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「職人の視点から起業家の視点へ」動画書き起こし

この記事は、仕組み経営の前身、7つ星経営プログラムの「職人の視点から起業家の視点へ」という動画の書きお越しです。仕組み化していくにあたっての基本的な考え方をご紹介しています。

視点とは何か?

このセッションのゴールは起業家の視点とは何かを知り、仕事の中で活かす方法を見つけることです。

まず、この視点とは何かという話をしたいと思います。視点というのは、物事をどう捉えるか、これを視点と呼んでいます。例えば、この図を見ていただくとわかりやすいと思います。

これは人が2人いて、その真ん中にある棒を数えているのですが、左側の人から見ると棒が4本に見えます。一方で、右側の人から見ると3本に見える。実際には同じものを見ているにも関わらず、右から見るのか左から見るのかで、その棒の本数が変わっているわけです。

これは目の錯覚を利用した話で、物事をどう見るかによって見える現実が違うということを例える図としてよく利用されているものです。

このように、

物事をどう捉えるか、視点をどう持っていくかによって見えてくる現実が違ってきます。

ライフストラテジーという本があります。フィリップ・マグローという、訴訟のコンサルタントが書いた本です。日本でも翻訳されて出ています。この本に書かれていることで、「現実なんてない、あるのは認識だけだ」という言葉が出ています。

この著者は訴訟のコンサルタントなので、いろんな人のいろんな場面を見ているわけです。同じような状況にありながらも、ある人はその状況をポジティブに捉え、もう一方の人はすごいネガティブに捉えたりしているわけです。

そのように、その人が物事をどう捉えるかによって現実が決まるんだと言っています。これも視点の違いによって、物事の見え方、現実が変わるということを示した言葉です。

つまり、物事をどう捉えるか、それがその人にとっての現実になるということです。

文学者のマルセル・プルーストとという人がいます。この人が、「本当の発見の旅とは、新しい土地を探すことではなく、新しい目で見ることだ」と言っています。

ですから、ここのセッションでやりたいことは、あなたの身の回りのことを新しい視点で見るということです。新しい視点で見ることによって新しい現実が見えてきます。

 

視点を変えて成功した例

これはInfusionsoftという、アメリカにあるソフトウェア会社のお話です。この会社はまさに視点を変えることによって一気に会社を成長させた、成功事例と言えます。始めた頃はその数人で、まさに職人型のビジネスだったわけです。創業者自身も現場でプログラミングをして、職人として働いていたわけですね。なので会社はなかなか成長しなかった。

あるときに彼らはガーバーのプログラムに参加しました。この創業者だけではなくて、経営陣全員がガーバーのプログラムに参加しました。そこで彼らは、職人の視点から起業家の視点に変革することができたのです。

そこで自分たちは

職人として働いているだけであって、全く起業家とは言えなかった

ということに初めて気がついたわけです。そのプログラムに参加したあと、自分たちのビジネスを起業家の視点で見たときに、全く違う世界が見えたそうです。そしてその会社を起業家の視点で経営し始めたら、会社が一気に成長し始めました。

今、中小企業向けのCRMの分野では恐らく世界ナンバー1か2ぐらいの規模に成長しています。それもわずか数年間でそこまで成長しました。

最近ではゴールドマンサックスが彼らに54億円を出資したということで、非常に話題になった会社でもあります。

この話の最後にガーバーの言葉をご紹介しておきます。

「私が接してきたビジネスオーナーの多くは、ビジネスが変われば自分の人生も変わるのに、と言う。しかし実際には逆なのだ。オーナー自身が考えを変えない限りビジネスは決して変わることがない」

これから私たちは、会社を変えていくことに取り組んでいくわけですが、その前にまず経営者であるあなたがその考え方、視点を変える必要があるということです。それをこのセッションでやっていきます。

 

起業家の視点とは?

ここで、起業家の視点をより細かく分けていきたいと思います。

先ほど、身の回りにあるものに対する視点を変えるとお話しましたが、具体的にはこの四つに対して視点を変えていきます。まず人生に対する視点。会社に対する視点。社員に対する視点。そして顧客に対する視点。

この四つの点でこれから進めていきます。

人生に対する視点1.ビジネスとは関わる人たちの人生の目的を達成するための乗り物である

多くの職人型ビジネスでは、経営者の人生とビジネスが完全に一体化しているケースが多いです。自分そのものがビジネス、自分そのものが商品になっている、こういった方が結構多いわけです。

しかしこの二つは切り離して考える必要があります。ビジネスと自分を切り離して考える、これが最初に考えたい視点になります。

例として、この写真を見ていただきたいと思います。

職人型のビジネス、つまりビジネスと自分が一体化している人は、この中のパズルを作っている側の人と言えます。彼は一生懸命目の前にあるパズルを組み立てて作っているわけです。パズルはどんどん積み上がっていく。ただ問題は、彼らは目の前のことにあまりにも一生懸命になっているために全体像が見えていないということです。

全体がどうなっていて、今自分が全体の中のどこを作っているのか、そしてそれがいつ完成するのか、完成図がそもそもなんなのか、そういったことが見えていないわけです。そこにパズルのピースがあるからとにかくそれを積み上げているだけ。

これを仕事に例えれば、とりあえず目の前に仕事があるからそれをひたすら毎日やっている。それを毎日毎日繰り返して何年も何年もたっているというのがほとんどの職人型ビジネスの実態だということです。

これがガーバーがよく言っている、

ビジネスの中で働いている状態

です。

一方で、本当は経営者がやらないといけないのは、この外側にいる人たちの立場ということです。

彼らは全体を見て、このパズルを完成させるためにはどの順番でどこを作らないといけないのか、それを知っている必要があるわけです。当然彼らには完成図も見えています。

これが

ビジネスの外から働きかけるという状態

です。

このビジネスの外側にいる人たちは手足が動いてないので、一見働いていないように見えますが、実は違う働き方をしているわけです。どうやってパズルを作っていくか、どういう順序で作っていくか、どういうふうに人を配置していくか、そういったことを頭の中で考えているわけです。これがビジネスの外側で働くということです。

もちろん会社が小さいときには自分も仕事をしないといけないので、このビジネスの中で働いている状態になると思います。しかしそのときでも、ビジネスの中で働いている自分を外側から客観的に見る必要があるということです。それができないと、本当に単純に目の前の仕事をこなし続けている、そういった状態になってしまうわけです。

職人としてすごい一生懸命働いている方も多いと思いますが、本当のその働き方でいいのか?と、会社の外側から見る必要があるということです。そうしないと、

一生懸命働いているものの、実は間違った働き方を一生懸命やっているだけ

になってしまうことがあるということです。ですので、職人として働いている自分を起業家の視点で外側から見るというこの視点を、ぜひ日々の習慣にしてみてください。

人生に対する視点2.失敗に対する見方を変える

会社をやっていると、当然ながらいろんな失敗があると思います。その失敗に対する見方を変えるということです。何かうまくいかないことがあったとしても、それは自分が挑み続けているから起こった現象であって、決して失敗ではないということ、それは学びであり成長の機会だということ、というように視点を変えていくということです。

とあるゲーム会社の社長が言っていた話です。ゲーム会社は当たり外れが多くて、いろんなタイトル、いろんなゲームを出すのですが、その中で当たるのはごく一部だそうです。有名なゲーム会社でも全然ヒットしないゲームをたくさん出しています。ですが、当たるとそれがとても大きい成功になるということです。

その社長が次のように言っていました。

「まず散弾銃で撃ちまくるんだ。何が当たるかわからないからとりあえずいっぱいゲームを作る。その中で反応があったところをライフルで狙い撃ちする」

つまり、まずいろんなゲームを作っておいて、ちょっとヒットしそうだなっていうのが見つかったら、今度はそこにフォーカスをあてて一気にそのビジネスを、一気にそのゲームを成長させるということです。

普通のビジネスではゲーム会社ほど当たり外れはないと思いますが、とにかく、何かうまくいかなかったとしても、その中から成長の機会を見つけていくという、その考え方は非常に参考になると思います。

人生に対する視点3.自己をマスターする

ガーバーの本を読んでいただいた方はご存じかと思いますが、こういう言葉があります。

これもよく例えで使う話ですが、ビジネスとはあなたの子どものようなものである、ということです。

親と子どもは、体は別々に分かれていますけれども、どこかしら親の人格というか、性格みたいなものが子どもにも反映されています。子どもは親の影響を受けながら育つわけです。ですので親の在り方によって子どもの育ち方が全然変わってくるということです。

これと同じように、親はもちろんあなたのこと、子どもはあなたの作った会社のことです。その会社にはあなたの人格とか性格とか、そういったものが反映されているということです。

普段は気づかないかもしれませんが、必ずあなたの会社にはあなたの人格が反映されています。

例えば経営者の方がお金にルーズであれば、会社はお金にルーズな会社になります。あなたが競争心の強い人であれば、競争志向の強い会社になります。あなたが他人は信用できないと信じ込んでいれば、その会社は人の管理が厳しい会社になります。

会社の中で起こっている現象は、その原因がどこにあるかというと、実は経営者の人格とか性格とか信念、そういったものがもとになっていることがあるっていうことです。その視点を持たないと会社にはいつも問題が起き続けるということです。

あなたがこれまでに培った視点、物事の捉え方、視点、仮説や思考方法がどれだけビジネスの成否に影響を与えているか知っているだろうか?この問をぜひ考えてみてください。

そうするとほとんどの場合、自分が考え方を変えることによって問題の解決策も見えてくることがあると思います。

ガーバーが次のように言っています。

「あなたのリーダーとしての能力はあなたが全てのことについてよく知っているかどうかによって決まるものではない。それはあなたが自分の強さや弱さについていかにオープンであるか、いかに正直であるかによって決まるのである」

完璧な経営者なんていないわけですし、社員の方もそれを求めているわけではないはずです。経営者の方がいかにオープンになっているか、社員の方は多分そこを見ていると思います。それを開示することを恐れてはならないということです。

会社に対する視点1.ビジネスは関わる人たちの人生の目的を満たした分だけ成長する

これは会社の原理原則みたいなものです。私たちはプライマリーインフレンサーと呼んでいますが、ビジネスに関わる人たち、顧客、社員、貸主、取引先。そして、経営者であるあなた。こういった人たちがビジネスに関わっているわけです。

彼らの人生の目的を満たした分だけ会社は成長するということです。顧客だけでもだめ、社員だけでもだめ、もちろんあなただけでもだめ。

みんなの人生の目的を満たすように会社を設計すると必然的に会社は成長していく

ということです。

顧客だけを重視して、経営者の人生が満たされていなければあなたは多分、会社に対する情熱を失ってしまうと思います。また経営者だけの人生が満たされてもだめなわけです。実際に顧客と接しているのは社員の方々なので、社員の方々の人生が満たされなければ顧客に対する対応がおざなりになってしまうわけです。そうするともちろん業績にも影響してきます。

また取引先が満たされなければ、今度は競争力を保てなくなるわけです。あまりにも、仕入れ元の価格を抑えようとして無理な要求をすれば、彼らはあなたのところに商品を卸してくれなくなる可能性があります。そうすると競争力が当然ながら下がっていく。

そのように、関わる人たちの人生の目的、彼らは何を欲しているのかというのを理解して、そのバランスを取るように会社を設計していかないといけないということです。これは原理原則のようなお話です。

会社に対する視点2.ビジョンに到達するには、戦略的な仕事が必要

これもいつもところどころでお話しているので、ご存じの方が多いと思いますが、仕事には二つの種類があります。戦術的な仕事と戦略的な仕事です。

戦術的な仕事は、仕事をするということです。手を動かして仕事をするということです。

戦略的な仕事は、その戦術的な仕事をどう行うかを設計する仕事ということです。

先ほど、最初のところで、パズルの図を例にとってお話ししました。パズルを実際に組み立ててる人は戦術的な仕事をしているわけです。実際に手を動かしてパズルを組み立ててるわけです。

一方で外側から見ていた人たちは戦略的な仕事をしているわけです。彼らはそのパズルを組み立てる仕事をどうやって行うのかを設計しています。仕事をしていないわけではなくて、違った仕事の仕方をしているということです。

実際の会社の仕事に当てはめて見てみると、戦術的な仕事というのは、例えばモノやサービスを販売する仕事。買ってくれた商品を配達する仕事、お金を計算する仕事、人を採用する、解雇する、こういった日々のやらないといけない仕事のことを指しています。

一方で戦略的な仕事というのは、計画する、組織作りをする、会社のルールを作る、こういった、みんながどう働くかを設計する、それが戦略的な仕事になります。みんな、この二つの仕事のバランスを取りながら働いているわけですが、特に経営者は、この戦術的な仕事の比重が多くなるとまずいことになります。

さっきのパズルの例で言ったように、経営者が戦術的な仕事に没頭してしまうと、全体像が見えなくなってただ単に毎日仕事をし続けることになってしまうということです。ですので、私たちは、戦略的な仕事をいかにやっていくかっていうことにフォーカスをあてたいわけです。

七つ星経営プログラムの中では、

戦略的な仕事をどうやってやっていくか?

ということを考えていきます。誰でもこの目の前にあることをこなすことに意識が行きがちになってしまうので、このプログラムでは意図的に、戦略的な仕事をする時間をとっていきます。

会社に対する視点3.問題の原因はシステム

これもよくお話しているのでご理解いただいている方も多いと思いますが、もう一度ここで確認をしていきたいと思います。何か会社で問題が起こったら、それは人が悪いのではなくて、会社のシステムにどこか欠陥があるんだということです。そのように見方を変える、問題に対する視点を変えるということです。

いい事例があったのでご紹介しておきたいと思います。この前起こった、司法試験の漏えいの事件です。

司法試験の問題を作る立場の人が、自分の教え子に問題を教えてしまったという問題です。そのために、その生徒はあまりにも出来がよくて、事件が発覚したというものです。

ちょっと調べて見ると、実は同じような事件が2007年に起きていました。

これも全く同じような構造で起こった問題で、司法事件を作る立場の教授が、自分の生徒にだけその問題を漏らしてしまって、対策を教えていたっていうことです。これは、ほとんど同じことが原因で起こった問題です。前にも同じような事件があったにも関わらず今回また同じような事件が起きたということです。

規則を違反した教授というのは罰する必要がありますが、恐らく構造自体を変えないとまた同じ問題が起こるはずです。その教授を罰したところで根本的な問題の解決にはなっていないということです。

この場合の問題は、問題制作者が受験者を教える立場でもあるということです。司法試験を作る立場の人が自分の教え子を持っていて、彼らに教える立場でもあるということ。

この構造がある限り絶対同じようなことが起こるはずです。

そもそも問題を作る人と教える人が同じだっていうことがまず問題があるわけです。つまりこれは人が問題ではなく、組織構造が問題だということです。

客観的に見れば、すぐこの組織の問題があるなっとわかりますが、自分の会社だとなかなか気づきません。恐らく社内で人間関係のトラブルが起こっているときは、大体、その問題の原因を人に求めている場合が多いと思います。その文化を変えていかないといけないってことです。

人ではなくてシステムに問題があると、視点を変えていく必要があるということです。

あとここで大切なのは、問題の症状と根本原因を切り分けて考えるということです。

「多くの経営者が私に持ち込んでくる問題は、実は真の問題ではない。自分が問題だと理解していることと真の問題の違いを深く理解することが鍵だ」by マイケルE.ガーバー

会社の問題の多くは、7つの力学でいうところの下の部分で起きます。これが症状です。一方で、上の部分が根本原因であることが多いです。

例えば、セールス力のところで見てみると、あまり売り上げが上がらない、営業マンの動きがよくない、という症状があったとします。そういった症状があったときに、いくら営業マンを叱咤激励したところで、問題の根本原因にはならないということです。

確かに営業マンに喝を入れれば一時的には売り上げは伸びるかもしれません。しかし、またすぐに落ちてしまう。どこに根本問題があるのかと考えてみたら、まずその営業マンの、例えば報酬体系に問題があるかもしれない。

そうなってくると、実はその問題の根本原因は組織力にあるんだと、なってくるわけです。また、そもそも、その営業マンが自社の商品を売る能力を持っていないというケースもあります。その場合も組織力の問題になってきます。どういう営業担当を雇うのかっていうその基準がもしかしたら違っていたのかもしれませんし、入社後のトレーニングがうまくできていなかったのかもしれない、それらもすべて組織力の問題になるわけです。

また、お客様から商品に対するクレームが多い場合、根本原因は実はブランド力にあるケースがあります。本来自社が相手にするべきお客様じゃないお客様に商品を売っていたとか、お客様に自社の商品のメッセージをうまく発信できていなかったとか、そういったことが根本原因だとするわけです。これはブランド力の問題になってきます。

さらに、マーケティング力が弱くてなかなか新規のお客様を獲得できないっていうケース。この場合もしかすると、マーケティングにかけられる予算が少ないのかもしれないです。そうすると財務力に原因があるということになります。本当はもっと社内に活用できるお金があるにもかかわらず、それが活かされていないということもあるかもしれません。

このように、

症状は下の部分で起こりますが、その根本原因は上のところにあるケースが多い

ということです。

七つの力学に沿っていけば、今ある経営課題を対処療法するのではなくて原因療法できるようになります。その症状に対処するのではなく、根本原因から変えていくということです。それによって、同じような問題が繰り返されないようになっていきます。

社員に対する視点1.社員を巻き込む

社長1人でいろいろと決めている人も多いと思いますが、それよりも社員を巻き込んでいくことを考えていったほうがいいということです。「グレートゲーム・オブ・ビジネス」という本があります。

オープンブックマネジメントの原点となったのがこのグレートゲーム・オブ・ビジネスという本になります。

この本に、

「社員は情報を持っていたほうがいい仕事ができる」

と書かれています。

これも原理原則と言えます。昔は、会社の上のほうの人が情報を持っていて、下のほうの人たちは限られた情報しか提供されない、その情報の格差がそのまま組織の階層の格差になっているといったようなことがありました。今ではそうではなく、情報はできるだけオープンにしたほうがみんながいい仕事ができるというのが原則です。

これからこのプログラムでいろいろと考えたりしていくと思いますが、それも自分1人で考える必要はありません。できれば社員の方を巻き込んで、経営について真剣に考えていく、そういったことをおすすめします。

社員に対する視点2.仕事は任せることができる

仕事を任せることはできない経営者の方、上司の方も多いと思います。それはできない理由は、まず任せ方を知らないということ、任せられないと思っているということ、あとたまに、任せたくないという人がいます。

やっぱり自分の仕事は自分でやっていきたい、自分だけがこの仕事できると思いこみたいという人もいます。ただ仕事は任せていかないと会社は拡大していかないので、どんな仕事でも任せることはできると視点を変えていくこと、これをやっていただきたいと思います。

以前ガーバーが次のように言っていました。

「昔、君がやっていることはほかの誰にもできない、と言ってくれた人がいたが、私はそれは全く事実ではないことを発見した」

この仕事ってあなたにしかできませんよね、と言われると、ちょっとうれしかったりします。自分だけが特別な仕事をできる、そう思い込みたいということもあると思いますが、それをやっていると、職人型ビジネスにどんどんはまり込んでいくので、どんな仕事も人に任せていかないといけない、どんな仕事も人に教えられるようにしていかないといけないということです。

よく例に出すんですが、藤井さんという社長がやっているラーメン大学というものがあります。これはラーメン店を開業したい人に向けて開校しているものですが、ここに参加すると短期間で本格的なラーメンができてしまいます。

通常、ラーメン店を開業しようと思ったら、まず自分でラーメン店を食べ歩いたりとか、ラーメン店で何年も修行して、味の違いとか、ラーメンの作り方を自分なりに見て覚えて、それでようやく自分オリジナルの味ができて、それから開業するっていうパターンが多いです。

しかし、このラーメン大学に通うとそういったプロセスを取っ払って、非常に短期間でおいしいラーメンができる、そういった仕組みになっています。

どうやっているかというと、人がおいしいと思うようなラーメンのスープ、それを作るにはどれくらいの塩加減が必要なのか、どれくらいの調味料が必要なのか、そういったことを全部数値でコントロールしています。その数字を守れば、勘と経験に頼らなくてもおいしいスープとかおいしい麺ができます。

そういった信念をもとにこのラーメン大学は運営されています。ラーメン作りは職人の域と思われていることですが、それを数字化したことによって、これまでよりはるかに短い時間で職人と同じようなラーメンができてしまいます。

ですので

これまで本当は職人にしかできないような仕事だと思い込んでいたことも、実は人に教えられるように仕組化できる

ということです。

これは全ての仕事に当てはまると思います。あなたがこれだけは人には任せられないと思い込んでいることがないかどうか、振り返ってみてほしいと思います。次に、それをどうやったら人に任せることができるかを考えてほしいと思います。

社員に対する視点3.会社は社員を生徒とした学校

これはガーバーのメールの最後にあるフッターです。

「Every small business a school」ということで、全てのスモールビジネスは学校であるという意味です。これもガーバーがいつもよく言っている言葉です。

多くの人は学校を卒業すると学ぶことをやめてしまいます。一方、本当に伸びる人は、学校を終えてからが本当の学びだと思っているので、大学を卒業してからもずっと学び続けます。そのためには会社を学校だと思わないといけないということです。

ここで考えてたいのは、

自分の会社が学校だと捉えた場合に、あなたの社員には何を教えなくてはいけないか、あなたのビジョンを達成するためには社員にどんなことを教えなくてはいけないのか、あなたの理想の会社を作るためには社員には何を教えなくてはいけないのか、

それをぜひここで考えてみてほしいと思います。

顧客に対する視点1.顧客体験そのものが商品である

アップルの商品使っている方はよくご存じかと思いますが、彼らは、もちろん商品のデザインも優れていますが、例えばアップルストアに行けば、サポートもしっかりしています。Webサイトも商品に劣らないぐらいきれいに作り込まれています。電話をすればすごい親切に対応してくれます。

彼らにとっては商品だけじゃなくて、そういったお客様とのやりとりすべてが自社の商品だと思っているわけです。なので、全て自社のブランドが保たれるように、全てのやり取りを設計してあります。

商品はもちろん、商品のパッケージ、CM、アップルストア、そういった複合的な体験、これを卓越したものにしてあるからアップルにはお客様が集まってきます。それを彼らは知っているわけです。意図的に、そういった顧客体験を作り上げているわけです。

同じようにあなたの会社も実際にお客様の手元に届くもの自体だけが商品なわけではなくて、それを包み込むパッケージとか届け方とか、Webサイトとかその全て、お客様が自社とやり取りする全てのこと、それ自体が商品なんだと視点を変えていくことが重要になります。

顧客体験はどこから生まれてくるかというと、これも社内の仕組みから生まれてきます。

自社のブランドをしっかり作り込むこと。自社の価値観を作り込むこと。正しい人材を採用すること。正しい組織の構造を作ること。こういった全ての要素が組み合わさることによって、お客様に最高の顧客体験を届けることができます。

この話はもっと詳しくこれからやっていきますが、とりあえずここではお客様の手元に届くものだけが商品なのではなくて、お客様が自社と接する全ての体験、それが商品だと覚えておいていただきたいと思います。

顧客に対する視点2.顧客への敬意は行動で示す

顧客目線、お客様第一、お客様の利益を何よりも優先、こういったことを掲げている会社は結構あると思います。ホームページを見ると、こういったことを書いている会社結構あります。問題は、これがどれだけ実行されているのか、どれだけ本音でそれが謳われているのか。実際のところ、本当に顧客のことを考えて運営されている会社は、そんなことを言う必要がありません。

例えばアップルは、お客様第一とか、顧客目線という言葉を声高に使わないと思います。しかし、あれだけお客様に受け入れられる商品ができる。お客様に受け入れられる体験を提供できる。

それはなぜかというと、お客様のことをお客様よりも深く考えているからです。

これはガーバーの言葉です。

「起業家は顧客の人生について顧客自身よりも深く考え、顧客よりもずっと先に問題の答えを見つけ出す」

スティーブ・ジョブスはこれをまさにやったわけです。

あと有名な例で言うと、ウォークマンがあります。

これもソニーの創業者が、これを使う人たちがどんなライフスタイルを送りたいかを徹底的に考え抜いた結果生まれたものです。

誰もポケットに入るようなミュージックプレイヤーがほしいなんてことは言わなかったわけです。これがほしいなんてことはお客様は気づいていなかった。だけどこれを作った人は、お客様よりもお客様のことを、お客様の人生のことを真剣に考えていたからこういった商品がでてきたわけです。

ガーバーの本も実は同じ理由で売れました。

なぜ売れたかというと、経営者が抱えている問題を経営者自身よりもうまくこの本の中で表現したわけです。

世の中の多くの経営者がみんな職人として働いていた。本人はそれでいいと思っていた。そうやって働くことに問題があるとも思っていなかったわけです。だけどもガーバーはそれでは経営者の人生は幸せにならないことに、お客様よりも先に気づいたわけです。

なのでそれを解決する方法、職人的な働き方から抜け出す方法をこの本の中で書きました。経営者が抱えている問題を経営者自身よりもうまく表現した。それがこの本がヒットした大きな理由です。

多くの人は、本当に必要なものを自分でわかっていないわけです。目の前に提示されて初めてそれが必要だったと気づきます。

起業家の役割はそれを作ることです。お客様が必要だとは言っていないけれども、本当はこれが必要なんでしょ?という商品を作るのが起業家だということです。それを提示されたときにお客様は、これは必要だったね、と気づくわけです。そういった商品がヒット商品になります。そういった企業が急成長企業になります。

ですのでここで考えてほしいのは、あなたのお客様がまだ気づいていない問題は何か、そしてそれを解決するためにはどうすればいいか。それを起業家の視点で考えてほしいと思います。

顧客に対する視点3.ビジネスは顧客の夢のために創造される

これは一番重要です。ここで夢って言ったときに、私たちは二つに分けています。

一つはパーソナルドリームです。これは経営者の個人的な夢です。例えば大きな家がほしいとか、いい車がほしいとか、これだけ収入がほしいとか、会社これだけでかくしたいとか、そういった個人的な夢のことをパーソナルドリームと呼んでいます。これはこれで持っていてもいいですが、これは会社を作る理由にはならないということです。

もう1個の夢は、インパーソナルドリーム。これは他人の夢、お客様の夢のことです。会社というのはインパーソナルドリームを満たすために作るものだということです。

これもよく例で出しますが、ムハマド・ユニスという方がいます。

ご存じの方が多いと思いますが、グラミン銀行を作った方です。この銀行は、ムハマド・ユニスが銀行家になりたいと思って作った会社ではありません。つまり彼のパーソナルドリームで作った会社ではありません。

彼は、バングラディッシュの貧困家庭にいる女性のためにこの銀行を作りました。何とかして自分の生まれ育ったバングラディッシュの女性たちを貧困から救いたいと思って作ったのがこのグラミン銀行です。

これがまさにお客様、つまり貧困の女性の夢をかなえるために作られたビジネスです。

最近ソーシャルビジネスが流行っています。社会的な問題を解決するためのビジネスということで、ソーシャルビジネスというふうに呼ばれています。

しかし、

そもそもビジネスというのは社会的問題、お客様の抱えている問題を解決するために作られるものです。

したがって、本来はソーシャルビジネスと普通のビジネスの間には境目がないはずです。

それがいつしか自分のエゴで動く、自分のパーソナルドリームだけで動く経営者が増えてしまったために、最近ではそれと区別するためにソーシャルビジネスという言葉があえて使われているだけです。昔は別にそういった垣根はなかったわけです。たとえばソニーは、戦後から日本を立ち直らせるために作られた会社だったわけです。

ビジネスは顧客の夢のために創造される、これをもう一度考え直してほしいと思います。あなたの顧客の夢とは何か。それをかなえるためにはどういうビジネスにしていく必要があるのか。それを考え抜いてほしいと思います。

 

経営は技術であり訓練によって身につけることができる

以上、四つの視点を見てきました。駆け足だったので、それぞれ短い説明で終わった部分もあったと思いますが、これをワークシートを使っていただいて、徹底的に考え抜いていただきたいと思います。

今回ご紹介したことも、一度ではわからない部分もあったかもしれませんが、繰り返し訓練していただくことによって起業家の視点が身につくようになると思います。

そして七つ星経営プログラムでご紹介していく順序に沿って、課題をこなしていていただければ、自然とこの起業家の視点も身につくようになっています。それも引き続き定期的に時間をとって取り組んでいただければと思います。