目次

第一条 Working On it, not IN it(会社の中で働くのではなく、会社の上から働く)

職人的な仕事への中毒から抜け出し、会社全体を俯瞰して革新性と拡張性を実現することが大切です。

世界中の会社と経営リーダーの人生を変革させてきたシンプルなアイデアがあります。
 
それがWorking ON it, not IN it(会社の中で働くのではなく、会社の上から働く)です。
 
世の中の大半の人は、Work IN(中で働く)の視点で過ごしています。
 
Work IN(中で働く)の視点を持っている人は、自分が会社を管理しているのではなく、会社に自分が管理されています。
 
だから今日は昨日したことの後処理で忙しく、明日は今日の後処理で忙しい、という状態になっています。日々、やらないといけない作業をこなすのに精一杯で、事業を俯瞰してみることが出来ません。
 
もちろん、私たちの事業には常に日常的な作業があります。それを遂行することは重要です。しかし、これらの作業は結果が予想できるものです。
 
私たちの人間の役割は、予測可能な作業をこなすことではありません。私たちは、創造するために仕事を行うのです。
 
Work ON(上から働く)というのは、文字通り、あなたの会社の上にあがるということです。1万メートル上空に昇り、そこから俯瞰して見ることです。
 
それをそのままに正確に見ることです。
 
あなたの事業は、どんな革新を創りだそうとしているのか?
 
どんなユニークな要素を持とうとしているのか?
 
どんな問題を解決しようとしているのか?
 
このような質問をし始めることによって、Work ON(上から働く)の視点を手にすることが出来るようになります。
 
地球上にあるすべての事業は、拡張可能で、革新的になれる可能性を持っています。世界で最も成功する事業になる可能性があるのです。
 
そうなるには、あなたが毎日忙殺されている、Work IN(中で働く)の視点から抜け出すことが欠かせないのです。
 
書籍「Why Does e=mc2?」には、「天の川銀河は、2000億個の恒星がある島である」と書いてあります。
 
私たちは、外を見れば見える太陽をたった一つのものとして認識しています。しかし、それは2000億個のうちのひとつの恒星です。
 
さらに、天の川銀河のような銀河は、10億以上あり、それぞれ2000億個の恒星があります。
 
どうしたら、このような壮大なスケールを想像できるでしょうか?
 
もちろんできません。
 
しかし、もしそれを想像し始めることができなければ、私たちの会社、宇宙から見れば小さな点、小さな点より小さな点が、私たちにとって、とても巨大なものに見えてしまいます。
 
この小さなものによって、私たちの人生はどれだけ消費されてしまっているのでしょうか。
 
このような話をしたのは、あなたが見ているもの、やっていることに大局観を提供したいためです。
 
私たちが理解できない何か、とても壮大で、想像より大きく、心を尻込みさせるような何かと、あなたの事業がつながっていることを知る機会を提供したいからです。
 
それによって、私たちがこれまで経験したり、見たりしたことよりも、壮大なことを創造し始めることができます。
 
 
中で働くことから抜け出すために
 
経営リーダーは、Work INの状態から抜け出すため、3つの人格をコントロールすることが必要になります。
 
3つの人格とは、
 
  • 職人の人格・・・目の前の仕事に取り組む
  • マネージャーの人格・・・人と仕組みを使って仕事を進める
  • 起業家・・・会社の未来を創造し、導く
 
です。
 
多くの経営リーダーが、忙しく働き続けないと会社を維持できない理由は、その多くの時間を職人の人格とマネージャーの人格で過ごしているからです。
 
例えば、大工さんが独立して工務店を始め、ただひたすら仕事に追われることになったり、美容師さんが独立して美容院を開業し、同様に仕事に追われることになったり、弁護士さんが独立して法律事務所を立ち上げ、それもまた同じく仕事に追われることになります。
 
職人上がりの経営者の多くは、共通して致命的な思い込みに陥っています。それは、「自分の職人としてのスキルや技術があれば、その分野の事業を成功させることができる」というものです。
 
残念ながら、多くの経営者は、「事業を構築する方法」と「職人としての仕事をこなす方法」が同じだと信じ込んでいます。
 
こうした思い込みが原因で、大半の会社が5年以内に失敗してしまうのです。経営者が職人の人格で商品を作り、売り、届けることに徹するだけでは、いつか事業が衰退してしまう可能性が高いのです。
 
首尾よく事業を拡大させ、顧客と社員が増えてきたとしても、今度はマネージャーの仕事で忙しくなります。人の採用や評価、退職、サービス品質や人間関係のトラブルなど人の問題への対処で忙しくなります。
 
本人はこれこそが経営者の仕事だと思っていますが、本当はそうではないのです。
 
起業家の人格の仕事こそが本来、経営者が取り組むべき第一義の仕事です。
 
起業家の人格は、事業そのものを素晴らしい商品として創り上げます。空間的に時間的に大局的に自社を見渡し、自分たちが成し遂げようとしている結果に向けて組織の方向づけを行い、細部を設計していきます。
 
職人の人格の仕事から抜け出し、本来の起業家的な仕事に取り組みたいという人は多いかもしれません。しかし、それを妨げる大きな障害が、彼ら自身の中に存在します。
 
それが”職人的な仕事への中毒”です。実際に起業家的な経営者への道を踏み出し始めると、長年染み付いた、職人的な仕事への中毒性に負けてしまうのです。
 
”目の前の仕事をこなしていないと、仕事をした気にならない”と考えてしまい、職人の仕事、マネージャーの仕事に迷い込んでしまいます。
 
私たちの経験では、優れた経営者も少なからず、そういった居心地の悪さや不安を経験しているものです。
 
今日から1日1時間、起業家としての仕事に取り組む時間を取ることから始めてみましょう。
>仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

人依存の経営スタイルから脱却し、仕組みで成長する会社するための「仕組み化ガイドブック」をプレゼント中。

CTR IMG