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第五条 ワールドクラスの基準を目指す

ワールドクラスの基準を追求することで、社員は成長とやりがいを感じ、リーダーは進化を実感し、顧客は優れたサービスを享受できます。

2013年@マイケルE.ガーバーキャンパス
ワールドクラスの会社とは、会社の隅々まで、ワールドクラスの基準で運営されている会社のことです。ワールドクラスの会社は、世界に通用する方法で取り組む決意をした経営者のみが作ることが出来ます。
 
ワールドクラスの会社には次のような属性が備わっています。
 
 
革新性
 
ワールドクラスの会社は、必ずしも、まったく新しい商品やサービスを売っているわけではありません。普通の商品やサービスを扱っていても、他の会社がやっていないような革新的な方法で提供しています。
 
拡張性
 
いくら優れた技術を持っていても、一人が担当できる顧客数や仕事量には限界があります。多くの会社では、それが制限となって、本来持っている成長の力が発揮できないでいるのです。ワールドクラスの会社には、自分たちの素晴らしい商品やサービス、または思想を世界中に広げるための仕組みを持っているために拡張性があります。
 
永続性
 
ワールドクラスの会社は、経営者が交代しても成長することが出来ます。人は会社の独占的資産ではなく、辞めてしまう可能性もあります。しかし、仕組みは会社の独占的資産です。仕組みを構築すれば、会社が永続的に成長する土台になります。
 
 
私たちは、毎日の仕事を何とかやり過ごすために生きているわけではありません。生きるために仕事をするのではなく、何か意義あることを成し遂げるために生きるのです。そのためには、ワールドクラスの基準を目指して経営することが大切になります。
 
世の中に経営者は数いれども、真の起業家のように考え、行動し、夢を持ち、高い基準をもって経営している人はごく少数です。これは世の中にとっての悲劇であるばかりではなく、自分自身の才能に対する犯罪でもあります。経営者の大半は、高みを目指して登山を始めることなく、ふもとの小さな丘だけで旅を終わらせてしまうのです。
 
 
ワールドクラスの基準とは
 
会社の成功は数値、つまり売上や利益率、顧客の獲得数などで測定されます。しかし、これらの数値は結果であり、成功を生み出す基準そのものではありません。本当の成功を追求するためには、顧客、従業員、供給元、そして貸主が満足する4つの基準――視覚的基準、感情的基準、機能的基準、財務的基準――を理解し、それらを高いレベルで満たすことが必要です。
 
 
1. 視覚的基準
 
視覚的基準は、ビジネスが提供する製品やサービス、ブランドイメージ、そして会社の物理的な存在の品質に関係しています。これは、お店の内装、ウェブサイトのデザイン、商品のパッケージデザイン、ユニフォーム、そしてブランドロゴ等に表れます。顧客は直感的にビジネスの価値を視覚的な基準で評価します。これが高いと感じると、それが彼らにポジティブな印象を与え、製品やサービスへの信頼性を高めます。
 
2. 感情的基準
 
感情的基準は、顧客がビジネスとの関わりから得る感情的な報酬に関わります。顧客があなたの製品やサービスを使って得られる満足感や喜び、安心感などがここに該当します。顧客サービスの質、製品の使いやすさ、ブランドの信用性などは全て、顧客の感情的な基準を満たす要素となります。
 
3. 機能的基準
 
機能的基準は、製品やサービスが提供する実際の性能や便益に関連しています。これは製品の耐久性、使いやすさ、信頼性、そして提供されるサービスの品質などを指します。顧客はこれらをしっかりと評価し、ビジネスとの関係を深めるか否かを決定します。
 
4. 財務的基準
 
最後に、財務的基準です。これは製品やサービスの価格、価値、コスト効率についての考察を含みます。この基準は顧客だけでなく、供給元や貸主にとっても重要です。彼らは自身の投資やビジネスリスクに対する適切なリターンを期待します。
 
これら4つの基準は、ビジネスが自分自身と相互作用するすべての人々に対して提供する価値を測定するものです。これらをしっかりと満たし、ワールドクラスの基準を設定することで、ビジネスの可能性と活力を最大限に引き出すことができます。
 
 
基準を高めるために
 
ワールドクラスの基準は、自然に生まれるものではありません。創るものです。
 
日々、情熱や目的を育み、楽器を毎日練習するのと同じように訓練を重ねることです。
 
同じくらい優秀で、明確なビジョンと成長への意欲を持ったワールドクラスの人たちで自分を囲うことです。
 
日常生活にありふれた細やかなことにまでこだわりを持つことです。
 
 “それをどうやってもっとうまくやるか?”を常に自問しなければなりません。“それ”とは、文化や顧客体験を形作る仕組みです。
 
卓越さは自然に生まれるものではなく、創り出すものです。そのために「ビジネス開発サイクル」と呼ぶ「イノベーション」、「数値化」、「標準化」を絶え間なく繰り返します。
 
「イノベーション」とは、何かをもっと上手くやる方法をシステマチックに探すことです。オーナーシップの文化で運営されている会社では、「イノベーション」は、会社の至るところ、組織の至るところで発生します。
 
「数値化」はイノベーションの結果を計測することです。
 
「標準化」は現時点で最高のやり方を自社の標準として誰でも実行可能にすることです。
 
このサイクルには終わりが来ることのないように、継続的に実行される仕組みを取り入れる必要があります。
 
これが出来れば、社員は日々の仕事でやりがいや意味づけ、成長を感じることが出来、人生をより良いものにすることが出来ます。リーダーは会社全体の進化を実感でき、顧客はより優れたサービス、品質を享受できるようになります。
 
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