会社の朝礼を意味ある内容にするには?



清水直樹

会社の朝礼は業務を運営するにあたって、基本中の基本ともいえるものです。しかし、中小企業の朝礼、というと無駄にテンションを上げたり、スピーチをしたり、理念を唱和したり、、、というイメージが強く、これに何の意味があるんだろう?と思う(特に若い)社員の人も多いのではないでしょうか。

私自身、会社員生活は短いですが、バイトなども含めると外資系企業、国内のベンチャー、ベタベタな中小企業を経験し、それぞれの朝礼のスタイルを見てくることが出来ました。そこでこの記事では、”仕組み経営”の視点から「会社の朝礼を意味ある内容にするには?」と題してお届けします。

社員は朝礼のネタやスピーチ内容に困っている

朝礼を行っている多くの会社では持ち回りで社員にスピーチをさせているのではないでしょうか?しかし、もしあなたが社長やチームリーダーなど、朝礼を主宰する側の立場であるならば、”社員は朝礼のネタやスピーチ内容に困っている”という事実を認識しましょう。

なぜ事実と言えるのかというと、グーグルで「朝礼 ネタ」「朝礼 スピーチ ネタ」「朝礼 一言」「朝礼 スピーチ 例文」などで検索している人が月間3万人くらいいるからです。順番が回ってくるたびに、みんなグーグルでネタ探しをしているわけです。まず、朝礼を主宰する側は、社員にそんな作業をさせてスピーチをさせる意味があるのか?と自問すべきでしょう。

朝礼のスピーチに意味はあるか?

今述べた通り、朝礼でスピーチをさせるのは鉄板のやり方です。ただ正直これは、”朝礼で何をすればいいかわからないから、他の会社がやっているようにスピーチをさせよう”という妥協案のような気がします。スピーチが全く無意味とは言いません。最近あった良いことやためになったことを共有することで、その人のプライベートが垣間見えますので、チーム内の心理的安全性を醸成する多少の役には立つかも知れません。

補足:心理的安全性とは?

働き方改革と生産性と関係ない!?グーグルが唱える生産性向上の条件

ただ、スピーチをさせられる側の社員がネタ探しに余計な時間を使っていることを考えれば、もっと良いやり方ががあるのではないでしょうか。

朝礼の理念唱和に意味はあるか?

もう一つ、朝礼の鉄板が”理念の唱和”です。正直、これは私があんまり好きではないやり方です。第一に、古臭い(唱和=昭和)のでいまの時代に合わないのではないか?ということ。第二に、効果が疑わしいからです。私が以前在籍していたベンチャー企業では、長い理念を唱和していましたが、正直、いまでは何も頭に残っていません。

理念を繰り返し伝えることが大事なんだ、というのは間違ってはいないと思いますが、朝礼で唱和したり、社長が訓示を述べて理念共有が出来たのは昔の時代です。昔はいまほどインターネット、SNS、その他の情報源が発達しておらず、社員は家庭内と会社内から受け取る情報が大半でした。そういった環境においては、多くの時間を過ごす会社内で受け取る情報が自然と頭と心に浸透していました。誤解を恐れずに言えば、宗教団体が信者を出家させ、他の情報をシャットアウトしたうえで、常に教義を吹き込み続ければマインドコントロールされるのと同じです。

一方の現代は、会社内にいても他社の情報や社外の人とのコミュニケーションが密に取れる時代です。他の情報をシャットアウトするのが不可能な時代です。そんな中、朝礼で理念を唱和するだけでは、不十分です。あとで述べますが、理念は実際の業務に落とし込まれてはじめて意味を持つものです。

 

朝礼の意味を再確認

では、どうすれば意味ある朝礼になるのか?ここから朝礼のやり方を再設計するためにどうするかを考えていきましょう。まず朝礼を行う意味を再確認する必要があります。朝礼を行う意味は大別すると以下の通りです。

チームワーク構築

みんなが同じ方向に向かっていることを確認し、かつ各人が自分自身の責任を認識すること。

ポジティブな心理状態を生み出すこと

心理状態は仕事のパフォーマンスに大きく影響します。朝礼でポジティブな心理状態に持っていくことで、1日のコミュニケーションを円滑にしたり、生産性を向上させます。

情報の共有

仕事を進めるにあたって、知っておくべきことを皆に共有します。

問題解決

各人が直面している課題や問題を朝礼で解決します。言い換えれば、朝の時点で問題解決をしておくことで、1日の仕事が滞らないようにします。

文化構築

チームの一体感とオープンさを生み出します。

朝礼のやり方

次に朝礼の基本的なやり方を見直します。

自社独自のグラウンドルールを決める

これは朝礼に限りませんが、ミーティングや会議には、グラウンドルールが必要です。グラウンドルールとは、皆が守るべき基本的なルールです。たとえば、パソコンやスマホは持ち込まない、参加者全員が発言する、等々。どんなルールにするかは自社の文化やスタイルに合わせて決めればいいでしょう。以下に挙げるのは仕組み経営でお勧めしている基本ルールです。

参加必須にすること

朝礼をやり方を効果が出るものにすれば、参加を嫌がる人も少なくなります。皆が朝礼は意味のないルーチンではなく、自分の仕事を円滑に進めるにあたって必要なもの、と考えるようにすることが大切です。

だらだらやらない(15分以下が目安)

朝礼は15分以下で終えるのがベストです。人数が多くて、どうしてもそれより長くなるのであれば、チームを分けます。またスピード感が大事です。一日の始まりをダラダラ過ごすと一日中ダラダラします。そのため、座ってやるより、立ってやるほうがお勧めです。

準備が大事

朝礼に参加する人は事前に準備をしておきます。後述しますが、朝礼で共有したい情報や自分が抱えている課題についてまとめておくようにします。

ディスカッションは後でやる

朝礼で出たテーマについて、時間内で収まらないディスカッションが必要な場合もあると思います。その場合には、必要な人だけを集めて後でやることにします。朝礼は皆が参加するものなので、関係のない人の時間を奪わないようにします。



朝礼の内容

では最後に、具体的に朝礼で何をやるか?を解説していきます。これも仕組み経営でお勧めしている朝礼の流れになります。

1.最新情報の共有

昨日あったことで、チームに共有すべきことを共有します。たとえば、何か役立つ情報や顧客からの声、何か達成したこと、などです。

2.成果の報告

優先順位の高い仕事の中で、昨日やり遂げたことを共有します。各人3つくらいが理想です。

3.KPI(重要数字指標)の共有

KPIの進捗を共有します。KPIが無い場合には作りましょう。仕事の成果は数字で測るのが理想です。

4.スタック事項の解消

スタック事項とは、何かが原因となって止まってしまっている事項のことです。たとえば、誰からの承認がないと進まないとか、誰からからの情報が無いと進まないとか、自分ひとりで決めきれないこと等。これらを朝礼の場で解消し、一日の仕事をスムースに行えるようにします。

5.本日の優先事項

最後に各人の本日の優先事項を宣言します。宣言することでやらないといけない、という責任感も増しますし、他の人の優先事項を知ることでヘルプも出来るようになります。

 

朝礼の注意点

▶社長やチームリーダーなど朝礼を主宰する人は、各人の優先事項が会社全体のビジョンや目標、またはコアバリューに沿っているのかどうかを確認します。理念は単に唱和するのではなく、現実の業務に落とし込まれているかどうかが大事です。そのため、主宰する側は、”あなたのその優先事項や仕事は会社のビジョンや目標に向かうものになっているか?そのやり方はコアバリューに沿っているか?”という視点を朝礼に持ち込むことが大切です。

▶各メンバーは上記のポイントを簡潔に報告できるように事前に準備します。

▶上記の流れを15分くらいで終えるようにします。メンバーが多いと長くなるので、その場合には業務の関連性に合わせてチームを分けます。

まとめ:朝礼のストレスを減らして生産的なものに

以上、朝礼の内容ややり方をご紹介してきました。冒頭でも述べた通り、会社の朝礼にストレスを感じている人はかなりの数いるです。本来、生産性を上げるための朝礼が、逆にストレスの原因になってしまっては何の意味もありません。

ぜひここでご紹介した考え方を活用し、朝礼を意味あるものにしていただければと思います。仕組み経営では、朝礼のみならず、会社の業務を仕組み化し、人依存ではなく、仕組みで成長する会社作りをご支援しています。

詳しくは以下からご覧ください。

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