清水直樹
いざ起業して経営者になったものの、あれ、経営者の仕事ってなんだっけ?という方、または先代から会社を継いで、経営者の仕事とは何か?を日々悩んでいる後継者の方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、主に中小企業を対象に、経営者の仕事とは何か?を解説していきます。

この記事の信頼性

この記事は世界No.1の中小企業アドバイザー(米INC誌による)、マイケルE.ガーバー氏著「はじめの一歩を踏み出そう」の内容をベースにしています。世界700万部のベストセラーの内容を日本の会社に当てはめてご紹介していきます。執筆者である私はマイケルE.ガーバー氏のメッセージをおそらく日本で最も多く翻訳したり、代理となって発信してきましたので、本記事の内容も信頼いただける内容かと思います。

 

姉妹記事:社長の仕事とは?

姉妹記事で「社長の仕事10選」という記事もアップしていますので、ぜひご覧ください。また、Youtubeでは「社長の仕事365日チャレンジ」という動画を毎日配信していますので、こちらもご活用ください。

▶社長の仕事10選

▶社長の仕事365日チャレンジ

 

経営者の仕事を一言でいうと?

まず経営者の仕事を一言でいうと何でしょうか?私は次のように考えます。

1.会社が向かうべき目的地を定め、2.そこに至るためにあらゆることを行うこと。

こう書けば単純に思えますね。ただ、私が多くの経営者の方と接してきた経験を踏まえると、以下の二つのパターンのいずれかにはまってしまっている経営者が多いようです。

会社が向かうべき目的地を決められない

毎日、忙しく働いてはいるものの、最終的にどのような会社にしたいのか?その目的地や方向性が明確でない経営者もいます。こういった経営者は、私たちが職人型ビジネスと呼んでいる症状に当てはまっているケースが多いです。

職人型ビジネスは、自分の専門的な技術や知識をベースに起業したパターンであり、毎日、自分が専門的な仕事をすることで成り立っています。とりあえずお客さんは来るし、売上は立ちますが、自分が現場から離れることができず、会社が成長しません。職人型ビジネスでは、自分がずっと働き続けて、会社の収支を成り立たせていく、という未来しかありません。

やりたいことはあるが、実行力がない

逆に、経営者に、こういう会社にしたい、こういう貢献をしたい、という想いがあるものの、実行力に欠けているケースもあります。実行力がない経営者は、いわゆる夢想家とレッテル貼りをされてしまうことがあります。本人には実行力が欠けているという認識はないのですが、とにかく既存の事業を最適化するよりも、新しい事業を試すことに目が行きがちで、はたから見るとどれも中途半端に見えてしまうのです。

 

というわけで、経営者の仕事は、

1.会社が向かうべき目的地を定める

2.そこに至るためにあらゆることを行うこと。

という両面が必要になります。

 

とはいえ、具体的に何をすればいいのか?ということになると思いますので、以下により具体的に解説していきましょう。

 

経営者の仕事は7つの経営力学で説明できる

 

 

まずこちらの図をご覧ください。これは「7つの経営力学」というものであり、私の師匠でもある世界No.1(米INC誌による)の中小・スモールビジネスアドバイザー、マイケルE.ガーバー氏が1977年前から開発したコンセプトです。経営者の仕事は、この図にある7つに集約されます。

注意点としては、

  • どこに注力すべきか?

そして、

  • 経営者が実際にどこまで自分で手を下すか?

は、会社の成長ステージによって変わることです。

そこで以下に順序だてて解説していきます。

 

 

経営者の仕事を図にしてみる

経営者の仕事をステージ毎に解説します。まず、図にすると以下のようになります。

 

 創業ステージにおける経営者の仕事:商売の基本サイクルを自分で回す

創業ステージにおける経営者の仕事は、7つの経営力学の下にある「価値提供」「集客」「セールス」です。念のため説明しておくと、次のとおりです。

  • 価値提供・・・商品やサービスの開発、または提供
  • 集客・・・見込み顧客を集める
  • セールス・・・見込み顧客を顧客にする

 

創業ステージにおいては社員が社長一人、または数人しかいません。そのため、社長の仕事は、見込み顧客を集客し、セールスし、そして商品やサービスを提供(価値提供)する、ということになります。創業時にはとにかくこの3つをきっちり回さないと売上が立たず、商売が軌道に乗りません。したがって、経営者自ら集客、営業、価値提供に時間を使い、売上を上げる必要があります。

良く成長企業の創業者が「最初のころは全部自分でやったよ」と回想しているインタビューがあったりしますが、それは自分でこの商売の基本サイクルを回していたことを指しているはずです。自分でチラシまいたり、自分で営業したり、自分で商品を納品しに行ったり、、、等々。やることはたくさんあります。

経営者というのは、初期のころに全部自分で商売の基本サイクルを回すことで、いわゆる”勘”を身に付けます。どのような商品であればお客様受けがいいのか?お客様が望んでいるのは何か?等々、現場の勘という奴です。

逆に、創業社長から会社を引き継いだ場合、この経験を自分でしていないために、現場の勘が身につかず、苦労することが多いようです。

 

初期成長ステージにおける経営者の仕事:商売の基本サイクルを仕組み化し、現場を離れる

創業ステージを超えると、初期成長ステージに入ります。初期成長ステージ入る目安としては、”人手が足りずに顧客に対応できない”という状態が来たときです。

このステージは、商売の基本サイクルを頑張って回してきた結果、顧客も安定して増え、売上も安定してきます。このステージにおける経営者の仕事は、いままで自分が行ってきた「価値提供」「集客」「セールス」という仕事を、ほかの人でもできるように、仕組み化することです。

商売の基本サイクルから自分の手を放すことができれば、多くの自由時間ができ、さらなる成長へと向かうことができます。逆にここから手を放すことができなければ、いつまでも現場が働くことになり、それ以上の成長を模索する余裕ができません。

ここが会社が成長できるかどうかの最初の分岐点となります。多くのスモールビジネスがスモールな状態から抜け出せないのは、社長が現場から抜けることができないのが理由です。

 

成長ステージにおける経営者の仕事:商売の基本サイクルを高速で回すための仕組みづくり

現場を離れて経営者の時間が出来たら、次にやるべきことは、商売の基本サイクルをさらに高速で回すために仕組みづくりを行うことです。より具体的に言えば、「7つの経営力学」の上の部分、「組織」「ブランド」「財務」に取り組みます。

  • 組織・・・人の採用や育成などの組織戦略
  • ブランド・・・自社のポジショニングや顧客体験などの最適化
  • 財務・・・予算計画やキャッシュフロー計画等

これらの3つの仕組みづくりに取り組むことで、商売の基本サイクルを回すのはより簡単になります。

たとえば、組織づくりを行い人が採用出来て育っていけば、商売の基本サイクルを回せる人が増え、加速度的に成長できます。

また、ブランド力が高まれば、集客やセールスの仕事も楽になります。

財務力があれば、多くの予算を採用や広告、商品開発に投資できるため、レバレッジが効きます。

このステージで経営者が間違ってしまうのは、社員をもっと働かせて、力業で商売の基本サイクルを回そうとすることです。

実際には経営者がやるべきことは逆です。

つまり、このステージでは、経営者は、社員の仕事をいかに楽にさせてあげられるか?ということを考えないといけません。社員は現場で商売の基本サイクルを回してくれているわけですから、彼らが楽に仕事をできるような仕組みづくりをしてあげれば、商売の基本サイクルは勝手に高速で回るようになります。

 

安定運用(成熟)ステージにおける経営者の仕事:リーダーシップ

安定運用ステージに入ったかどうかを判断するのは難しいですが、上記の組織、ブランド、財務の仕組みがある程度整った段階、と言えるでしょう。

このステージに入ると、経営者は現場の仕事には、ほとんどかかわらなくなりますし、人事部や総務部、財務部などのスタッフ部門の人材が揃うために、いわゆる本当に経営者らしい立場になると言えます。

このステージにおける経営者の仕事は、ずばり、7つの力学のど真ん中にあるリーダーシップです。リーダーシップという言葉にも色々と意味がありますが、ここでいうリーダーシップとは、会社の目的地や方向性を明確にし、それを組織全体に共有することだと言えるでしょう。

安定運用ステージでは、これまで作り上げてきた様々な仕組みが会社内で動いているはずです。ここで大事なのは、それらの仕組みが、会社の目的地や方向性に向けて連動して動いているかどうかを絶え間なくチェックし、改善し続けることです。

実際、大企業の経営者などを見てみれば、彼らが日々やっていることは、ビジョンを語り、価値観を組織内に共有し続けていることだとわかるでしょう。

ちなみに補足になりますが、このリーダーシップの役割は、何も安定運用ステージだけに求められるわけではありません。創業ステージ、初期成長ステージ、承継ステージすべてに共通する仕事と言えます。

 

承継ステージにおける経営者の仕事:自分が去った後に、より大きく成長できる仕組みづくり

どんな経営者であっても避けられない事実は、いずれ経営者を誰かに譲り、自分は去らなくてはいけない、ということです。経営者としての最後の仕事は、その時に向けて準備をすることです。

大事なのは、そのタイミングが来てから準備するのでは遅い、ということです。自分が病気になったり、または死んでしまったりしてからでは、承継の準備ができないのです。一般的には5年~10年かけて承継の準備をします。そのため、自分が引退するタイミングを決め、そこから逆算して準備をする必要があります。これをいわゆる出口戦略と言います。

出口戦略については以下の記事で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。

▶ビジネスと社長の出口戦略(イグジットプラン)完全ガイド

 

承継は、単に経営者という役職を誰かに引き継げばいいわけではありません。大事なことは、経営者が交代した後も、会社が成長し続けられるような仕組みづくりを行うことです。有名な格言で次のようなものがあります。

優れたリーダーは、現役時代に実績を作る。しかし、偉大なリーダーは自分が去ったあとにも実績を作る。

たとえばアップル社は、スティーブジョブズが去った2011年も業績を上げ続けています。

むしろ、彼が去ってからのほうが業績の伸びが著しい、と言ったほうが良いかも知れません。彼は現役時代に実績を出しましたが、さらに大事なことに、自分が去った後も、業績を上げ続ける会社を創ったのです。

一般的に、カリスマ経営者ほどこれができません。カリスマであるがゆえに、経営がその経営者個人に依存しており、その人が去ったら、成長できなくなる、という事態に陥るのです。

スティーブジョブズもカリスマ経営者でしたが、彼を本当にカリスマたらしめているのは、その人物像や舞台上でのパフォーマンスではありません。彼が、在籍中に、”自分がいなくなっても成長できるようにするための仕組み”を創っていたことこそが最大の功績であり、カリスマと称賛される理由なのです。

詳細はこちらの記事に詳しく書いてあります。

▶スティーブジョブズの最大の功績は?

 

経営者の仕事を正しく行いましょう

以上、本記事では経営者の仕事について解説してきました。何か参考になる点を発見していただければ幸いです。私どもでは、本記事でご紹介した7つの経営力学に基づき、中小スモールビジネスを成長させる仕組みづくりをご支援しています。詳しくは以下からぜひご覧ください。

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