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「業績は悪いが社内は平和」2024年3月22日号



一般財団法人日本アントレプレナー学会の清水です。

■業績は悪いが社内は平和

キリンビールがアサヒに押されてシェアを失っていたころ、最もシェアの落ち込みが激しかった支店がありました。

本来であればそういった支店は、闘争心に溢れているか、責任の擦り付け合いが起こってるはずです。

しかし、その支店の職場は、ごく平和的な雰囲気だったそうです。何も起こっていないかのように、和気あいあいと仕事をしていたのです。

その理由は、シェアが落ち込んでいることの責任を誰も取っていないから、でした。

そのため、”会社のことは我関せず”となり、業績が落ち続けていたのです。

このような、表面的な平和はどこの会社にもあり得ます。

表面的には波風が立たず、平和なのですが、本音の意見交換が行われず、建設的な議論も生まれにくい状況にあります。


そのため、裏では他人の悪口を言い合っているということもあります。

ビジョンや目標を追求する姿勢が希薄なため、ただ作業をしているという社員が増えていきます。

結果として、会社が掲げる目標の達成にはつながりにくくなっています。

言ってみれば、サークル活動のような会社なのです。



■日本企業の大きな特徴のひとつが、「和」ですね。

十七条憲法にある「和をもって尊しとなす」というのは日本全体の良く知られた価値観です。

そのため、平和的な職場であれば、「うちの会社はうまく行っている」と思うかも知れません。

しかし、実態はそうでないことの方が多かったりします。

「和をもって尊しとなす」の後には、「事を論に諧ときは、すなわち事理おのずから通ず(話し合えば、物事は道理に通じる)」という言葉が続きます。

つまり、真の平和は話し合いの後に生まれるのです。

表面的な平和な会社には、その話合いがありません。むしろ、話し合いを避けているからこそ平和に見えるのです。

そのため、後のち大きなトラブルに見舞われる可能性があります。


■真の平和を維持している会社は、本音をストレートに語り合い、様々な意見をぶつけ合います。

一見すると平和とは程遠い印象を受けるかもしれません。


しかし、実はそこには共通の目的意識があり、本音の議論を通じて、相互の理解を深め合う過程が存在します。

なあなあで議論を終わらせないので、結果や仕事の基準が高まります。

こちらはいわば全国一を目指す部活動のような会社です。


■サークルを目指すのか、部活動を目指すのか。

これは経営者次第と言えますが、本来、社員の事を思うのであれば部活動を目指すべきと考えます。


なぜならば、サークルの会社は、社員の可能性を無駄にしているからです。

サークル活動の会社は社員に大きな目的や明確な価値観を提示していないため、本来そこにいるべきでない人も存在します。

彼らは会社で本気や本音を出さないため、そのストレスを別の場所で発散しています。


これは本人にとっても、社会全体にとっても損失だと言えるでしょう。


■では部活動を目指すにはどうすればいいかというと

当然ながら、経営陣が明確な目標やビジョン、価値観を掲げないといけません。


ただし、表面的な平和に甘んじている会社において、ビジョンや価値観を明確に打ち出すと、大きな反発が起こります。それを覚悟することが大切になります。


場合によっては、会社を去る人もいるでしょう。


しかし、そうした混乱を恐れていてはいつまでたっても前に進めません。


明確な目的や価値観がないまま、作業として仕事をこなしていることのほうが彼らにとって不幸なのです。



■こういった理由により、私たちが仕組み化をご支援する際には、最初に会社の理念体系を整えることからスタートします。


そうしないと、仕組み化を進めるプロジェクトでも本音が語られないため、形骸化が予定された仕組みが出来てしまうからです。


ぜひあなたの会社が表面的な平和に向かっているのか、真の平和に向かっているのか、考えてみてください。


では本日は以上となります。


引き続きよろしくお願いいたします。



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