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仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう」の要約と書評 その2

前回から引き続いて、 仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう(http://amzn.to/1b3OHPG)」を読み解いていきます。

 

「事業のパッケージ化」の解説

「事業のパッケージ化」をひとことで言えば、収益を生み出す事業を定型化して、パッケージにしてしまおう、ということだ。

”事業のパッケージ化”という言葉は、原文では、「Turn-Key Operation(ターンキー・オペレーション)」です。これを”事業のパッケージ化”、というわかりやすくインパクトのある言葉に訳したことが本書が支持されている理由のひとつかも知れません。

(前回もお伝えしましたが「はじめの一歩・・」は、私たちがガーバー氏と会うはるか前に出版されているので、本書の翻訳や出版には私たちは一切関与していません)

ターンキー・オペレーションの「ターンキー」とは、直訳すれば「カギを回す」という意味で、一般的には”買ったらすぐに使える商品やサービス”のことを指しています。

たとえば、家具を買った場合、既に組み立ててあって、自宅に届いた瞬間から使えるのであれば、それはターンキー型の商品と言えます。

逆にIKEAなどで買うと、自分で組み立てをしないといけないので、ターンキーとは言えません(その分安いのですが)。

つまり、ターンキー・オペレーションとは、、、

お店のカギと運営マニュアルを誰かに渡せば、相手はすぐにビジネスをスタートできる、というようなことを意味しています。

マクドナルドは、実際にそのような仕組みをフランチャイズに提供した、ということになります。

 

事業を立ち上げる人の多くは、事業の成功は取り扱う商品の良し悪しにかかっていると考えがちだ。(中略)たしかに、このような考えが正しい時代もあった。しかし、時代は変わり、今やブランドが氾濫する時代となった。ブランドが確固たる地位を築いて維持することは、とても難しくなっている。(中略)レイクロックは、「何を売るか」ではなく、「どのように売るか」に注目した。つまり、売るための仕組みにこそ価値があると考えたのである。

当たり前ですが、これは商品の品質が低くてもOK、といっているわけではありません。顧客の問題を解決するだけの品質があるのは当然としたうえでの話です。

「何を売るか」ではなく、「どのように売るか」が重要である、という話は、実は松下幸之助氏も著書の中で同じようなことを書いています。松下幸之助氏は、商品自体は容易に真似される時代が来ていることを知っており、売る仕組みを作ることに力を入れていました。だから、ナショナルショップ(系列販売店)を全国にネットワーク化したのです。

マクドナルドのフランチャイズも系列販売店も要するに、”どのように売るか”を考え抜いて仕組み化した結果と言えます。

 

努力の甲斐あって、彼(レイクロック)は個人の能力に頼らなくても、収益を生み出すような店をつくりあげた。言い換えれば、他の人に任せても店が上手く機能するということである。

レイクロックは「消費者にハンバーガー」を売っていたのではなく、「ビジネスを立ち上げたい人にマクドナルドというビジネス」を売っていました。レイクロックは、ビジネスを立ち上げたい人が求めているもの、つまり顧客のニーズを明確に理解していました。

ビジネスを立ち上げたい人が求めているのは、「自立性」と「安全性」です。通常、この二つが同時に手に入ることはありません。自立性」を手に入れたければ、独立する必要があります。しかし、独立してしまえば、普通は収入は不安定になり、「安全性」が手に入らなくなります。

一方で、勤め人であれば「安全性」は手に入るかも知れませんが、「自立性」が手に入らなくなります。レイクロックは、誰が運営しても同じように収益をあげられる仕組みを作ったことで、「自立性」と「安全性」の両方を提供することに成功したのです。

 

きみ(サラ)は最高においしいパイをつくろうと頑張ったし、レイクロックは最高に収益の上がる仕組みを作ろうとした。(中略)でもその違いが原因で、世界的なチェーンとこのお店との差が出来てしまったんだよ。

この文章はまさに職人型のビジネスと起業家型のビジネスの差を表現しています。繰り返しますが、これは商品は妥協しても良い、ということではありません。

マクドナルドはたしかにいまの健康が重視される時代においては、最高のハンバーガーを提供しているとは言えないかも知れません。しかし、レイクロックが最初にマクドナルドのビジネスを発見した時には、他のハンバーガー屋に負けない商品を提供していたに違いありません。

実際、多くの人は少なくとも子供の頃、マクドナルドのハンバーガーやポテトにハマっていたことでしょう。

仕組み化とは、最高の価値を、可能な限り多くの人に提供し続けるにはどうすれば良いか?という質問の答えを探し続ける仕事です。

レイクロックの場合には、それがフランチャイズという仕組みでした。あなたのビジネスの場合には、それがどんな仕組みになるかをぜひ考えてみてください。

 

「事業の試作モデルをつくる」の解説

フランチャイズビジネスがこれほどまでに成功を収めた秘訣は、商品を販売する前に試作モデルを作るように、事業にも試作モデルを作るという考え方を取り入れたからである。

ここまでの内容をお読みいただいた方であれば、この試作モデルという考え方はすんなり受け入れられると思います。おそらく、あなたがいま取り組んでいる仕事(仕組み化)も、この試作モデル作りかと思います。

これから成長を遂げていくために、まずは小さな範囲で、”顧客に価値を提供しながら利益を上げる仕組み”

そして、”自分が関わらなくてもうまく行く仕組み”を作るのが試作モデルと言えます。

たとえフランチャイズの形をとっていなくても、あなたの周りで成功している会社は、独自に完成度の高い運営システムを持っているはずである。

この事業の試作モデルという考え方は、飲食店、サロン、宿泊施設など店舗系のビジネスをされている方にはわかりやすい話だと思います。最初の第一店舗目がまさに、試作モデルになります。

一方、店舗以外のビジネスの場合には、自社の試作モデルとは何か?というのがわかりにくいかも知れません。何を自社の試作モデルとするか?は結構重要になってきます。

たとえば、我々のように講座を行っている場合には、

講座を企画し、集客し、開催する

という一連の流れが試作モデルといえるでしょう。

その流れが上手くいくようになれば、まずは第一の試作モデルが出来たといえます。また、さらにそこから進化して、講座をフロントエンドとバックエンドに分け、

フロントエンド講座を企画し、集客し、開催、

さらに、

バックエンド講座を企画し、集客し、開催する

という流れが出来ると、一段上のレベルの試作モデルが出来ます。こうなると複数のテーマで講座を横展開し、利益の上がる講座ビジネスが出来ます。

これはあくまで考え方の一例ですが、自社の試作モデルは何か?という問いは結構重要ですので、一度考えてみることをお勧めいたします。

 

「自分がいなくてもうまくいく仕組み」の解説

この章の原題は、「Working On It, Not In It(会社の中で働くのではなく、外から働きかける)」です。目の前の職人仕事に没頭するのではなく、起業家としての視点で、ビジネス全体を設計しましょう、というような意味です。

これが「自分がいなくてもうまくいく仕組み」と訳されているところが、本書が日本で多くの経営者にヒットした理由であると同時に、読まれた方の多くが(ガーバーの本来の意図と異なり)、テクニカルな方法論だけに目が行ってしまった理由でもあると思われます。

ちなみにWorking On It, Not In It.という言葉は、本書で紹介されて以来、海外では様々なコンサルタントや経営者が引用する有名な言葉になっています。

※この章についてはガーバー本人が動画で読み上げているものが公開されてますので、全内容を確認したい場合には、下記からご覧ください。

 

事業とは、それ自身が目的とルールをもっている独立した生き物のようなものであって、決してあなたの一部ではない。

この章では、「事業そのものが商品」というコンセプトが何度も出てきます。そして「事業と自分を切り離して考える」ということも繰り返し出てきます。

しかし、これは、自分のやりたいことは置いておいて、とにかく利益の出る事業を作れば良い、というわけではありません。「事業と自分を切り離して考える」のですが、一方で、「優れた会社では創業者自身の人生が事業に反映されている」というのがガーバーの発見したことです。

特に最近は、創業者の価値観を反映させたブランドやリーダーシップスタイルを創ることの重要性が増してきています。考え方としては、事業を自分の子供だと思ってもらうとわかりやすいと思います。

自分の子供は、人格的にも物理的にも自分とは別物です。しかし、子供には自分のDNAが反映されています。つまり、切り離されていながらも、関連性があります。事業を自分の子供だと考えれば、起業家であるあなたの仕事は、子供(事業)が自立して生きていけるように育てることと言えるでしょう。

 

平凡な人が非凡な結果を出すためには、本当に必要な能力と、実際の従業員の能力との間のギャップを埋めなければならない。その役割を果たすのがシステムなのである。

ここでいうシステムは仕組みとほぼ同じような意味と理解していいと思います。ガーバーが良く言うのが、仕組みやマニュアルは、社員を縛るものではなく、彼らの能力を解放させてあげるものであるということです。仕組みがあることで、社員の方々がこれまでやったことのない仕事が出来るようになります。

また、建築家のバックミンスター・フラー氏は、次のような言葉を残しています。

”人に新しい考え方を教えようと思ったら、彼らにそれを教えるようなことはしてはならない。道具を与え、それを使わせることで新しい考え方が身に付くのである。 ”

ここで出てくる「道具」というのが仕組みやマニュアルであると考えていだければと思います。社員の意識を変えるために、社長があれこれと叫ぶよりも、成果の出る仕組みを作ってあげたほうが得策であるということです。

 

 

「事業発展プログラムとは何か?」の解説

イノベーションとは「顧客が望むものを手に入れるために、何が邪魔になっているのだろうか?」と問いかけることである。(中略)同時に、事業の本質ぎりぎりのところまで、無駄を省くこともイノベーションである。(中略)私は、イノベーションとは最善の方法を探し求めることだと考えている。

イノベーションというと革新的な変化を思い浮かべるかもしれませんが、ここで使っているイノベーションとは、どちらかというと日本語の「改善」に近いと思います。日々の仕事の中で、もっと上手いやり方を探し続けるということです。

これに関連して、私が個人的な好きな逸話がありますのでご紹介をしたいと思います。


長い修行の末、ついに黒帯を受け取れることになった武道家に師範が言った。

「黒帯を受け取る前に、もう一つ、最後の試練がある。大切な質問に答えてもらわなければならん。黒帯の本当の意味は何なのか」

「旅の終わりです。これまでの厳しい修行に対する当然の褒賞です」

師範は押し黙っていた。この答えに満足していない様子だった。しばらくたって、師範は口を開いた。

「まだ黒帯を与えるわけにはいかないようだ。一年後に来なさい」

一年たって、武道家は再び師範の前にひざまずいた。

「黒帯の本当の意味は何なのか」

「武道で卓越した技を持ち、頂上に達したことを示すものです」

師範は押し黙って、それに続く言葉を待っていた。この答えにも満足していない様子だった。しばらくたって、師範は口を開いた。

「まだ黒帯を与えるわけにもいかないようだ。一年後に来なさい」

一年たって、武道かはまた師範の前にひざまずいた。師範は同じ質問を繰り返した。

「黒帯の本当の意味は何なのか」

「黒帯は出発点です。常に高い目標を目指して、終わることのなく続く修行と稽古の旅の始まりです」

「そうだ。ようやく黒帯に値するようになったようだ。修行はこれから始まるのだ」


 

マイケルE.ガーバーも、常々、「どんな優れたビジネスやシステムであっても、まだ改善できる余地がある」と言っています。あなたの会社の中で、どこに改善の余地があるのか、ぜひ探してみてください。

 

大半の企業で、経営に必要なデータが数値として把握されていないために、目に見えない大きな損失が発生しているのである。

ここでいう「数値」とは、財務的な数値だけではなく、事業に関連するあらゆる数字のことを指しています。

本書の中では、店舗ビジネスにおける来店数や購入者数などが例に出されています。マーケティングを少しでも学ばれた方であれば、この話はすんなりと受け入れられると思います。

いまでは色々なツールが出てきているので、ビジネス上の数値を測ることが容易になってきています。ちなみに数値化に関連して、我々が最近導入したのが、ウェブサイトのABテストです。

ABテストというのは、同じ商品を売るためのページを複数用意(Aパターン、Bパターンというように用意するのでABテストと言われています)して、どのページが最も成約率が高いのかをテストする手法です。

手法としてはかなり昔からあるのですが、それを手動でやるのは結構面倒なのです。最近はアクセスを自動で振り分けてくれるツールがあるのでそれを導入しました。

今まではどのパターンが上手くいくのか、勘と経験で判断しており、まさに、「経営に必要なデータが数値として把握されていないために、目に見えない大きな損失が発生している」状態だったのですが、いまでは客観データに基づいて判断ができます。

 

マニュアル化とは、現場レベルでの裁量の自由を否定するものである。

「イノベーション」「数値化」に続くのが「マニュアル化」ですが、これは原書だとマニュアル化ではなく、「オーケストレーション」という言葉になっています。

オーケストレーションとは、オーケストラと同じ語源です。ビジネスで使われる際には、本当は「組織化」と訳されます。本書ではわかりやすさを重視して「マニュアル化」と訳されているのだと思います。

マニュアル化については常々メルマガでご紹介していますので、特に説明は必要ないと思います。

マニュアル化と合わせて、イノベーションと数値化に継続的に取り組むことで、仕事は個人を変化させる場になるんだ。より大きな目的を意識しながら働くようになれば、仕事は自分の内面を見つめ、自分を表現する場へと変わる。

ここが本章で最も重要な部分です。マニュアルは作ることがゴールではなく、数値化とイノベーションを組みあわせて、継続的に改善を続けながら運用しなくてはいけません。

これを確実なものにするために、最近では、「マニュアルを改善するためのマニュアル」も含めて、マニュアル化することが増えているようです。

また、ここでは、人が育つには大きく分けて、

「見習い(アパレンティス)」「熟練工(クラフトマン)」「真の熟練工(マスタリー)」

という3つのステップがあることも紹介されています。

マニュアルに機械的に従うだけなのは、「見習い」であり、そこから技を磨き続けると「熟練工」「真の熟練工」へと成長していきます。

実はこの話はフリーメイソンの起源とされているストーリーから来ています。フリーメイソンの起源は、宗教施設などを作る石工職人たちの職業組合だったとされています。彼らが仕事をするにあたって、秩序を保てるよう、職人たちの成長システムが作られたそうです。

それが徒弟(見習い)、匠(熟練工)、棟梁(真の熟練工)の3段階です。

一段階目は、徒弟。

彼らに求められることは、会社のビジョンに誠実であること、仕事の内容に誠実であること、会社のルールに誠実であること。

二段階目は、匠。

匠に求められることは、更に上の段階に成長するという「希望」で仕事をすること。

三段階目は、棟梁。

棟梁に求められることは、仕事の技術を慈愛の心で他の者たちに教えるために仕事をすること。

ガーバーによれば、どんな会社でもこれら3つの段階を踏んでキャリアアップできる仕組みが必要だということです。

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