経営計画発表会の全て(目的や式次第、流れなど)



清水直樹
経営計画発表会は、経営計画を社内外に発表し、全社員、利害関係者を自社の応援団にするための重要なイベントです。本記事ではそのやり方を詳しく見ていきましょう。
目次

経営計画発表会とは?

経営計画発表会とは、企業の経営陣がそのビジョン、戦略、そして具体的な行動計画を社内外の関係者に対して公表する重要なイベントです。これは通常、年次または四半期ごとに開催され、企業の経営方針や目標、戦略、予算などが説明されます。

経営計画発表会は、企業の透明性を高め、ステークホルダー(従業員、投資家、顧客、取引先など)との信頼関係を強化するための重要な手段です。これにより、ステークホルダーは企業の現状と将来の展望を理解し、それに基づいて意思決定を行うことができます。

また、経営計画発表会は、経営陣が企業のパフォーマンスを評価し、新たな目標を設定し、それを達成するための戦略を策定する機会でもあります。これにより、組織全体が一体となって目標に向かって進むことが可能となります。

経営計画発表会は、企業の経営効率を高め、競争力を維持・向上させるための重要なツールとなっています。それは企業の成功を左右する重要な要素であり、その重要性は日々増しています。

経営計画発表会の目的

最初に経営計画発表会の目的を明確にしておきましょう。既に開催が決まっていて準備をしている方にとっては、目的によって、当日の流れや式次第、用意する資料が変わってきます。また、開催しようとかどうか悩んでいる方は、これらの目的を理解したうえで、開催するかどうかを判断していただければと思います。

仕事/経営のけじめをつける

経営計画発表会は、新たな年度や新たな期間(四半期等)の始まりを象徴する重要なイベントです。新年や誕生日に新たな決意を持つのと同じように、経営計画発表会で仕事や経営のけじめをつけ、新しい決意を行います。経営計画発表会では、過去の成果を祝い、新たな目標を設定し、全社員が新たな気持ちでスタートを切ることができます。このような「区切り」を設けることで、全社員が新たな期間に向けての期待感や意識を高めることが出来ます。

社長の決意と約束の表明

経営計画発表会は、社長が「会社や社員をこのような方向に導いていく」という決意と約束を表明する場です。社長が自身の考えを明確にし、それを全社員に伝えることで、経営計画は「社長だけの羅針盤」から「社員全体の羅針盤」に変わります。これにより、社員は社長の強い意志を感じ、自身の業務に対するモチベーションを高めることができます。

社員の理解と参加

社員は自分の生活の多くの時間を会社で過ごしており、その多くは会社と共に歩んでいくと考えています。経営計画発表会は、社員が会社全体の現状や今後の計画について理解し、自分の役割を再認識するための重要な機会です。また、社員が自社の経営計画について質問や意見を出すことで、今後の経営に関する重要なアイデアやフィードバックを受けることが出来ます。

外部関係者とのコミュニケーション

経営計画発表会には、主要取引先や金融機関などの外部関係者を招くことも有効です。これにより、外部関係者に社長の思いや経営計画を理解してもらい、自社の「応援団」になってもらうことが可能となります。

経営計画発表会の準備

会社規模が大きくなればなるほど、経営計画発表会は一大行事になります。以下に、その準備手順を詳しく説明します。

1. 社長による開催表明

まず最初に、社長自身が全社員に対して経営計画発表会開催を表明します。このとき、発表会の目的や全社員が集まることの意義を説明し、「自社の将来のためには絶対に発表会が必要である」というメッセージを打ち出します。

2. 開催準備チームの発足

開催規模が多ければ、開催準備チームを発足させましょう。通常は総務部門や経営家企画部門などが中心となって準備を進めますが、各部門の発表などがある場合、それらの部門からもチームメンバーを収集すると良いでしょう。バランスとして、チームの責任者は経営幹部から任命し、メンバーは複数の異なる部門の若手社員中心に構成すると良いでしょう。これにより、若手&ベテランの垣根を取り払うことにも繋がります。

プロジェクトチームには以下の役割があります:

  • リーダー
  • 当日の進行役(司会者)、タイムキーパー
  • 会場設営責任者
  • 当日配布物準備責任者
  • プロジェクターなどの操作係
  • 写真・DVD撮影などの記録係
  • 来賓受付担当者

これらのメンバーに対しては、社長から発表会の狙いや伝えたいことを直接説明するようにしましょう。プロジェクトの進め方は詳述しませんが、準備カテゴリーごとにチェックリストなどを作り、仕組み化することが大切です。これにより、回を重ねるごとに準備がラクになり、準備漏れなどのミスも減っていきます。

3. 開催日時・場所の決定

開催日時と場所の決定は以下の要素を考慮します:

  • 日時:新期スタート日に近い日を選び、可能な限り全社員が参加可能な日を選びます。外部からの来賓を招く場合は、先方との調整も必要です。
  • 場所:可能な限り、外部の会場を手配しましょう。理由は、”非日常間の演出”です。経営計画発表会の目的である「けじめやっ区切り」を示すには、この会が特別であり、全社員の参加が求められているというイメージを演出する必要があります。普段使っている自社会議室ではそれが叶わないため、お金が多少かかっても経営計画発表会に相応しい場所を選びます。

4. 社員配布用経営計画書の作成

経営計画発表会では、経営計画書を配布する。
経営計画発表会では、経営計画書を配布する。

通常、経営計画発表会では、社員に計画書を配布し、それを説明しながら会を進めます。計画書は最低1年間社員が手元に置いて毎日のように見返すものなので、内容をいかに分かりやすく、かつ充実させるかが大きなポイントとなります。

計画書の内容は詳述しませんが、構成が目安になります:

  1. 社長メッセージ
  2. 経営理念(ミッション、ビジョン、バリュー)、経営方針、行動指針等
  3. 前期の振り返り
  4. 長期ビジョン、中期経営計画
  5. 今期全社事業計画
  6. 今期部門別事業計画
  7. 個人記入用シート

個人記入用シートとは、会社の計画に対して、社員個人個人が自分の目標や計画を書き込むシートになります。

また、表紙などに「社外秘」と記載すること、配布する社員、関係者の氏名を明記すること、通し番号を打つことなども秘匿性の高い計画書の管理をするうえで大切です。

以上が、経営計画発表会の準備についての詳細な手順です。これらを参考に、成功する経営計画発表会を実現しましょう。

経営計画発表会の式次第&流れ

では、発表会の式次第(流れ)を見ていきましょう。発表会を1日で終わらせるのか、2日かけるのかによって式次第は変わってきます。以下は2日間で組んだ場合のモデルケースです。

経営計画発表会1日目の式次第

開会宣言(司会者)

司会者が全員の注目を集め、経営計画発表会の開始を宣言します。このとき、会の目的や進行の概要を簡潔に説明し、参加者全員が会の流れを理解できるようにします。

経営理念、経営方針、行動指針(全員)

全員で経営理念、経営方針、行動指針を確認します。これにより、社員全員が企業の基本的な価値観や目指すべき方向を共有し、一体感を醸成します。

来賓紹介(司会者)

司会者が来賓を紹介します。このとき、来賓の名前と役職、そしてその人がなぜこの会に招かれたのかを明確に伝えます。

社長メッセージ(社長)

社長が自身の思いや、社員に理解して欲しいこと、そして今後の計画について説明します。このメッセージは、社員が会社の方向性を理解し、自身の役割を明確にするための重要な時間です。

経営理念、経営方針、行動指針解説(社長)

社長が経営理念、経営方針、行動指針を詳しく解説します。これにより、社員全員がこれらの理念や方針が具体的に何を意味し、自身の業務にどのように反映すべきかを理解します。

前期総括と経営計画発表(社長)

社長が前期の成果を総括し、新たな健営計画を発表します。これにより、社員全員が会社の現状と今後の方向性を明確に把握します。



Q&Aセッション

社長の発表後に、全社員が質問を投げかける時間を設けます。これにより、社員が自身の疑問を解消し、より深く経営計画を理解する機会を得ます。

閉会宣言(司会者)

最後に、司会者が経営計画発表会の終了を宣言します。このとき、参加者全員に感謝の言葉を述べ、会の成果や次のステップについて簡潔にまとめます。

経営計画発表会2日目

開会宣言(司会者)

司会者が2日目の開始を宣言します。このとき、その日の進行の概要を簡潔に説明し、参加者全員が会の流れを理解できるようにします。

各部門の前期総括と部門計画発表(部門長)

各部門長が前期の成果を総括し、新たな部門計画を発表します。これにより、社員全員が自身の部門の現状と今後の方向性を明確に把握します。

Q&Aセッション

各部門の発表後に、全社員が質問を投げかける時間を設けます。これにより、社員が自身の疑問を解消し、より深く部門計画を理解する機会を得ます。

各種表彰式(司会者)

業績功労社員、永年勤続社員、社長特別賞など、各種の表彰式を行います。これにより、社員の努力と成果を称え、モチベーションを高めます。

内定者紹介(司会者)

新たに採用が決まった内定者を紹介します。これにより、社員全員が新たなメンバーを知り、歓迎の気持ちを共有します。

社員代表による決意表明(社員代表)

社員代表が自身の決意を表明します。これにより、社員全員が新たな経営計画に対する意欲と責任感を新たにします。

オープンディスカッション

社員全員が参加し、会社の方向性や計画について自由に意見を交換する時間を設けます。これにより、社員全員が会社の未来を共同で考え、創造的なアイデアや解決策を生み出す機会を得ます。

社長による総括(社長)

最後に、社長が2日間の経営計画発表会を総括します。これにより、社員全員が会の成果と次のステップを明確に理解します。

閉会宣言(司会者)

司会者が経営計画発表会の終了を宣言します。このとき、参加者全員に感謝の言葉を述べ、会の成果や次のステップについて簡潔にまとめます。

 

経営計画発表会を成功させるポイントやコツ

最後に、経営計画発表会を成功させるポイントやコツをご紹介します。既に述べたこともありますが、再度まとめておきます。

社外会場を使う

経営計画発表会の会場を社内の会議室とは異なる場所に設けることで、特別感を演出します。これにより、参加者にとって重要なイベントであることを意識させます。また、会場の装置や雰囲気も変えることで、より記憶に残りやすいイベントとなるでしょう。

当日の講演・発表内容をすり合わせておく

経営計画発表会では、社長や幹部の講演や各部署の責任者の発表が行われます。これらの内容は、その年の経営計画のテーマに関連し、ブレのないものにする必要があります。参加者に違和感を与えず、経営方針を浸透させるためです。

社内講師を選出する

社内講師は、一般社員の中から選出されます。専門的な知識が必要ではなく、面白い話や成功事例を通じて参加者の関心を引きます。例えば、チーム運営や業績向上に成功したマネージャーの話や若手社員の抱負など、リアルな話が共感を呼びます。社内講師の選出や話の内容には事前の打ち合わせが必要です。

発表の持ち時間を適切に設定する

発表者一人あたりの持ち時間は10分〜15分が適切とされています。5分では内容が慌ただしくなり、聞き手が理解しきれないこともあります。一方、15分を超えると聞き手が飽きてしまう可能性があります。適切な持ち時間を設定し、効果的な情報伝達を行うことが重要です。

アンケート用紙を配布する

参加者に経営計画発表会についての感想や意見を提出してもらうために、アンケート用紙を配布します。これにより、参加者の声を収集し、経営改善に役立てることができます。幹部はアンケート結果を目を通し、各部署に意見や改善案を伝え、業務改善に活かすことが重要です。また、次回の発表会の改善にもつなげましょう。

懇親会をセットにする

経営計画発表会の後に懇親会を設けることで、参加者同士の交流の場を創りましょう。これにより、チームの一体感やコミュニケーションが深まります。また、表彰は懇親会時に行うのも手です。多少お酒も入っていたりすると、非常に盛り上がります。

沈黙のヒーローを祝う

経営計画発表会では、裏方で日々努力している社員を称えることも大切です。表彰などでは売上を上げる営業部門が注目されがちですが、製造部門の担当者やお客様サポートの社員など、目立たないが会社にとって重要な役割を果たしている人々を表彰することで、みんなが楽しめるイベントになります。

クイズ形式にする

経営計画発表会を堅苦しくさせないために、クイズなどのゲームを取り入れることがあります。

顧客の成功ストーリーを共有する

顧客が成功した事例を共有することで、自分たちの仕事に意義づけをさせることが出来ます。

リハーサルを行う

特に音声や映像の設定がスムーズに行われるかどうかを確かめるために、リハーサルを行いましょう。

オンライン対応する

どうしても現地参加出来ない人のために、オンライン参加できる対応策を考えましょう。その際、モデレーターを用意し、オンライン参加者の質問やコメントを受け付け、役割を担います。

新しい事業やプロジェクトを発表する

発表会が形骸化したり、マンネリ化するのを防ぐために、小さくてもいいので新規事業や新規プロジェクトを発表しましょう。発表会では、何よりも、”この会社(と私の人生)はより良くなっていく”と感じさせることが大切です。

最重要イベントであることを繰り返し伝える

経営計画発表会が何回も続くと、今回は参加しなくてもいいかな、とか、お客さんとのアポがあるので、などという人も出てくるものです。しかし、発表会は会社の未来(ひいては社員自身の未来)を示すための最重要イベントです。気軽な気持ちで不参加になる人が出るのを防ぐため、発表会の重要性を繰り返し伝えるようにしましょう。



 

まとめ

以上、経営計画発表会のやり方について詳しく見てきました。なお、仕組み経営では、経営の理念や計画づくりから発表会の仕組みづくりまで、一貫して仕組み化をご支援しております。会社の持続成長を目指している方はぜひ以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。

 

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