今回のテーマは、開業医の経営です。
勤務医と比べて儲かるイメージの開業医ですが、自分でクリニックを開くと、医療だけでなく経営にも従事しなくてはいけないのが現実です。
今回はそんな開業医の経営をテーマに、開業医の年収や開業するメリット、開業医の経営が失敗する理由とその解決法について書いてみたいと思います。
開業医とは?
これは解説をするまでもないですが、開業医とは個人で医院・病院を経営している医者のことを言います。
逆にどこかの病院に勤めている医者は勤務医となります。自分の理想とする医療を実現するため、または収入のため、などさまざまな理由はあれど、独立してやっていこうと決めた人が開業医となるわけです。
これは他の専門職と全く同じです。税理士事務所に勤めている人は独立して自分の事務所を持ちますし、どこかの美容室に勤めている人は独立して自分の美容室を持つようになります。
開業医の収入
開業を考える医者が最も気になるのが開業医の収入です。
2017年の厚生労働省の調査(医療経済実態調査)によると、開業医の年収は、2,748万9071円でした。
この数字は勤務医の年収である1,488万603円と比べると圧倒的に開業医に軍ぱいが上がります。
やはり収入という視点で見ると開業医の方が稼げるのは間違い無いでしょう。
開業医になるメリットとデメリット
では、開業医になるメリットとデメリットを見ていきましょう。
開業医のメリット
①収入がいい
上記で示した通り、開業医は勤務医と比べて年収が高いのが大きなメリットです。
同じ医師免許を持っていても、年収にして約1,300万円もの差が生じるのは正直驚きます。
②縛られない自由さ
開業医は、勤務医と異なりクリニックの運営に関し最終決定権があります。
営業時間や開業する場所はもちろん、治療のスタイルも全て自由に決めることができます。
特に勤務医と違い、開業医は夜勤が無いことや休みを調節できることは大きなメリットでしょう。
開業医のデメリット
①開業費用がかかる
開業医にはもちろん莫大な費用が発生します。
勤務医と異なり、物件費用やクリニックのメンテナンス費用、看護師の人件費等をやりくりする必要があるのです。
年収の良い開業医ですが、クリニック運営費用や自身のリタイアに備えた積立金などを考慮すると、必ずしも開業医の方が稼げるとはいえない場合もあるでしょう。
②収入が安定しない
勤務医と異なり開業医の収入は安定しているとは言えません。
月々の収入は患者の数に大きく左右されますし、もしも自身がケガや病気で休業した場合、補助してくれる後ろ盾はありません。
稼げるか稼げないかは全て自分次第、という責任の重さも常にのしかかってくることでしょう。
開業医の経営が失敗するたった1つ理由
さて、以上開業医のメリットとデメリットを列挙しましたが、ここからはよくある開業医の経営が失敗する理由を紹介します。
開業医の経営がうまくいかない理由はたった1つ、”医者が経営者になりきれないこと”です
開業医は他のスモールビジネスと同じく、医者であると同時に、経営者でもあります。たとえば、美容師は独立した途端に、美容師としての仕事と美容室の経営者としての仕事を両方行うことになります。実際のところ、ほとんどの人はそれが上手く両立できず、経営に行き詰ります。開業医もそれと全く同じなのです。
医者としての能力が高い=開業して成功できる
というのは幻想に過ぎません。この事実を理解しないまま開業し、経営を続けていくとどこかで資金繰りや人の問題に悩まされることになり、経営が行き詰まることになります。実際のところ、開業医すべてが成功しているわけではなく、設備投資で資金がカツカツだったり、スタッフの離脱が激しい病院、人間関係が悪い病院などもたくさんあります。
この辺の話は起業家のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう」に書いてある基礎中の基礎の話です。詳しくはこちらの記事に書いてありますので、初見の方はぜひご覧ください。
開業医が経営を成功させる秘訣
ではどうしたら開業医が経営を成功させることが出来るのでしょうか?
ここでは、「はじめの一歩を踏み出そう」の著者マイケルE.ガーバー氏の別の書籍(未翻訳)に書かれている実話をご紹介します。米国の例ですが、日本でも同じように考えることが出来ます。
主人公は開業医のサンディ医師。彼は他のほとんどの開業医と同じく、医者としての能力が高ければ開業して成功できる、と思い、実際に開業しました。しかし、そのうち、上記に述べた理由で経営に行き詰ります。
ただ、彼は幸いなことに「仕組み経営」の考え方に出会い、見事に経営を立て直すことに成功しました。
以下にストーリーを掲載しますので、ぜひご覧ください。
サンディ・ブレイク医師は自身の診療所を持っていた。
多くの人は彼の診療所は成功していると考えていた。
もちろん、これらの成功には代償もあった。
一方で診療の量は増え続けた。
診察室ではアシスタントがあなたの体温と血圧を測り、
そのうち、サンディ医師かアシスタントがやってきて、
かつてはそうでなかった。彼の古くからの患者に、
当時の穏やかな日々には、スタッフからとても丁寧に扱われ、
このような状況は特別なものではない。非常に良くあることだ。
患者にとってもスタッフにとっても、
彼は仕事をすることと、
それと同時にマーケティングの力も理解した。
その約束とは次のものである。
“私たちはいつも時間通りに、約束したとおりに行います。
この約束は、
”私たちはとてもひどい間違いをしてきました。
もちろん、サンディ医師を含め、
サンディ医師はそのような約束をすることで、
彼は質問をすることによって、患者を知ろうと努力した。
彼はスタッフに彼らのビジネスのやり方について考えるよう伝えた
単に効率的に行うだけではなく、
また、
“ワールドクラスの診療所だったら、私たちはどのように見え、
サンディ医師の診療所の変革は驚くべきものだった。
彼は次のような質問を自分に問いかけたのだ。
・あなたの患者、顧客を狂ったように連れてくるものとは何か?
・スタッフが責任を持って出すべき結果にも関わらず、
・私はどのようにしたら彼らの仕事を、人生を、
これらの質問に回答すれば、それが問題を解決するというよりも、
”これらの必要な変化をどれくらいすばやく出来るだろうか?”
サンディ医師は最終的に学んだ。
関係性を新しくすると約束するものである。みんなに対して、
マーケティングとは、
開業医は経営のプロになれ
いかがだったでしょうか。
サンディ医師の最初の状態は、これは日本の多くの診療所、病院で起こっていることと同じだと思います。
一般に医院の経営は他のビジネスとは違う、と思われがちですが、実際には同じなのです。サンディ医師が行ったことは、他の成功しているビジネスオーナーたちが行っていることと同じです。
自社のブランドを定義し、それに合わせて業務の仕組みを創り、スタッフを教育し、最高の患者サービスが出来るようにしました。
患者という言葉を顧客に変えれば、成功するためにやるべきことは他のビジネスと全く同じです。開業医は医療のプロですが、同時に開業したからには経営のプロとしての視点が求められるのです。
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