本日のテーマは、「ホテルベネチアの仕組み」です。
ホテルベネチアとは、マイケルE.ガーバー著「はじめの一歩を踏み出そう」の中で紹介されているホテルの事例です。
このホテルの事例では、顧客を満足させるために、いかに仕組みが大切かが紹介されています。
読んだけど覚えていない方、読んでない方に事例を引用させていただきます。
ホテルベネチアのサービスとは?
ロビーに入った瞬間に、このホテルが特別な場所であるということに気づいた。
内装には杉材がふんだんに使われており、それが温かい色の照明に映えて、
ぬくもりのある雰囲気に包まれていた。
(中略)
(ホテルの)レストランから部屋に戻る道には、もう冷たい夜気が満ちていた。
「暖炉の火を起こして、寝る前にもう一杯ブランデーを飲もう」
こんなことを考えながら、杉林の小径を歩いていた。
しかし、部屋に戻った私は、またもやホテルのサービスに驚かされた。
暖炉の火は赤々と燃え、枕元にはミントが置かれていたのである。
そして、ベッド脇のナイトテーブルには、一杯のブランデーと手書きのカードが置かれていた。
カードには次のようなことが書かれていた。
“ベネチアにお越しいただきありがとうございます。初めのベネチアの夜をお楽しみいただけたことかと思います。御用がございましたら、いつでもお申し付けください。”
私はホテル側の十分な心遣いに満足して、眠りについた。
翌朝、私は奇妙な音で目を覚ました。
泡立つような音が聞こえる。
何の音だろうかと確かめてみると、キッチンにおいてあったコーヒーメーカーのタイマーがセットされ、コーヒーを淹れ始めていた。
そこに立てかけてあったカードにはこう書かれていた。
“あなたのお好きなブランドのコーヒーです。どうぞお楽しみください。”
驚いたことに、そのコーヒーのブランドは、私がいつも飲むものだった。
どうやって彼らは、私の好みのコーヒーを知ることが出来たのだろうか?
そういえば心当たりがあった。
昨夜のレストランで、どのブランドのコーヒーが好きかと聞かれたのである。
そのコーヒーがちゃんとここにあるのだ!
レストランでの会話の意味を理解した時、ドアをそっとノックする音が聞こえた。
私はドアのところに行き、開けてみたが、人影はなかった。しかし、絨毯の上には新聞が置いてあった。いつも読んでいるニューヨークタイムズである。
どうして私が普段読んでいる新聞を知ることが出来たのだろうか?
思い出せば、チェックインの時に、受付の女性に新聞のことを聞かれていた。
ここでもきっちりと私の好みに合ったサービスをしてくれたのである。
その後、私の泊まるたびに、素晴らしいサービスが繰り返された。
(中略)
私はマネージャーに会わせてほしいと頼んでみることにした。
どうして、常に同じサービスが提供されるのかを知りたかったからである。
マネージャーは29歳の若い男性だった。
「若いのにしっかりしている。彼がいるから、このホテルの経営は上手くいっているのだろう」
私はこんな第一印象をもった。
と、こんな感じのストーリーです。
その後、実はマネージャーは5か月前に入ったばかりで、
業務マニュアルを基に仕事をしているだけです、と答えるのです。
素晴らしい顧客サービスを体験したり、聞いたりすると、多くの社長は、
”うちにも、あんな社員がいたらいいな~”
と思うものです。
しかし、ホテルベネチアの話からわかることは、
本当の素晴らしい顧客サービスは、属人的なものではなく、
仕組みによって行われるものだということがわかります。
社内に人当たりのいい人がいる、
気の利く人がいる、というのはもちろん良いことです。
ただ、それではその人が辞めてしまったらサービスの質は下がりますし、
他の人が対応した
時には質が下がり、お客さんはギャップを感じてしまいます。
”おもてなし”も仕組み化できる
ちょっと前に”おもてなし”という言葉が流行りました。
ホテルベネチアの例では、
ブランデーが用意されている、
コーヒーが用意されている、
というのも優れた”おもてなし”です
ただし、これらの”おもてなし”は、
社員の属人的な能力とか性格によって
行われているものではありません。
ホテルのオーナーが作った”仕組み”によって行われています。
多くの会社では、マーケティングやセールス、広告に投資をすれば売上が上がると信じられています。
たしかに、集客をしなければ売上はゼロです。
しかしながら、その集客に多額の投資をしても、集めた顧客がザルのように逃げていく会社があります。
そういった会社の特徴は、
”顧客体験が貧弱”
であるということです。
顧客体験の質が高くなければ、いくら集客しようが、成約しようが、
リピートもされず、ブランドも作れず、会社の評判は落ちるばかりだからです。
いくら集客にコストをかけても、思ったように成長できない会社は、
顧客体験が貧弱なために、集めた顧客がどんどん逃げて行ってしまっているのです。
だからこそ、集客の前に、ホテルベネチアのように、
常に顧客の期待に応える、さらには期待を超える仕組み作りをしなくてはいけません。
ぜひあなたの会社におけるホテルベネチアの仕組みとは何か?
を考えてみてください。
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