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第十一条 会社を自立させる

経営者と会社は親子の関係に似ており、経営者のDNAを受け継がせながら、自立運営させる仕組みを作ることが大切です。

ビジネスは正しく創られれば、1つの生き物のように成長していきます。最終的にビジネスはそれ自体として存続するし、それ自体として命を持ち、それ自体として意志を持ち、それ自体として法を持ち、それ自体として目的を持ちます。
 
それはあなたの創造物であり、生きています。
 
そのようなビジネスを創るためには、ビジネスを自分からは独立したものとみなす視点が求められます。
 
会社は経営者の子供のようなものです。
 
子供は親とは別人格ですが、親のDNAを受け継いでおり、成長し、自立したとしてもどこかで親の影響を受けています。子供は最初、親に完全に依存した状態でしか育ちません。
 
しかしだんだん成長してくると、自我が目覚め、青年期には自分の人生の目的や目標を考えるようになります。そして成熟期には自分自身の生き方を確立していきます。
 
それと同じように、組織は成長するにしたがって、それ自体が存在する目的を見出すようになります。
 
子供がまだ赤子であれば、必要な支援を提供しなければ生きていけないのと同じように、会社が小さいときにビジネスオーナーのDNAを組織に吹き込むことを怠ってはいけません。
 
逆に子供が成人しているのに親が子離れできなければ、自立することが出来ないのと同じように、組織が大きくなったにも関わらず、オーナーがいつまでもすべてをコントロールしようとすることも会社の自立的な運営を妨げることになるでしょう。
 
生きている会社が、健全で、生産的で、クリエイティブな役立つ機能を実現するにはどうしたらよいでしょうか?
 
マーケティングとオペレーションをどうつなげるのか。
 
オペレーションと財務はどうつながるのか? 
 
財務と経営はどうつながるのか? 
 
これら全体のバランスを保つには、システム的(仕組み)な思考が求められます。 
 
システム(仕組み)に基づいて運営される会社は、一貫した結果を常に生み出し続けます。
 
どんなビジネスでも顧客体験(顧客が価値を感じる体験)が真の物差しとなり、優れた顧客体験を何度も何度も生み出すあなた独自の方法は、競合からあなたを差別化させます。
 
仕組みに基づく会社は成長に限りが無く、また、それはビジネスを移転可能(承継可能)にします。譲り受ける相手が、あなた無しでも同じ結果を生み出し続けることが出来ると確信できるようになります。
 
 
 
人と仕組み
 
一方で、仕組みは誤解されやすい概念でもあります。
 
仕組みのことを考えるとき、多くの人は手順書やマニュアルを想起します。仕組み志向の経営者はよく、業務すべてこの手順書で埋めようとします。販売の仕方、顧客サービスの仕方、クレームに対応する方法などなどです。そういった手順は有益であることは間違いありませんが、それだけで完結するわけではありません。
 
これらが効果的に機能するかどうかは、人に依存します。
 
それらのバランスが取れていれば、1+1が3になります。
 
仕組みには人の魂が欠かせず、複製の可能性も欠かせません。その二つが合わさったとき、人だけでも、仕組みだけでも達成できないことが可能になります。
 
また、ほかの基盤となる仕組みと手順の関係性も大切です。
 
会社のビジョンと価値観は、インスピレーションや人と人との関わり、つながりを生み出します。組織図は、それぞれの人にどんな役割と結果が求められているのかを理解するのを助けてくれます。
 
これらに代表される会社の基盤となる仕組みの質の高さと、複製可能な手順が組み合わさったとき、優れた顧客体験(顧客が価値を感じる体験)を生み出すことが出来ます。
 
 
 
会社の人格
 
優れた顧客体験を持つ会社は、他のビジネスと完全に差別化された独自の言語、声を持っています。これはいわば、その会社独自の人格と言えます。アップルコンピューターが熱狂的に好きな人には、言っている意味がわかるでしょう。アップルのファンは、なぜアップルが他のコンピューターメーカーと異なるのか、理解しています。
 
マイクロソフトはまったく異なる声を持っています。彼らはアップルがどれだけ人から好かれようとも、実現できないだけの力を持っています。
 
しかしマイクロソフトの熱狂的なファンは多くありません。彼らの戦略は力を見せつけ、市場や競合を引っ張り、その分野でもっとも大きな存在になることでした。
 
アップルの戦略は人から好かれることです。明るく、創造的で、遊び心があることです。アップルはマイクロソフトが戦っているフィールドでは戦っていません。そして、他の競合がなぎ倒される中、生き残ってきたのです。
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