目次

第二条 オーナーシップの文化を築く

事業の成否は経営者自身に起因し、外部要因には依存しません。真のリーダーは自己の価値観や弱みに向き合い、自分を正すことで会社を正します。

事業の失敗は、どの業界であるかは関係ありません。経済の状況や金利の変動にも関係しません。もっとお金があれば成功できる、もっと優秀な部下がいればうまくいく、と考えることがありますが、真の原因は、外側にはありません。

事業の失敗の原因は、経営者自身にあります。シチリア人の言い伝えに、「魚は頭から悪臭を放つ」という言葉があります。これは、事業で問題にぶつかれば、それは自分が問題を引き起こしたことを意味します。

現在の会社や人生の状況は、過去の選択や決定の成果物です。それを受け入れない限り、あなた自身や会社を変えることはできないでしょう。

逆に、このことを理解すれば、事業は好況時も不況時も成長できる可能性があります。

あなたの会社が抱える問題のほとんどは、あなたの選択や決定の方法で大きく変化します。

例えば、あなたが気まぐれでなかったとしたら、組織の力が分散することに困ることは無かったでしょう。自分が目立ちたいという欲求を抑えることができていたら、仕事を委任するのにこんなに苦労することは無かったでしょう。あなたが素晴らしい志に基づいて経営をしていれば、社員の協力を仰ぐのにこんなに苦労しなかったでしょう。

責任感のあるリーダーは、良くも悪くも、誰も助けに来てはくれないということを知っています。そして、成長するために、自身の強みと同時に、弱みを受け入れることができます。

 

オーナーシップとは何か

「オーナーシップ」とは、あなたが創った会社に対して100%の責任を持つことです。私たちは自分の価値観によって決定を行ない、その反映である結果を手にします。

現在の会社は、良くも悪くもあなた自身が創り上げたものだということを受け入れなければなりません。あなたにその覚悟があるでしょうか?

リーダーの選択は、遠くまで影響を及ぼします。スタッフの人生、顧客、サプライヤー、株主、そして彼らの家族やコミュニティにまで。

その影響が大きいため、決定に対する反応や評価も大きくなります。リーダーとして、それらすべてに責任を持たなくてはなりません。特に物事がうまくいっていないときには難しいことですが、ほかの人を非難するのではなく、失敗から学び取ることが成長への道です。

気分が乗らないことにこそ目を向け続けることが必要です。これによって、リーダーが育つための高い基準ができ、組織が卓越したものになります。

現在と過去、すべてに責任を持つことによってのみ望む未来が築かれます。いまの事業はあなたが創ったものです。

その事実を完全に受け入れる覚悟を持つことによってのみ、それを違ったものにする力も同時に得られます。

オーナーシップの企業文化を築く

「自分と同じくらい事業について考えてくれる人がいない」と嘆く経営者は多いですが、実際のところ、リーダーの問題なのです。あなたが過去と現在に責任を持つことができれば、彼らも事業の結果を気にかけてくれ、望む未来を創るための方法を見つける努力をするでしょう。

オーナーシップの文化とは、全員が、なぜその事業が存在するのかを理解し、自分がそのビジョン(目指すべき姿)に向かう中で、どのような役割を担えばよいのかを理解していることです。

これは人々の内面から生まれるものであり、ニンジンをぶら下げてできるものではありません。社員とリーダーの信頼関係によって築かれます。

会社を変える方法

これまでのことを前提に、会社をより良い方向に変える方法を考えてみましょう。

組織はリーダーの鏡です。つまり、組織には、リーダーの価値観のゆがみが拡大された形で反映されます。だから、組織はリーダー以上のものにはなりません。

このリーダーと会社との関係性を理解することが起業家の視点を身に付けるのにとても大切です。

リーダーの価値観のゆがみによる組織のゆがみは、いたるところに見つかるはずです。

それを見つけ、向き合うには、正直さと勇気が必要です。

リーダーとしての能力は、すべてのことについて良く知っているかどうかによって決まるものではありません。それは、自分の強さや弱さについて、いかにオープンであり、いかに正直であるかによって決まるものです。

自分が会社に対して与えている影響に向き合うことを恐れる必要はありません。

経営者は会社の株を持っていたり、代表取締役の肩書が付いているという理由で、リーダーとしてのポジションにいますが、彼らが真のリーダーシップを持って事にあたっているかどうかは別の問題です。

真のリーダーは、事業の中で機能していない箇所を見つけ、自らの価値観を見直し、それを変えることによって、事業を変化させるのです。

苦痛は成長のあかし

真のリーダーは見たくない真実を探し、事業が停滞している理由を発見します。

これには苦痛が伴うかも知れません。

例えば、身体的な強さは、苦痛を選択することによって実現します。ワークアウト(身体的なトレーニング)には、快適さはなく、苦痛だけがあります。苦痛を経ることによって、身体的な強さが手に入ります。

リーダーとしての成長もそれと同じです。

「会社が思い通りに進まない」、「仕事を任せる人材が育たない」などの心配、フラストレーション、ストレス、悲しさ。

これらはすべて、リーダーの仕事の一部です。リーダーが商品、品質、スタッフ、顧客と真摯に向き合い、正しい視点で長期的な覚悟を持って改善に取り組んだとき、事業は偉大な存在へと革新を遂げるのです。

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