組織図の種類は9個ある。自社に合うのはどれか?



清水直樹
今日は組織図の種類について解説します。日頃、組織図づくりをお手伝いしていますが、どのような組織にすべきかを悩まれるケースが多いので、サンプルとして9個の種類をご紹介します。

 

※組織づくりについては、以下でも解説しています。

 

 

※書き起こしは以下から。

 

組織図の種類は9つに分類できる

日頃、会社の仕組みづくりをお手伝いしているんですけれども、その過程で必ずやるのが、組織図の作成です。

中小企業でこれから成長していこうという会社は、結構、組織図がないケースが多いですね。社長の頭の中にはあるんだけれども、とくに明文化された役職、部門、役割がないケースが多いです。

まずそこから整えていくのが、仕組み作りの最初の方のステップなんですけれども、その組織図を作ったことがない社長が多いわけです。

そこで今日は、どういう組織図の種類があるのか、9つに分けてご紹介したいと思います。

※今日の内容は、ハブスポットが出しているレポートを参考にしています。

 

組織図の種類①機能的構造

まず、1つ目のタイプが機能的構造です。

組織図を作りましょうといった時には、だいたいこのパターンですね。社長がいて、営業部があって、経理部があって、総務、開発みたいな感じですね。要は会社の機能によって部門を作っていくというモデルになります。

これが一般的ですし、私達もこれをお勧めしているケースが多いです。

この組織構造のメリットは、社員の専門性を高めるということですね。営業部、技術みたいに分かれていますので、その部門に所属している人は、その業務について、どんどん専門的な知識を身につけていくということです。

一方でデメリットが、部署間に壁を作ってしまうということです。よく営業部門と技術部門は対立しがちだということがあったり、経理の人は営業の人の雑な処理の仕方にイラついているというケースもよくあったりします。なので、部署を分けたんだけれども、その間で軋轢というか壁ができるということです。

もちろん、こういう事をちゃんと壁を取り除くための仕組みもあるので、一般論としてこういうデメリットがありますということをお話をしています。

 

組織図の種類②商品ベースの構造

2つ目は、商品ベースの分類構造です。

これは、売れ筋の商品がいくつもある会社にあるパターンです。プロダクトごとに部門分けします。各部門ごとに営業やマーケティングチームが存在するということです。A商品を扱う事業部、部門があって、B商品を扱う部門があってみたいな感じで、その部門ごとに営業機能、マーケティング機能、もしくはバックオフィスの機能があったりするということです。

この場合のメリットは、複数プロダクトを持つ会社に最適で、開発サイクルを短縮化可能ということです。複数の商品がある時に、さっきみたいに機能別の状況になっていると、社内の業務とかプロセスが複雑化しやすいです。でも、1つの部門で同じ商品を成功させようという人達が集まっているわけなので、プロセスもシンプルになりやすいということです。

一方のデメリットは、スケールが難しく、リソースの重複が発生するということです。さっき言った通り、商品ごとに営業がいたりとか、商品ごとにバックオフィスがあったりとか、商品ごとにマーケティングがいたりするので、重複している業務をやっている人が会社の中に何人かいたりすると。それでリソースの重複が発生してもったいないんじゃないかという話です。

 

組織図の種類③マーケットベースの分類構造

次にマーケットベースの分類構造です。これは業界や顧客タイプごとに部門分けするということです。私が昔いた会社は、当時はこれになっていました。例えば、金融業界向けに営業するグループがあったりとか、建設業向けに営業をするグループだったりとか、メーカー向けとかいろいろ業界別にお客様がいたので、業界ごとに特化して部門を作っていくということです。

これのメリットは、特定のマーケット独特のプロダクトを提供する会社に最適であるということです。IT系とか金融業界向けにやるには金融業界の知識がないとできないので、そうすると金融業界向けの部門を作って、そこで専門特化してやっていった方がよいという話になってくるわけです。

デメリットは、各部門に自治があり過ぎて組織としての一貫性が薄くなるということです。その部門では固まってうまくやっているんだけれども、他の部門との交流がないと、他の部門でなにをやっているのか分からないという話になる可能性があるということです。

 

組織図の種類④地理的な分類構造

4つ目。地理的な分類構造。これも中小企業でよくあるパターンです。地域、テリトリーなど地理別に部門分けをするということです。

メリットはサプライヤーや顧客と物理的に近くにいる必要のあるビジネスに最適であるということです。物理的なものを納品しないといけないですとか、お客様と会ってやらないとだめとか。店舗ビジネスなんてまさにそうです。西日本、東日本、もしくは四国、関東、近畿とかそんな感じです。分けた方がやりやすいという会社はこういう構造になるということです。

デメリットは意思決定を中央に集中しづらい。地域ごとで競争相手となりかねないということです。

 

組織図の種類⑤プロセスベース構想

これは最初の機能別にちょっと近いんですけれども、ワークフローのプロセスごとに部門分けすると。ちょっと分かりづらいですけれども、会社ってだいたい大きな業務フローが決まっているわけです。うちの場合だったら、コンテンツの開発があって、それをマーケティングする、営業する、そしてお客様に提供するという大きな流れがあるわけです。その流れごとに組織を分けていくというやり方がありますということです。

メリットは、ビジネスのスピードの効率を向上させるということです。



デメリットはプロセスグループ間に壁ができやすいということです。

これは最初の機能別の構造にちょっと近いかなという感じです。

 

組織図の種類⑥マトリックス構造

中小企業でも意外とこれをやっている、もしくはやりたがる会社が多いです。これはヒエラルキー型で部門があるんですけれども、横軸で切ってまた別の組織を作るモデルです。全社員が縦横2つのレポーティングラインを持つということです。機能的ラインとプロダクトベースラインです。

例えば、ある社員は縦軸でA商品を担当する部門に入っています。同時に横軸で営業部隊にも入っていると。なのでその人は、A商品の営業部隊ということなんですね。別の人は、A商品の中に入っていて開発をしているということなので、この2つのに入っているということになります。

マトリックス型のメリットは、柔軟でバランスのとれた意思決定ができるということです。

デメリットは複雑で混乱しやすいということです。

確かにこれは大企業にはあるパターンではあると思うんですけれども、中小企業でこれをうまくマネジメントするのは相当難しいです。理由は複雑になるからです。なので中小企業でもしこういうことをやりたいのであれば、組織図は組織図でちゃんと作っておいて、横軸に入れたい機能は、別途で考えた方がいいんじゃないかと。要するに1つの組織図にまとめないということです。そうしないと誰が上司なのか分からなくなります。誰にレポートすればいいのか、誰に報告すればいいのか分からないという組織なので、やりがちなんだけど危険な組織構造かなと思います。

大企業で組織運営のやり方が塾察しているのであれば、よくある組織構造ですが、中小・成長企業にはあまりお勧めはしないかなと思います。

 

組織図の種類⑦円形構造

これは私は見たことがないんですけど、ハブスポットのレポートに書いてあったので載せているんですけれども、ヒエラルキーの上位は円の中心付近。内から外に向けてビジョンを拡散していくということです。この図に書いてある感じなんでしょう。トップマネジメントの人がいて、分散型で広がっていく組織です。

メリットはコミュニケーションとコラボレーションを活発化させる。

デメリットは構造が複雑でレポーティングラインがどこか分かりづらいということです。

この図を見ても複雑になるなという感じはします。これはあまり実際の例としては考えられないかなと思います。

 

組織図の種類⑧フラット構造

これも最近よく流行っている構造かなと思います。マネージメント階層が非常に少ないため、リーダーシップが非常に身近であるという特徴があります。

メリットはヒエラルキーがかなり少ないため、社員の生産性が高まる。

デメリットはレポーティングラインが明確でないと意思決定がまとまりにくいということです。

これはフラット構造になっちゃってる場合と、意識して作る場合とあります。なっちゃう場合っていうのは、社長が創業して、だんだん人が増えていくんだけど、組織図を意識しないでやっているので、鍋蓋型になってフラット構造になってしまうというパターンです。これはあまり良くないので、変えていく必要があるのかなと思います。

もう1個のパターンとしては、官僚化して階層構造が非常に多かった組織を敢えてフラット構造にしていくというパターンがあるのかなと思います。このパターンであれば、ちゃんと考えて作っているのでいいのかなと思います。確かにヒエラルキーが少なければ意思決定も早くなりますので、生産性も高まるかなと思います。

フラット構造にしたいという人が増えているのは、ティール組織が非常に流行ったせいもあると思うんです。ただし、ティール組織は必ずしもフラット構造ではありません。

 

組織図の種類⑨ネットワーク構造

最後、9個目です。ネットワーク構造。

これは外部リソースをかなりの部分使うということです。各部門が社外のリソースとなるということです。部門ごとアウトソーシングしてしまうというパターンもあったりするということです。

このメリットは、コストの面で非常に安くつくこと、そしては安定稼働です。その部門を専門の会社にアウトソーシングしますので、非常に安定した品質を確保していけるということがあったりします。

デメリットは、組織図は外注先の数などで変わるため、明確でシンプルでないと混乱が生まれるということです。アウトソーシングすればするほど、その管理のコストも生まれてきますので、その辺もデメリットになるのかなと思います。

 

中小・成長企業にはどの組織図の種類がお勧めか?

以上、9つの種類の組織図をご紹介しました。結論から言うと、中小・成長企業の場合には、1、2、3、4からどれかを選ぶのがいいかなと思います。5、6、7、8、9はちょっと難しいし、あまり中小・成長企業では使わないかなと思います。

ですので、機能別に分けるか、商品ごとに分けるか、お客様の業界とかタイプごとに分けるか、もしくは地理別で分けるか?

この中から自社に適したものを選んでいただいて組織図を作っていただくといいのかなと思います。



 

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なお、「仕組み経営」では、自社に合う組織図づくりから、成長のための仕組み作りまでを一貫してご支援しています。

詳しくは以下からご覧ください。

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※組織づくりについては、以下でも解説しています。

 

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