会社の成長、社員の育成、資金繰り、そしてご自身の時間確保…。
中小企業の経営は、決断と実行の連続です。
「もっと会社を伸ばしたいけれど、自分が現場を離れられない」
「社員に任せたいが、なかなか育ってくれない」
「将来の事業承継も考え始めたいが、何から手をつければ…」。
そんなお悩みはありませんか?
もし、社長がいなくても会社がしっかりと回り、成長し続ける状態を作れるとしたらどうでしょう?
その鍵を握るのが、私たち「仕組み経営」が提唱する「仕組み化」、すなわち「あなたの会社独自の、誰でも成果を出せる仕事のやり方を創り上げること」です。
- 1 なぜ私は「仕組み化」にすべてを懸けるのか
- 2 社長の想いを形に!「仕組み経営」が考える「仕組み化」とは?
- 3 「属人性」は本当に悪なのか? 個人の強みを「会社の資産」に変える新しい仕組み化の考え方
- 4 「仕組み化」がもたらすメリット:全方位良し
- 5 注意!「仕組み化」のデメリットってあるの?
- 6 「仕組み化」で会社はこう変わる!具体例紹介
- 7 「仕組み化成功」11の秘訣:あなたの会社を本気で変えるために
- 8 中小企業の「仕組み化」よくある失敗とその乗り越え方:同じ轍は踏まない!
- 9 「仕組み化」を成功させる進め方:世界7万社実証済みステップの概要
- 10 仕組み化によくある質問と回答
- 11 まとめ:「仕組み化」で会社の未来と社長の自由を創り出す。
なぜ私は「仕組み化」にすべてを懸けるのか
「社長が一番の働き手になっている」
「社員に任せたいが、育ってくれない」
記事の冒頭で挙げたような悩みは、かつて私自身が、起業家として直面していた問題そのものです。
仕組み化で売れない営業マンが売れる営業マンに
実を言うと、社会人になったばかりの頃の私は、全く売れないダメ営業マンでした。 お客様の前に出ると頭が真っ白になり、何を話していいか分からない。情熱だけは空回りし、来る日も来る日も成果はゼロ。自分の才能のなさに、本気でこの仕事をやめようかと考えていました。
そんなある日、見かねた上司が私にこう言いました。
「清水、お前にこれをやる。明日から、バカになったつもりで、この紙に書いてある通りに一字一句間違えずに話してこい」
渡されたのは、たった一枚のA4用紙。そこには、お客様への挨拶から始まり、質問、商品説明までが書かれた、無味乾燥な「営業スクリプト」がありました。
正直、半信半疑でした。「こんなものを棒読みして、人の心が動くわけがない」と。 しかし、藁にもすがる思いで、私は翌日、そのスクリプトを懐に忍ばせ、お客様の前で「バカになって」それを読み上げました。
すると、どうでしょう。 あんなに苦労していたのが嘘のように、生まれて初めて、商品が売れたのです。
売れたのは、私の営業センスが急に開花したからではなかった。当時の私は、「仕組み化」という言葉すら知りませんでした。しかし、上司が渡してくれた紙切れにあったのは、売れる営業のやり方が凝縮された、再現性のある「仕組み(型)」でした。
仕組み化によって、普通の人が活躍できる
その後、もっと売れるためにはどうすればいいかを自分なりに考え、創意工夫するようになりました。次はちゃんとお客様の顔を見て話そうとか、ここで少し間を入れようとか。
つまり、もともと売れなかった営業マンである自分は、仕組みを提供されたことによって成果を出したことによって、さらに自ら成長しようという気になったのです。

これは一般的に言われているマネジメント手法とは反対です。 一般的には、部下のモチベーションを上げることによって成果を出させる、という手法が捉えています。しかし、他人がその人本人のモチベーションを上げることなどかなり難しいわけです。そのようにも、仕組みを提供して成果を出させることによってモチベーションを上げさせる方法が理にかなっているのです。これを私たちは モチベーションの神話と呼んでいます。
この小さな原体験が、私の「仕組み化」における原点です。
なぜ、私が「仕組み化」を語る資格があるのか
その後、私はマイクロソフトでの経験を経て、モバイル事業の創業に挑戦しました。しかし、結果は無惨な失敗。上場を目指すも、経営メンバー個人個人の思いや能力に依存した経営になってしまい、空中分解してしまったのです 。
次の起業は必ず成功しようと考え、経営の原則を探し求める中で世界700万部のベストセラー『はじめの一歩を踏み出そう(原題: The E-Myth Revisited)』の著者、マイケル・E・ガーバー氏と出会いました。この書籍は、中小企業向けに仕組み化という概念を初めて提唱した本として、非常によく知られている本です。
「自分が経営に失敗した原因はこの本の中にある」と感じた私は、2010年、マイケルE.ガーバー氏に直接会いに行くことにしました。経緯は端折りますが、結果として私は、ガーバー氏の仕組み化の思想を日本で広めていくという役割を担うことになりました。

※このあたりの経緯は、私、清水直樹のプロフィールページと、マイケルE.ガーバー氏の紹介ページに記載をしております。
その後、数百人の経営者をご支援する中で、私はさらに気づきを得ます。西洋的な合理性だけでは日本の組織は動かない。働く人の心を重視する東洋的な思想を融合させる必要がある、と。これが、現在の「仕組み経営」という独自のメソッド開発に繋がりました。そして、今度は私自身がこの仕組み経営の運営を仕組み化し、今ではほとんど自分の稼働時間なく事業を運営することができています。
- 仕組みに救われた、一人の「当事者」としての原体験
- 人の問題で会社を潰した、「経営者」としての失敗経験
- 「仕組み化の神様」からの直接学び
- ガーバー氏の思想を日本で広める事業を仕組み化した「実践者」としての実績
この記事は、これらの経験生まれた、現場で本当に役立つ知識だけを凝縮しています。
本記事は、そうした私の経験と、これまで1000社以上の導入を支援してきた実績を基に、『仕組み化』の世界を探求するための総合案内所であり、すべての知識が繋がる地図として作成しました。
まずはこの記事で全体像を掴んでください。そして、各章でご紹介するリンクから、ご自身の課題に合った専門的な情報へと旅を続けることで、あなたの会社に最適な仕組み化の答えが見つかるはずです。
社長の想いを形に!「仕組み経営」が考える「仕組み化」とは?
「仕組み化」と聞くと、「マニュアルを作ること?」「ルールで縛ること?」といったイメージを持たれるかもしれません。
もちろんそれらも要素の一つですが、「仕組み経営」が目指す「仕組み化」は、もっと本質的で、温かいものです。
「あなたの会社だけの勝ちパターン」を創る
「仕組み化」とは、「自社独自の再現性のある仕事のやり方を創り上げること」です。
他社の真似ではない、自社に最適化された、誰でも再現できる仕事の進め方こそが、競争の激しい現代で生き残り、成長するための強力な武器となります。

- 社長の「こうしたい」を具体化: 創業時の想い、お客様への約束、社員への願い。これらを日々の業務に落とし込むのが仕組み化の第一歩です。
- 社員が主役になれる舞台づくり: 「特別な人が頑張る」のではなく、「普通の人が輝ける」会社へ。そのための「やり方」と「環境」を整えます。社員が「言われたことをやる」だけでなく、自ら考え、行動し、その結果に責任を持てるようになることを目指します。
- 挑戦と失敗から学べる文化: 考えて行動し、もし失敗しても、それを責めるのではなく、仕組みの改善に繋げる。そんな前向きな文化が、強い組織を育てます。
どんな業務が仕組み化できる?
正しく仕組みづくりを行えば、それは他社が簡単に真似できない、あなたの会社だけの「経営のノウハウ」という無形の資産になります。
では、具体的にどのような業務を仕組み化できるのでしょうか。いくつか例を挙げてみましょう。

会議の仕組み化
会議の目的をはっきりさせ、誰もが意見を言いやすい雰囲気を作り、決まったことと担当者を明確にします。これにより、会議がスムーズに進み、具体的な行動に繋がります。
- 会社全体の生産性に直結する「会議体」の仕組みづくりについてこちらの記事で解説しています。
- 社内会議の進め方については、こちらの記事で解説をしています。
- 全社会議のやり方はこちらの記事で詳しく解説しています。
営業の仕組み化
お客様のことを深く理解するための質問の仕方や、自社の良さが伝わる提案の型を用意します。経験に左右されず、誰でもお客様に喜ばれる営業活動ができるようになり、チーム全体で成果を共有できます。
採用の仕組み化
会社の考えに共感してくれる人、そしてその人の良さを見極められるような面接の進め方を整えます。入社後の「思っていたのと違った」ということを減らし、長く一緒に働ける仲間を見つけます。仕組み経営では 自社の価値観に合う人を採用するカルチャーフィット採用を推奨しています。カルチャーフィット採用の詳細については こちらの記事で解説しています。
新入社員育成の仕組み化
新しい仲間が安心して仕事を始められるように、教える内容や手順を決め、小さな成功体験を重ねられるようにサポートします。困ったときに相談しやすい環境も大切です。新入社員育成の仕組み化は 「オンボーディング」と呼ばれています。オンボーディングの仕組み化についてはこちらの記事で詳しく解説をしています。
財務の仕組み化
どんぶり勘定から脱却し、お金の流れをリアルタイムで見える化します。誰がどのようにお金を使っているのか、どこに投資すべきなのかを客観的データで判断できるルールとシステムを整えることで、キャッシュフロー経営の土台を築きます。
社員に採算意識を持ってもらう仕組みとして、オープンブックマネジメントというものがあります。オープンブックマネジメントについては、こちらの記事で詳しく解説をしています。
経営管理の仕組み化
経営管理はまさに経営の仕事です。一般的なルーチン業務と異なり、これは仕組み化できないと思われがちです。しかし実のところ、多くの部分を仕組み化することができます。これによって社長が不在時にも会社がちゃんと回るようにできます。また、社長が交代してもうまく回るようになります。
- 経営の仕事を個人からチームへと移管していくための経営チームの作り方について、こちらの記事で詳しく解説をしています。
- 経営管理に欠かせない経営計画書の作り方については、こちらの記事で詳しく解説をしています。
「属人性」は本当に悪なのか? 個人の強みを「会社の資産」に変える新しい仕組み化の考え方
さて、仕組み化とは属人性を排除していくということと、多くの人が考えています。 しかし、仕組み化を進めていく上で、一つ考えないといけない点があります。
あなたの会社にもいませんか?
「この人がいなければ、うちは回らない」と誰もが認める、頼れるエース社員やベテラン社員が。
- お客様が本当に言いたいことを、言葉になる前に察する洞察力
- クレーム寸前の空気を、一瞬で和ませる絶妙な一言
- 誰も気づかない非効率な業務プロセスを、当たり前のように改善している問題発見能力
- 「何となく嫌な予感がする」と、大きなトラブルを未然に防いでくれる長年の経験に裏打ちされた勘所
こういった職人技は、これまで何度も会社の危機を救い、成長を支えてきたはずです。
これらは本当に、ただ排除すべき「リスク」なのでしょうか?
いいえ、違います。 これこそが、他社には決して真似のできない、あなたの会社の競争力の源泉であり、本来であれば組織全体で学び、磨き上げるべき「宝」なのです。
そのことを無視し、彼らを画一的なマニュアルやルールに従わせるのは、愚の骨頂でしかありません。
では、どうすればこの貴重な「宝」を、組織全体の資産へと変えていけるのでしょうか。
職人技(暗黙知)を形式知へ
その答えは、個人の頭の中にしかない「暗黙知」を、誰もが再現できる「形式知」へと変換していくプロセスにあります。
「暗黙知」とは、経験や勘、感覚といった、言葉で説明するのが難しい個人のノウハウのことです。「長年の経験で培った職人の技」や「お客様の表情から本音を読み取る営業の勘所」などがこれにあたります。これこそが、先ほど述べた「宝」の正体です。
一方、「形式知」とは、マニュアルや手順書、チェックリストのように、言葉や図で客観的に説明できる知識を指します。
多くの会社では、貴重な「暗黙知」が個人の中に眠ったままになっており、その人がいなくなると同時に失われてしまいます。
仕組み化の真の目的とは、この「暗黙知」を「形式知」へと意図的に変換し、組織の知的資産として蓄積していく、極めて戦略的な「翻訳作業」なのです。
例えば、あなたの会社にトップセールスマンがいるとします。彼に「なぜ売れるのですか?」と聞いても、「うーん、気合ですかね…」「お客様との信頼関係ですよ」といった、曖昧な答えしか返ってこないかもしれません。
しかし、仕組み化の視点で彼の行動をじっくりと観察し、インタビューを重ねると、彼が無意識に行っている「勝ちパターン」が見えてきます。
- 「初回訪問の際には、必ずこの順番で3つの質問をしている」
- 「提案書提出の3日後に、必ずこの文面のフォローメールを送っている」
- 「お客様がこの言葉を口にしたら、価格交渉に入るサインだと判断している」
これらが彼の「暗黙知」です。 この一つひとつを言語化し、「初回訪問ヒアリングシート」や「フォローアップ手順書」といった「形式知」に落とし込む。
そうすることで初めて、他の営業担当者も彼の成功の秘訣を学ぶことができ、チーム全体の営業レベルが底上げされるのです。
これは、個人の才能を奪う作業ではありません。むしろ、その才能に敬意を払い、誰もが学べるように体系化することで、組織全体を次のステージへと引き上げる、最も効果的な投資なのです。
「守破離」の法則:盤石な「型」が、最高の「型破り」を生む
ここで、日本の武道や芸事の世界に古くから伝わる「守破離(しゅはり)」という考え方をご紹介します。これは、まさに仕組みによって成長する会社の本質を表しています。

【守】 まずは「型」を、徹底的に守る
最初の段階は、師の教えや基本の型を、忠実に、寸分の狂いもなく守り、完全に体得することです。会社における「仕組み」とは、まさにこの「守」の段階にあたります。会社の成功法則が詰まった業務マニュアルや手順書を、まずは全員が完璧に実践する。これにより、組織全体の業務品質のブレがなくなり、安定した高いレベルの仕事が当たり前になります。このフェーズは標準化や型化などと同じ意味合いです。
【破】 次に、その「型」を破り、改善する
基本の型を完全に身につけた者は、次にその型を自分なりに応用し、より良いやり方を模索し始めます。会社の仕組みを熟知した社員が、「この手順は、もっとこうした方が効率的ではないか」「お客様の反応を見ると、このトークは少し変えた方が良いかもしれない」と改善提案を行うのが、この「破」の段階です。これは、単なる自己流の思いつきではありません。基本をマスターしているからこそできる、本質を捉えた「改善」なのです。
【離】 最後に、「型」から離れ、新しい道を創造する
最終段階では、もはや既存の型にこだわることなく、全く新しい独自の境地を切り拓きます。会社の仕組みを体得し、改善を重ねてきた社員が、市場の誰も思いつかなかったような新サービスや、業界の常識を覆すような新しいビジネスモデルを生み出す。これこそが、最高の「型破り」であり、真のイノベーションです。そして、生まれた新しいモデルやイノベーションを、仕組みとして組織全体に行き渡らせていく。 つまり、また「守」に戻る。これが守破離で成長していく会社の構造です。
型(仕組み)がなければ改善もイノベーションもない
今見てきたように、盤石な「守」の土台がないままの自己流は、イノベーションではなく、ただの「我流」であり「事故」にしかなりません。
仕組みとは、社員を思考停止にさせるための檻ではありません。 日々の判断や作業の迷いといった、無駄なエネルギーから社員を解放し、「どうすればもっと良くなるか?」という、より高度で創造的な思考に集中させるための安全地帯なのです。
盤石な「型」があるからこそ、安心して「型を破る」挑戦ができる。 仕組み化とは、あなたの会社に、継続的なイノベーションを生み出す文化を根付かせるための、最も確実な一歩なのです。
「仕組み化」がもたらすメリット:全方位良し
では、「仕組み化」を進めることで、社長の会社には具体的にどのような良い変化が訪れるのでしょうか? 社長ご自身、会社全体、そして社員はもちろんのこと、お客様やお取引先様にとっても大きなメリットがあるのです。仕組み化を進めようとする場合にはこのメリットを明確に理解しておく必要があります。なぜならば、なぜ自社に仕組み化が必要なのかということが明確じゃないままプロジェクトを進めても現場の反発を食らうだけだからです。仕組み化のプロジェクトリーダーは、自社にとってどういうメリットがあり、それによって働く人たちがどう変化するのか、それを明確に言葉で伝える必要があります。 そのために以下に示すようなメリットについて よく理解しておく必要があります 。

【社長のメリット】社長が本当にやりたい仕事に集中。自分の時間もたっぷり生まれます。
- 日々の現場仕事から解放され、会社の将来を考える時間が増えます。
- 社長自身の悩みやプレッシャーが減り、心にゆとりが生まれます。
- 「自分がいなければ会社が回らない」という心配から解放されます。
- 新しい事業や自己投資など、本当にやりたかったことに挑戦できます。
- 将来の事業承継やM&Aを有利に進めるための準備ができます。
【会社のメリット】仕組みで成長、永続する。
- 仕事の無駄がなくなり、会社全体の生産性が向上します。
- 誰が担当しても、常に安定した品質の商品やサービスを提供できます。
- 新しい人もすぐに戦力になり、教育にかかる時間と手間が減ります。
- 特定の社員に頼らずに済むため、急な退職があっても業務が止まりません。
- 新しい拠点や店舗を展開する際も、スムーズに同じ品質で運営できます。
- 社長個人の力に依存しないため、事業承継がスムーズになり、会社の永続性が高まります。
【社員のメリット】職場が楽しくなる。自分自身の成長も感じられます。
- やるべきことが明確になり、迷いなく安心して仕事に取り組めます。
- 失敗を恐れず、新しいアイデアや意見を出しやすい職場になります。
- 日々の業務が効率化され、新しいスキルを学ぶ時間が生まれます。
- 頑張りが客観的かつ公平に評価され、納得感が高まります。
- 自分の仕事が成果に繋がることを実感でき、やりがいを感じられます。
【お客様のメリット】「また来たい!」と思ってもらえる。お客さんとの絆が深まります。
- いつ利用しても変わらない品質とサービスに、安心して満足できます。
- 問い合わせや注文に対し、迅速かつ正確な対応が期待できます。
- 万が一トラブルが起きても、的確に対応してくれるので安心です。
【お取引先のメリット】「この会社とずっと一緒に仕事したい!」と思われるパートナーに。
- 仕事の進め方が安定しているため、お取引先もスムーズに業務を進められます。
- 担当者が不在の場合でも業務が滞らず、安心して取引を継続できます。
- 納期や支払いなどの約束がきちんと守られ、信頼関係がより強固になります。
このように、会社の仕事のやり方を整えることは、社内の効率を上げるだけでなく、お客さんやお取引先といった会社の外の関係者にも良い影響を与え、「自分たちも良く、相手も良く、社会全体も良くなる」という素晴らしい状態を作ることにつながります。
注意!「仕組み化」のデメリットってあるの?
「仕組み化」と聞くと、なんだか堅苦しくて、融通が利かなくなるのでは…と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは仕組み化の表面的なイメージや、やり方を間違えた場合の姿かもしれません。
本当に目指すべき「仕組み化」は、実はもっと柔軟で、働く人たちの力を引き出すものです。よくある誤解や心配事について、一緒に考えてみましょう。
ルールでガチガチになって、息苦しくなるんじゃない?
「何から何までルールで決められて、まるでロボットみたいに働かされるのでは…」
確かに、細かすぎるルールや、ただ従うことだけを求めるようなやり方では、社員のやる気や自分で考える力は育ちません。しかし、本来の「仕組み化」は、社員を縛り付けるためのものではありません。
むしろ、誰でも安心して仕事に取り組める共通の「進め方」をはっきりさせることで、無駄な作業や判断の迷いを減らし、社員がもっと創造的で大切な仕事に集中できるようにするためのものです。
せっかく作っても、使われない「お飾り」になるだけじゃない?
「立派なマニュアルを作ったけど、結局誰も見なくてホコリをかぶっている…なんてことになりそう…」
作っただけで満足してしまい、現場で活用されなければ、それは「仕組み」とは呼べませんね。
しかし、それは仕組みが「完成したら終わり」というものではなく、「みんなで育てていくもの」だという視点が抜けているのかもしれません。

本当に生きた仕組みとは、実際に使う社員の声を聞きながら、「もっとこうしたら仕事がしやすくなるね」「ここの部分は今のやり方に合わないかも」といった意見を出し合い、常に新しくしていくものです。
社長自身がその大切さを理解し、みんなで改善し続ける文化を作ることができれば、仕組みは現場にとってなくてはならない頼れる道具になります。
現場の意見を無視して、上だけで決めた使いにくいものになるのでは?
「結局、社長や一部のリーダーだけで考えた、現場の状況に合わない仕組みを押し付けられるんじゃないか…」
もしそうなってしまえば、現場の社員は「また上が勝手なことを…」とやる気をなくし、せっかくの仕組みも使われなくなってしまうでしょう。
だからこそ、仕組みづくりで最も大切なのは、実際に仕事をする社員たちと一緒に考え、一緒に作っていくことです。現場には、日々の仕事の中で培われた貴重な知恵や経験がたくさんあります。
それらを最大限に活かし、みんなが「これは自分たちの仕事のやり方だ」と納得し、愛着を持てるような仕組みを共に作り上げることが成功の鍵です。
個人の能力や工夫が活かせなくなるのでは?
「何でもかんでも手順が決まってしまうと、社員一人ひとりの個性や『もっとこうしたい』という創意工夫が発揮できなくなるのでは…」
これもよくある心配事ですが、良い仕組みは決して個人の能力や発想力を抑え込むものではありません。
むしろ逆です。誰でも一定の成果を出せる基本的な仕事の進め方が整うことで、社員は余計なことに悩まされたり、非効率な作業に時間を取られたりすることなく、より高いレベルの仕事や新しいアイデアを生み出すことにエネルギーを集中できるようになります。
「仕組み化」で会社はこう変わる!具体例紹介
「理屈は分かったけれど、実際に『仕組み化』で成功した会社なんて本当にあるのか?」 「うちみたいな小さな会社でも、本当に社長が楽になったり、会社が成長したりするのだろうか?」
そう思われるかもしれませんね。しかし、多くの経営者たちが「仕組み化」に取り組み、見事に会社を成長させ、ご自身の時間を取り戻しています。
ここでは、事例をダイジェストでご紹介します。
事例1:「週に1回出社するだけ」で社員100名以上の介護事業を運営!
有限会社ファイブアローズの岩下社長は、ご家族で創業した介護事業を、社員100名を超える組織へと成長させました。その秘訣は、創業当初から意識されていた徹底的な「仕組み化」。役割分担の明確化、マニュアルと評価制度の連動などで、社長がほとんど出社しなくても現場がしっかりと回り、社員が自律的に成長する会社を創り上げています。
>介護事業を仕組み化した岩下さんの事例は、こちらの記事で詳しく解説をしています。
事例2:社員2名まで激減した会社が「仕組み化」でV字回復!社員30名以上の組織へ
株式会社デジタルスタジオの板橋社長は、創業後一度は社員25名まで成長したものの、属人的な経営により多くの社員が離れてしまうという危機に直面。そこから「人を責めずに仕組みを変える」という考え方に出会い、理念の明確化から業務の仕組み化を徹底。見事V字回復を果たし、再び社員30名を超える組織へと成長させています。
> 仕組み化でV字回復を止めた板橋社長の例は、こちらで詳しく解説をしています。
事例3:365日働き詰めだった社長が、仕組み化で「働く時間を1/10」に!
都市ガスサービス株式会の積田社長は、かつては文字通り365日働き詰めの状態でした。しかし、「仕組み化」に本格的に取り組み始めてから約2年で、仕事時間は以前の1/10程度にまで激減。趣味も楽しむ余裕が生まれたそうです。
>リフォーム事業を仕組み化した積田社長の事例はこちらで詳しく解説しています。
これらは、数多くある成功事例のほんの一部に過ぎません。 美容室経営、製造業、ITサービス業、士業など、業種や規模に関わらず、多くの社長が「仕組み化」によって、成果を手にされています。
「仕組み化成功」11の秘訣:あなたの会社を本気で変えるために
「仕組み化」は、一度やれば終わり、というものではありません。社長の会社に本当に根付かせ、成果を出し続けるためには、いくつかの重要な「心構え」と「行動指針」があります。ここでは、多くの社長が「もっと早く知っておきたかった!」とおっしゃる10の秘訣を、さらに詳しく解説します。
秘訣1: 「何のために?」目的を常に明確に – 社長の羅針盤を持つ
「この仕組み化で、ウチの会社は本当はどうなりたいんだ?」
この問いこそ、すべての始まりであり、迷ったときの道しるべです。
社長の「想い」こそが原点
なぜこの事業を始めたのか、お客様にどんな価値を提供したいのか、社員にどんな働き方をしてほしいのか…。「仕組み化」は、これらの社長の純粋な想いや会社の理念を実現するための「道具」です。例えば、「お客様へのきめ細かい対応こそが我が社の命だ」という理念があるなら、それを誰でも実践できるような顧客対応の仕組みを作る、といった具合です。私たちはこの考え方を「インサイドアウト」と呼んでいます。
具体的な「ありたい姿」を描く
「社長が1週間会社を空けても、売上が落ちないどころか、むしろ社員が生き生きと働いている状態」「クレームが今の半分以下になり、お客様からの『ありがとう』が増える会社」「新人が入社3ヶ月で、一人前に仕事ができるようになる育成の仕組み」。このように、仕組み化によって何がどう変わるのか、具体的なゴールを社員と共有しましょう。私たちは、仕組み化を進める初期の段階で、このようなビジョンを明確にするご支援をしています。
>経営ビジョンの作り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
秘訣2: 「自分がやった方が早い」は卒業 – 社長は「仕組みを作る人」へ
「俺がやった方が早いし、確実だ…」 そう思われる社長の気持ちは痛いほど分かります。しかし、その考えこそが、会社の成長と社長ご自身の自由を縛る最大の「見えない鎖」かもしれません。
社長の時間は有限、かつ最も高価
社長の時給はいくらでしょう?社長が現場の作業に追われている間、社長にしかできない「会社の未来を設計する仕事」「新たな収益の柱を考える仕事」が疎かになっていませんか?仕組み化とは、社長がそのような高付加価値な仕事に集中するための時間を作り出す活動でもあります。
社員に仕事を任せ、仕組み通りにやってもらう過程で、彼らは確実に成長します。最初は時間がかかったり、失敗したりするかもしれません。しかしそれは、会社が強くなるための「必要な投資」です。社長が手を出さず見守る勇気が、社員の自主性と能力を引き出します。
そのためには、明確な役割分担を示した組織図が必要となります。
>会社の成長に役立つ組織図の作り方はこちらの記事で解説しています。
秘訣3: 小さく始めて成功体験を – 「できた!」が次へのガソリン
「いきなり全部を変えるのは無理だ…」 その通りです。特に中小企業では、リソースも限られています。だからこそ、「小さな一歩」から始めることが成功の秘訣です。
まずは「ここだけ」と的を絞る
例えば、「毎日の朝礼のやり方」「見積書作成の手順」「クレーム対応の初期フロー」など、社員全員が「確かにこれは非効率だよね」「ここが変われば助かる」と感じている、比較的小さな業務から手をつけてみましょう。
「朝礼の時間が半分になった!」「見積書作成のミスがなくなった!」といった具体的な成果が出ると、社長も社員も「やればできるじゃないか!」という達成感を味わえます。
この「できた!」という成功体験こそが、次の、もう少し大きな仕組み化へのモチベーションに繋がります。「次は〇〇業務の仕組み化に挑戦しよう!」という前向きな空気が生まれるはずです。
>小さな一歩を見極めるためには、こちらの記事で解説しているパレートの法則が役に立ちます。
秘訣4: 完璧主義は禁物、まずは60点でGO! – 走りながら考える
「どうせやるなら完璧なものを…」 その気持ちは素晴らしいですが、仕組み化においては、最初から100点満点を目指すと、計画倒れになったり、動き出すまでに時間がかかりすぎたりしがちです。大企業のように潤沢な時間や予算があるわけではありません。60点の出来でも良いので、まずは仕組みを導入し、実際に運用を開始してみましょう。
使いながら改善、それが一番の近道
実際に使ってみることで、「ここが使いにくい」「もっとこうしたら良いのでは?」といった現場の生の声が必ず出てきます。その声を元に、柔軟に修正を加えていく方が、結果的に早く、そしてより実用的な仕組みが出来上がります。うまくいかないことがあっても、それは「失敗」ではありません。「もっと良くなるための改善点が見つかった!」と前向きに捉え、次に活かすことが大切です。
秘訣5: 社員を巻き込む!現場の声こそ宝 – 「みんなで創る」会社へ
「社長一人が頑張っても、会社は変わらない…」
仕組み化は、社長一人のトップダウンだけでは決して成功しません。実際に仕組みを使うのは社員です。彼らを「他人事」ではなく「自分事」として巻き込むことが不可欠です。社長がどんなに良い仕組みを考えても、社員が「また社長が何か始めたよ…」とやらされ感で取り組んでいては、絵に描いた餅で終わってしまいます。
仕組み化プロジェクトチームを発足
各部署から代表者を選び、「仕組み化プロジェクトチーム」を作りましょう。そして、彼らに現状の課題出しから改善案の検討、マニュアル作成まで主体的に関わってもらいます。
日々業務に奮闘している社員たちは、社長が気づかない問題点や、驚くような改善のアイデアを持っているものです。「そんなことまで考えていたのか!」という社員の意見に謙虚に耳を傾け、仕組みに反映させることで、より実用的で、社員が愛着を持てる仕組みが生まれます。
秘訣6: 「ルールを守る」文化を社長自ら作る – 社長が一番の模範たれ
「社長自身が、作ったルールを破っていませんか?」 どんなに立派な仕組みやルールを作っても、それが守られなければ意味がありません。そして、社員がルールを守るかどうかは、社長の行動にかかっています。
社長が率先垂範
例えば、新しい経費精算の仕組みを作ったら、社長自身が誰よりも早く、そのルールに則って精算を行う。新しい会議のルールを決めたら、社長が一番そのルールを守って会議を進行する。この「社長が見本を示す」姿勢が、ルールを守る文化の土台となります。
ただ「守れ」と言うだけでは、社員は納得しません。そのルールが、会社の理念や目標達成のために、そして社員自身の働きやすさのために、なぜ必要なのかを根気強く説明し、理解と共感を得ることが大切です。
>ルールが守られない理由はこちらの記事で詳しく解説しています。
>社内ルールの作り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
秘訣7: 仕組みの「担当者」を決める – 「誰の仕事?」をなくす
「このマニュアル、誰が最新版に更新するんだっけ…?」 仕組みを作った後、意外と忘れがちなのが「誰がその仕組みの面倒を見るのか」ということです。担当者が決まっていない仕組みは、あっという間に古びて使えなくなってしまいます。
各仕組みに「守り人」を任命
「この業務の仕組みは〇〇さん」「このマニュアルの管理は△△部」というように、各仕組みに対して責任を持って維持・管理する担当者や部署を明確に指名します。
担当者は、仕組みが正しく運用されているかをチェックし、現場からの改善提案を集約し、定期的に社長や関係者に報告する、といった役割を担います。
担当者には、仕組みを改善するための一定の権限を与え、必要な情報やリソースを提供し、活動をサポートすることが重要です。丸投げではうまくいきません。
秘訣8: 定期的な見直しを「仕組み」にする – 時代に合わせて進化させる
「一度作ったら、もう安心…」ではありません! 会社の状況も、市場の環境も、お客様のニーズも、常に変化しています。一度作った仕組みが、永遠にベストな状態であり続けることはあり得ません。
「仕組みを見直す日」をカレンダーに書き込む
例えば、「毎月第1月曜日の午後は、先月の仕組み運用状況レビューと改善会議」「半期に一度、全部門の主要な仕組みを総点検」など、定期的な見直しを最初から年間のスケジュールに組み込んでしまいましょう。
「この仕組み、今の会社の状況に合っているか?」「もっと効率的にできないか?」「形だけで、誰も使っていない状態になっていないか?」など、見直しの際に確認すべきポイントをあらかじめリストアップしておくと効果的です。
秘訣9: 「仕組み化のやり方」自体も仕組みに – 成功パターンを横展開
「あの部署の仕組み化はうまくいったけど、他の部署ではなかなか…」 それでは勿体無い。一つの業務や部署で仕組み化が成功したら、その成功の「やり方」や「ノウハウ」を、会社全体の資産として他の業務や部署にも展開していきましょう。
うまくいった仕組み化の進め方(例えば、現状の洗い出し方、課題の見つけ方、マニュアルの作り方のコツなど)を、社内の「仕組み化推進マニュアル」のような形にまとめます。
社内に「仕組み化リーダー」を育成
各部署に、仕組み化を推進できるキーマンを育成します。彼らが中心となって、自部署の仕組み化を進められるように、社長や経営陣がサポートします。
「仕組み化事例発表会」や「改善アイデア共有会」などを定期的に開催し、成功事例や失敗から学んだこと、便利なツールの使い方などを、社員同士が学び合える機会を作ります。
>仕組み経営では社内に仕組み化のプロを育てる「仕組み化プロフェッショナル養成講座」をご用意しています。
秘訣10: 他社の事例は「ヒント」として活かす – 丸パクリではなく自社流に
「あの会社はこうやって成功したらしいから、ウチもそのままやろう!」 これは、仕組み化でよくある失敗の一つです。他社の成功事例を学ぶことは非常に大切ですが、それをそのまま自社に持ち込んでも、多くの場合うまくいきません。
他社の事例を見るときは、「何をやったか」という表面的な行動だけでなく、「なぜその会社はそのやり方で成功したのか?」という背景にある考え方や本質を深く理解しようと努めることが重要です。
自社の「土壌」に合うようにアレンジ
会社の規模、業種、社風、そして何よりも社長の想いや理念は、会社ごとに全く異なります。他社の良いところを取り入れつつも、必ず自社の状況に合わせて「翻訳」し、自社ならではのやり方に落とし込む「ひと手間」を惜しまないでください。
他社の知恵をヒントにしつつ、そこに社長自身の熱い想いや、自社が大切にしている価値観を掛け合わせることで、どこにも負けない、あなたの会社だけの強力な「仕組み」が生まれるのです。
秘訣11:テクノロジーの力を借りる – ITツールで仕組みを加速させる
仕組み化は、もはや根性論や、紙とペンだけで行う時代ではありません。現代では、様々なITツールで仕組みを自動的に動かすことができます。顧客情報をチームで共有するためのCRM(顧客管理システム)、プロジェクトの進捗を管理するツール、日々のコミュニケーションを円滑にするチャットツールなどは、もはや不可欠と言えるでしょう。
そして近年、その状況はChatGPTやGeminiといった「生成AI」の登場により、さらに劇的に進化しました。
これまで仕組み化を進める上で最もハードルが高かった作業の一つが、マニュアルや手順書といった「形式知」をゼロから作成する手間でした。多くの経営者が「忙しくて、そんなものを作っている時間がない」と感じていたのです。
しかし生成AIは、この悩みを劇的に解消してくれます。例えば、
- 煩雑な会議の議事録を要約し、決定事項と担当者を一瞬で洗い出す。
- 「新人営業向けのマニュアルのたたき台を作って」と指示するだけで、骨子を数秒で作成する。
- お客様への案内メールや、社内のルール説明の文章を、より分かりやすく洗練させる。
といったことが可能になります。
もちろん、AIが作ったものをそのまま使うわけにはいきません。最後は必ず人間の目で見て、自社の理念や実情に合わせて修正を加える必要があります。しかし、これまで10時間かかっていた作業が1時間で済むようになるのです。
>実際に私がどうやって業務効率化を行っているかはこちらの「生成AI×業務効率化」の具体例で解説しています。
中小企業の「仕組み化」よくある失敗とその乗り越え方:同じ轍は踏まない!
「仕組み化が大事なのは分かる。うちも過去にマニュアルを作ったり、新しいシステムを入れたりしたけど、結局うまくいかなかったんだよ…」
そんなご経験はありませんか?
実は、多くの中小企業が同じような壁に直面しています。しかし、ご安心ください。失敗には必ずパターンがあり、その原因と対策を知っておけば、あなたの会社は必ず「仕組み化」を成功させることができます。
ここでは、典型的な失敗例と、それを社長がどう乗り越えていけば良いのか、具体的なヒントをお伝えします。
失敗パターン1: 社員からの抵抗・やらされ感 – 「また社長が何か言い出した…」
社長が「よし、会社を良くするために仕組み化だ!」と意気込んでも、社員からは「今のやり方で別に困ってないのに…」「新しいことを覚えるのが面倒だ」「どうせまた社長の鶴の一声で変わるんだろう」といったネガティブな反応が出てくることがあります。
なぜ起こるのか?
- 「何のためにやるのか」が腹落ちしていない: 社長には明確なビジョンがあっても、それが社員一人ひとりに「自分たちの仕事がどう良くなるのか」「会社がどう成長するのか」というレベルで伝わっていない。
- 一方的なトップダウン: 社員の意見を聞かずに、社長や一部の幹部だけで決めた仕組みを押し付けようとすると、「やらされ感」が生まれます。
- 変化への不安: 人は誰でも、慣れたやり方を変えることには抵抗を感じるものです。新しい仕組みへの漠然とした不安が抵抗に繋がります。
どう乗り越える?
- 「社長の想い」から語りかける (インサイドアウト): なぜこの仕組みが必要なのか、それが会社の理念や社長自身のどんな想いに繋がっているのかを、自分の言葉で熱く語りましょう。「お客様にもっと喜んでもらうために」「社員みんながもっと働きやすい会社にするために」といった目的が共有されれば、社員の見る目も変わります。
- 社員を「創る仲間」として巻き込む: 仕組みの検討段階から現場の社員に参加してもらい、意見やアイデアを積極的に吸い上げましょう。「自分たちで考えた仕組み」という意識が芽生えれば、主体的に取り組んでくれるようになります。
- 小さな成功体験から: 最初から大きな変革を目指すのではなく、まずは社員が「これは助かる!」と実感できる小さな改善から始め、成功体験を共有することで、仕組み化への前向きな雰囲気を作ります。
▶インサイドアウトの仕組み化については以下のページで解説しています。
失敗パターン2: 仕組みが使われず形骸化 – 「立派なマニュアルもホコリをかぶるだけ…」
せっかく時間とコストをかけてマニュアルを作ったり、新しいルールを定めたりしても、いつの間にか誰も使わなくなり、ただの「お飾り」になってしまう…。これも非常によくある失敗で、
なぜ起こるのか?
- 「よそはこうだから」と安易に導入: 他の会社でうまくいっている仕組みを、自社の文化や実情を考慮せずにそのまま持ち込んでも、現場にはフィットしません。
- コンサルタントに丸投げ: 外部の専門家に頼りきりになり、社員が仕組み作りのプロセスに関与しないと、完成した仕組みに愛着も理解も湧きません。
- 「仕組みを運用・改善できる人」が育っていない: 仕組みは作っただけではダメ。それを日々使いこなし、問題点を見つけて改善していく「人」が社内に育っていなければ、すぐに陳腐化します。
どう乗り越える?
- 社長自らが「使う・守る」姿勢を見せる: 新しい仕組みやルールができたら、まずは社長が率先してそれを使い、守る姿を社員に見せることが何よりも重要です。
- 「実用性第一」のマニュアル作り: 見栄えよりも、現場の社員が「これなら使える!」と思える、シンプルで分かりやすいマニュアルを目指しましょう。60点の出来でも、まずは使ってもらいながら改善していく方が効果的です。
- 各仕組みに「担当者」を任命し、定期的な見直しを義務化: 「このマニュアルの更新は〇〇さん」「この業務プロセスの改善は△△チーム」というように責任者を明確にし、定期的に仕組みを見直す会議などを最初から計画に組み込みましょう。
失敗パターン3: 社員の成長が止まる・指示待ちが増える – 「自分で考えなくなってしまった…」
「仕組みでガチガチにしたら、社員が自分で考えなくなって、指示待ち人間ばかりになるんじゃないか…」と心配される社長もいらっしゃいます。実際に、やり方を間違えると、社員の主体性や成長意欲を削いでしまうことがあるのも事実です。
なぜ起こるのか?
- 過度に詳細で「思考停止」を招く仕組み: あまりに細部まで規定され、裁量の余地がない仕組みは、社員から「自分で考える必要性」を奪ってしまいます。
- 「仕組みを作って、人を作らず」: 仕組みの導入ばかりに目が行き、それを使う社員の育成や、主体性を引き出すための働きかけが不足している。
- 失敗を許容しない文化: 新しいやり方を試して失敗した際に、厳しく責任を追及されるような環境では、社員は挑戦を避けるようになります。
どう乗り越える?
- 「仕組みは社員を助ける道具」という共通認識を: 仕組みは社員を縛るものではなく、社員が迷わず、効率的に、そして自信を持って仕事を進めるための「頼れる相棒」であるべきです。その目的をしっかりと伝えましょう。
- 「考える余地」を残した仕組み作り: 全てをマニュアル通りにやらせるのではなく、基本的な流れや判断基準は示しつつも、状況に応じた工夫や改善提案を歓迎する余地を残した設計が重要です。
- 「仕組みの改善」も社員の仕事に: 「この仕組み、もっと良くするにはどうしたらいい?」と社員に問いかけ、改善活動に主体的に関わってもらうことで、考える力と当事者意識を育てます。「仕組み化できる人も同時に育てる」という視点が大切です。
失敗パターン4: 仕組み化自体が負担増・効果不明 – 「忙しいのに、さらに仕事が増えただけ…」
「仕組み化が良いのは分かるけど、ただでさえ忙しいのに、そんなことやってる余裕ないよ…」「色々やってみたけど、結局何が良くなったのか分からない…」これも中小企業の社長からよく聞かれる悩みです。
なぜ起こるのか?
- 「何のために、何を仕組み化するのか」が曖昧: 明確な目的や優先順位がないまま、手当たり次第に「良さそうな仕組み」を取り入れようとすると、時間と労力が分散し、効果もぼやけてしまいます。
- 効果測定の指標がない: 仕組み化の前後で「何がどう変わったのか」を測る基準がないため、成果を実感できず、モチベーションも続きません。
- 「あれもこれも」と手を広げすぎ: 特にリソースの限られる中小企業では、一度に多くの仕組み化に取り組もうとすると、どれも中途半端になりがちです。
どう乗り越える?
- 「会社の成長ドライバーとなる2割の仕組み」に集中: 全ての業務を完璧に仕組み化する必要はありません。会社のビジョン達成や、今一番困っている課題解決に直結する、最もインパクトの大きい「2割の仕組み」を見極め、そこに集中的にリソースを投下しましょう。
- 「時間対効果」「費用対効果」を常に意識: 「この仕組みを作るのにどれくらいの時間とコストがかかり、それによってどんなメリットが期待できるのか?」を常に天秤にかけ、投資判断をすることが社長の重要な役割です。
- 小さな成果を積み重ね、それを「見える化」する: 例えば、「〇〇業務の仕組み化で、残業時間が月平均△時間削減できた!」といった具体的な成果を社内で共有し、仕組み化の価値を社員全員で実感できるようにしましょう。
多くの失敗の根底には、「仕組み化の正しい進め方の欠如」があります。つまり、ただやみくもに頑張るのではなく、社長の想いを核に、社員を巻き込み、自社に本当に必要なことから着実に、そして継続的に取り組んでいく。この考え方こそが、失敗を避け、あなたの会社を着実に成長させる王道なのです。
「仕組み化」を成功させる進め方:世界7万社実証済みステップの概要
「理屈は分かったけど、じゃあ具体的に、うちの会社は何から手をつければいいんだ?」 社長、そう思われるのは当然です。ここでは、世界7万社以上で実証されてきた「仕組み化」の進め方、その骨子となるステップの概要をご紹介します。
このステップは、単に業務を整理するだけでなく、社長の「人生観」や「会社の理念」といった根っこの部分からスタートし、それを具体的な仕組みに落とし込んでいく「インサイドアウト」という考え方に基づいています。だからこそ、社長の想いが社員に伝わり、会社全体が同じ方向を向いて成長できるのです。

より詳しい各ステップの内容や具体的なツール、事例については、別途詳細記事「仕組み化のやり方:【世界7万社】で実証済みのフレームワークとステップ」をご用意していますので、ぜひそちらもご覧ください。ここでは、まず「こんな流れで進めるんだな」という全体像を掴んでいただくことを目的とします。
ステップ①:経営者の人生観の明確化 – 「社長は何のために経営をしているのか?」
会社の仕組みは、社長の人生そのものと深く結びついています。「どんな人生を送りたいか」「いつまでに事業をどうしたいか」という社長自身の人生計画が明確でなければ、作る仕組みも中途半端になり、社員の心も動きません。社長の「魂」がこもった仕組み作りの、まさに最初の第一歩です。
ステップ②:経営者の人生観を会社の理念に落とし込む – 「会社は何を目指すのか?」という旗を立てる
社長の人生観を反映した「会社の夢(ミッション)」「目指す未来像(ビジョン)」「大切にする価値観(コアバリュー)」といった理念は、会社が進むべき方向を示す道しるべです。これが明確であれば、社長がいちいち細かく指示しなくても、社員は自律的に判断し、行動できるようになります。強い組織文化の源泉です。
ステップ③:目標と指標を決める – 「何を、どこまでやれば成功か?」を具体化する
理念だけでは、日々の行動に繋がりません。「3年後までに売上〇〇円達成」「顧客満足度〇〇%以上」といった具体的な目標と、それを測るための指標(KPI)を設定することで、初めて会社全体が同じゴールに向かって力を合わせることができます。社長にとっても、会社の進捗を客観的に把握できるようになります。
ステップ④:組織図を創る – 「誰が何をする会社か?」を設計する
会社が成長するにつれて、「誰がどの仕事の責任者なのか」「部署間の連携はどうするのか」といった問題が出てきます。しっかりとした組織図(役割と責任分担図)は、効率的な分業とスムーズな連携を可能にし、会社が大きくなっても混乱なく運営できるための設計図となります。社員一人ひとりが「自分の役割」を理解し、責任を持って仕事に取り組むための土台です。
ステップ⑤:現在の業務を仕組み化する – 日々の仕事を「会社の資産」に変える
社長の頭の中にあるノウハウや、ベテラン社員のカンに頼っている状態から脱却します。今行っている業務を洗い出し、「効果は出ているか?」「効率は良いか?」「誰でもできるか?」という視点で見直し、標準化し、マニュアルに落とし込みます。これにより、業務の品質が安定し、新人も早く育ち、社長が現場の細かなチェックから解放されます。
ステップ⑥:未来に向けた仕組み作り – 会社が永続的に成長するために
日々の業務が効率化され、社長や社員に余裕が生まれてきたら、次は会社の「未来」のための仕組み作りに取り組みます。事業がさらに大きくなっても対応できるか、新しいリーダーをどう育てるか、リスク管理は万全か、といった視点で、会社が10年後、20年後も成長し続けるための布石を打ちます。事業承継を見据えた仕組みづくりもここに含まれます。
仕組み化によくある質問と回答
仕組み化について、多くの方が抱える疑問や気になる点についてお答えします。
仕組みって、具体的に何を指すのですか?
ビジネスにおける仕組みとは、一言でいうと「会社が大切にしている想いや価値観にもとづいた、繰り返し同じように良い結果を出せる仕事のやり方」のことです。これがあることで、どの社員がどの仕事を担当しても、お客様が期待する成果を安定して提供できるようになります。
仕組み化とマニュアル作りの違いは何ですか?
マニュアル作りは、仕組み化を進める中の一つのステップです。仕組みというのは、まず「仕事のやり方を整理して標準化」し、それを「誰にでもわかるように文書(マニュアルなど)に落とし込み」、そして「実際に運用しながらもっと良くしていく(改善)」というサイクルを回し続けることで、より良いものへと磨かれていきます。多くの場合、マニュアルを作っただけで満足してしまい、その後の改善のサイクルが回らないために、せっかくのマニュアルが古びて使われなくなってしまうことがあります。
▶マニュアル作成については以下の記事から
清水直樹 今回はマニュアル作成について解説します。これまで多くの会社のマニュアル作成をご支援してきた私達「仕組み経営」のノウハウをたっぷり盛り込み、作り方だけでなく、おさえるべきマニュアル作成のコツやテンプレートも紹介していま[…]
仕組み化を進めると、本当に仕事は楽になるのでしょうか?
はい、正しく仕組み化を進めれば、仕事の無駄が減り、効率は確実に上がります。「人によってやり方がバラバラで確認が多い」「毎回、どうすればいいかゼロから考えないといけない」といった無駄な時間がなくなるからです。
例えば、レストランの厨房で、もし料理のレシピや手順が決まっていなかったら、作る人によって味もスピードもバラバラになり、お客様を待たせてしまったり、クレームにつながったりするかもしれません。
しかし、誰でも同じように美味しく、早く作れるレシピや手順がしっかり決まっていれば、安定したサービスを提供できますよね。これはどんな仕事でも同じです。
仕組み化によって、社員は「何を、どのように、どこまでやれば良いのか」がはっきりわかるようになります。すると、余計な確認や手戻りが減り、自然と仕事のスピードも上がります。仕事がスムーズに進むことで、社員のストレスも軽くなり、より前向きに、本来やるべき大切な仕事に集中できるようになるのです。
仕組み化がうまくいかない会社には、どんな特徴がありますか?
仕組み化がなかなか進まない会社には、いくつか共通点があります。 まず、何のために仕組み化をするのか、その目的やゴールが曖昧になっていることです。
「なぜ今のやり方を変える必要があるのか」
「仕組み化することで会社や自分たちにとってどんないいことがあるのか」
が社員にしっかり伝わっていないと、途中で協力が得られにくくなってしまいます。
次に、仕組みを作っただけで満足してしまい、その後の見直しや改善がされていないケースです。仕組みは一度作ったら終わりではなく、実際に使いながら、みんなでより良いものに育てていくものです。
そして意外と多いのが、社長やリーダー自身が仕組み化の本当の重要性を理解していなかったり、本気で取り組む姿勢を見せていなかったりすることです。仕組み化は、現場任せにするのではなく、トップが率先して進めていくことが大切です。
どんな業種や仕事でも、仕組み化はできるのでしょうか?
はい、基本的にはどんな業種や職種でも仕組み化は可能です。仕事の進め方をより良くしていく、という根本的な考え方は共通しているからです。もちろん、会社が大切にしていることや強み、目指す姿はそれぞれ異なりますから、出来上がる仕組みの形は、その会社独自のものになります。
例えば、物を作る会社であれば、作業の流れをスムーズにしたり、品質を一定に保つための仕組みが中心になるかもしれません。人をもてなすサービス業であれば、お客様に喜んでいただくための対応方法をみんなで共有したり、社員教育のやり方を整えたりすることが重要になるでしょう。
一見、仕組み化とは縁遠そうに思える、アイデアを出す仕事やクリエイティブな分野でも、基本的な仕事の進め方や情報共有のルールなどを決めることで、むしろ社員がより創造的な活動に集中できる環境を作ることができます。大切なのは、他社のやり方をそのまま真似するのではなく、自社の状況に合った、オリジナルの仕組みを作り上げていくことです。
仕組み化の第一歩は、何から始めればいいですか?
まず、「自分たちの会社(またはチーム)が、本当はどうありたいのか、どんな状態を目指しているのか」という理想の姿を具体的に描き、それに対して「今の状態はどうなっているのか」を客観的に見つめ直すことから始めます。
その理想と現実の間にあるギャップ(課題や問題点)こそが、仕組みによって解決すべきことです。何が問題なのかをはっきりさせることが、仕組み化のスタート地点です。
仕組み化したいことがたくさん!優先順位はどうつければいいですか?
あれもこれも仕組み化したい、となった時に迷ってしまうかもしれませんね。そんな時は、次の3つのポイントで考えてみると、優先順位を決めやすくなります。
- 影響が大きい仕事は?:会社全体やお客さんに与える影響が大きい仕事(例:お客様対応、品質管理など)から手をつけると、効果も大きく、会社の評価にも繋がりやすいです。
- いつも時間がかかっている、ミスが多い仕事は?:そういった「詰まっている」仕事は、仕組み化することでスムーズになる可能性が高く、効果を実感しやすいでしょう。
- 毎日何度も繰り返している仕事は?:日々発生する仕事は、少しでも効率が上がれば、その効果が積み重なって大きな改善に繋がります。
仕組み化が完了するまで、どれくらいの期間がかかりますか?
実は、仕組みづくりに「これで完璧、終わり!」ということはありません。
なぜなら、会社の状況や周りの環境は常に変わっていくからです。大切なのは、一度仕組みを作って終わりにするのではなく、常に「もっと良くできないか?」と考え、改善し続ける文化を会社に根付かせることです。
あえて期間の目安を申し上げるなら、会社の規模やどこまでを目指すかにもよりますが、主要な仕組みの骨格を作り上げるのには、1年から2年程度の時間をかけてじっくり取り組み、その後も継続的に見直しと改善を続けていく、というイメージを持つと良いでしょう。
「うちの業界は特殊だから、仕組み化は難しいんじゃ…」
「うちの業界は特別だから…」「仕事内容が複雑だから…」といったお声はよく伺いますが、ご安心ください。どんな会社であっても、仕組み化を進める基本的な考え方やステップは、実はそれほど大きくは変わりません。
もちろん、会社ごとに扱っている商品やサービス、お客様、そして大切にしている価値観は異なりますから、出来上がる仕組みの具体的な形(マニュアルやルールなど)は、その会社独自のものになります。
しかし、例えば「社員みんなが同じ目標に向かって力を合わせるためにはどうすれば良いか」「新しい人が入ってきた時にどうやって仕事を覚えてもらうか」「お客様にもっと喜んでもらうためにはどうすれば良いか」といった、会社を良くしていくための課題は、多くの会社に共通して存在します。
その会社ならではの「特殊性」や「強み」を活かしながら、より良い仕事のやり方を見つけていくのが仕組み化です。
▶以下の動画でもこのテーマについてご紹介しています。
仕組み化って、結局マニュアルを作ることでしょう?なんだか面倒くさそう…
「仕組み化=分厚いマニュアル作り」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、それは仕組み化の一部分にすぎません。本当の仕組み化とは、会社の中に「良い習慣」をたくさん作っていくこと、と言い換えることもできます。そして、本当に優れた仕組みほど、実はとてもシンプルで分かりやすいものです。シンプルだからこそ、みんなが無理なく続けられ、成果が上がりやすくなるのです。
社員から「面倒だ」「やり方が変わるのは嫌だ」と反対されて進みません…
新しいことを始めようとすると、変化に対する不安や戸惑いから、抵抗感を示す人が出てくるのは自然なことです。大切なのは、一方的に進めるのではなく、社員の皆さんとしっかり向き合うことです。
まず、なぜ仕組み化が必要なのか、それをすることで社員一人ひとりにとってどんないいことがあるのか(例えば、「毎日の繰り返し作業が楽になる」「お客様からもっと感謝されるようになる」など)を、言葉を尽くして丁寧に伝えましょう。
そして、仕組みを作る際には、実際に仕事をしている社員の意見を積極的に聞き、「やらされる」のではなく「みんなで一緒に作っている」という感覚を持ってもらうことが重要です。 また、最初から大きな変化を求めるのではなく、小さなことから試してみて、「あ、なんだか前より仕事がしやすくなったぞ」という成功体験を少しずつ積み重ねていくのも効果的です。
「仕組み」よりも「人」が大事。「社員の自主性」を重んじたいのですが…
「仕組み」というと、なんだか社員を型にはめて、自由な発想を奪ってしまうような冷たいイメージがあるかもしれませんね。しかし、本来目指すべき仕組みは、社員の能力を最大限に引き出し、普通の人が素晴らしい成果を出せるように手助けするためのものです。
社員の自主性を大切にしたいという想いは素晴らしいですが、何の指針もないままでは、それぞれがバラバラに頑張っているだけで、会社全体としてはなかなか目標にたどり着けない、ということにもなりかねません。
かといって、ルールで厳しく縛り付けてしまっては、息苦しくて誰もついてきません。 大切なのは、みんなが同じ方向を向いて進むための共通の理解(理念や目標)と、それぞれの持ち場で力を発揮するための基本的な仕事のやり方(仕組み)を整えた上で、社員一人ひとりがその人らしさを活かして自由に活躍できるような、そんな環境を作ることなのです。
仕組み化で、本当に会社の売上は上がるのですか?
はい、正しく仕組み化を進めることで、売上アップに繋がる可能性は十分にあります。仕組み化は、「社内でうまくいっているやり方(例えば、すごく成果を上げている営業担当者のやり方や、お客様にとても喜ばれている接客方法など)を、他の人でも同じように出来るようにする」こと、つまり「成功を複製する」ことだと考えることができます。
一部の人だけが知っているコツやノウハウを会社全体の力に変えることができれば、会社は持続的に成長し、売上も伸びていくことが期待できます。
▶実際の事例は以下の動画で解説しています。
社長は現場の仕事に入ってはいけない、とよく聞きますが本当ですか?
社長が現場の仕事にばかり埋もれてしまうのも、逆に現場のことを全く知らずに経営判断だけをしているのも、どちらも会社の成長にとっては問題があります。大切なのは、バランスです。
「現場だけにいてはいけない、事業全体を見渡して考えよ」という言葉がありますが、まさにその通りです。現場に入りすぎると、日々の細かな作業に追われてしまい、会社全体の将来を考える余裕がなくなってしまいます。
かといって、現場の実情を知らなければ、お客様が本当に求めていることや、社員が何に困っているのかが見えず、的外れな経営判断をしてしまうかもしれません。
理想的なのは、現場で実際に起きていることを肌で感じ、そこから一旦離れて経営者としての視点で「どうすればもっと良くなるか」を考え、そして改善策を持って再び現場にフィードバックする、というサイクルを回していくことです。社長ご自身が、今どちらに偏りすぎていないか、時々振り返ってみることが大切です。
▶現場を知らないとトンチンカンな仕組みができることもあることについて動画で解説しています。
仕組み化が進むと、社員は「言われたことしかしない人」になりませんか?
「仕組み化を進めると、社員が自分で考えなくなり、指示待ちになってしまうのでは…」というご心配はよくわかります。確かに、一部のコンサルティングなどでは、上から与えられたルールにただ従わせるだけ、という進め方をすることもあるかもしれません。 しかし、私たちが目指す「仕組み経営」における仕組み化は、社員の思考を止めてしまうものではなく、むしろその逆です。
良い仕組みとは、社員がこれまで経験したことのないような、より高度でやりがいのある仕事に挑戦するための頼れる「道しるべ」や「ガイドライン」のようなものです。 例えば、新人の営業担当者が先輩の成功事例をまとめた「営業のコツ集(仕組み)」を参考にしながらお客様を訪問する場面を考えてみてください。
何もなければ手探りで失敗を繰り返すかもしれませんが、コツ集があれば、基本的な流れをスムーズにこなし、その分、お客様との会話内容を深掘りしたり、より良い提案を考えたりといった、もっと頭を使う部分に集中できます。このように、仕組みは社員がより創造的で質の高い仕事をするための土台となるのです。
仕組み化の成果は、どんな指標(KPI)で測れば良いですか?
仕組み化の取り組みがうまくいっているかどうかを判断するための指標はいくつかありますが、まず「何のために仕組み化をするのか」という目的をはっきりさせることが大切です。その上で、例えば以下のような点に注目すると良いでしょう。
- 仕事の効率は上がったか?(例:一人あたりがこなせる仕事量が増えた、一つの仕事にかかる時間が短くなった)
- 無駄なコストは減ったか?(例:残業時間が減った、材料のロスが少なくなった)
- 社員は活き活きと働いているか?(例:社員の定着率が上がった、新しい提案が増えた)
- お客様の満足度は上がったか?(例:リピートしてくれるお客様が増えた、クレームが減った)
- そして最終的に、会社の売上や利益は伸びたか? これらの点を定期的にチェックし、仕組み化の成果をみんなで共有しながら進めていくことが重要です。
仕組み化に失敗してしまうのは、どんな原因が多いですか?
仕組み化がうまくいかない原因としてよくあるのは、他社の成功事例をそのまま真似しようとしたり、自社の文化や今の状況に合わないやり方を無理に取り入れようとしたりすることです。
また、仕組みを実際に運用していく社員の育成が追いついていなかったり、社員とのコミュニケーションが不足していて、なぜ仕組み化が必要なのかが伝わらず反発を招いてしまったりすることも失敗につながります。これらの多くは、仕組み化を正しい手順で、丁寧に進めていないことに起因しています。
作ったマニュアルやルールが、いつの間にか使われなくなってしまいます…
これは非常によく聞くお悩みです。せっかく作ったマニュアルがホコリをかぶってしまうのは、多くの場合、その仕組みを「改善し続ける仕組み」がないからです。また、そのマニュアルやルールが、トップダウンで一方的に与えられたものだったり、外部の人が持ち込んだだけで、社員自身がその必要性やメリットを十分に理解できていなかったりすると、「やらされている感」が拭えず、改善しようという意識も生まれにくいため、結果として形骸化してしまうのです。
仕組み化には、どのくらいの費用がかかりますか?
仕組み化にかかる費用は、どこまでの範囲を対象とするのか、どれくらい複雑な仕事のやり方を見直すのか、新しいシステムやツールを導入するのかどうかなど、その内容によって大きく変わってきます。専門家やコンサルタントに支援を依頼する場合も、そのサポート範囲や期間によって費用は様々です。まずは、会社として何を目指して仕組み化に取り組むのかを明確にし、必要なサポートや投資の規模を見極めることが大切です。
仕組み化の「投資効果」はどう考えれば良いですか?
短期的には、仕事の無駄が減って効率が上がったり、余計な出費が抑えられたりといった効果が期待できます。例えば、残業が減ったり、ミスが少なくなったりすることも実感しやすいでしょう。
そして、仕組み化がさらに進み、会社全体で良い仕事のやり方が共有され、それが当たり前になってくると、もっと大きな効果が見えてきます。例えば、一部のすごい人に頼らなくても安定して高い成果が出せるようになったり、新しい人が入ってきてもスムーズに仕事を覚えて活躍できるようになったりします。
その結果、お客様からの信頼が高まり、売上や利益が伸びていく、さらには社長がいなくても会社がしっかりと回り続けるといった、会社が長く安定して成長していくための強い力がついてくるのです。
まとめ:「仕組み化」で会社の未来と社長の自由を創り出す。
長い記事をここまでお読みいただきありがとうございました。
「仕組み化」とは、単なる業務改善の手法ではありません。それは、社長の熱い想いや理念を会社全体に浸透させ、社員一人ひとりがその想いを実現できる「共通のやり方」を創り上げることです。
「仕組み化」が進めば、
- 社長は、社長にしかできない仕事に集中できるようになります。
- 会社は、社長がいなくても自律的に成長し続ける強い組織になります。
- 社員は、安心して能力を発揮し、成長を実感できる場所を得ます。
- そして、会社の未来、事業承継への道筋も明るく照らされます。
まさに、「仕組み化」は社長の最強の右腕となり得るのです。
難しく考える必要はありません。まずは、社長が一番「何とかしたい」と思っている業務一つから、「どうすればもっと良くなるか?」「誰でもできるようにするには?」と考えてみることから始めてみませんか?
「仕組み経営」は、そんな社長の一歩を全力で応援します。あなたの会社が、社長の想いを乗せた「仕組み」で力強く成長し、社長ご自身がより豊かな時間を手に入れられることを心から願っております。
仕組み経営の詳細は以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。


