マネジメント業務と人材開発

マネジメント業務と人材開発【誌上セミナーvol.5】



清水直樹
マネジメント業務とは会社や組織の目標を達成するために計画し、組織化し、指導する活動です。本記事では、マイケルE.ガーバー氏が過去に行った講演内容の中から、特に中小企業向けに、マネジメント業務の在り方についてご紹介していきます。講演が行われたのは1980年代~1990年代と古く、使われている例や言葉も古いですが、内容は今でも普遍的です。ぜひお役立てください。
マイケルE.ガーバー氏・・・世界700万部のベストセラー「はじめの一歩を踏み出そう」の著者であり、世界No.1の中小企業アドバイザー(米INC誌による)に選ばれた。当サイト「仕組み経営」のもとになっている思想を提供してくれた人物。詳細はこちら>>
(以下、1980年代のマイケルE.ガーバー氏の講演内容)

サマリー

  1. マネジメント業務の目的は、組織が目指す姿を実現するために、組織全体が予測可能な結果を生み出すことである。顧客が常に同じ良い体験を得られるようにすることが重要であり、その方法がマネジメントである。
  2. モチベーションの神話とは、生産性を上げるためにはモチベーションを上げようとすることである。実際には、生産性を上げることでモチベーションが内発的に生まれる。
  3. 従業員の使命と会社の使命が一致するかどうかを確認し、個人の使命を共有できる人材を雇用することが重要。

 

マネジメント業務とは何か

今、あなたには、自分の人生のビジョンがある。そして、、最終的にはあなたの会社がどんなふうになるのか、ビジネスのビジョンがある。それを実際に形にし、拡大できるビジネスにしていくためのステップ、それがマネジメント業務の開発である。

優れたマネジメント業務の例

もうずいぶん昔のこと、ロサンジェルスからサンフランシスコまで車を走らせていた。このルートを通るときは、たいてい寄り道なしで、400~500マイルの道のりを2時間ほどで走破する。しかし、そのときはどういう訳か、疲れており、ホテルを探すことにした。運の良いことに、近くにホテルを見つけることができた。初めてのホテルだったが、受付エリアに足を踏み入れてみると、これが実に美しいホテルだった。フロントカウンターの奥には若くて綺麗な女性がいて、すぐ応対してくれた。感じの良い金色の服の胸には、ホテルの紋章とロゴが付いていたのだ。

何やらこちらに聞こえない声でひそひそ話したかと思うと、金ボタンの並ぶ金色の制服がささっと現れ、部屋に向かう。こちらはくだけた服で追っていくと、開けてくれたドアの向こうに待っていたのは、それまで入ったことのないほど見事な部屋だった。その後もあれほどの部屋には入ったことがない。17階の高い天井に天然杉の壁。この壁には森や花々が画家の手で描き込まれ、太平洋に面した西海岸の豊かな植生が再現されていた。部屋の中ほどには角度を4段階で変えられるホワイトパイン製のキングサイズベッドが設えられ、白いベッドスプレッドが掛けられていた。そこには皴の1つも、しみの1つもなかった。このホワイトパインのベッドに映える完璧な白。これ以上ない完全に無垢な代物だった。ベッドの前には自然そのままの巨大な天然岩を使った暖炉があり、すぐ火を点けられるよう薪が入れてあった。その下には丸めた紙切れと点火用の小枝まで挿し込まれているという徹底振りだったのだ。

すぐ使えるよう用意されていたのは、たしかデザイナーブランドのマッチだった。ニルヴァーナと書かれていた。空の光がわずかに差し込み、すぐ近くの海から海鳴りと鳥たちや蟹や何かのざわめきが、かすかに耳に届ていた。着替えると、もうディナーを食べようかという気になり、レストランへの行き方は聞いていたので、ドアを開け、レッドウッドの森に歩み入ると、きちんと整備された素敵な小道が谷間へと続いていた。ねぐらに落ち着こうとする鹿の物音。さらに歩き進み、広々した太平洋を見晴らしながら頂上に着くと、レストランがあった。

一面の星の煌き。墨を流したような空。大勢の人々――と来れば、きっと待たされることが予想できる。ところが、給仕係のところへ行き、名前を告げると「お待ちしておりましたお席はご用意してあります。」と言うではないか!ウェイトレスがすぐに席に案内してくれ、金色の服の胸元にはロゴが付いていた。挨拶しながら渡してくれたのは、素晴らしいメニューだった。暖炉には火が赤々と燃え、隅ではギタリストがバッハを演奏していた。今まで味わったことのないほど素晴らしい食事。見事なワインを2本ほど空け、締めくくりに1杯のブランディーで余韻を楽しむと、何の憂いも苦しみもない幸せを感じながら、部屋に戻ったのだ。

ドアを開けると、そこには暖炉に火が燃えていた。ベッドの上に布が広げてあり、小ぶりのリボンが結ばれていた。ベッドの足元には、幼い頃、母がしてくれていたのと同じ絶妙な配置でピローが置かれていた。

そのピローの上にはミント。ベッド脇には1杯のブランディー。それも、ディナーのとき、レストランで飲んだのと同じブランディーだったのだ。まだ物足りなく感じていたのを気取られたらしい。

2つのピローの間には、豪華な小さなカードがあり、要約すると「ありがとうございます。誠にありがとうございます。とにかくありがとうございます。ご宿泊、本当にありがとうございます。」といった類のことが書かれていた。「お役に立てることがありましたら、昼でも夜でも何なりとお気軽にお電話ください。私はキャシーと申します。」

朝、目覚めると、自動で淹れたばかりのコーヒーポットが見つかった。添えられた小さなカードには「お客様のお好みのコーヒーブランド」とあり、本当に好み通りだった。一体どうして分かったんだろう。

そういえば、前の晩、レストランで「コーヒーのブランドはどれがお好きですか」と聞かれていたのだ。

そう思い至った瞬間、誰かがドアをノックした。ドアを開けると、マットの上に新聞が転がっている。ニューヨークタイムズ。愛読紙だ。どうして分かったんだろう。そこで思い出したのは、昨晩、チェックインしたときに、好きな新聞を聞かれたことだった。だから、ここにそれがあるのだ。

毎回同じような感動が得られる

このホテルでは訪れるたび、必ずこのようなちょっとした驚きが待っている。ただし、2度目からは一度も好みを聞かれたことはない。電話して名乗るだけ。

「最後にご滞在くださってから72日ぶりですね。奥様はお元気ですか。もうすぐ赤ちゃんがお生まれになるのではありませんでしたか。」

「そのとおり。生まれたよ。」

となるのである。

いつでも、誰でも、何度でも

お分かり頂けるだろうか。自分の家に電話してさえ、これほどの待遇を得ることは出来ないだろう。あのホテルで何をもらったかと言えば、マッチとミントとコーヒー1杯、それに新聞くらいだ。しかし、彼らの特別な待遇のために1泊350ドルを払うのだ。1泊350ドル。計算してみて欲しいこれほど高価なマッチやミントやコーヒーや新聞はないが、それでも満足なのだ。

この話のポイントは、このホテルがやっていることは誰にでもできることだということ。これがマネジメント業務を開発することの威力である。そして、これは彼らのスタッフが独自にやっていることではない。マネジメントの問題なのだ。いつでも好きなときに電話して、確実に前と同じ体験をすることが出来る。気が向いたときに行って、電話をかけて、同じ体験を出来るのだ。

いつ行っても、何度行っても、通い詰めたくなるような期待通りの同じ体験を必ず提供できるのは、彼らの会社としての能力だ。だからこそ、このホテルはこれほど特別な場所になっている。そして、これはマネージメントシステムなしでは不可能なサービスなのだ。

あなたにもそういう体験があるのではないだろうか。マネジメント業務の仕組み化が出来ていなければ、あらゆることが、コントロール不能になる。様々な問題を1つの方法で一気に解決することはできない。マネジメント業務の仕組みがなければ、自分の会社で何が起こるのか、何一つ予想が付かなくなってしまうのだ。

マネジメント業務と人材開発の関係性

どのようにしたら従業員を動かせるだろうか? あらかじめ強調して言っておくが、従業員は動かせないのだ。従業員に何かをさせることはできないのだ。あなたにはその力がない。その力がある者などいない。自分自身に対してさえ、どうしたら望むことをさせられるだろうか?

成果を出せる仕組みを作る

従業員に何かをさせることなどできない。モチベーションなど作り話なのだ。何かをさせるために、従業員にモチベーションを与えることはできないのだ。それをわたしはモチベーションの神話と呼ぶ。モチベーションを与えて生産性を上げるのではなく、その正反対こそが正しい。最初に生産性を上げれば、モチベーションは付いてくる。結果を出すために、従業員を励ますのは間違いである。結果を出すことによって励まされるのだ。全くの反対である。

したがって、あなたが考えるべきことは、彼らが成果を出せるようなマネジメント業務の仕組みを整えることである。

人材開発とは何か

人材開発は、従業員をインスパイア、奨励することから始まる。どうやったら従業員をインスパイアできるか?

かつて彼らが経験したことがある場所より、はるかに生き生きとした労働環境を与えることによってだ。何よりもまずそのことを従業員に分かってもらうのだ。



従って、人材開発プロセスで問題なのは「彼らが生きる場所」である。

使命を共有できるか見定める

使命を持っているのは会社ではなく、従業員ひとりひとりだ。そして、ビジネスの創業者であるあなたにも個人的使命がある。

あなたは人を雇って初めて個人的使命を伝えることが出来る。それまでは伝えられない。あなたが伝えようとしている人の使命が、あなたの使命と完全に一致して初めて関係はうまくいくのである。従って、あなたがすべきなのは、あなたの使命を他人に売り込むことではない。使命を共有してもらえるかどうかを見定めることなのだ。あなたは人生についての哲学がある。それを共有できる人を雇って関係を始めるのだ。人を雇用するプロセスでは、心から人を魅了することが重要である。単なる仕事以上のものを求めている人たちを雇うのだ。

起業家的ビジョンが人を動かす

それではビジネスにおいて第1に人を動かすもの、その特徴とは何であろう? それは、ビジネスの起業家的なビジョンである。これは物の考え方であって、靴を作ることではない。ソフトウェアを作ることの問題ではない。良いコンピュータを作ることの問題ではない。物それ自体の問題ではない。

「生きる場所」を提供して人の心をつかむためのもっといい方法を見つけることが問題なのだ。そして、人材開発プロセスこそが文字通りにそのための方法なのだ。あなたが「生きる場所」が何かを理解し、それを創り上げたならば、人々は言うだろう。「こんな場所を求めていたんだ。こんな場所で働いたことはかつてないよ。まったく嘘みたいだ」と。人材開発とは「生きる場所」で人の心をつかむことなのだ。

どうやって素晴らしい人を育てるのか?

偉大な会社について話すとき、どのようにしてそんな人材が育ったのか?と話題になる。そして、出てくるのは企業の文化についての話である。しかし、実際にはそうではない。物事の原理を理解することだ。

私たちが知るべきこととは何か?これはお金を稼ぐよりも大切なことだ。ビジネスとは商業的な存在である。だからお金を稼がなければ、その役割を遂行することが出来ない。

しかし、そうなると、質問は、お金とは何か?ということになる。お金と私たちの関係が大切だ。それが人々の品位を落とすものであってはならない。人々はなにを欲しているのか?あなたは何を欲しているのか?人材開発とは、人々により良い人生を送るための方法である。ビジネスとは、人々がより良い人生を送るための媒体になるべきだ。

会社を学校にする

あなたは毎日、会社でセミナーをしているようなものだ。あなたは人々の人生により明確さ、方向付け、勢いを与えなくてはならない。つまり、あなたの仕事は、会社を学校にすることなのだ。

真に成功している会社は、学校なのである。あなたはその学校の校長である。そこで、人々にライフスキルを向上させること、集中すること、識別すること、組織化すること、イノベーション、コミュニケーションについて教えるのだ。

求人広告の出し方

さて、ここで、リフォーム会社が出した広告を紹介したい。人材募集の広告は、最初のコミュニケーションになる。

この広告の目的は、あなたからコンタクトを取ってもらうことです。あなたの名前は知りません。しかし、あなたがどのようなことを望んでいて、どのような人物であるかを知っています。単に仕事ではなく、キャリアが欲しいと思っていることを知っています。より広いスキルを身につけるために、トレーニングを欲していることを知っています。

あなたと話したとき、給料やキャリアについてと同様、あなたが何を求めているのか?そして、私たちが何を提供できるのかを話しましょう。

あなたはこれまで、技術的なトレーニングを積んできて、たくさんの経験をお持ちでしょう。しかし、それ以上に、あなたは最高になろうという志を持っていることを知っています。才能があるチームでのポジションになります。

この広告に反応して、何百マイルも先から人材がやってきた。広く広告を出したからではない。何を言うか、そしてどう言うかが他とは異なっていたからだ。

波長が合う人が集まる仕組みにする

新聞の広告欄を見れば、たくさん人材募集の広告が載っている。全ての広告は、普通の人を普通に雇おうとしているだけだ。しかし、広告の目的は、単にコンタクトをしてもらうことだけではないのだ。

私たちと心を共有し、波長が合う人を探しているのだ。私はあなたがどのようなことを望んでいるかを知っています。なぜならば、私も同じようなことを望んでいるからです。あなたがどのような人であるかを知っています。なぜなら、私もそのような人間だからです。

あなたは、よりいい仕事を求めていることを知っています。さらに、トレーニングを望んでいること、スキルを拡張sあせる機会を求めていることを知っています。言い換えれば、あなたは成長したいと思っていることを知っています。

わかるだろうか?

この広告の時点から、あなたとあなたの人材のコミュニケーションはスタートしているのだ。これが採用活動というものだ。

180人の応募があった求人広告

以下は私たちが出した求人広告である。

情熱があり、ハートがある人を求む

プロフェッショナルな人たちと、プロフェッショナルな会社で、プロフェッショナルなことをしたいと思ったことはありませんか?そう、あなたはそれが出来ます。私たちの会社は、世界中のスモールビジネスオーナーの人生を変革しています。助けを求めています。ミッションがある人です。経験はいりません。なぜなら、必要なことを教えるからです。しかし、早めにお電話ください。

私たちは急速に成長し、急速に変化しているビジネスだ。人々の生活を変革している。人々の生活に影響を与えている。私たちは情熱を持ってそれを行う。私たちは心でそれを行う。

だから”募集:情熱を持つ人、心を持った人“と書いた。私たちがに情熱があり、心があり、同じような人を募集したいからなのだ。



人々は、情熱を持って生きられる場所を求めているのだ。あなたは顧客の心の中で、自分を位置づけするのと同じように、人材の心の中で、自分を位置づけする必要がある。

彼らは尊重される場所を求めている。

この広告は一回しか出されなかったかが、180人の応募があった。

これで分かったように、これまで話してきたことをやっていなければ、人材開発の仕組みを作ることが出来ない。あなたに戦略的な目標がなければ、あなたに目的がなければ、マネジメント業務の仕組みがなければ、人材開発は出来ない。つまり、全て、あなたから始まるのだ。

採用のベンチマーク

では、応募者をどうするのか?それが聞きたいだろう。

ここでベンチマークが必要になる。

求人広告=マーケティング

ベンチマークその1は、広告だ。これはマーケティングと一緒だ。採用活動ではあるが、実際には、マーケティングと同じなのだ。人々の心の中で、会社を位置づけしているという点では、マーケティングと同じだ。

さて、大抵の会社には、180もの役職はない。だから数人に絞り込む必要がある。これがどれだけ大変か分かるだろうか。

ベンチマーク その2は、電話だ。電話がかかってくる。私たちは特に何も準備していない。なぜならば、電話がかかってきたときに、何を言うか?何をするか?全員がトレーニングされて、わかっているからだ。

電話がかかってきたら、面接のアポイントを取る。そのために話すべきことは、全て原稿になっている。

採用セミナーの方法

3つ目のベンチマークは、採用セミナーだ。私たちは、ホテルで採用セミナーを行う。

そのために、正しいホテルを選ぶのだ。何を持って正しいといえるのか?

出した広告のイメージ、雰囲気にあったホテルだ。そして、入り口でスタッフが出迎える。ネイヴィーのスーツで。

そして、45分間、話すのである。誰が話すのか?もちろん、あなただ。少なくとも最初のうちは。当然、話す内容も原稿がある。

そして、こう告げる。

私の話が心に響いた人は、入り口で渡したチェックシートにある、YESにチェックを入れてください。響かなかった人は、NOにチェックを入れてください。

そして、次の3つの質問を考えてください。

あなたの心に響いた話は何でしたか?

次に、あなたが会社に入社したら、会社がビジョンを実現するためにあなたはどんな貢献が出来ますか?

最後に、その貢献が本当に可能であると私が納得するために、あなたがこれまでにしてきたことを教えてください。

会社のストーリーを語る

これを行うためには、会社のストーリーを語らなくてはならない。あなたのストーリーは何だろうか?45分で彼らに何を伝えるだろうか?

大半の人は、ビジネスのストーリーを語ることが出来ない。あなたのビジネスの目的は何か?ビジョンは何か?なにが特別なのか?

これまでに話してきたとおり、あなたは、ビジネスの最終形を描かなくてはならない。そして、そこから現在に戻ってくるのだ。あなたが伝えるのは、ビジョンであり、ストーリーである。これまでにどんなことが起こってきたのか、そして、これから何が起こるのか?なぜビジネスをスタートさせたのか?

私たちは単なる小さな会社です、とは言わないでいただきたい。そんなことは聞きたくない。自分自身に対しても、そんなことは言ってはならない。それが現実になってしまうからだ。偉大になった会社は、始まったときからストーリーがあるのだ。そして、ビジョンがあるのだ。まだ明確でもなく、正確でもなかったかも知れない。しかし、それでもストーリーとビジョンがあったのだ。

Mrs.フィールズクッキーのデビーフィールズは、こう言っていた。“私には特に計画がなかった。”しかし、彼女は、そのあと、私がこれまで言ってきたのと全く同じようにビジネスを作っていった。彼女は、それを知らなかっただけなのだ。彼女はフランチャイズプロトタイプを作っていた。ただ、旦那がそれを彼女に告げるまで、彼女は、それが何であるかを知らなかっただけなのだ。



偉大なビジネスで、ストーリーとビジョンがないビジネスはない。もしあるとしたら、彼らは、それを世の中には伝えていなかっただけだ。彼らはやっていたのだ。

あなたのストーリーは何か?それを書き記して欲しい。書かれていなければ、存在していないのと同じだ。

人材開発とはプロセスである。そのプロセスは、あなたが広告で使う言葉を選ぶときからスタートしている。

そこから始まるプロセスは、あなたが想像もできないほど、あなたのビジネスを変革させるのだ。

人材開発を仕組みにする

人材開発プロセスとは、人を採用活動をし、雇用し、トレーニングする、こういったことを仕組みとして行うことをいう。活動をしながら、システムを作り、改善するのだ。システムは、良い状態である、というだけでは不十分である。より大きなことにチャレンジしたい、より成長したいという人間の本性に応えるものでなければならない。

だからビジネスとは、学校のようなものである。学校のように運営され、学校のようにコミュニケーションし、学校のように教育するのである。そして、学校が生徒に対して持っているのと同じような責任を持つべきなのだ。

それによって、彼らはあなたの会社で働くことに価値を感じるようになる。

社員の人生に違いをもたらす

つまり、彼らがあなたの会社に入ってきたときよりも、出て行くときの方が、彼らの能力が上がっていて、より良い人生を送れるようになっていなければならない。

あなたの会社のドアから入ってきた人の期待をはるかに超えなければいけない。だからあなたは、いまの状況からはるかに成長していかなければならないのだ。そして、あなたにはそれが可能なのだ。

私がこれまで、あなたの目的は何なのか?という質問を繰り返ししてきたのは、そこに理由がある。人々の期待を超えること、その過程を通じて、あなたビジネスは違いをもたらすことになるのだ。

幸いなことに、あなたはそのやり方をゼロから開発する必要はない。あなたがモデリングできる対象は既にたくさんある。

偉大なビジネスは偶然に生まれない

これまで見てきたように、偉大なビジネスは偶発的に完成したわけではない。偉大なビジネスを作ろうと決め、偉大なビジネスが出来るような方法に沿って行うのだ。

独立して、ビジネスをスタートする前に、何を準備すれば良いですか?という質問を聞かれたならば、私は、世の中にある優れたビジネスを探し、彼らにアポを取り、話を聞きに行くことだと応えるだろう。

彼らが何をしているのか?実際に見に行くのである。

優れたCMがあれば、それをノートに取ろう。ホテルで素晴らしい体験をしたら、それをメモしておこう。非凡なことをしているビジネスについて、ノートを取ろう。そして、まねしよう。

リッツ・カールトンは、彼ら独自のクレドを持っているが、あなたがそれをまねして自社のクレドを作ったとしても、彼らはあなたを訴えたりしないだろう。リッツ・カールトンにとっては、むしろ名誉なことだ。

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