来るんですけど、そこは調整という機能をかませることで解決できるわけです。
この調整とは野球の場合にはその場で声を掛け合って調整するわけですけど、実際には会社の場合には例えば会議であるとか、コミュニケーションツールとかを使ってこのボールは誰が取るんだ?ということを調整するわけです。
こういう仕組みを合わせて導入することで分業はうまくいくことになります。
組織の作り方2つ目のコツ:組織図を作る
次のコツは機能の組織図と作る。
この組織づくりには組織図が欠かせないわけですけど、この組織図の作り方が分からないとか、組織図をうまく活用できていない会社って非常に多いです。恐らく中小企業のほとんどはこの組織図をうまく活用できてないと思います。
この組織図を書きましょうとなった時に、大体皆さんは組織図を作ると2パターンに分かれます。
一つが箱を用意してくる場合です。社長は大体上にいるんですけど、その下に例えば総務がいたり、営業一部、営業二部みたいな感じで何となく営業が分かれているとか、あと開発という何となく開発にいる人たちが入っているボックスがあるんです。こんな感じで分けるパターンが一つあります。
確かにこれも組織図といえるんですけど、これを作ったところで経営にこれが役に立つかというとそうではないわけです。
こういうふうに分けたところで、ここから戦略を立てようということにはならないので、これは作っても別に役に立たないということになります。
もう一つのパターンとしてよくやりがちなのが、人の組織図を出してくるパターンです。
社長がいて、その下に山田さんという人がいて、何となくこの人が経理とか総務とかそういうバックオフィス系のことをやっている。あと鈴木さんという人がいて、何となくこの人が営業とか販売をやっている。そして渡辺さんは営業をやったり、顧客のサポートをしている。田中さんは技術者なので開発しています、みたいな感じで人の組織図ができるというパターンがあります。
これも中小企業にありがちですけれども、私たちは人に基づく組織図は作ってはいけないというふうにいつもお伝えしています。そこで出てくるのがこの機能の組織図ということになります。
組織図といった時には何の組織図かというと、人の組織ではなくて機能の組織図です。
その会社で出すべき目標があると思いますが、その目標に向けて必要な機能をまず洗い出して、それを組織にするわけです。そしてその機能に人を当てはめるやり方で組織図を作っていくことになります。
この機能の組織図ができると、まず分業が明確になります。誰がどこの部署を担当するのかというのが非常に明確になります。
そして、その組織図を作る段階で会社の目標を達成するためにはどういう機能が必要か分かるので、この機能を担うためにどういう人材がどれくらい必要かというのが分かってくるんです。これが要は採用計画とか、教育の計画に結びついてくるということです。
組織図があることで採用の戦略とか、人材育成の計画が立てられます。まだ組織図がない方は、会社に必要な機能をぜひ洗い出してみてほしいです。これは業界とか業態によって全然違うのでそれぞれですけど、営業だったり、開発だったり、サポートだったり、総務だったり、いろいろあると思うんですけど、こういうのを書き出してみて、これをどうやって組織の形にするかという手順で考えていただくといいと思います。
組織の作り方3つ目のコツ:三本の足で安定させる
三つ目のコツは三つの足で安定させる。
要は、社長がいてその下に頼れる部下を3人配置するということです。
この3という数字は結構面白いもので、何事も3本の足があると安定するといわれています。机とか椅子も2本では安定しないが3本安定するので組織も同じことがいえます。
社長の下に3人の頼れる部下を配置することになります。
例えばどんな会社であっても、営業系の仕事があります。営業で頼れる人を誰か見つける。
二つ目にバックオフィス系…スタッフ部門と言ってもいいかもしれませんけども、総務や経理、財務系の部門が絶対に必要なので、バックオフィスに2人目。
あとは開発であるとか、顧客サポートであるとか、顧客対応とか商品開発をする人、こんな感じの人たちが3人そろうと非常に安定します。
2人だと安定性が当然ながら下がるわけです。もちろん2人でも非常に心強い部下にはなると思うんですけど、この場合に1人が脱落すると、頼れる人が1人しかいなくなってしまうので非常にリスクが高くなる。しかし3人いると1人抜けても、2人いるので何とか耐えられる、その間にもう1人育ててもう1回3本の足にするという形でやっていくと非常に組織は安定するのではないかと思います。
これは必ずしも社長の直下は3人しかいけないということではなくて、社長の下に5人いても大丈夫です。ただし5人いても全員が頼れるわけではないので、5人の中で3人は最低非常に頼りになるという人を見つけていくということです。
社長の下に3人頼れる部下ができたら、同じことを組織全体でやっていくということです。
頼れる部下の下にさらに頼れる部下を3人配置することになります。こうするとここのラインは非常に安定するわけです。そんな感じで他のラインも全部安定させていくと非常に組織全体として安定することになりますので、組織づくりに非常に有効だと思います。
頼れる3本の足をどう創るか?
どうやってその3人の頼れる部下を作っていくか。皆さんここができなくて困っているわけですけど、これは二つあります。
ちょっと似ていますが、一つはより多くの仕事を与えることです。
ほとんどの会社において、社長という人は会社の中で一番優秀だと思います。なぜ優秀かというと、別にこれは学歴がいいとかIQが高いとかそういうことではなく、会社の中で一番仕事をしているのが社長だから社長が一番優秀になるということだと思うんです。仕事の絶対量が能力値に比例するという意味です。
これは当たり前の話ですけど、そう考えたら、人を育てようと思ったらより多くの仕事をさせるしかないわけです。
これを嫌がる人は絶対に3本の足になりません。仕事よりもプライベートが大事だと思っている人は、正直言うと、会社の中ではコアな人材にならないのでそういう人は3本の足になりづらいです。
それよりもやはり仕事で成長していきたい、キャリアを積み上げたい、仕事で成功したいと思っている人でないとより多くの仕事をこなすことはできないので、そういう人を何とか探してより多くの仕事を与えることで能力値を高めていくことになると思います。
そしてより多くの責任を与えることです。
単純に仕事を与えるといっても、作業系の仕事とかつまらない仕事を与えても駄目なわけです。やはり多くの責任が問われる仕事、例えばより多くの人数のプロジェクトを担当させるとか、より大きな額の仕事を担当させるとかそんな感じでより多くの責任を与えてあげるということです。
さっきの話と同じで社長が会社の中で一番多くの責任を負っているわけです。だからこそ仕事をちゃんとやろうと思ったり、お客さまに対して丁寧に接しようと思ったり、そういうことの積み重ねで能力値が高まっていくわけです。
それと同じで社員の人にもより多くの責任を与えることで能力値が高まっていくことになると思います。
そういう感じでより多くの仕事とより多くの責任を与えることで3本の柱を作っていくということかなと思います。
組織の作り方の3つのコツを活かす
以上、今日は組織づくりの三つのコツについて紹介しました。ぜひ参考にしてください。なお、仕組み経営では、以上にご紹介したようなコツを使い、成長する組織の仕組みづくりをご支援しています。詳しくは以下からご覧ください。