指示待ち人間とは?原因と特徴、部下が自ら動く6つの対策



清水直樹
指示をしないと自分から行動しない、考えない人を「指示待ち人間」と言います。社員の中に指示待ち人間がいて悩んでいる社長も多いのではないでしょうか。本記事では、主に中小企業の社長向けに、社員が指示待ち人間になってしまう原因と改善方法を解説します。

 

この記事の信頼性

この記事の信頼性

この記事は世界No.1の中小企業アドバイザー(米INC誌による)、マイケルE.ガーバー氏著「はじめの一歩を踏み出そう」の内容をベースにしています。世界700万部のベストセラーの内容を日本の会社に当てはめてご紹介していきます。執筆者である私はマイケルE.ガーバー氏のメッセージをおそらく日本で最も多く翻訳したり、代理となって発信してきましたので、本記事の内容も信頼いただける内容かと思います。

 

指示待ち人間とは?よく見られる特徴

指示待ち人間とは、上司から指示を受けるまで自分から仕事に取りかからない人のことです。「指示待ち社員」「指示待ち部下」とも呼ばれます。

職場でよく見られる特徴は次の5つです。

  • 仕事が終わっても、次に何をするか聞きに来ない
  • 問題に気づいていても、報告や提案をしない
  • 言われたことは正確にやるが、言われた範囲からはみ出さない
  • 判断が必要な場面になると、必ず上司に確認する
  • 「前に言われたとおりにやりました」と説明する

ただし、この5つは本人の性格だけで起きるものではありません。同じ人が、ある職場では指示待ちになり、別の職場では自分から動くことがよくあります。指示待ちは「人の種類」ではなく「その職場で身につけた振る舞い」として見るほうが、打ち手が見つかります。

指示待ちは何が悪いのか

指示どおりに正確に動くこと自体は、悪いことではありません。手順が決まっている仕事では、むしろ必要な力です。

問題になるのは、会社として次の状態が起きるときです。

  • 判断がすべて上司に集まり、上司が手一杯になる
  • 現場で見つかった問題が上に上がらず、手遅れになってから発覚する
  • 上司が不在の日に、仕事が止まる

つまり、指示待ちの一番の損失は、社員本人ではなく社長や管理職の時間に表れます。社長が現場から離れられない会社では、たいてい社員が指示待ちになっています。

ベテランや50代の社員が指示待ちになるのはなぜか

若手だけでなく、経験の長い社員が指示待ちになることもあります。多くの場合、本人がこれまで「言われたとおりに確実にやること」で評価されてきたからです。長年それが正解だった人に、ある日突然「自分で考えて動いてほしい」と言っても、何をどこまで判断してよいのかが分かりません。

この場合に必要なのは意識改革ではなく、判断してよい範囲を具体的に示すことです。「この金額までは自分で決めてよい」「この種類のクレームは報告だけでよい」と線を引けば、経験のある人ほど早く動けるようになります。

指示待ち人間になってしまう原因とは?

最初に、社員が指示待ち人間になってしまう原因として考えられるものを挙げてみましょう。

マイクロマネジメント

社員が指示待ち人間になってしまう原因のうち、もっとも大きいのが上司(社長)のマイクロマネジメントです。社長からすれば「え、私の責任?」と思われるかもしれませんが、そうなのです。

上司が知らず知らずのうちに行っているマネジメントの仕方が、社員を指示待ち人間にしているケースは多くあります。会社の組織というのは、社長の考え方や行動の反映です。社長のやり方が変わらない限り、組織や社員は変わりません。

裏を返せば、社長のやり方を変えれば社員も変わるということです。社員の性格を変えるより、はるかに打つ手があります。

社長がマイクロマネジメントをすることの悪影響は非常に大きいので、少し詳しく解説します。

マイクロマネジメントをする人は、完ぺき主義で社員を管理しすぎて、やる気を失わせる傾向にあります。

マイクロマネジメントをする人が恐れているのは、自分の支配力を失うことです。部下に仕事を任せて期待はずれの結果を見ると、アドバイスをするより先に、つい細かく口を出してしまいます。部下の仕事を取り上げて、自分で手を動かしてしまうこともあります。

これを長く続けていると、部下たちはだんだん、自分からやろうとしない態度を身につけていきます。「どうせ社長が自分でやる」と思うからです。こうした社長の下に管理職がいると、悪影響はさらに広がります。管理職は「自分たちは結局正しいことができない」と感じ、成果を上げるよりも社長の顔色をうかがうようになるのです。

 

共通目的不在

次の原因は、共通目的の不在です。会社が目指していることと、社員本人の仕事や人生の目的が離れていると、前向きに仕事に取り組む理由がありません。そのため指示待ちになります。

ここで注意したいのは、会社の目的がそもそも社員に伝わっていないケースが多いことです。目的が言葉になっていなければ、社員は共感のしようがありません。

 

役割不在

組織の中で、自分がどんな役割を担うべきか?を理解していない、または教えていないことも社員が指示待ち人間になってしまう原因です。

自分の役割は自分で見つけてほしい、という社長もいるかもしれません。しかしそれは、組織づくりを放棄しているのと同じです。社員に明確な役割を与えるのは、組織づくりの基本です。

 

権限不在

自分で何かを決めたり行動したりする権限が与えられていないと、社員は指示待ち人間になります。権限不在には2種類あります。一つ目は、どこまで権限があるのかが明確になっておらず、「自分には権限がない」と思い込んでいるケースです。二つ目は、社長がマイクロマネジメントしているために、実際に権限が与えられていないケースです。

 

仕事の能力や知識の不在

担当している仕事をやり遂げるだけの能力や知識がないと、指示待ちになりがちです。自分で気づいて助けを求めてくる社員なら、まだ分かりやすいでしょう。厄介なのは、誰にも相談せずに仕事を抱え込んでいる場合です。


 

失敗を責められる環境

自分で判断して動いた結果、失敗して強く叱られた経験があると、次からは指示を待つようになります。指示どおりにやって失敗しても、責任は指示した人にあるからです。これは本人の弱さではなく、その職場で学習した結果です(参考:心理的安全性の作り方)。

成長意欲不在

本人に仕事で成長しようという意欲がないケースです。ただし、上に挙げた原因のどれかが続いた結果として、意欲が失われていることも少なくありません。意欲の問題に見えるときほど、ほかの原因が隠れていないかを先に確かめてください。

 

指示待ち人間の改善&対策方法

以上、指示待ち人間になってしまう原因を挙げてみました。

では、社員に指示待ち人間がいる場合、どうやって改善&対応すればいいのでしょうか?

方法は、上に挙げた原因を一つずつつぶしていくことです。順番に見ていきましょう。

1.採用の段階で、価値観が合うかを確かめる

指示を待つ犬

仕事に何を求めるかは、その人の人生に対する価値観です。入社後に他人が変えようとしても、なかなか変わるものではありません。

そこで、採用の段階で「自社が大切にしていること」と本人の価値観が合うかを確かめる仕組みをつくります。ただし、面接で「成長意欲がありますか」と聞いても、誰でも「あります」と答えます。聞くべきなのは、過去に自分から工夫して仕事を変えた具体的な経験です(参考:カルチャーフィットとは?採用面接の質問例)。

なお、すでに社内にいる社員については、この対策から始めないでください。原因の多くは、2番目以降の対策で改善できます。

 

2.マイクロマネジメントをやめる

次に、社長がマイクロマネジメントをやめることです。マイクロマネジメントをしている人は、部下の仕事ぶりに納得がいかないから口や手を出しているのだと思います。しかし、その口出しや手出しが社員の成長を妨げます。そして、ますます自分が口を出さなければならない状況をつくっているのです。

マイクロマネジメントに自分で気づくのは難しいものです。社内に指示待ち人間が増えていることが、そのサインの一つです。

 

3.会社の目的を明確にする

社員があなたの会社で働く理由には、もちろん給与もあるでしょう。しかし、給与ならほかの会社でももらえます。給与より大事なのは、共通の目的なのです。会社が目指す方向性と自分の人生の方向性に共通点がある、と感じた時にその会社に入りたいと思いますし、その会社にとどまりたいと思うものです。

会社の目的に貢献することが自分の人生の目的にもつながるなら、指示待ちにはなりません。会社の目的が明確になると、自社に合わない人が応募してこなくなるという効果もあります。

会社の目的とは、つまり”理念”ということになります。会社の理念の作り方については別の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

ミッション・ビジョン・バリューの違いと例文・作り方

 

4.役割を明確にする

会社の目的が明確になったら、次は各役職の役割を明確にします。人は役割を与えられれば、その期待に応えようと思うものです。私たちの提供している「仕組み経営」の中では、これを組織戦略を作る際に行います。詳しくはこちらも別記事にアップしましたのでご覧ください。

会社の組織図の作り方|中小企業・小さな会社の例と5ステップ

 

5.決めてよい範囲を渡す

役割が決まったら、その役割の中で自分で決めてよい範囲を明確にします。「権限不在」の原因をつぶす対策です。

ポイントは、言葉ではなく線で示すことです。「自分で考えて動いて」と伝えるだけでは、どこまでが許されるのかが分かりません。「10万円までの発注は自分で決めてよい」「このクレームは対応してから報告でよい」のように、金額や案件の種類で線を引きます。

線を引いたら、その範囲の判断には口を出さないことが大切です。結果が期待と違っても、やり直しを命じるのではなく、次にどう判断すればよいかを一緒に振り返ります。ここで口を出すと、社員は「結局は上司の判断が正解だ」と学び、元の指示待ちに戻ります(参考:仕事の任せ方|部下に仕事を任せる5ステップと権限委譲のコツ)。

 

6.能力や知識を与える

最後に、能力と知識を与えます。人材が豊富な大企業なら「能力や知識がある人に、その仕事を任せる」ことができます。中小企業ではそうもいきません。まだ社内で誰もやったことがない仕事を、誰かに任せる必要があります。そのため、能力や知識を身につける機会を用意する必要があります。

これについても別記事がありますのでご参照ください。

人を育てるとは?人の育て方と育てる仕組みの作り方4ステップ

 

指示待ち人間に関するよくある質問

指示待ち部下には、どう接すればいいですか?

まず、仕事を頼むときに「何のための仕事か」と「どこまで自分で決めてよいか」を一緒に伝えます。そのうえで、判断が必要な場面で相談に来たら、答えを言う前に「あなたならどうする?」と聞きます。最初は答えが出てこなくても、繰り返すうちに考えてから相談に来るようになります。

指示待ちと、慎重に確認する人は何が違いますか?

確認する人は「こう進めようと思いますが、よいですか」と自分の案を持ってきます。指示待ちの人は「どうすればいいですか」と案を持たずに来ます。確認そのものは悪いことではありません。見分けるときは、案を持ってきているかどうかを見てください。


社員の自主性を育てるには、何から始めればいいですか?

上司が答えを先に言うのをやめることからです。自主性は、自分で決めて、その結果を振り返る経験を重ねることで育ちます。詳しくは社員の自主性を育てるには?で解説しています。社員全員が自分から改善を考える状態を目指す考え方は、起業家精神とは?でも紹介しています。

 

指示待ち人間をなくし、社長不在で成長する会社を創りたい方は仕組み経営へ

以上、社員が指示待ち人間になってしまう原因と改善・対策方法を解説しました。指示待ちは、社員の性格だけで起きているのではありません。目的、役割、決めてよい範囲が言葉になっているかどうかで、同じ社員の動き方は大きく変わります。私たち仕組み経営では、経営者の方がリーダーとして成長し、会社を成長させるための仕組みづくりをご支援しています。
詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。
 


>仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

人依存の経営スタイルから脱却し、仕組みで勝手に成長する会社するための「仕組み化ガイドブック」をプレゼント中。

CTR IMG