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第七条 普通を非凡に変える

素晴らしい会社は天才的な人材や革新的な技術ではなく、普通のビジネスを他とは違う方法で行うことで創られます。

一般的に、素晴らしい事業とは、天才的な人材が革新的なテクノロジーや画期的なビジネスモデルを生み出したり、他にはない商品を開発し、提供していると思われています。
 
もちろん、スタートアップやベンチャー企業には、そういったモデルで成長しているものもあります。
 
しかし、現実の世の中で私たちが日常的に触れるビジネスは、実は普通のビジネスなのです。
 
例えば、スターバックスは”コーヒーショップ”というごくありふれたビジネスです。ディズニーランドもテーマパークという一般的に昔からある業態です。
 
彼らは普通の商品を販売している、普通のビジネスモデルの会社です。しかし、素晴らしい会社になっています。
 
偉大な会社とは、普通のビジネスを他とは違う方法で行っている会社のことを言います。
 
 
ネズミを非凡に変えた
 
ウォルトディズニーの例を考えてみましょう。彼は、史上最も壮大なブランドの一つを作り上げました。
 
ディズニー帝国が、ミッキーマウスという、小さなネズミのキャラクターによって築き上げられたことを誰が信じられるでしょうか。
 
ウォルトディズニーはごく普通のネズミを見て、何を感じ取ったのでしょうか。
 
どのようにして、ネズミに命を与えようと思ったのでしょうか。
 
ウォルトディズニーと同じように考えてみましょう。
 
あなたの会社の普通の壁、普通の床、そして窓、ドアがある小さな店にどうしたら生き生きとした命を吹き込むことができるでしょうか?どのようにして普通を非凡に変えられるでしょうか。
 
 
ハンバーガーを非凡に変えた
 
レイクロックの例も挙げてみましょう。
 
彼はマクドナルドの創業者として知られていますが、実際にはマクドナルド兄弟が創業者です。レイクロックは52歳まで、ミルクシェークを作る機械を販売している、しがないセールスマンでした 
 
そして、機械を売るために、カリフォルニアのサンベルナルディーノにある、マクドナルド兄弟のハンバーガー屋に行きました。
 
彼は、ハンバーガーを買うために、人々が列をなしていることが信じられませんでした。
 
マクドナルド兄弟が作ったハンバーガーは、他とは一線を画していました。レイクロックはハンバーガー屋というごく普通の事業に可能性を見出しました。言い換えれば、レイクロックは、マクドナルド兄弟が開発したお店の運命を見通すことが出来る男でした。それが彼の偉大さだったのです。
 
その後、単なるハンバーガー屋が、世界的な大企業になりました。
 
注目すべきは、ごく普通の人たちの手で、顧客の要望に応えるように世界中で運営されているということです。
 
マクドナルドは、世の中の人々の大多数は普通の人であることを知っていました。だから、普通の人でも非凡な結果を出せるように仕組みを作ったのです。
 
あなたのビジネスに戻って考えてみましょう。
 
どのようにして、普通の中に偉大さを見ることができるでしょうか?
 
どのようにして普通の商品を非凡な商品に変えるのか?
 
どのようにして普通の人が非凡な結果を出せるようにするのか?
 
どのようにして普通のことを顧客が想像すらしなかったことへと変化させられるのか?
 
これらの質問への答えこそ、偉大な会社が追求していることなのです。
 
2013年、マクドナルド1号店@サンバルディーノ
 
普通を超えた何か
 
普通を非凡に変えるためには、あなたがやっていることに意味を持たせることが欠かせません。
 
意味とは、あなたの商品や会社の裏側にある哲学や思想です。顧客はそれらを感じることが出来ます。
 
ここで、アメリカで空手道場を経営しているマーティ・キャラハンという人物をご紹介します。
 
彼は60歳の時に、自分の仕事の意味を発見しました。
 
彼が書いたストーリーをご紹介します。
 
「もしあなたにお子さんがいるならば、この手紙を読んでいただきたい。ここには、私たちが過去29年間、松涛館空手で教えてきたことが示されている。
 
何千人もの生徒、そして彼らの家族と接するうち、ある信念が生まれた。多くの若者はリーダーになることが出来ず、世の中に流されるだけになっている。そのことによって、彼らは害を受けているのだ。問題は、彼らにリーダーとなる素質が無いことではなく、なる方法を知らないことである。彼らは自分の人生をリードできないために、混乱の中で生きており、コントロールを失っている。統計を見て欲しい。
 
アメリカ司法省によれば、アルコールは若者の死因原因の1番であり、殺人が2番であり、自殺が3番である。100万人の子供達がギャングのメンバーになっている。20%の若者が不法に麻薬の取引をしている。何百万人もの若者は、親の世代よりも収入の可能性が低い。
 
彼らに活力がないのも無理は無い。
 
このような混乱を終わらせることが出来ないのは何故だろうか?なぜ私たちの子供達は容易に流される道へ進むのだろうか?
 
これから、それらの質問に答える。あなたの子供の中にある、リーダーシップを鼓舞し、彼らの生きる世界を変革させることが可能である。考え方次第でそれが出来る。もし、できなければ、賃金は低いままになり、満たされない気持ちになり、司法省の統計どおりになってしまう。
 
リーダーに対する神話の中で、最も大きいものは、リーダーとは作られるものではなく、生来のものであるということだ。そうではない。誰がリーダーになるのか、どのようにしてリーダーとしての能力を発達させるかが、子供の成功の鍵となる。
 
1981年に松涛館を創ってから、7,000以上の生徒と家族がリーダーになるのを支援してきた。そして普通の人が偉大なリーダーになるのを何千回も見てきた。この類のプログラムはほかになく、実績がそれを物語っている。」
 
以上がマーティーの書いたストーリーの序文です。
 
彼が運営している松濤館空手道場と普通の空手道場の違いは何でしょうか?
 
空手とは、入門してレンガの割り方を教わるためのもの、大半の人はそう考えていますが、マーティーは、それだけではないことを知っていました。
 
彼は単に空手を教えるのではなく、子供たちのリーダーシップを引き出すことに決めました。空手を通じて、子供たちが自らの人生を積極的に生き、選択できるようにしようと決めたのです。
 
マーティーは空手の先生であるという自己認識を改め、起業家になると決意しました。
 
マーティーが考えたのは、空手に意味を与え、空手を超えたものにすることです。
 
本田宗一郎氏は、ドリーム号というバイクを創り、大ヒットさせました。このバイクの裏側には、戦後で夢を失った日本人に夢を与えたいという想い(意味)が存在していました。
 
本田宗一郎氏はこんな言葉を残しています。
 
”私の哲学は、技術そのものより思想が大切だというところにある。思想が具現化するための手段として技術があり、また良き技術の無いところからは、よき思想も生まれえない。人間の幸福を技術によって具現化するという技術者の使命が私の哲学であり、誇りである。”
 
ホンダが好きな人は、おそらくこの本田宗一郎氏が言う”思想”を感じることが出来るから、ホンダが好きなのでしょう。
 
 
会社が停滞する理由
 
会社が停滞する理由は、一つしかありません。
 
それは、経営者が自分の行っていることに奮い立っていないことであり、真の意味で生きていないことであり、自分がやっていることに情熱を感じていないことなのです。
 
仕事が単なる仕事になり、明日もまったく違いがないものになり、明日も自分をすり減らすものになっています。
 
あなたが水道屋であっても、技術屋であっても、医者であっても、関係ありません。
 
何を売っているかが問題なのではなく、それをどうやるかが問題なのです。その心が何なのか、魂が何なのか、生命の力が何なのかが問題なのです。
 
もう一度、自分に問いかけてみましょう。
 
あなたのビジネスは、何をしようとしているのでしょうか?
 
世の中にどんな革新を作りだそうとしているのでしょうか?
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